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2024/01/11

BFE @Mainz / 顧客の理想を形にする仕事、インテグレーターのあるべき姿。

ドイツを代表するシステムインテグレーターであるBFE社。第1ドイツテレビであるARD、第2ドイツテレビとなるZDFといったドイツの主要放送局でのシステムインテグレートはもちろんのこと、自社工場を構えてワンオフでの製品生産まで行っている。事業としてはインテグレーターの枠組みを大きく超える存在となるBFE、同社が拠点を構えるマインツ本社へ伺った。 ドイツ公共放送の中核、マインツ ドイツ中部、ラインラント=プファルツ州の州都でもある歴史ある街マインツに本社を構えるBFE。マインツはフランクフルトの隣町であり、実際のところフランクフルト空港から郊外電車で西へ30分程度のところにあるライン川沿いの街である。また、世界遺産でもあるライン渓谷中流上部をめぐるライン川下りはマインツを出港地としている。ローマ時代の遺跡があったり、中世ドイツの宗教的な中心地であったりと多くの歴史の中心地でもある。第二次大戦で壊滅的な被害を受けたこともあり街並みは近代的なものが多いが、伝統的な様式で作られた街の中心となるマインツ大聖堂はロマネスク様式の大聖堂としてヨーロッパでも有数のものである。 このマインツになぜBFEがあるのか。これにはこの街にZDFというドイツ最大の放送局があるからという非常に明快な理由がある。ここで少しドイツの放送事情を説明しておこう。ドイツは日本で言うところのNHKにあたる放送局が複数存在している。公共放送として国民全員から受信料を徴収し、それを財源に放送を行うという形態のものである。その1つ目が、第1ドイツテレビを運営するドイツ公共放送連盟(ARD)と呼ばれるドイツ各地に9つあるテレビ局のネットワーク。ARDは共同で放送する4チャンネルの放送と、地域ごとの独自の放送チャンネルを持つ。本誌でも取り上げているSWRはこのARDの中の1局である。もうひとつが第2ドイツテレビの頭文字を取ったZDFである。ZDFはドイツ全域をカバーして3つのチャンネルを放送しており、このZDFの本部がマインツにある。 面白いのが、ARDとZDFはそれぞれが独立した放送局ではあるが、同じドイツの公共放送として共同で運用するチャンネルが4つもあるということことだ。全国に向けた公共放送のチャンネル数は、ADRが4チャンネル,ZDFが3チャンネル、ADRとZDFの共同制作が4チャンネル。そのほかに各地域ごとの放送がADRの9つの放送局それぞれにあるということになる。すべてまとめるとかなりのチャンネル数である。視聴シェアの割合もこれらの公共放送が51%を締め、その他の商用放送と拮抗している。このように公共放送のシェアが高い国というのはかなり珍しいのではないだろうか。ちなみに受信料は18.36EUR。執筆時点のレートでは2900円程度となる。 複数メーカー製品を一括制御するKSC 各州ごとに設けられたARDの放送局に比べると、ZDFは全国区でありその規模は巨大なものである。その放送局とともにインテグレーターとして成長を遂げてきたBFE、どのようなところからこの会社は大きな飛躍を遂げたのだろうか?そのキーとなるのが「KSC system」と呼ばれるアプリケーション。放送局の設備にはさまざまな制御関係の信号があり、それらがスタジオシステムの根幹を握るものとして信号のルーティングや、チャンネルの切り替えなど、さまざまな場所で活用されている。KSCはさまざまな機器の組み合わせで構築されるそれらの制御を一括でコントロールしてしまおうというもの。当初は、GPIOやシリアルコントロール(RS-232,RS422)などを総合的にコントロールできる製品として登場。時代の進歩とともにIPベースでのコントロールにも対応し、現在でも顧客の要望に応えてKSCでコントロールできる機器は着実に増えている。 テキストで説明をするとだとシンプルだが、外部制御を受け付ける機器であればKSCを使うことですべてを一括でコントロールできるということだ。映像のルーターでも、音声信号の切り替えも、Cueランプや、トークバックなどもすべてを一括で制御できるまさに夢の製品。複数の製品を1つのボタンで一括制御させることができるようになっている。これらの機能はハードウェアのボタンにアサインし利用することができるようになっており、KSC用のパネルはBFEのオリジナル製品だ。 📷何でも切り替えられるKSC、物理パネルの種類も多彩だ。写真はSWRで導入されていた実際の製品で、ラックマウントタイプのものから単体で動作するものまで様々なラインナップを持つ。KVMの切り替え、回線の切り替え、エマージェンシー時のサブシステムへの切り替えなど、何でも一つのパネル上で行うことができる。 ZDFのシステムを構築するにあたり、伴って生じるさまざまな接続や制御の問題点をこのソフトウェアで解決してきている。まさに、現場の要望から生まれたソリューションである。このKSCシステムをZDF専用のカスタム製品として終わらせるのではなく、汎用性を持たせて次のビジネスに繋げているのがBFEの着眼点の優れたところ。放送局、ポストプロダクションに向けてシステムの開発が行われたものではあるが、IPベースでのコントロールを受け付ける製品なら何でもということで、G&DやIHSEのKVMの制御も可能としている。これと音声映像のルーティングの切り替えを総合的にコントロールすることで、街中にある監視カメラの映像を日々確認するマインツ警察などにも導入実績があるそうだ。ほかにもフランクフルト空港の案内表示板の制御など、放送とは全く関係のない分野での導入も進んでいるということだ。複数のメーカーの製品を一括でコントロールしたい。そんな要望のあるところにはこのKSC Systemが導入される可能性がある。ゼロからカスタム設計で作るよりもコスト的にもメリットが高く、既存ルーターやKVMを使い回すことができるこのKSC System。日本国内の放送局にとっても救世主となりうる存在なのではないだろうか。 理想にフィットするワンオフ製品 📷広々とした加工場。木工、金属加工の組み立てと、必要なものは何でも作れる設備が揃っている。左下は組み立て中の製品で、このフレームにテレビ・モニターが設置され床おきのモニタースタンドとなるそうだ。 BFEの成長を支えるKSCシステム。それ以外にも顧客の要望に合わせて、家具などの製作も行っている。スタジオ家具は汎用の製品ではなく機器類を実装したりと特別な要望が多い。これに確実に応えるため、BFEでは自社内ですべて手作りで家具を生産している。顧客の要望を自分たちで隅から隅まで形にする。そのような理想的な環境を構築しているわけだ。実際のところ、BFEの工場にはシステムインテグレーターの拠点とは思えない工作機械がずらりと並んでいる。このモノづくりという分野も拡大を続けており、中継車の設計改造やセットアップなども手掛けるようになっているということだ。顧客の理想を形にする仕事。まさにシステムインテグレーターにおけるひとつの究極であると感じた。 日本国内でこれらの仕事は、専門分野を含んでいるということもあって複数の会社で分業するケースが多い。BFEはどれくらいの規模の会社なのかを聞いてみると、150名程度だという。工場で自社製品であるコントロールパネルを製造しているスタッフ、木工加工をして家具を作るスタッフ、そういった人数を合わせての150名である。この人員規模で全国ネットの放送局ZDFを筆頭にさまざまな分野へ進出し、その納入を一手に担っているのは効率的なオペレーションの成せる技と言えそうだ。 また、社内をぐるりと案内いただいたのだが、エントランスのすぐ脇には広い社員食堂があり、ここでさまざまな仕事を行う社員同士がコミュニケーションを行い、業務をスムーズに進めているということ、スタッフ間のコミュニケーションを何よりも大切にしているということがうかがえる一幕である。このコミュニケーションを大切にする文化はBFEに限ったことではなく、ヨーロッパ最大の放送機器展示会であるIBCの会場を歩いていても感じるところ。機材の展示よりもカフェスペースや飲食の提供などを行い、人と人との関係があった上で機器の販売やサービスを提供するというビジネススタイルが根付いていることが感じられる。 ニーズを叶える工場セクション 少し脱線してしまったが、BFEのバックボーンとなる工場についてを見ていきたい。最初に見せてもらったのが、KSCシステムのコントロールパネルを製造する部門。パーツごとにある程度アッセンブリされたモジュールを手作業で一つ一つ組み立て、動作チェックを行い、梱包する。その一連の作業を手際よく行っていた。日本国内でも共通となるが、多品種小ロット生産の現場においては、どこも同じように一人のスタッフが一貫して生産を行っており高い技術力を持つ職人の世界を見ることができる。 次に木工加工場。大型の工作機械が並び、切り出しから加工、整形、仕上げまでを一貫で行う設備が整っていた。KSCシステムにより成長を遂げた会社という説明からだと、IT関連のソフトウェア企業のようなイメージを受けるかもしれないが、このようなモノづくりの現場を併せ持っているというところが非常に興味深い。この木工加工場の隣には金属加工場もある。プレスやカッター旋盤とほとんどの大型工作機械が揃っている。アルミであればほとんどの製品がここだけで作れるという規模だ。金属加工でフレームを作り、木工加工で机などの天板を作る。ユーザーのニーズに合わせてどのようなものでも作ってしまえる工場が社内にある。これは、クライアントのさまざまな要望に対して提案を行う立場のシステムインテグレーターとしては頼もしい限りである。よほどのものでない限りスタジオに収まる家具類はここで作ることができるだろう。 続いてキッティングのスペース。システムインテグレーターということで、事前にシステムを組み上げての動作検証やテスト運用などを行う。その場所も工場の一角にしっかりと設けられている。広い工場の一角ということもあり、十分に余裕のあるスペースが取られているのが本当に羨ましい。広い空間で余裕を持って事前の組立作業などが行われている。その先では中継車の組み上げが行われていた。もちろん車体は別の所で作ってくるということだが、車に積まれる機器の組み込み、設定、調整はBFEが行っている。見せていただいたタイミングでは、編集室が3室と簡易ナレーションブースが2室というかなり大型の車が作られていた。車体以外の中身はすべてBFEで作っているということだ。機器類だけでなく、家具類まで作れる強みがまさにここでも感じられる。限られたスペース、提携のものでは収まらない場所への特注家具の製作、そこで使われる機器類システムの設計、キッティング、もちろんKSCシステムを使った総合的な制御システムと、ワンストップでシステムの構築が行われている。 📷車庫で組み立てられていたのがこちらの中継車。中継車と言っても移動編集室である。この中に3部屋の編集室と、2部屋のナレーションブースが設置される。もちろんここでもKSCによるシステムの切り替え、画面の切り替えなどが行えるシステムが導入されている。車内にはサーバーラックもあり、インジェスト、編集用のストレージも社内で完結するシステムアップとなっていた。 BFE本社の向かいは広大な緑が拡がっており、その向こうにはZDFの巨大な建物が見える。立地としては街外れということになるが、十分な広さを持った工場を作るにはこの場所が良かったのだろう。今回お話を伺ったCEOも、本社に併設されている工場こそがBFEの発展に大きな意味を持っていると語っていた。システムインテグレーターの会社を立ち上げた人物ということもあり、モノを作ることが本当に好きなのだろう。当初は予想もしていない分野へも導入が進んでいるKSCシステムを軸として、ユーザーのニーズに確実な回答を提供する工場の存在。インテグレーターという事業におけるひとつの理想形がここにあった。   *ProceedMagazine2023-2024号より転載
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2024/01/09

SWR @Mainz / ドイツ公共放送局で進むオートメーションフロー

SWR=Südwestrundfunkをそのまま日本語に訳すと南西ドイツ放送局、ドイツ国内で第1ドイツテレビとして全国ネットを構成するドイツ公共放送連盟(ARD)の系列局の一つとなる公共放送局である。シュトゥットガルトに本局を構える放送局だが、今回取材にお伺いしたマインツ、そしてバーデン=バーデンにも放送局を構える。これは、SDR(本部シュトゥットガルト)とSWR(本部バーデン=バーデン)が統合され、現在のSWRとなったためである。番組自体は、シュトゥットガルト、バーデン=バーデン、マインツの3拠点からの放送が行われ、それぞれの拠点間は複数の回線で結ばれている。今回は旧SWR時代より放送エリアの北部地域の中心とされていた規模を持つ放送局であるマインツへ赴き、ドイツの公共放送局SWRのスタジオ設備を拝見した。 ドイツにおける公共放送 ドイツの公共放送は、日本におけるNHKのように受信料を各世帯から徴収しその運営を行っている。日本との大きな違いは、その公共放送局が複数存在するという部分と、少ないながらもCMの放送があり放送局として1割程度の収入を広告収入から得ているという部分である。ドイツでは放送受信料の支払いは義務である。そのため、テレビ所有の有無に関わらず世帯ごとの受信料の徴収が行われ、その受信料は予め決められた割合により各放送局へ分配されることとなっている。 今回取材を行ったSWRはドイツの第1チャンネルにあたるADRを構成する9局の一つ。各地方ごとに設けられた9つの放送局は、共同で第1チャンネルARDの放送と、各局独自の地域放送を行っている。第1チャンネルといっても実際には共同で総合、娯楽、教育、ニュースと4つのチャンネルを運営。それ以外に地域向けのチャンネルと第2チャンネルであるZDFとの共同運営チャンネルの制作を行っている。これらのチャンネルはそれぞれ幹事局があり、SWRはZDFとの共同チャンネルとなるARTE(文化・教養)チャンネルの幹事局となっている。それ以外にも地域のラジオ放送も行っており、SWRであれば10チャンネル(内FM6波)のラジオ放送を行っている。ARDを構成する中の1局とはいえ、かなりの規模の放送局であることがおわかりいただけるのではないだろうか?キー局とまではいかないまでも、それに準ずる規模の放送局となる。 余談ではあるが、ドイツの放送局はABCモデルと呼ばれる大改革の途上である。インターネットの普及に伴う視聴環境の変化、公共放送のあり方、IT化による予算削減などの課題に取り組んでいる。現状で公共放送としてテレビ20チャンネル、ラジオ70チャンネル以上が提供されているが、これは法律で放送が義務付けられており、各放送局は予算が足りなくなったとしても放送を行う義務を持っているということでもある。これをインターネットを伝送路とした放送など柔軟な対応を進め、時代にあったメディアとしての情報発信、公共放送のあり方が模索されているところである。やはりどれだけインターネットなど情報ソースが増えたとしても、公共放送の持つ客観性、公平性、正確性など、プロのマスメディアとしての意義、存在価値は残るものと考えている。ただし、従来どおりの量が必要かどうかというところは世界中で議論が行われているところではないだろうか。 高度に自動化されたスタジオ それでは、SWRマインツ放送局のスタジオを紹介していこう。このスタジオは、LEDパネルによる背景を備え、高度に自動化が行われた最新のスタジオであるということだ。照明機器はすべてリモートコントロール可能。天井のレール(バトンではない!)上を自在に動き回り、パンタグラフアームの先の照明は、上下、首振りなどがすべてモータライズされ遠隔操作が可能となっている。それらはプリセットが組まれており、演者の立ち位置に合わせてプリセットを呼び出すだけの仕組み。スタジオの床には細かくバミリがなされ、例えば20番の立ち位置であれば照明プリセットの20番を呼び出す、といったように新しいオペレーターが入ったとしてもすぐに使えるように工夫されている。カメラも手動オペレートの物が大半ではあるが、壁面にはこれらのプリセットに合わせて動作するPTZも準備されていた。 高度に自動化されているため、スタジオに入るスタッフの人数は最小限。番組の規模次第でコントロールルーム側の人数も変わってくるが、4〜5名で行うことが多いとのこと。スイッチング、場面転換が多い番組の場合には、2つ目の調整室も併用しデュアルオペレートでの運用が行われているということだ。スイッチャー、テロッパー、VE、照明が最低限必要なスタッフとなり、それに運用スタッフがいれば最低限のオンエアはできるようになっているということ。これらもオペレーションが定型化されれば、プリセットチェンジなどで自動化していくのが現在の流れだということだ。 KSCで集中制御するシステム 📷メインスタジオの副調整室(サブ・コントロールルーム)。映像と音声は壁で仕切られ、別の部屋になっている。ビデオ・スイッチャーはSONYが採用され、インカムはREIDEL。写真の前列には、スイッチャーとテロッパー。写真の外、後列にVE席が用意されていた。すべてのシステム切り替えはBFE製のKSCシステムが採用されている。このシステムでオーディオ、ビデオすべてのルーティング、非常用のシステムへの切り替えが行われている。 別記事でも紹介しているBFE社のKSCシステムがここでも使われており、モニター表示の切り替えなどに使われている。このシステムであれば、照明、カメラ、VEスイッチなどを総合的に制御できる。メインのビデオスイッチャーであるSONY製品が不具合となった場合には、このKSCがバックアップシステムとしてビデオルータを直接制御するシステムアップが組まれていた。ビデオスイッチャー自体を二重化するといった大規模な仕組みではなく、ビデオ回線のルーティングを行っているMiranda社のビデオルーターをKSCで制御するということである。このビデオルーターをスイッチャーのごとく使ってしまおうという発想だ。オーディオも、ビデオも、すべてが一度ルーターに入っているのがシステムアップにおけるポイント。外部制御可能なルーターにさえ一度入れてしまえばKSCで制御可能である。 オーディオに関してはLawoのコンソールが導入されていたが、その前段にはStagetech Nexusエンジンがシグナルルーターとして導入されている。この二段構えのシステムをKSCシステムでの制御と組み合わせて障害回避するシステムアップとなっている。また、5.1chのスピーカーが準備されていたが、残念ながらそれほど制作の機会は無いようである。これは、日本と同じくサラウンド制作の番組が少なくなっているということでもある。発想はシンプルに、コストを絞りつつ十分な機能を持たせることを実現しているように感じられた。 📷音声副調整室のコンソールにはLawoがインストールされていた。メインスピーカーはGenelecで5.1chの構成だ。マシンルームにはStagetec NEXUSエンジンが導入されている。これがLawoの手前にインストールされており、システム全体のオーディオルーターとして導入されている。LawoがNGとなった際には、手前のNEXUSでルーティングを切り替えるという仕組みだ。 最小人数で運営されるバーチャルスタジオ 📷フルオートメーションのカメラ、照明のシステムが導入されたバーチャルスタジオ。SWRマインツ放送局では、この部屋から毎日3回15分枠のニュースが放送されているということだ。完全グリーンバックでそこにスタジオがデジタル合成される。3台のカメラは位置の移動も含めすべてが自動化されている。隣の映像サブでは、合成結果を確認しながらスイッチングが行えるようになっている。 もう一つのスタジオも見せていただいたのだが、こちらはデイリーのニュース専用のスタジオとなっている。グリーンバックでの合成を使ったバーチャルスタジオとなり、先に見せていただいたスタジオよりもさらに自動化が進められていた。カメラが特徴的で、メインとなる3台のカメラはすべてプログラムにより自動化されている。レールの上を左右に移動するもの、天井から吊るされ上下するものと、カメラマンがいなくとも稼働できるセットとなっている。もちろん、何かのときのために1台は手動で動かせるものが準備されていたが、普段は使っていないということだ。照明もすべてリモートで調整できるものとなっており、今でもバトンをおろして照明の調整を行っている日本との差を痛感するところである。 この自動化が進められた結果、スタジオ内のスタッフは基本1名(!)、ニュースキャスターも1名ということもありスタジオ内は2名しかいない、ということになる。そのスタッフ1名となるVEがスタジオ外周部のスペースに座り、基本的にはカメラの映像を調整しているということだ。バーチャルスタジオということで、その後はデジタル合成処理が行われ映像が作られる。音声も基本的には1人配置されることになっているということ。やはりサブで放送をするスタッフは、監視という目的もあり人は減らせないようだ。自動化が進んだとしても最後まで人間がその役割を担う部分もあるということだ。 このサブは作りが少し変わっていて、ビデオとオーディオが反対を向いてセッティングされている。その前に見せていただいた部屋は、オーディオが別の部屋となっていたが、ここでは同室でそれぞれ別の向きに座るような形。やはりニュースということで即座にコミュニケーションが取れるように同室であることの方が、プライオリティーが高位という判断で同室としたそうだ。その中でもそれぞれが独立した作業を行うということを考えると、この並びはひとつの答えなのかもしれない。 DJデスクに埋め込まれたフェーダー 📷ブースのデスクに用意されたフェーダーを使い、DJがまさにワンマンオペレートでプログラムを進行させている。 次はラジオスタジオ。ここでは放送の手法という部分で日本国内との差を痛感した。先にも述べたようにSWRは10チャンネル(内FM6波)のラジオ放送を行っている。これはすごいボリュームである。3つの拠点があると言えど、このマインツで3チャンネル程度は受け持たないとチャンネル数との整合性が取れない。見せていただいた建屋には4つのラジオスタジオがあった。それぞれブースの大小はあるもののほとんどが同じ作りとなっている。 そこで伺った制作スタイルが驚きの連続であった。サブには基本的に2名。エンジニアとプロデューサーが入り、ブースにDJが入る。ゲストがいなければ、基本的にはこの3名でオンエアを行っているということだ。ここまででも限界まで省力化していることが窺える。ブースに入ると、DJデスクにフェーダーが埋め込まれている。なんとSWRでは、DJが曲の再生、ボリュームの調整などを喋りながら1人で行っているということだ。曲の再生に関しては予めスタンバイさせておき、フェーダースタートでの再生ができるようになっているということ。ゲストがいた場合には、それぞれのマイクがDJの手元のフェーダーに立ち上がるようになっていて、バランスが取れるようになっているということだ。サブに控えるエンジニアはトータルのバランスの調整というよりは、ほとんど監視に近いような業務になっているという。 サブに置かれたコンソールのフェーダー部分はパラでDJのデスク上にも置かれ、どちらからでもコントロールできるようなセッティングになっているということ。ブース側に再生機器なども置かれ、DJが手元で操作できるようになっている。もちろんサブ側にも置かれているが、基本はすべてDJが行っているということ。DJが自分のマイクのボリュームを手元で調整できるため、日本でよく見られるカフボックスは無い。また、デスクはすべて昇降式になっていて、SWRのDJの多くが椅子に座らず、立ってオンエアに臨んでいるということだ。実際にオンエアしている部屋もあったのだが、お話の通りで立って手元のフェーダーを操作しながらオンエアを行っていた。この昇降式のデスクはBFEによるカスタムの製品だということ。さまざまな違いに驚かされることばかりのラジオスタジオ。サブの方は日本のラジオ局とは大きな差を感じることはなかったのだが、ブースに入ってからそのオンエアのワークフローに驚きの連続であった。 📷コントロールルームにもミキサーはあるが、ここではほとんどフェーダーを触らないとのこと。 SWRの心臓部は 他にも、インジェストルームを見せていただいたのだが、各地から送られてくる映像はすべてインジェストされ、ファイルベースで管理されているということ。カメラで収録されてきたもの、バーデン=バーデンなど別の拠点からの映像、それらはすべてここでインジェストされサーバーに保存されている。インジェストルームには、博物館レベルのVTRも含め、ありとあらゆるデッキがずらりと並んでいたのが印象に残っている。公共放送ということもあり、どのような素材が必要になったとしても、現行のワークフローに組み込むことができる準備が行われている。現在は、基本的にXDCAMもしくはSxSが主流。それ以外にLiveUなどのインターネット回線越しに送られてくるものもあるということ。ここでも、BFEのKSCシステムが、信号回線のルーティングを一括で制御するコントロールパネルとして活躍していた。 📷文中にもあるインジェスト用のデスク。これと同様の仕様のデスクが6台用意されている。 また、6卓準備されているインジェスト用のデスクはすべてが昇降式。長時間の作業の多いインジェストのスタッフの負担を軽減するために、好きな体勢で作業ができるよう工夫がされていた。なお、ここでインジェストされたものは別の建屋にあるポストプロダクションへ送られ、そこで編集が行われるということ。60式のAdobe Premierが使われているということだ。オーディオ・ポストに関しては2部屋のMAルームがAvid Pro Toolsで運用されていて、来年にはAvid S6への更新が予定されているという。 最後にメンテナンスルームを紹介したい。常駐のメンテナンススタッフが常駐するこの部屋は、SWRの心臓部であると紹介された。マスターではなく、なぜここが心臓なのかというと、シュトゥットガルト、バーデン=バーデン、そのほか各支局との回線の監視機能を持っているからである。IPベースでの伝送により繋がっている各地との回線。それをこのメンテナンスルームで常に監視し不具合のチェックを行っている。レイテンシー、パケットエラーといった基本的なところを常に監視しているスタッフが居るということは、運用を行う側にとっては心強い限りということだ。機器不具合のメンテナンスとともに、バックボーンのメンテナンスも行っているというイメージだろうか。IPベースでの伝送が導入されることにより、常時監視を行うことが容易になる。これにより業務としては項目が増えるが、不具合を未然に防ぐということに繋がっていると感じる。 筆者にとっては初めてとなる、海外での放送局の実際を見る機会であった。日本と使用している機器に大きな違いは感じられなかったが、そのシステムアップや運用方法、省力化、自動化への取り組みなどさまざまな部分で大きな違いを感じることとなった。ここドイツでも公共放送のあり方が議論されている中、様々な努力が行われているということを肌で感じることができた。世界一合理主義な国民性と言われるドイツ。我々も見習う部分が多くあるのではないだろうか。   *ProceedMagazine2023-2024号より転載
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2024/01/04

Fraunhofer IIS@Erlangen / MPEG-Hを生み出した世界最大の音響研究所

これまでにもその情報を発信してきたMPEG-H。次世代音声コーデックとしてドイツのFraunhoferが開発したこの規格、イマーシブ、インタラクティブといった次世代のエンタテインメントを担う規格となっている。今回はその開発元であるドイツ・ニュルンベルグ郊外のエルランゲンにあるFraunhofer IISを訪問し、色々とその実際を見せていただいた。改めてMPEG-Hの現在地と、その制作環境、さらにはその次のステップまで踏み込んだ情報をお届けしていきたい。 イマーシブ、インタラクティブ 📷SONY 360 Reality Audioではマスターファイルの器としてMPEG-Hを用いている。 それでは改めてMPEG-Hをおさらいしておこう。MPEG-Hは、Fraunhofer IISが次世代の音声コーデックとして発表した規格。イマーシブへの対応はもちろんだが、インタラクティブ音声への対応という点が他のコーデックとの最大の差別化ポイントではないだろうか。 まずは、イマーシブという部分を見ていきたい。一番身近なMPEG-Hとして挙げられるのははSONY 360 Reality Audioではないだろうか、フルオブジェクトの制作環境を持つこのフォーマット。各オブジェクトが持つメタデータを含んだ配信用のマスターファイルの器としてMPEG-Hが採用されている。非圧縮のオブジェクトメタデータを含むオーディオコーデックといえばADM BWFファイルがあるが、圧縮でメタデータを持つオーディオコーデックとなるとMPEG-Hがその筆頭となる。 MPEG-Hが持つもうひとつの特徴であるインタラクティブに関しては、放送分野での活用が期待されている。実際の事例として、すでに韓国、ブラジルにおいてはMPEG-Hが地上波放送の次世代コーデックとして採用され、韓国では4K地上波の次世代放送規格として平昌冬季オリンピックのタイミングから、また、ブラジルではリオデジャネイロ夏季オリンピックのタイミングから実運用が始まっている。 📷IBC 2023でソフトウェアベースでのリアルタイムエンコーダーを展開するSalsa Soundのブース。 そこでは最大15chのオーディオを伝送することができるMPEG-H(Level 3)が採用され、視聴者がリモコンでナレーションのレベルを上げ下げしたり、放送局側が用意する複数のプリセットされたバランスで音声を聴くことができるインタラクティブオーディオを実現している。スポーツ中継を例にとれば、解説の有無や応援席のレベルを中心にしたプリセットなどを選択できる。伝送できる15chのオーディオの組み合わせは自由で、5.1chのサラウンド放送にレベル調整を行いたい個別のトラックを加えてインタラクティブ性を持たせる、といったことが可能だ。もちろん、イマーシブ音声やオブジェクトオーディオを放送することもできる。 日本国内における次世代放送規格 現在、日本でも次世代放送規格に関しての議論が積極的に行われており、総務省から2023年7月に「放送システムに関する技術的条件」として、次世代地上波放送の概要が示されている。高度地上デジタルテレビジョン放送方式として、放送電波へのデジタル符号情報の伝送方式に始まり、映像の圧縮形式などとともに音声に関しても概要が示されている。入力フォーマットとしては「22.2マルチチャンネル音響に対応」とあり、現在運用されている4K / 8K衛星放送と同様のフォーマットが踏襲される。 それに加え、オブジェクトベース音響への対応も明記されているのが新しいところ。音声の符号化方式としては本記事で取り上げているMPEG-Hとともに、AC-4が併記されている。AC-4とはDolbyが提唱している次世代コーデックであり、実運用をスタートしている世界各国ではMPEG-HかAC-4かのどちらか一方を採用するケースが多いが、日本では両方式が採用されるという方向だ。なお、それぞれ準拠する規格はMPEG-H : ISO/IEC 23008-3、AC-4 : ETSI TS 103 190-2である。また、ペーパーに示された入力チャンネルは56ch。このチャンネル数はMPEG-H Level 4で規定された最大チャンネル数である。現在運用されているMPEG-H Level 3は16chとなるため、そこからするとかなりの増加と言える。これは、22.2ch放送時にも差し替え音声によるインタラクティブ放送を行うことができるチャンネル数を考慮したためとされている。 総務省HP「放送システムに関する技術的条件」 次世代放送では、放送自体の効率化により伝送可能なデータレートの向上が目論まれている。具体的には現在の地デジの16.85Mbpsから、22.25Mbpsへの向上となる予定だ。映像圧縮に関してはH.266(VVC)の採用。これは、現在一般的なH.264の二世代後継の圧縮技術である。音声も同様に現在のMPEG-2 AACからの圧縮技術の進歩もあり、さらに多くのチャンネル伝送を実現するものとされている。一例とはなるが、SONY 360 Reality AudioのMPEG-H伝送では、24chを1.5Mbpsで伝送している。この高効率な圧縮という部分に関しては、MPEG-HもAC-4もコーデックは違えど同様と言える。両者ともに、オブジェクトオーディオを扱うことができるというところも同様だ。両規格とも国際規格として規定されており、どのように両規格を使い分けていくかという議論が今後行われていくだろう。 執筆時点では、明確に次世代放送への移行タイムラインが提示されているわけではない。だが、他国ではすでに順次移行を開始していることを考えると、それほど遠くない未来に移行が開始されることは間違いない。着実に日本国内でも次世代の地上波デジタル放送の規格整備が進行している。すでに海外では放送がスタートしている事例も数多くある。技術の進歩はとどまることは無い、徐々に次世代の規格として採用されることとなっているこれらを知り、触れておくことは重要となる。 MPEG-Hをどう作るのか AC-4に関しては、乱暴な言い方をしてしまえばDoby Atmosである。一方MPEG-Hに関しては、まだまだ国内では未知のものとして捉えられることが多いのではないだろうか。しかし、MPEG-Hが用いられていくという流れはすでに大きな流れとしてあり、Pro Tools 2023.6でインストーラーが統合されたりと具体的な形で制作環境が整い始めている。 放送におけるMPEG-Hには2つの制作パターンがある。一つはBroadcast、生放送でのMPEG-Hである。NABやIBCのレポートでもお伝えしてきているが、ハードウェアでのリアルタイムエンコーダーが各社より登場している。SDI信号にエンベデッドされた音声に対してメタデータを付加するという動作により、リアルタイムエンコードを行うこれらの機器は、すでに実際の運用に供されている。現状ではSDI信号に対してのエンコードを行う製品となり、MPEG-H Level 3の16ch仕様となっている。IBC 2023では、ソフトウェアベースでのリアルタイムエンコーダーであるSalsa Soundも登場し、その選択肢が着実に増えている。 📷Fraunhoferからリリースされている制作向けのMPEG-Hエンコーダーはさまざまなユーティリティーが提供されている。Mac OS、Windowsともに対応となり、ほとんどのワークフローにおいて不足することは無いだろう。 一方、制作向けのMPEG-Hエンコーダーは、Fraunhoferからリリースされている純正ソフトのみというのが現状である。とはいえ、やり直しが効く制作環境ということを考えれば、この純正のエンコードソフトで必要十分であることは間違いない。イマーシブオーディオにも、インタラクティブオーディオにもしっかりと対応している。Fraunhoferからはさまざまなユーティリティーが提供されており、マスターファイル視聴用のMPEG-H VVPlayer、Video FileにMPEG-Hを畳み込むためのMPEG-H Encording and Muxing Tool、メタデータ修正用のMPEG-H Info Toolなどの製品も同梱されているため、ほとんどのワークフローにおいて不足することは無いだろう。すでにMac OS、Windowsともに対応している。 イマーシブオーディオ制作においては、MPEG-H Authoring Plug-inというソフトウェアが、DAWのプラグイン(AAXおよびVST3)として提供されている。3Dパンニングを行うことができるこのソフトからファイルをExportすることで、3Dメタデータを持ったMPEG-Hのオーディオデータが作成できる。22.2chのパンニング、7.1.4chへの対応、フルオブジェクトとしてのファイル書き出しが可能と、次世代の放送用オーディオへの対応をしっかりと済ませている。 科学技術を世の中で使えるようにする このMPEG-Hの開発元であるFraunhofer IISへの訪問を実現したのでその模様をお伝えしたい。Fraunhofer IISは、欧州最大の研究機関であるFraunhoferの一部門となるIIS=Institute for Integrated Circuits、日本語にすると集積回路研究所だ。Fraunhoferの75拠点ある研究所の一つであり、MP3の生みの親として世界中に知られる研究所である。Fraunhoferは応用研究をテーマとし、科学技術をどのように世の中で使えるようにするか、ということを民間企業からの委託研究として行っている。実際にFraunhoferの研究予算の7割は民間企業からの委託研究費で賄われているそうだ。 今回訪問したFraunhofer IISは、ドイツの南部バイエルン州第2の都市であるニュルンベルグの隣町、エルランゲンにある。ニュルンベルグは中世の城壁に囲まれた美しい旧市街をもつ伝統ある都市。IISがあるエルランゲンは大学都市であり、1700年代にその起源を遡ることができる伝統あるドイツ12大学のひとつ、エルランゲン大学がある街だ。また、第二次世界大戦後のドイツを代表する電機メーカー、シーメンスが移転してきたことで発展を遂げた街でもある。 このFraunhofer IISの研究の大きな指針のひとつが「オーディオ・メディア技術」。集積回路研究所という名前からもわかるように、デジタル技術の発展とともに符号化の技術を研究し、それがMP3へと繋がっている。その後もAAC、HE-ACC、xHE-ACC、MPEG-Hと各世代を代表するコーデックを開発してきている。現代の携帯デバイスになくてはならない技術となっている高度な圧縮技術。そして、エンタテインメントを支えてきた技術とも言えるだろう。その現在進行系の技術がMPEG-Hである。なお、すでに次世代の技術である「MPEG-I」も姿を現し始めている。 全フォーマットを正確に再現する研究スタジオ 📷大量のスピーカーが設置された試聴室。30°、45°、60°など各フォーマットに合わせた正確な位置に設置が行われ、Dolby Atmos / Auro 3D / SONY 360RA / NHK22.2などの正確なモニターが可能だ。水平、上層に2つの巨大なリングを設置し、そこにスピーカーを設置することで完全な等距離での設置を実現している。 研究所に到着してまず案内されたのが、研究のために使われているというスタジオ。Dolby Atmos、Auro 3D、NHK 22.2chといった現在規格化されているすべてのフォーマットのスピーカー配置を正確に再現し、MPEG-Hでコーディングした際の聴こえ方などを検証している。ここでのさまざまな実験をスムーズに行えるように、カスタムで作ったなんと6000ch超のルーティングが可能なモニターコントロールボックスでシグナルルーティングを行っているそうだ。 そして、スピーカーはすべて銘機「Musikelectronic Geithain / RL904」で揃えられているあたりがドイツらしい。Musikはご存知の通り旧東ドイツ、ライプツィヒで誕生したメーカーだ。その多数のスピーカーを正確な位置に設置するために、巨大な円形のトラスが吊るされている。このトラスだけで1トンを超えているということ。様々な実験を正確に行うために防音もしっかりとなされ、2メートル近い遮音層が確保されているということだ。遮音よりも響きを重視しがちな欧州のスタジオとは一線を画す、研究所らしいスタジオである。 ここではMPEG-Hでコーディングされた様々なイマーシブ・フォーマットの音源を聴かせていただいた。特定のフォーマットを持たないMPEG-H、器としての柔軟性、多様性を改めて実感した次第である。続いて、インタラクティブ・オーディオのデモとして、スポーツ素材でのダイアログの上げ下げ、ナレーションをオフにしてスタンドの観客音声のみ、などを切り替えられる様子を見せていただいた。また、音楽ライブの素材ではステレオ素材とイマーシブ素材の聴き比べ。これもMPEG-Hであればひとつのパッケージに同時に入れておくことができる。最高の環境でMPEG-Hの多様な可能性を体験することができた。 最終アウトプットまで担保する研究設備 📷シアタールーム。この部屋も現在運用されているすべてのフォーマットに対応するために、大量のスピーカーが設置されている。 また、リビングルームを模した視聴室もご案内いただいた。ここには様々な民生の再生機器が揃えられ、それらの動作のチェックや聴こえ方のチェックなどが行われているということだ。もちろんではあるが、制作向けの技術提供だけではなく再生機器を作るメーカーに対しても同様に技術協力を行っているFraunhofer。これまでも数多くのスタンダード(規格)を作ってきた研究所である。しっかりと最終の出口まで担保して、実際のユーザーの経験に対してもコミットしているということが感じ取れた。 そして、別のフロアには映画館規模のシアタールームがある。ここでは、さまざまなCinema向けのオーディオフォーマットの視聴体験が可能であり、それらの違いについてなどの研究が行えるようになっていた。筆者もここまでのマルチフォーマットのシアタールームは初めてである。ほとんど見ることのない、Aruo 3DやDTS-Xに対応したスピーカーの設置は新鮮であった。符号化技術の研究開発と言ってもやはり聴感としての確認は重要なファクターであり、様々なフォーマットを実際に試せる(聴ける)設備を持っているFraunhoferが「世界最大の音響研究所」と呼ばれるのもよくわかる。様々な環境やケースにおいてどのように音が聴かれているのか?想定されるほぼすべての体験が行える施設がここには揃っていた。 最後に、MPEG-Hはまさにいま羽ばたこうとしているところだが、その次はどのような進化を考えているのか?というお話を聞いてみた。すでにご存知かもしれないが、Fraunhoferでは「MPEG-I」というもう一世代先の技術開発をすでに終わらせている。イマーシブとインタラクティブの次として、AR / MR向けの技術を映像コーデックとともに開発をしているということだ。イマーシブであることは当たり前で、さらにインタラクティブ性を高めると考えるとやはりAR / MRに行き着くのであろう。プロセッサーの処理能力など現時点では課題も多いが、さらなる体験をユーザーに与えるための技術が形になりつつある。ベースとなる要素技術は揃ってきているので、それらをどのようにユーザーが使いやすいように形にしていくのか?ユーザーの端末の処理負荷を軽減するためにはどうしたら良いのか?具体的な課題解決に取り掛かっているそうだ。Fraunhoferの考える次世代のエンターテインメントは、パーソナルに楽しめるAR / MRということのようだ。これはキーワードとして覚えておいて損はない、いまからでもそれらの情報に対してアンテナを張っておいたほうが良いというサジェスチョンであるように感じられる。 📷(左)リビングルームを模した試聴室。サウンドバーなど民生の製品がずらりと揃う。(右)研究用の小規模な試聴室。この部屋も左ページの部屋と同様にマルチフォーマット対応の視聴環境となっている。 筆者にとっては念願とも言えるFraunhofer IISの訪問。MP3を代表に世界を変えたテクノロジーの震源地。3度の増築によりどんどん拡大を続けているこの大きな研究所で、オーディオ分野だけでも300名以上が働いているという。最先端となるMPEG-I、そしてその次の技術、そこから派生するテクノロジーもあるだろう。科学技術を実用に変えていくFraunhoferからは目が離せない。   *ProceedMagazine2023-2024号より転載
Media
2024/01/02

株式会社Cygames 大阪サウンドフォーリースタジオ様 / 正解は持たずにのぞむ、フォーリーの醍醐味を実現する自社スタジオ

「最高のコンテンツを作る会社」をビジョンに掲げ、妥協のないコンテンツ制作に取り組む株式会社Cygames。ProceedMagazine 2022-2023号では大阪エディットルームの事例として、Dolby Atmos 7.1.4chに対応した可変レイアウトとなるスタジオ2部屋が開設された様子をご紹介したが、それとタイミングを同じくしてフォーリースタジオも大阪に設けられた。ここではそのフォーリースタジオについてレポートしていきたい。 同時期に3タイプのスタジオ開設を進める Cygamesでは、スマートフォン向けのゲームタイトルだけではなく、コンシューマー系のタイトル開発にも力を入れている。近年のゲームはプラットフォームを問わず映像や音の表現が飛躍的に向上しており、フォトリアルで写実的な映像に合わせたサウンドを作る場面が増えてきた。効果音の制作については、それまでは外部のフォーリースタジオを借りて作業を行っていたが、効率性を考えれば時間や手間が掛かってしまうという制約があった。また、ゲーム作品では、例えばキャラクターの足音一つとっても多くの動作音があるだけでなく、ファンタジーの世界特有の表現が必要である。土、石畳、レンガ等といった様々な素材の音を既存のライブラリから作り上げるのは容易ではなく、完成度を上げていくことは中々に難しい作業だが、フォーリースタジオを使って収録した効果音は、生音ならではの音の良さに加え、ゲームによく馴染む質感の音に仕上がることが多かったという。 やはり自社のスタジオがあればより効率的に時間を使い、かつクオリティを高める試行錯誤も行えるのではないか、という思いを抱いていたところ、Cygamesのコンシューマーゲーム開発の拠点がある大阪でモーションキャプチャースタジオの設立計画が立ち上がったことをきっかけに、建物のスペック等を考慮してフォーリースタジオも同じ場所に設置する形でスタジオ設置に向けて動きだした。以前ご紹介した、MAスタジオの用途を担う大阪エディットルーム開設プロジェクトと合わせると、同時期に2つのサウンドスタジオ開設を進めるという大きなプロジェクトになったそうだ。 制約はアイデアでポジティブに変換する フォーリースタジオを開設するための要件としてまず挙げられるのは部屋の高さと広さ。通常のレコーディングとは異なって物を振り回したりすることも多いフォーリー収録ではマストな条件となる。天井が低ければ物が当たってしまうのではないかという演者の不安とストレスを低減するため、部屋の中央付近の天井を一段高くする工夫が取り入れられている。広さについてもフォーリー収録時の演技をする上で充分なスペースを確保しているが、加えて壁の反射音の影響が強く出てしまわないよう、床やピットを部屋の真ん中に寄せて配置し、壁からの距離が取れるレイアウトを実現できた点も広さを確保できたメリットだ。 また、スタジオ内の壁面にはぐるりと木製のフローリングが敷かれ、そこも材質の一つとして使用できる。中央には大理石やコンクリート、水を貯められるようなピットが用意され多様な収録に対応できる環境が整えられた。一方、スタジオの広さがある故に反響をどのようにマネジメントするのかは大きな課題となっていたようだ。そこで取られた特徴的な対策だが、壁面の反射を積極的に発生させつつルームモードを起こさないように処理した上で、むしろその反響を収録での選択肢として活かせるようにしたそうだ。もちろん、部屋の外周に沿って用意されたカーテンによって反射面を隠し、反響をダンピングして抑えていくこともできる。さらに、日本音響エンジニアリングの柱状拡散体を設置してアコースティックも整えられており、当初は弊害と考えていた反響音を逆に利用することで、収録できる音の幅を拡げている。 施工は幾度と重なる打ち合わせやシミュレーションを経て行われたのだが、それでも予想できない不確定な要素も出てきたそうだ。例えば、このスタジオの特徴でもある天吊りマイク。天井に取り付けられた金属製のパイプに特型のマイクスタンドを引っ掛けて固定する仕様になっているのだが、実際に収録を行うとパイプに響いているのか、音声信号にノイズを感じることが出てきた。イメージ的にはドラムのオーバーヘッドを立てるイメージに近く、ドラムは音量が大きいためそれほど気になりはしないが、フォーリーの収録となると微細なノイズでも大きく感じることが多くなる。試行錯誤した結果、天吊りマイクスタンドを取り付ける際に固定ネジを締めすぎないようにすることでノイズを軽減できることがわかった。そのほかにも、部屋の天井から高周波の金属音が鳴っているようで調査したところ、空調のダクトが共振していることが判明。金属のダンピングを見直して解決したそうだ。細かな調整だが、このような積み重ねこそが収録のクオリティーアップには必要不可欠であるとのことだ。 📷ダンピングが見直されたという天吊りマイクブーム 集中環境とコミュニケーションの両立 スタジオのコンセプトで重要視している要素として、ストレスフリーであることが必要であると考えているそうだ。ブースとコントロールルームのスタッフの間で意思疎通がストレスなく行われなければ作業効率も落ちてしまい、認識の齟齬も起きがちだ。社内スタジオで自由に使える環境とはいえ、クオリティを高めるトライアンドエラーの時間まで削ってしまっては本末転倒になってしまう。 ところが、このスタジオはブースとコントロールルームが完全にセパレートされており、お互いの姿を確認できるようなガラス面も設けられていない。 一見するとコミュニケーションを妨げる要素になりそうだが、ガラス面を設けないことで演者が集中して演技に取り組める環境を整えられたという。演者にとって、人の目線があると気になって集中力の妨げになることもある。外部のスタジオでは収録の様子をクライアントがコントロールルームから見守るといったことも多いが、このスタジオは社内スタッフでの利用が主となるため、必ずしもコントロールルームから演者を直視できる必要はない。ただし、その分だけコミュニケーションを重視したシステムプランが採用された。 スタジオ内にはフォーリー収録用とは別に天吊りマイクが仕込まれており、コントロールルームからスタジオ内の音を聴くことができ、トークバックと両立できるようなコミュニケーションの制御も行なっている。映像カメラも各所に設置されており、コントロールルーム内のディスプレイにスタジオ内の様子が映され、その映像も各ディスプレイに好きなように出せるスイッチャーが設置されており、オペレーターの好みに合わせて配置することが可能となっている。コントロールルームとブースをアイソレーションすることによって演者が集中できる整った環境と、コミュニケーションを円滑にさせるシステムプランをしっかり両立させている格好だ。 正解を持たずに収録する、トライする機材 📷コントロールルームには左ラックにPUEBLO AUDIO/JR2/2+、右ラックに TUBE-TECH/HLT2Aが収められコンソールレスな環境となっている。 このスタジオではスタッフが持ち込みPCで収録することも想定されており、各種DAWに対応できるシステムが必要であった。シンプルかつシームレスにシステムを切り替えられ、コミュニケーションシステムとも両立させる必要がある。それをシステムの中核に Avid MTRXを据えることで柔軟な対応を実現している。また、「収録段階からの音作りがしっかりできるスタジオにしたい」というコンセプトもあり、アウトボード類の種類も豊富に導入された。コンプレッション、EQはデジタル領域よりもアナログ機材の方が音作りの幅が拡がるということだけではなく、その機材がそこにあるということ自体がスタッフのクリエイティビティを刺激する。スタッフが自宅で録るのではなく、「このスタジオで録りたい」という気持ちが起こるような環境を整えたかったそうだ。 そうして導入された機材のひとつが、PUEBLO AUDIO/JR2/2+。フォーリースタジオではごく小さな音を収録することが多く、ローノイズであることが求められる。過去の現場での実績からもこの機種が際立ってローノイズであることがわかっており、早々に導入が決まったようだ。また、ミキサーコンソールが無くアウトボードで補完する必要があったため、TUBE-TECH/HLT2AがEQとして据えられている。HLT2Aは繊細なEQというよりは極端なEQでサウンドを切り替えることもできるそうで、極端にローを上げて重たい表現ができないか、逆にローを切ってエッジの効いた表現はできないか、といった試行錯誤を可能にする。このほか、ヴィンテージ機材ならではのコンプレッション感が必要な場面も増えてきていることから、NEVE 33609Cも追加で導入されている。今後も機材ラインナップは充実されていくことだろう。 はじめからこういう音が録りたいというターゲットはあっても、正解を持たずに収録していくという工程がフォーリーの醍醐味だという。その中で誰でも使いやすい機材を選定するということを念頭に置き、スタッフからのリクエストも盛り込んでこれらの機材にたどり着いたそうだ。 スタジオは生き物、その成長を期待する 📷何よりもチームワークの良さが感じられた収録中の一コマと、気合いが込められた渾身の一撃も収録!! こうして完成をみたスタジオであるが、S/Nも良く満足した録音が行えているそうだ。また、5.1chリスニングが可能となっている点もポイント。開発中のタイトルにコンシューマー作品が多く、サラウンド環境が必要なことに加え、映画のようにセンターの重要度が高いことから、ファントムセンターではなくハードセンターで収録したいという要望に沿ったものだ。また、映像作品やゲーム資料を確認しながらすぐに収録することができるため、フォーリーアーティストに映像作品の音を聴かせてクリエイティブへのモチベーションをアップしてもらいながら制作を進める、という点も狙いの一つだ。もちろん、自社スタジオとなったことで時間を気にせずクオリティの向上を目指せることが大きく、求める方向性をより具体化させて収録できるメリットは計り知れない。 今後について伺うと、スタジオは生き物であり、収録できるサウンドの特徴も次第に変わっていくと考えているそうだ。導入する資材が増えればそれが吸音や反射になって音も変わる。ピットについても使用していく経年変化でサウンドにも違いが出てくる。高域が落ち着いたり、もう少し角が取れてきたりと、年月を積み重ねてどのように音が変わっていくのかがすごく楽しみだと語っていただいた。 📷今回お話を伺った、サウンド本部/マネージャーの丸山 雅之氏(左)、サウンド本部/サウンドデザインチーム 村上 健太氏(中央)、妹尾 拓磨氏(右)。 目の前の制約はアイデアでポジティブに変換する、考え抜かれたからこそ実現できたメリット。そして、それを活かしたフォーリー収録には正解を持たずにのぞむ。ここに共通するのは先入観を捨てるということではないだろうか。先入観を「無」にしたならば、そこにあるのは創るというシンプルかつ純粋な衝動のみである。クリエイティブの本質を言い得たような、まさにプロフェッショナルの思考には感銘を受ける。今後もこのスタジオが重ねた年月は成長となって作品に反映されていくのだろう、フォーリー収録された素材がゲームというフィールドで表現されエンターテインメントを高めていくに違いない。   *ProceedMagazine2023-2024号より転載
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2023/12/29

Avid Media Composer ver.2023.12リリース情報

日本時間 2023年12月13日、Avid Media Composer バージョン2023.12がリリースされました。有効なサブスクリプション・ライセンスおよび年間プラン付永続ライセンス・ユーザーは、AvidLinkまたはMyAvidよりダウンロードして使用することが可能です。 今回は、Media Composer 2023.8でプレビューされたScriptSyncとPhraseFind AIが正式にサポートされます。また、バッチサブクリップ機能は、シーケンスに対してもその機能が適用でき、機能が拡張されました。その他、UME(Universal Media Engine)による取り込みでは、.movやMP4等のインポートが可能になりました。それではMedia Composer 2023.12と2023.8の新機能をあわせて見ていきましょう。 Media Composer 2023.12 新機能 PhaseFind AIとScriptSync AIをフルサポート PhraseFind AIとScriptSync AIはパブリックプレビューを終了し、Media Composer | EnterpriseとMedia Composer|Ultimateでフルサポートされました。 PhaseFind AI機能は、以前から定評のあるダイアログインデックス作成、検索オプションです。単語やフレーズを入力するだけで、関連するクリップを素早く見つけることができます。また自動で文字起こしができ、さらに多言語を検出することもできます。 ScriptSync AIは、ビン内のクリップをインデックスし、クリップの音声データのデータベースを作成し、既存のトランススクリプションにクリップを同期させる機能です。 1つまたは複数のクリップを選択して、右クリック>[クリップからスクリプトを作成]を選択すると、ダイアログを解析してインデックスします。文字起こしが完了すると、選択したクリップが追加されたスクリプトウインドウが自動的に開きます。必要なセリフの行をクリックすると、その場所へジャンプします。 このスクリプト作成は、ローカルシステムで処理され、ネットワークに接続する必要もないため、コンテンツの安全性は保証されます。 文字起こしをエクスポート PhraseFind AIエンジンでクリップから作成したスクリプト(文字)文字をテキストファイルとしてエクスポートすることができます。クリップを選択し、右クリックのメニューから「文字起こしをエクスポート」を選択します。 バッチサブクリップの拡張 2023.8ではマスタークリップのみでしたが、シーケンスからもサブクリップを作成できます。のりしろの設定やシーケンスで選択したトラックでサブクリップを作成できます。新規シーケンスのオプションを選択すると、サブクリップを含む新しいシークエンスも作成できます。 AACファイルフォーマットをM4Aコンテナでエクスポート [出力] > [ファイルにエクスポート…] > [Options…]のエクスポート形式で、M4Aコンテナを選択します。 QuickTimeがインストールされていないシステムでQuickTimeインポート QuickTimeインポートにQuickTimeのインストールが必要なくなりました。Cataline以降、Appleが32bitのサポートを終了してから、QuickTimeとそのエンジンなどを含め、あらゆるレガシーがサポートされなくなりました。このバージョンでは、UME(ユニバーサル・メディア・エンジン)の改善により、.movやMP4等のインポートが可能です。ファイルをインポートすると、リンク後、トランスコードが行われ、ビンではリンク状態のアイコンから通常のクリップアイコンに変わります。 これにより、Media ComposerではQuickTimeコンポーネント(32bit)が必要なくなります。 SRTの最適化 SRTはストリーミングするために高帯域のバンド幅を必要とすることがよくありますが、このバージョンではパフォーマンスを最適化しました。ビデオのクオリティを維持しながら、帯域幅を抑えるLowとMedium設定、ストリーミング中の編集時の反応を向上させるための低遅延圧縮を使用するHigh設定があります。さらに、オーディオとビデオの同期が改善され、アンシラリタイムコードをSEIメタデータとして組み込むことができます。 Media Composer 2023.8で追加された機能 Media Composerクラシック ユーザー設定 [Media Composerクラシック] ユーザープロファイルは、v2018のような以前のバージョンのMedia Composerと同じようなUIと設定を作成できます。このプロファイルではウインドウがフローティングになります。 コンポーザーウインドウの中央にボタンパネルを表示 Composer設定に[中央にボタンパネルを表示] オプションを追加されました。設定>[User]タブ>[Composer]でアクセスできます。このオプションを選択すると、ソース/レコードモニターの間に(Composerウインドウの設定により)3個または6個のボタンが並んだボタンパネルが表示されます。 使用中のタイムラインにシークエンステンプレートを適用 フォーマットの変更に合わせて、現在使用中のタイムラインのトラックレイアウトやトラック名を更新します。それ以外の属性は変更されません。シークエンスを右クリックし、[シークエンステンプレートを適用]を選択し、適用したいシークエンステンプレートを選択します。 コマンドボタンのツールチップにショートカットを表示 コマンドボタンの上でポインターをホバリングすると、ショートカットが表示されます。以前はツール名だけが表示されました。 Panel SDK Panel SDK(Software Development Kit)のAPI(Application Programming Interface)により、Media Composerと3rdパーティー製品との統合がよりスムースになります。 USBオーディオデバイスを使用したオーディオ パンチイン ビデオハードウェアを使用しながら、オーディオパンチインデバイスとしてUSBオーディオデバイスが使用できます。HW/SWスイッチに「Desktop Audio」のチェックボックスが追加され、BlackmagicやAJAを使用しながら、これを選択して、USBオーディオデバイスからパンチインができます。長時間の再生でも同期を維持するためには、オーディオ、ビデオデバイス双方に同期信号を入力します。 クリップゲインを36dBまで拡張 クリップゲインが、最大12dBから最大36dBに拡張されました。Media ComposerとPro Toolsを並行して使用するときや、レベルの低いオーディオを使用するときに便利です。これらの値はPro ToolsセッションやAAFをインポート/エクスポートするときにも維持します。しかし、12dB以上をサポートしていない旧バージョンのMedia Composerでは、12dB以上のゲインは0dBにリセットされます。 また、36dB以上の値を持つクリップをAAFでインポートしたときには、12dB~36dB値は維持され、36dB以上の値は36dBにセットされます。 “LFE専用”モノラルトラック オーディオ ミキサーのコンテキストメニューにある[このトラックはLFE専用]にチェックマークをつけると、任意のモノラルトラックをLFE(Low Frequency Effects)出力として指定することでき、サラウンドサウンドミックスの他のチャンネルには表示されなくなります。この機能をアクティブにすると、トラックのパンナーが表示されなくなり、再生、エクスポート、またはサラウンド ミックスのミックスダウンの作成時に、オーディオが、選択したLFEのチャンネルに自動的に「パン」されます。マルチチャンネルオーディオトラックで「トラックをモノラルに分割」を使用すると、作成されたLFEトラックがLFE専用トラックとして指定されます。Pro Tools セッション ファイルにエクスポートする場合には、LFE専用のトラックは、対応するマスターフェーダーのLFEバスにルーティングされます。互換性を保つために、2014年までの旧バージョンのMedia Composerと共有しているシーケンスでは、LFE専用トラックの動作が保持されます。 AAFでエクスポートした場合には、LFE専用トラックは、Media Composerでのみ利用でき、Pro Toolsでは利用できません。 トラック エフェクトのバイパス Audio Project設定の[エフェクト]タブの[バイパス]セクションで[トラック]を選択すると、トラックエフェクトをバイパスできます。 オーディオ出力のデバイス選択 Audio Project設定の[ハードウェア]タブで、Media Composerがデスクトップオーディオとして使用するオーディオデバイスを選択でき、プロジェクト設定として保存できます。macOSではデフォルトで [システム設定に従う]が選択されていますが、ドロップダウンメニューからインストールされているオーディオデバイスを選択することができます。Windowsでは、インストールされているASIOをサポートしているデバイスがデフォルトで優先され、デバイスがない場合には、「DirectSound」になります。 Pro Toolsセッションエクスポートにマルチミックス ツールのオプションを追加 マルチミックスツールオプションを使用して、Pro Toolセッションエクスポートにガイドトラックを追加できるようになりました。[オーディオミックスダウンを追加]ドロップダウンメニューから[マルチミックスツール]を選択し、表示される[マルチミックス設定]メニューから[マルチミックスツールを開く]を選択します。 Media Composerについてのお問い合わせ、ご相談がある方はお気軽にROCK ON PROまでご連絡ください。
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2023/12/29

ROCK ON PRO 年末年始休業期間のご案内

平素は格別のご高配を賜り誠にありがとうございます。 大変恐縮ではございますが、下記期間を年末年始の休業期間とさせていただきます。 お客様にはご不便をおかけしますが、何卒ご了承のほどお願い申し上げます。 ◎ROCK ON PRO 渋谷・梅田事業所 年末年始休業期間 2023年12月30日(土)〜2024年1月3日(水) なお、新年は1月4日(木)からの営業となります。 新年もより一層のお引き立てのほど、宜しくお願い申し上げます。
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2023/12/28

maruni studio様 / studio m-one 9.2.6chイマーシブ構築、マルニビル改装工事の舞台裏

取材協力:株式会社エム・ティー・アール ライブの映像コンテンツやMVをはじめ、CM、企業VP(=Video Package)など、音楽系を中心に幅広いポストプロダクション業務を手がけるマルニスタジオ。長年に渡りレコーディングスタジオとポスプロの両方を運営していた関係で、音楽系の映像コンテンツが全体の6割程度を占めるという。今年3月にリニューアルオープンされた同社所有のマルニビルは、その目玉として地下一階にDolby Atmos対応のサウンドスタジオ「studio m-one」を構えた。Musikelectronic Geithainの同軸スピーカーで統一された9.2.6ch構成のイマーシブサラウンド環境は見た目としても圧巻だが、商用スタジオとしても利用する多くの方にとって快適な環境となるよう、様々な工夫が取り入れられているという。 スケルトンから行ったリニューアル 目黒区青葉台、目黒川に程近い住宅街の一角に佇む自社所有のマルニビルは、およそ30年に渡りこの地でレコーディングスタジオとして運営されてきた。また、青葉台には当初からポスプロ業務をメインとしているもう一つの拠点が今も存在している。そして2020年3月、突然訪れたコロナ禍が世の中の動きを止めてしまったのと同様に、コンテンツ制作もしばらくの間停滞期を迎えることになる。そこで持ち上がったのが、両拠点をポストプロダクション業務に統一するというプロジェクトだ。その後社内協議を経て、自社ビルであることのメリットを活かし、全フロアを一度スケルトンにして再構築する改装工事実施を決断。2022年6月より工事がスタートし、数々の難局を乗り越えながら今年3月リニューアルオープンの運びとなった。 今回の改装工事の舞台裏はどのようなものだったのだろうか。スタジオマネージャー兼MAミキサーの横田智昭氏、MAミキサーの沖圭太氏にお話を伺ったところ、これからイマーシブ対応のスタジオを作りたいと考えている方にとって参考になるであろう、理想的なスタジオ構築へのヒントが見えてきた。 株式会社丸二商会 MARUNI STUDIO Studio Manager Chief Sound Engineer 横田智昭 氏 株式会社 丸二商会 MARUNI STUDIO Sound Engineer 沖 圭太 氏 ROCK ON PRO(以下R):今回のスタジオリニューアルの最初のきっかけは何だったのでしょう。 横田: 率直な話、コロナ禍に突入してレコーディングの業務、スタジオで音を録るという仕事は停滞していた一方で、そういった中でもポスプロ業務の方は順調に稼働していました。そこで、このタイミングでポスプロ業務と拠点を統一しリニューアルしようという提案が社内から挙がったんです。 R:その後、具体的な計画や機材選定が始まったのではないかと思いますが、どのように進めていったのでしょう。 横田: このビルは自社ビルで、さらに吹き抜けがあり広く空間がとれる利点があったのですが、スケルトンまでできるという予算を確保できたのが一番大きかったですね。それが実現したからこそ、スタッフ全員で自由に考えられました。タスクの洗い出しというよりは、「自由にできるからこそ、どうレイアウトしていくのか?」というのを決めていくのが大変でした。あれこれ詰め込みすぎると予算が追いつかなくなったりして。 沖:この段階から冨岡さん(株式会社エム・ティー・アール 冨岡 成一郎氏)に相談でしたね。私はマルニと冨岡さんをつなぐ連絡担当だったのですが、無茶を言ってもレスポンスよく対応してくださいました。あと、実はスケルトンの話が出てくる前に、地下一階ではなく二階でやろうという話もありました。しかし検討していくと天井高も取れないし…ど〜にもならん!と(笑)。商業的に成り立たない、というのが分かったからこそ、思い切って「スケルトンからやろう!」という方向をみんなで向くことができたのは大きかったです。 R:では、リニューアル時にDolby Atmos対応というのは当初からお考えだったということですね。 横田: それは最初から考えていました。ポスプロのスタジオに転向するならAtmos対応にしたいと。 リニューアルが解決したポイント 📷著名な建築家によってデザインされたというこのマルニビルは、コンクリート打ちっぱなしの内壁のクールさと、階段などに見られるアール(曲面)の造形が生み出す人間的な温かみの対比がなんとも美しく印象的だ。 R:この新たなスタジオで解決された、以前からの課題はありましたか? 横田: MA室の場合、クライアントの方が大勢いらっしゃることがあります。中には、当然別の仕事も対応しながら立ち会われるということもありますが、コントロールルームの中ではそれを遠慮がちにされているのもこちらとしては心苦しかったんです。そこで、隣の前室にテレビとソファを用意して、そちらでもコントロールルームと同じ環境の音と画を流すことができるようにしました。クライアントの皆さんが別件対応を前室でしていても、コントロールルームの中で制作がどう進行をしているのかをすぐに確認できるという環境にしています。 また、コントロールルーム内とは別の場所で冷静に画音をチェックできるスペースができたというのは、従来の雑多になりがちな作業環境からすると改善されたポイントです。これは、他のMA室にもなかなか無い部分ではないかと思っています。あとは、極力スタジオ内のモノを減らす、ということですね。見ていただいて分かる通りかなり少ないと思います。音響面も含めてダイレクトな音を重視したいというのはずっと思っていて、卓上のものもなるべく小さくしました。 R:そうですよね、シンプルで洗練された印象を受けました。 📷前室にはDolby Atmos対応のサウンドバーSonos Beamを配置し、テレビのeARC出力からオーディオチャンネルを受けることでシンプルな配線を実現している。 📷優先的に導入したというTorinnov Audio D-MON、そしてDolby Atmos対応AVアンプDENON AVC-X6700Hなどが配置されたラック。 沖:機材的な話で言うと、最初の段階から決まっていたものとしてTorinnov Audio D-MON の導入がありました。これまでのMA室は15年くらい使っているのですが、経年変化もあり音を調整したいタイミングも出てきました。その調整幅が少ないというのはスタジオを長く使っていく上で、言わば足かせになってしまう、というのをすごく感じていたので、スタジオを作って今後も長く使っていけるようにしたかったんです。もちろんアコースティックな部分での調整を追い込むのも大事ですが、プラスして電気的に調整できる「伸びしろみたいなものを取っておきたい!」ということもあって、コストは高くついても「そこだけは譲らない!」というのはありまして、何も考えずに最初に予算に組み込みました(笑)。 R:もちろん出音の改善の意味もあるかと思うのですが、長く使っていく上でメンテナンス性をもたせる意味で導入されたのですね。 沖:当初はそうでしたが、結果的にAtmosの調整にもすごく良い効果が出ていますよ。 17本のMusikが表現する9.2.6ch R:最初の段階から導入を決めていたものは他にもあるのでしょうか。 横田: 見ての通り、ムジークですね。この901のフロントのLCRは元々レコーディングで使っていたものなんです。これが、レコーディング用途であったとはいえ、私たちも当然よく聴き込んでいて素直にいいなと思わせるサウンドでした。そこで「せっかくあるこの901を活かして全てを組めないか?しかも9.2.6chという形で…」と冨岡さんにも相談させていただいて。そこもこだわりと言えばこだわりです。 R:では、慣れ親しんでいたスピーカーでイマーシブの作業も違和感も無く進められたと。 横田: そうですね。ただ、17本もあると…スゴいんだな、と(笑)。なかなか暴れん坊の子達なんですが、Torinnovが上手くまとめてくれています。 R:今回、9.2.6ch構成にされたのはどういった理由でしょう。 横田: それは僕がここを作る以前に、外部のスタジオで取り組んでいた作品が影響していて、そこでは9.2.4chで作業を行なっていました。その時にワイドスピーカーの利点について使用前と使用後を比較した時に、新しいスタジオを作るのであれば、トップを4chとするか6chとするかはさておき、平面9chはマストだな、と。中間定位が作業上すごく判断しやすい。そこを7.1.4chと比較するとやはり定位がボケる部分が出てくるんですね。結果的に7.1.4chで聴かれている環境があったとしても、制作環境としてはこの部分が物理的に分かると作業がスムーズになってくるというのがありました。 📷Topの6chにはmusikelectronic geithain RL906を採用。スケルトンからの改装により3.1mという余裕ある天井高が確保された。 R:トップスピーカーはどのように活用されていますか? 横田: トップ6chに関しては、トップの真ん中にスピーカーを置くというのは、正直最初は「要るのかな?」とも思っていたんですが、ついこの間、その効果を実感できる機会がありました。Atmosの作業を行なっていた時に雷を落とすシーンがあったんです。部屋の中でのプロジェクションマッピングになっていて、長方形の箱の中でどこからともなくワーッと雷が落ちるシーン。それを音楽の曲中の間奏に入れたかったんです。上方向の定位は分かりづらいものですが、その時の雷の音の定位が非常に分かりやすかったんです、トップの真ん中があることによってすごくやりやすさを感じました。そうしたものを作る上で定位をきちんと確認できるっていうのは良かったなと最近になって実感しています。 R:今回AVID S1を選択されたのはどのような理由からでしょう。 沖:MAという作業柄、フェーダーを頻繁に使う訳ではないので、8chもあれば十分なんです。あとは、卓ごと動かせるようにしたかったというのと、反射音の影響を極力減らすため、スタジオ内のあらゆるものをできるだけコンパクトにしました。S3じゃなくS1というのもそこからです。 横田: やはり、スイートスポットで聴かなければ分からないじゃないですか。中には卓前に座ることに抵抗があるというクライアントの方も意外と多くいらっしゃいます。だったら卓側を動かしてしまって、そこにソファや小さなテーブル、飲み物などを置いて落ち着ける環境にしてしまえば、ど真ん中で聴いていただけるかなと思いました。 📷マシンルームからのケーブルを減らすため、必要最低限かつコンパクトな機器類で構成された特注のデスク。中央にはAVID S1が埋め込まれている。 R:フロアプランに関して、他にも案はありましたか? 横田: リアやサイドのスピーカーをどのように配置できるかというところをしっかり検討して、これはすごく上手くいったと思います。サラウンドサークルのことだけを考えるとクライアントの邪魔になってしまうことがありがちです。それを、しっかりイマーシブ環境にとっての正確な配置を考えつつ、クライアントも快適に過ごせるということを、僕らの意見だけではなく営業サイドの意見も豊富に取り入れてこだわって考えました。 沖:この部屋はあえてMA室とは呼んでいません。コンセプト段階で「MA室を作るのか?」それとも「レコーディングの人もMAの人も使える部屋を作るのか?」という議論がありました。前室のスペースもいっぱいまで使って、3列ディフューズのいわゆるMA室的な部屋を作ろう、というアイデアと、ITU-Rのサラウンドサークルにできるだけ準拠した完璧な真円状に配置しようというアイデアがありまして、そこで色々話し合って揉んでいく中で今の形に落ち着きました。レコーディングの方もMAの方も皆が使える部屋となったので、より広い用途に対応できるという意味合いでもあえてMA室とはせず「studio m-one」としています。 📷将来的なシステム拡張にも柔軟に対応できるAVID MTRX。B-Chainの信号はモニターコントローラーのGrace Design m908を経由し、Torinnov Audio D-MONへと接続されている。 レコーディングとMAを融和するイマーシブ R:現場の方々から見てDolby Atmos以外の規格も含めてイマーシブ需要の高まりというのは感じますか? 横田: 確かにエンドユーザー的には広がってきているかな、という感覚はあります。そこから「スタジオを使ってもらうようにするにはどうするか?」っていうのがもう一つのテーマであったりもするので、私たちがどうやって携わっていくかというのは毎日考えていることではあります。音楽作品については、いくつかのアーティストがだんだん作り始めているような状況なんですが、これもやってみて思うのは、ノウハウがものすごく大事な部分でもあるし、発注する側からしてもある意味「未知」ではある状態です。「面白そうだけど、どういうふうにすればいいの?」とか、「どういう風にやるの?」とか、「時間はどれだけかかるの?」といった部分がまだまだ分かりづらい状況だと思います。 R:手探りなところは聴き手もそうですよね。 横田: だからこそ、私たちはいいスタジオを作らせてもらったので、これをどう活用していくか、イマーシブのニーズにどう参入していけばいいのかというのは常日頃から営業陣とも話し合っています。そこで、先日取り組んでみたのが企業系のVPコンテンツで、このstudio m-oneでAtmosを体験していただいたのをきっかけにお声がけをいただいて、VPをAtmos化するということを実験的にやらせていただきました。 他にも企画段階から携わって、「カメラアングルこういうのはどうですか?」とか「背景にこれがあるとこういう音が足せるので、こんな空間ができますよ」とか、「こういう動きで…」「俯瞰から撮ると…」とかカメラマンさんとも打ち合わせをさせていただいて、それに対して僕らが効果音をつけて制作してみたというケースもあります。クライアントは、さまざまな企業のコンテンツを受注する制作会社なのですが「どういう風に世に出していいかっていうのはちょっとまだ悩むけれども、できたコンテンツとしてはすごく面白い」という評価で、受注の段階でAtmosの表現もできると提案してみようかという流れも生まれてきているようです。そうなると、これまでAtmosとは無縁と思われた企業の方にも、商品だったり、システムだったり、それが例えば「空間」を表現することでその価値観が高まりそうな商品にはAtmosのような規格がとても効果的だ、と知っていただける機会も増えてきそうです。 R:制作はもちろん、営業面でも広がりを見せそうですよね。 横田: 先ほどの話もありましたが、あえてMA室とは呼んでいません。これまで、サラウンド制作はどちらかというとMAやダビングの世界の話で、言ったら我々には親しみがある分野でした。そこに空間オーディオが出てきてレコーディングの方が一気にAtmosへ取り組む機運が高まると、レコーディングの人たちとMA的なやり方を話すようになってきたんです。そういう時に、我々が今までやってきたサラウンドの話が活きてくる。これまではレコーディングとMAの間に垣根のようなものが感じられていたんですが、空間オーディオのスタートによってその境目が混ざってきた感覚です、これからもっとそうなっていくと思います。studio m-oneもせっかく作るなら、そのどちらにとっても垣根がないスタジオにしたかったというのが最初の展望です。Atmosへの関心にかかわらず、どのような方にでも使ってもらえるような部屋にしたいですね。 📷中央のデスクを移動させ、椅子とサイドテーブルを置くと極上のイマーシブ試聴環境へと早変わりする。この工夫により、クライアントがスタジオ中央のスイートスポットでリラックスして試聴してもらえるようになったという。「卓前で聴いてもらうのが難しいのであれば、卓ごと動かせばいい」、そうした逆転の発想から生まれたまさにクライアントファーストな配慮である。実際にこの場でライブの音源を試聴させていただいたが、非常に解像度の高いMusikサウンド、そしてTorinnov Audio D-MONによる調整の効果も相まって、良い意味でスピーカーの存在が消え、壁の向こう側に広大な空間が広がっているかのように感じられた。 ●Speaker System Dolby Atmos Home 9.2.6ch L/C/R:musikelectronic geithain | RL901K Wide/Side/Rear:musikelectronic geithain | RL940 Top:musikelectronic geithain | RL906 Sub:musikelectronic geithain | BASIS 14K×2 スタジオ設立30周年を迎える節目に、ポスプロ業務への一本化という新たな変革へと踏み出したマルニスタジオ。スケルトンからの改装は自由度が高い反面、決めるべきことも増えるため数々の議論が行われてきた。その際に、技術スタッフの意見はもちろん、営業陣の意見にもしっかりと耳を傾けることで、クオリティの高い制作環境を担保しつつ、クライアントを含めた利用する全ての人にとって居心地の良い空間デザインが実現された。あえてMA室と呼んでいないことからも伝わってくる、制作現場における様々な垣根を取り払い、人との対話を重視しながらより良い作品を作っていこうという姿勢には個人的に深い感銘を受けた。このstudio m-oneから、また一つ新たなムーブメントが拡がっていくのではないかという確かな予感を抱かずにはいられなかった。   *ProceedMagazine2023-2024号より転載
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2023/12/27

【期間限定】Jonathan’s Mastering Bootcamp アーカイブ配信を限定販売

今年11月、エアロスミス、シカゴ、デヴィッド・ボウイ、ピンク・フロイド、ニルヴァーナなどを手掛け「マスタリング界の至宝」として知られるアメリカ音楽業界屈指のマスタリングエンジニアJonathan Wyner氏を講師に迎えて、キング関口台スタジオにてマスタリング集中講座が開催されました。実際の作業手順を丁寧に紐解いた解説から、マスタリングに取り組む上での姿勢など、当日は5時間を超える濃密な講義となりました。 マスタリングエンジニアの方はもちろん、音楽制作に関わる全ての人にとって知っておいて損はない ”マスタリング”についてのセミナー。 当日は15名限定で開講された特別講義ですが、参加できなかった方のためにこの度、期間限定で配信URLの販売を実施します。(配信開始は12月28日予定・期間限定収録配信¥9,800) 動画販売は1月4日まで、視聴は1月11日23:59までの超期間限定配信! お見逃しのないようお願いいたします。 期間限定配信を購入する セミナー内容 マスタリングにおける基本的な心構えと目指すべき方向性、また、現代のマスタリングを取り巻く環境について、ジョナサン・ワイナーの哲学が詰まった内容になっています。 基本的なワークフローについて マスタリングエンジニアがファイルを受け取った時に、まず確認すべき事はなんでしょうか。 サンプルレート設定やアンチエイリアシングフィルターについて、レベル、ラウドネスの確認、作業をはじめる順番に至るまで、マスタリングの基本のワークフローを紹介しながら彼の思考を丁寧に紐解きます。 さらに、各トラックの間隔設定や書き出し時のメタデータについてなど、マスタリングにおけるあらゆる側面について解説します。 プロジェクト事例~Global Jazz Institute〜 実際の楽曲データを使用し、実践に入っていきます。最初に紹介されるプロジェクトは、グラミー賞にノミネートされた作品のマスタリングです。 Ozone11を使用し、リミッター、EQ、ダイナミクスといった彼の手法について、具体的な数値設定まで解説します。 質疑応答では、作曲からマスタリングまで個人で手がけるケースの注意点や、作業時の判断基準といった参加者の抱える疑問について、1対1で答えられています。 プロジェクト事例~エンジニアの異なる3曲EP〜 各楽曲のエンジニアが異なるEPを事例としたマスタリング。曲ごとにレベル差や音色差がある際の分析とアプローチについて語られます。 また、ロックテイストの楽曲におけるローエンドの処理、曲間の繋ぎ方など、必見のプロの技を披露します。 プロジェクト事例~国内エンジニア提供楽曲1〜 国内のエンジニアから提供していただいたオーケストラ楽曲を、本人を前にしてマスタリング。プロジェクトの分析や実践を通して、元のミックスが持つサウンドを損なわず、いかに魅力を引き出すかというマスタリングについて解説します。 プロジェクト事例~国内エンジニア提供楽曲2〜 別の国内エンジニアから提供していただいた、ロックテイストの楽曲をマスタリングします。ミキシングの領域までメスを入れるマスタリング処理について解説します。 Closing Talk ミキシングとマスタリングの関係、ステムミックスに対する考え方、そしてJonathan Wynerから皆様に伝えたいメッセージが語られます。 期間限定配信を購入する ご購入者様にはVimeo Proでの期間限定配信URLをお送りさせていただきます。貴重な講義をお見逃しなく!
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2023/12/27

Synchro Arts、ボーカル編集ツールRevoice Pro 5をリリース!

ロンドンにてボーカル処理に特化したツールを開発するSynchro Arts社から、その製品群の中心に位置するオールインワンなボーカル編集ソリューションRevoice Proの最新版、Revoice Pro 5がリリースとなりました! ボーカルアライメント、ピッチ補正、ボーカルダブリングが可能な本製品は、ボーカル編集ツールのなかでも素早い操作感で自然な処理を実現することに力を入れたソフトウェアとして評価されています。 Revoice Pro 5の新機能 ◎最新のピッチ編集技術を搭載 ピッチ曲線を細かく変形させることが可能なシェイパーツール(Smart Shape Points)が新たに加わったほか、基礎となるピッチ/タイム/レベル編集機能も強化。 ◎SmartPitch ダブリングやハーモニーを合わせるタイミング、効果を維持する期間をインテリジェントに判断する機能により、作業時間を短縮。 ◎DAWとの連携を改善 スタンドアロンソフトウェアであるRevoice Pro 5ですが、DAWとの接続もさらにスムーズになりました。Revoice Linkプラグインを使用したDAWーRevoice間の信号の受け渡しのほか、ProTools専用機能としてQuick Match、Quick Doublerプラグインを用意。VSTプラグインとして利用し処理結果をすぐにDAW上に展開できます。ARAに対応したDAWではARA2互換を用いた連携も可能です。 Synchro Arts / Revoice Pro 5 価格:¥82,720 (本体価格:¥75,200) Rock oN eStoreで購入!>> ◎旧バージョンからの無償アップグレードも実施中 2023年6月12日以降にRevoice Pro 4をメーカー本国Webサイトにて登録した方は、Revoice Pro 5への無償アップグレードを申請できます。 無償アップグレードの申し込みや、ご自身が無償アップグレードの対象であるかどうか確認するには、下記リンクにてRevoice Pro 4の認証に用いたiLokアカウントのIDを入力後、Sendボタンをクリックしてください。 https://www.synchroarts.com/support/rvp5-free-upgrade プロフェッショナルスタジオツールの見積、ご相談はROCK ON PROまでご連絡を!
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2023/12/26

株式会社三和映材社 様 / MAルーム『A2』〜大阪の老舗ポスプロが、これからの10年を見据えてMAルームをリニューアル〜

Text by Mixer CMや企業VPといった広告案件を数多く手がける大阪の老舗ポスト・プロダクション、株式会社三和映材社が本社ビル内にあるMAルーム『A2』をリニューアルした。長らく使用されてきたヤマハ DM2000はAvid S4に入れ替えられ、モニター・スピーカーはGenelec The Ones 8331Aに更新。システム的にはシンプルながら、8331AとPro Tools | MTRXはAESで接続されるなど、音質 / 使い勝手の両面で妥協のないMAルームに仕上げられている。今回のリニューアルのコンセプトと新機材の選定ポイントについて、株式会社三和映材社 ポストプロダクション部所属のサウンド・エンジニア、筒井靖氏に話を訊いた。 大阪の老舗ポスプロ:三和映材社 大阪・梅田から徒歩圏内、新御堂筋沿いにスタジオを構える三和映材社は、1971年(昭和46年)に設立された老舗のポストプロダクションだ。映画の街:京都で、撮影機材のレンタル会社として創業した同社は、間もなくビデオ機材や照明機器のレンタル業務も手がけるようになり、1980年代にはポストプロダクション事業もスタート。同社ポストプロダクション部所属の筒井靖氏によれば、1985年の本社ビル新設を機に、ポストプロダクション事業を本格化させるようになったという。 「本社ビルは、1階が機材レンタル、3階が撮影スタジオ、5階が映像編集室、6 階が映像編集室とMA ルーム、7階がレコーディング・スタジオという構成になっていて、撮影から映像編集、MA、さらには音楽制作に至るまで、映像コンテンツの制作がワン・ストップで完遂できてしまうのが大きな特色となっています。手がけている仕事は、CMや企業さんのPRが8〜9割を占めています。製品紹介や会社紹介のビデオですね。CMと言っても、昔はテレビがほとんどだったのですが、最近はWebが多くなっています。最近は自分たちで映像編集されるお客様も増えてきたので、MA やカラコレ、合成、フィニッシングだけを弊社に依頼されるパターンも増えていますね」 📷株式会社三和映材社 ポストプロダクション部 サウンド・エンジニア 筒井 靖 氏 本社ビル内の施設は、映像編集室が3部屋(Autodesk Flame ×2、Adobe Premiere Pro ×1)、MAルームが2部屋、レコーディング・スタジオが1部屋という構成で、その他に別館にもボーカル・ダビングなどに使用できるコンパクトなスタジオが用意されているとのこと。2部屋あるMAルームは、フラッグシップの『A1』が5.1chサラウンドに対応、今回リニューアルが実施された『A2』はステレオの部屋で、どちらも1985年、ビルが竣工したときに開設されたという。 「音響設計は、日東紡さん、現在の日本音響エンジニアリングさんにお願いしました。ルーム・アコースティックは基本開設時のままで、その後は痛んだファブリックを張り替えたくらいですね。機材に関しては、『A1』はAMEK AngelaとStuderの24トラック・マルチの組み合わせでスタートし、1993年に卓を7階のレコーディング・スタジオで使用していたSSL 4000Eに入れ替えました。現在の卓は2006年に導入したSSL C300で、かなり年季が入っていますが、今年に入ってからフル・メンテナンスしたので今のところ快調に動いています。 一方の『A2』は、当初は選曲効果の仕込みで使うような部屋だったので、最初はシグマのコンパクト・ミキサーが入っていたくらいでした。その後、『A1』に4000Eを入れたタイミングで、現在のDAWの先駆け的なシステムであるSSL Scenariaを導入し、本格的なMAルームとして運用し始めたんです。Scenariaは、関西一号機のような感じでしたが、映像もノンリニアで再生できる革新的なシステムでしたね。Avid Pro Toolsを導入したのは2006年のことで、『A1』と『A2』に同時に導入しました。『A2』のメイン・コンソールは引き続きScenariaで、Pro Toolsはエディターとして使うという感じでした。映像は、ソニーのDSR-DR1000というディスク・レコーダーを9pinでロックして再生するようになったのですが、あれはワーク上げしながら再生できる画期的なマシンでした。その後、いい加減Scenariaも限界がきたので、2010年にヤマハ DM2000に更新した経緯です。」 S4は使い慣れたARGOSY製デスクに収納 📷もともとはDM2000用として設置されていたARGOSY製のスタジオ・デスクをサイド・パネルを取り外すことで使用。今回導入したAvid S4がきれいに収められた。 そして今年5月、三和映材社はMAルーム『A2』のリニューアルを実施。Pro Tools周りを刷新し、オーディオ・インターフェースとしてAvid Pro Tools | MTRXを新たに導入、長らく使われてきたDM2000はAvid S4に更新された。筒井氏によれば、約2年ほど前にリニューアルの計画が持ち上がったという。 「一番のきっかけは、Pro Tools周りとDM2000の老朽化ですね。弊社の仕事は修正 / 改訂が多いので、どちらの部屋でも作業ができるように、Pro ToolsやOSのバージョンをある程度揃えるようにしているんです。しかし以前『A2』に入っていたMac Proがかなり古く、それが足枷になってPro Toolsをバージョン・アップできないという状態になっていたんですよ。せっかくPro Toolsは進化しているのに、互換性を考慮してバージョン・アップせず、その恩恵を享受しないというのはどうなんだろうと。それでDM2000もところどころ不具合が出ていたこともあり、約2年前からリニューアルを検討し始めました」 DM2000に替わる『A2』の新しいコントロール・センターとして選定されたのが、16フェーダーのS4だ。S4は、CSM×2、MTM×1、MAM×1というコンフィギュレーションとなっている。 「作業の中心となるPro Toolsが最も快適に使えるコンソールということを考え、最終的にS4を選定しました。DM2000やC300のようなスタンドアローン・コンソールには、何か“担保されている安心感”があって良いのですが(笑)、最近はPro Toolsがメインになっていましたので、もはやコンソールにこだわることもないのかなと。一時期はコンソールをミックス・バッファー的に使っていたこともあるのですが、次第にアウトボードすら使わなくなり、完全にPro Toolsミックスになっていましたからね。 ただ、唯一心配だったのがコミュニケーション機能とモニター・セクションだったんです。以前、ICON D-Controlシステムで作られたセッションを貰ったときに、モニターを作るためのバスがずらっと並んでいたことがあって、そういった部分までPro Toolsで作らなければならないのはややこしいなと(笑)。しかしPro Tools | MTRXの登場によって、コミュニケーションとモニター・コントロールというコンソールの重要な機能をPro Toolsとは切り離して実現できるようになり、これだったらコントロール・サーフェスでもいいかなと思ったんです。Pro Toolsで行うのは純粋な音づくりだけで、環境づくりはPro Tools | MTRXがやってくれる。今回のシステムを構築する上では、Pro Tools | MTRXの存在が大きかったですね。 コントロール・サーフェスを導入するにあたり、S6やS1という選択肢もあったのですが、最終的にS4を導入することにしました。Dolby AtmosスタジオであればS6がマストだと思うのですが、ここはステレオの部屋ですし、機能的にそこまでは必要ありません。ただ、この部屋にはクライアントさんもいらっしゃるので、ホーム・スタジオのような見栄えはどうだろうと思い(笑)、S1ではなくS4を選定しました」 📷長らく使われてきたDM2000はAvid S4に更新 S4は、ARGOSY製のスタジオ・デスクに上手く収められている。このデスクは以前、DM2000用を収納して使用していたものとのことで、サイド・パネルを取り外すことで、きれいにS4が収まったという。 「予算の問題もありましたし、S4を設置するデスクをどうするか、ずっと悩んでいたんです。しかしあるときふと、DM2000のデスクにS4が収まるかもしれないと思って。実際、板を1枚抜いて、少しズラすだけできれいに収まりました。奥行きや高さは微妙に合わなかったのですが、そういった問題はコーナンで買ってきた板を敷き詰めることでクリアして(笑)。このARGOSYのデスクは、手前のパーム・レストが大きくて作業がしやすく、とても気に入っています。Macのキーボードも余裕を持って置くことができますしね。 S4の構成に関しては、8フェーダーだと頻繁に切り替えなければならないので、最低16フェーダーというのは最初から考えていたことです。ディスプレイ・モジュールは付けようか悩んだのですが、あれを入れるとPro Toolsのディスプレイを傍に置かなければなりませんし、最終的には無しとしました。各モジュールの配置は、16本のフェーダーに関しては分散させずに集約し、右側がトランスポート・コントロール、左側がフェーダーという隣の部屋のC300のレイアウトを踏襲しています」 📷システムの環境構築に大きく貢献したというAvid Pro Tools | MTRX。 『A2』のPro Toolsは1台で、Intel Xeonを積んだMac ProにHDXカードを1枚装着したシステム。オーディオ・インターフェースとなるPro Tools | MTRXも、ADカードとDAカードが1枚ずつのミニマムな構成で、MADIカードやSPQカードなどは装着していないという。 「音響補正はGenelecの『GLM』でやっているので、SPQカードが入っていない初代のPro Tools | MTRXがちょうど良いスペックでした。VMC-102のようなモニター・コントローラーを導入しなかったのは、ここはステレオのスタジオなので、複雑なモニター・マトリクスが必要ないからです。その代わり今回、カフをスタジオイクイプメント製の新しいものに入れ替えました。映像はPro Toolsのビデオ・トラックで再生し、Blackmagic Design DeckLink 4K Extremeで出力しています。Pro Toolsの現行バージョンは、いろいろなビデオ・フォーマットを再生できるので、ビデオ・トラックでもまったく不自由はありません。2面あるディスプレイは、単にミラーリングしているだけで、右側でアシスタントが編集したものを、左側のぼくがバランスを取るという役割分担になっています。それと今回、ROCK ON PROさんからのご提案でUmbrella CompanyのThe Fader Controlを導入したのですが、これが入力段にあるだけでコンソールのように録音できるので助かっています。録りのレベルも柔軟に調整することができますし、とても気に入っている機材です」 📷S4の脇に備えられたのはUmbrella Company / The Fader Controlだ。 8331AとPro Tools | MTRXをデジタルで接続 今回のリニューアルでは、ニア・フィールド・スピーカーも更新。長らく使用されてきたGenelec 8030AがThe Ones 8331Aにリプレースされた。筒井氏によれば、8331AとPro Tools | MTRXは、AESでデジタル接続されているという。 「ニア・フィールド・スピーカーは、以前はヤマハ NS-10Mを使用していたのですが、2006年にScenariaを使うのを止めたタイミングでGenelecに入れ替えました。Genelecのスピーカーは、聴き心地の良さと、スタジオ・モニターとしての分かりやすさの両方を兼ね備えているところが気に入っています。 今回、The Onesシリーズを導入したのは、別館のレコーディング・スタジオで8331A を使用していて、何度かこの部屋で試聴してみたところ、もの凄く良かったからです。なのでスピーカーに関しては、スタジオのリニューアルを検討し始めたときから、絶対に8331Aにしようと考えていました。8331Aは、8030Aよりも定位がさらにしっかりして、音の粒立ちが良くなったような気がしますね。それと同軸設計のスピーカーではあるのですが、サービス・エリアの狭さを感じないところも良いなと思っています。同軸スピーカー特有の、サービス・エリアを外れた途端に音がもやっとしてしまう感じがないというか。もちろん『GLM』も使用していて、あの機能を使うと“しっかり調整されている”という安心感がありますね(笑)。『GLM』は、左右同一のEQか個別のEQが選べますが、両方試してみたんですけど、今は左右同一のEQで使っています。 今回、8331AとPro Tools | MTRXをデジタルで接続したのは、余計なものを挟まずにピュアな音にこだわりたかったからです。隣の部屋も、C300からヤマハ DME24Nを経由して、Genelecにデジタルで接続しているのですが、その方が安定している印象があります」 今年5月にリニューアル工事が完了したという新生『A2』。完成翌日からフル稼働しているとのことで、その仕上がりにはとても満足しているという。 「皆さんのおかげで、イメージどおりのスタジオが実現できたと大変満足しています。でも、まだ改善の余地が残っていると思うので、さらに使いやすいスタジオになるように、細かい部分を追い込んでいきたいですね。新しいS4に関しては、HUIモードのDM2000とは違ってPro Toolsに直接触れているような感触があります。画面上のフェーダーがそのまま物理フェーダーになったような感覚というか。それとアシスタントがナレーションのノイズを切りながら、こちらではEQを触ったり、2マンでのパラレル作業がとてもやりやすくなりました。今回は思い切ることができませんでしたが、イマーシブ・オーディオにも興味があるので、今後チャンスがあれば挑戦してみたいと思っています。」   *ProceedMagazine2023-2024号より転載
Music
2023/12/21

TOA ME-50FS / スピーカー原器、その違いを正確に再生できる装置を

長さを測るためには、その長さの基準となるメートル原器と呼ばれる標準器が必要。重さを測るのであれば同様にキログラム原器が必要となる。では、スピーカーにとっての基準、トランスデューサーとしての標準はどこにあるのか?そのスピーカーの標準器を目指して開発されたのがTOAのME-50FSだ。非常放送用のスピーカー、駅のホームのスピーカーなど生活に密着した音響設備を作るTOAが、これまでの知識と技術をすべてを詰め込んで作り上げた究極のアナログ・スピーカーである。1dB、1Hzの違いを聴き分けられるスピーカー、その実現はデジタルではなく、むしろアナログで開発しないと達成できないことであったと語る。そのバックグラウンドとなるさまざまな基礎技術、要素技術の積み上げはどのような現場で培われたのだろうか?そして、その高品位な製品はどのように作られているのか?研究開発拠点であるナレッジスクエアと、生産拠点であるアコース綾部工場に伺ってその様子をじっくりと確認させていただいた。 TOA ME-50FS 価格:OPEN / 市場想定価格 ¥2,000,000(税込:ペア) ・電源:AC100V ・消費電力:30W ・周波数特性:40Hz~24kHz (-6dB) ・増幅方式:D級増幅方式 ・エンクロージャ形式:バスレフ型 ・使用スピーカー 低域:10cm コーン型×2 高域 : 25mmマグネシウムツイーター ・アンプ出力:250W ・アンプ歪率:0.003% ・最大出力音圧レベル:104dB ・仕上げ:木製(バーチ合板) ウレタン塗装 ・寸法:290(幅)× 383(高さ)× 342(奥行)mm( 突起物除く) ・質量:約15kg(スピーカー本体1台の質量) 実は身近に必ずあるTOA製品 皆さんはTOAという会社をご存知だろうか?日本で暮らしているのであれば、TOAのスピーカーから出た音を聴いたことが必ずあるはずだ。駅のホーム、学校の教室、体育館、あなたの働いている会社の非常放送用のスピーカーもTOAの製品かもしれない。まさに生活の一部としてさまざまな情報を我々に音で伝えるためのスピーカーメーカー、それがTOAだ。 TOAの創業は、1934年と国内では老舗の電機メーカーである。創業時の社名は東亜特殊電機製造所。神戸に誕生し、マイクロフォンの製造を手掛けるところからその歴史はスタートしている。マイクロフォンと言っても現在一般的に使われている形式のものではなく、カーボンマイクロフォンと呼ばれる製品だ。これは世界で初めてエジソンが発明したマイクロフォンと同じ構造のものであり、黒電話など昔の電話機に多く使われていた形式である。周波数特性は悪いが、耐久性に優れ高い感度を持つため1980年代まで電話機では普通に使われていた。現在でも電磁波の影響を受けない、落雷の影響を受けない、低い電圧(1V程度)で動作するなどの特長から可燃物の多い化学工場や軍事施設など一部のクリティカルな現場では現役である。 このマイクロフォンは、その名の通り、カーボン(炭素)を必要とする製品である。時代は戦時中ということもあり、良質なカーボンを入手することが難しく、なんと砂糖を焼いてカーボンを作ったという逸話が残っている。要は砂糖を焦がした炭である。砂糖が贅沢品であった時代に、この工場からは一日中甘い匂いがしていたそうだ。 次に手掛けたのが、拡声装置。中でも「東亜携帯用増幅器」は、小型のトランクケースに増幅器とスピーカーを内蔵し、持ち運びのできる簡易拡声器として人気があったそうだ。他にもレコード録音装置などさまざまな音響製品を生み出していった同社だが、中心となったのは、拡声装置(アンプとスピーカー)であり、その専業メーカーとして発展をしていく。拡声装置のスピーカーとして当時使われていたのが、ホーン型のスピーカー。ドライバーユニットに徐々に広がる筒、ストレートホーンを取り付けたものである。この筒の設計により、特定の周波数の音を大きく、遠くまで指向性を持たせて届けることができるという特徴を持っている。 TOAが大きく発展するきっかけとなったのがこのホーンスピーカー。現在一般的に使われているホーンスピーカーは、リスニング用途の半円錐状のものを除けばほとんどが折り返し式ホーン。メガホンや、拡声器、選挙カーの屋根などについているものがそれである。この折り返し式ホーンはレフレックストランペットとも呼ばれる。ストレートホーンを折りたたんだ構造をしているため、全長を短くすることができ、さらにはドライバーユニットが奥まった位置にあるため防滴性能を獲得、屋外で使うにあたり優れた特徴を持っている。 このトランペットスピーカーは戦後の急速な復興に併せて大きな需要があった。同社は、黒や灰色の製品ばかりのこの市場に鮮やかな青く塗られたトランペットスピーカーを登場させ、その性能の高さも相まって高い人気を博した。青いトランペットをトレードマークに「トーアのトランペット」「トランペットのトーア」と呼ばれるまでに成長を遂げる。 1957年には、世界初となるトランジスターメガホンを発売。女性でも一人で持ち運べる拡声器としてエポックメイキングな製品となった。旅行先などでガイドさんが使っているのを記憶している方も多いのではないだろうか。いまでも、選挙の街頭演説などで見かけたりするメガホンのルーツが実は「トランペットのトーア」にある。 積み重ねた技術を音響の分野へ 1964年の東京オリンピックでは、全面的にトーアのスピーカーが使われた。東京オリンピックの開会式では世界で初めてトラック側から客席に対してPAするということが行われ、当時主流であった観客後方となるスタジアムの外側からではなく、客席に対して正対する方向からのPAは高い評価を受けた。これには、プログラムの演目に合わせてスピーカーを3分で移動させなければならない、など影の努力がかなりあったとのこと。スポーツ関連はこれをきっかけに国内のさまざまな競技場への導入が進み、お膝元である阪神甲子園球場やノエビアスタジアム神戸をはじめ全国各地でTOA製品が採用され、海外でもウィンブルドンのセンターコートなど数多くの採用実績を誇る。まさにPA=公衆拡声の技術力の高さを感じるところ。遠くまで、多くの人に明瞭な音を届ける。これを実践しているメーカーであると言えるだろう。 また、神戸のメーカーということもあって1970年の大阪万博開催の際には各所で「音によるおもてなし」を行う自動放送システムなど多くの新技術がお披露目された。この自動放送システムは、1975年の京成電鉄成田駅を皮切りに全国への導入が進んでいく。当時は、高価だったメモリーを使ったシステムでサンプラーの原型のようなものを作り、プログラム動作させていたということ。現在、駅で当たり前に流れてくる自動音声による案内放送のルーツとなるものだ。 1985年ごろからは、コンサート用のPAスピーカー、ライブハウスやディスコなどに向けたPAシステムも手掛けるようになる。これまでの「多くの人に明瞭な音を伝える」ということに加えて音質、音圧、さらには、長時間駆動しても壊れない耐久性を持った製品を開発していくことになる。ツアースピーカーには「Z-Drive」という名前が与えられ、大規模なライブ会場や屋外イベントで使われるようになる。そして、さまざまな現場に導入されるスピーカーのチューニングを行うために、世界初となるDSPを使ったサウンドデジタルプロセッサー「SAORI」を誕生させる。 この当時デジタルエフェクターは登場していたが、イコライザーやディレイ、コンプレッサーなどでサウンドチューニングをするためのデジタルプロセッサーはTOAが世界で最初に製品化をしている。このプロセッサーは主に設備として導入されるスピーカーの明瞭度を上げるためのチューニングに使われており、今では当たり前になっているDSPによるスピーカーチューニングの原点がここにある。デジタルコンソールに関しても1990年にix-9000というフルデジタルコンソールをウィーン国立歌劇場のトーンマイスターたちとともに作り上げた。音楽という芸術を伝え、楽しむためのスピーカー、そういった分野へのチャレンジも行われてきたことがわかる。 そして、TOAの中心となるもうひとつの分野が非常用放送設備。火災報知器に連動して室内にいる人々に警告を発したり、業務用放送を非常放送に切り替えたりという、国内では消防法で定められた多くの公共空間に設置されている設備である。人の命を守る音、「聞こえなかった」ということが人命に関わる重要な設備だ。今回お話を伺った松本技監が、「TOAの作る音は音を楽しむ(音楽)ためのものではなく、人の命を守る「音命(おんみょう)」だと再三に渡り言われていたのが印象的。耐火、耐熱性を持たせたスピーカーの開発、アンプ等の放送設備の耐久性・堅牢性へのこだわり、そのようなクリティカルな現場で培われた製品の品質、人命という何よりも重いものを預かる使命に基いた製品の製造を行ってきたということがTOAのもう一つの顔である。 TOA製品に息づくスピリット さまざまな分野へのチャレンジスピリット、そして非常用設備に始まる失敗の許されない現場への製品供給、そんな土台があったからこそオリンピックや万博などでの成功があったと言える、まさに設備音響としてのトップブランドの一つである。そのチャレンジスピリットを象徴するものとして「超巨大PA通達テスト」についてのお話を伺えた。 音を遠くまで届けるということは、一つのテーマである。その実験のために、口径3メートル、全長6.6メートルという巨大なストレートホーンを製作。巨大なアンプとドライバーにより、音をどれほど遠くまで届けることができるかをテストした。もちろん街中では行うことができないため、いま明石海峡大橋があるあたりから淡路島に向けて実験を行ったということだから驚きだ。おおらかな時代でもあったということもあるが、対岸の淡路島の海岸線沿いにスタッフを配置し、どこまで聴こえているかを試したということだ。もう一回は、比叡山の山頂から琵琶湖に向けてのテストがあったとのこと。この際も琵琶湖の湖畔でどこまで音が聴こえるかを試したということだ。そのテスト結果はなんと最長到達距離12km!もちろん、風などの影響も受ける距離となるが、このような壮大な実験を国内で行ってしまう先達の技術者による挑戦に感銘を覚える。 写真撮影は許可されなかったが、クリティカルな現場に向けて行われる製品テスト用設備の充実度はさすがの一言。基本的に耐久テストは、壊れるまで行うということを基本に、実際の限界を確認しているということだ。電力に対する負荷テストはもちろん、現代社会にあふれる電波、電磁波に対する試験を行うための電波暗室、物理的な耐久性を確かめるための耐震テスト、真水や塩水を製品にかけ続ける耐水、耐塩水テストなど、本当にここは電気製品を作っているところなのかと疑うレベルのヘビーデューティーな試験施設が揃っていた。 これも「音命」に関わる重要な設備、肝心なときに期待通りの動作が求められる製品を作るための重要な設備である。筆者も初めての体験だったが、電波暗室内では外部からの電磁波を遮断した状況下で、製品に電子銃で電波を当ててその動作を確認している。これは対策が脆弱な一般レベルの電子機器であれば動作不良を起こす状況で、どこまで正常動作を行えるか?影響の少ない設計にするにはどうすればよいか?昨今話題になることの多いEMS障害などへの影響を確認しているということだ。また、この実験設備の一室には工作室があり、用意された木工、金属加工などさまざまな工具で製品のプロトタイプは自分たちで作るという。まず、自らの手による技術と発想で課題解決に挑戦するという文化がしっかりと残っており、このような姿勢はTOAすべての製品に息づいているということだ。 スピーカー原器を作ろうという取り組み 東亜特殊電機製造所からスタートし、現在ではTOAとして国内の非常用放送設備のシェア50%、公共交通機関の放送設備や設備音響のトップブランドとなった同社が、なぜここに来てリファレンスモニタースピーカーを発表したのだろうか?もちろん、Z-Driveというコンサート向けのPAシステム、ウィーン歌劇場に認められたフルデジタルコンソールix-9000など伏線はあったものの、これまで、リスニング用・モニター用のスピーカーはリリースしてこなかった。 色々とお話を伺っていくと、TOAでは社員教育の一環として「音塾」というものを実施しているということだ。ここでは、社員に音に対する感性を養ってもらうためのさまざまなトレーニングを行い、1dBの音圧の違いや1Hzの周波数の違いを聴き分けられるようになるところまで聴覚トレーニングを行っているという。 ここで問題となっていたのが、人はトレーニングをすることで聴覚を鍛えることができるのだが、その違いを正確に再生できる装置がないということだ。物理的、電気的、さまざまな要因により、スピーカーには苦手な再生周波数や出力レベルが存在する。わかりやすいところで言えば共振周波数や共鳴周波数による影響である。もちろんそれだけではなく、他にもさまざまな要因があり理想とする特性を持ったスピーカーがない。そこで作り始めたのがこのME-50FSの原型となるプロトタイプの製品。まさに標準器となるスピーカー原器を作ろうという取り組みである。 デジタルの第一人者によるフルアナログ 📷右より3人目がこのプロジェクトの中心人物の一人となる松本技監。 このプロジェクトの中心人物の一人が今回お話をお伺いした松本技監。TOAの歴史の中で紹介した世界初のDSPを用いたサウンドデジタルプロセッサー「SAORI」やツアースピーカー「Z-Drive」を開発した中心人物の一人で、音声信号のデジタル処理やスピーカーチューニングに関する第一人者とも言える方である。この松本技監が究極のスピーカー製作にあたり採用したのがフルアナログによる補正回路である。デジタルを知り尽くしているからこそのデジタル処理によるデメリット。そのまま言葉を借りるとすれば「デジタル処理は誰もが簡単に80点の性能を引き出せる、しかしそれ以上の点数を取ることができない」ということだ。 デジタルとアナログの大きな違いとしてよく挙げられるのが、離散処理か連続処理か、という部分。デジタル処理を行うためには、数値でなければデジタル処理できないということは皆さんもご理解いただけるだろう。よって、必ずサンプリングという行程を踏んで数値化する必要が絶対的に存在する。しかし、連続性を持った「波」である音声を時間軸に沿ってスライスすることで数値化を行っているため、どれだけサンプリング周波数を上げたとしても「連続性を失っている」という事実は覆せない。ほぼ同等というところまではたどり着くのだが、究極的なところで完全一致はできないということである。 もう一つはデジタル処理が一方通行であるということだ。ご存知かもしれないが、スピーカーユニットは磁界の中でコイルを前後に動かすことで空気振動を生み出し音を出力している。このときに逆起電流という現象が発生する。動いた分だけ自身が発電もしてしまうということだ。これにより、アンプ側へ逆方向の電流が流れることとなる。デジタル処理においては逆方向のプロセスは一切行われない。しかしアナログ回路であれば、逆方向の電流に対しても適切な回路設計を行うことができる。 通常のスピーカー設計では影響のない範囲として捨て置くような部分にまで目を向け、その設計を突き詰めようとした際にどうしてもデジタルでは処理をしきれない領域が生まれる。ME-50FSでは、このようなことをすべて解決させるためにフルアナログでの設計が行われているわけだ。DSPプロセッサーの生みの親とも言える松本技監がフルアナログでの回路設計を行うということで、松本氏をよく知る仲間からは驚きの声が聞かれたそうだ。しかしその裏には、デジタルを知り尽くしているからこそのアナログであるという徹底したこだわりがある。デジタル処理ではどうしてもたどり着けない限りなく100点に近い、理想の性能を追い求めるための究極とも言えるこだわりが詰まっている。 こんなことをしている製品は聞いたことがない ME-50FSにおける設計思想は「スピーカーユニットをいかに入力に対して正確に動かすか」という一点に集約されている。低域再現などにおいて38cmウーハーなど大型のユニットが使われることも多いが、動作させる質量がサイズに比例して大きくなってしまうためレスポンスに優れなくなってしまう。動作する物体の質量が多ければそれだけその動きを止めるための力が必要ということだ。この問題に対してME-50FSでは10cmという小さなスピーカーユニットを採用することにした。口径は小さくしたものの、一般的な製品の3倍程度のストロークを持たせることでその対策がとられている。その低域の再生に抜かりはなく、バスレフ設計のエンクロージャーの設計と合わせて、40Hz(-6dB)という10cmユニットとしては驚異的な低域再生能力を獲得している。スピーカーユニットの質量を減らすことで理想に近い動作を実現し、ストロークを稼ぐことで正確な空気振動を生み出している。 これを実現するためのスピーカーユニットは、後述する自社工場であるアコース綾部工場で製造される。スピーカーユニット単品からコイルの巻数など、微細な部分まで専用設計にできるのが国内に工場を持つメーカーとしての強みである。さらに、専用設計となるこのスピーカーユニットは、実際にスピーカーユニット一つ一つの特性を測定しシリアルナンバーで管理しているということだ。大量生産品では考えられないことだが、ユニットごとの微細な特性の差異に対してもケアがなされているということだ。究極のクオリティを求めた製品であるというエピソードの一つである。修理交換の際には管理されたシリアルから限りなく近い特性のスピーカーユニットによる交換が行われるということ。こんなことをしている製品は聞いたことがない。 理想特性を獲得するための秘密兵器 この製品の最大の特徴となるのが各スピーカーに接続されたボックス。ここにはアナログによるインピーダンス補正回路が組み込まれている。話を聞くとアンプからの入力信号に対して、シンプルにパラレルで接続されているそうだ。まさにフルアナログでの理想特性を獲得するための秘密兵器がここである。アナログ回路であるため、中を覗いても抵抗、コンデンサー、コイルがぎっしりと詰まっているだけであり特別なものは一切入っていない。この回路によってME-50FSは理想的な位相特性、インピーダンス特性を獲得しているのだが、そのパーツ物量は一般的なスピーカーのそれを完全に逸脱している。「インピーダンス補正回路」とTOAが呼ぶこのボックスは、過去の試作基板と比べるとかなり小さくなっているそうで、実際にナレッジスクエアで見せてもらったのだが、4Uのサーバーか?と思わせるような巨大なものであった。ステレオ2ch分の回路が入っているからということではあったが、それにしても大きい。 📷ME-50FSの最大の特徴とも言えるインピーダンス補正回路のプロトタイプ。左右2ch分が一つのボックスに収まっている。これを上写真の赤いボックスにまでサイズダウンして現在の形状に収めている。 「インピーダンス補正回路」の内部のパーツはフルアナログということもあり、前述の通り抵抗、コンデンサー、コイルである。そしてそれぞれのパーツは理想の特性を求めるために吟味を重ねたもの。わかりやすく言えば、コイルは理想の数値を持ったワンオフで自社制作されたもの。抵抗は耐圧の高いメタルクラッド抵抗で、抵抗が特定の周波数以上で持つインダクタンスの影響がスピーカーとして出ないよう無誘導巻のものを用い、大入力に耐えるため熱容量に余裕のある大型のものが使われている。また、コイルは磁界を発生させるため、それらが相互に影響を及ぼさないように基板上の磁界にまで気を配り、縦横、一部のパーツは高さを変えて各パーツを配置。この結果、完全に手作業での製作となることは目に見えているが、究極のスピーカーを作るためには必要なことだというのがスタンスだ。 こういったポイント一つ一つ、すべてにおいてエビデンスのある技術を採用している。オーディオ業界においては非常に多くのプラシーボが存在しているが、良くも悪くも感覚的なものが多くを占める聴覚に頼ったものだからこその出来事。それを楽しむのも一興ではあるのだが、メーカーとして究極を追い求める際にそれらプラシーボは一切排除しているということだ。すべての設計、パーツの取付一つにおいても、すべてにおいて裏付けのある理由があり、必要であればそのエビデンスも提供できるようになっているということである。 スピーカーとしての完全体 こだわりの結晶体とも言えるこのスピーカー。そのポイントを挙げ出したらきりがないのだが、もう一つだけ紹介しておこう。「インピーダンス補正回路」とスピーカー本体を接続するケーブル。これもケーブル自体の持つインダクタンスの値を計算し、スピーカー内部でパラレルに接続される箇所までの長さをミリメートル単位で計算してケーブル長が決められている。設置しやすいように、などという発想ではなくエビデンスに基いた理想の長さということで設計が行われている。 内蔵されるパワーアンプはClass Dのものが採用されている、これも理想の特性を追い求めて選択されたものだ。このClass Dアンプモジュールの選定においても、TOA社内専門家による技術評価および各種測定、耐久力試験に加え、長期間の運用及び試聴評価を経て厳選されたものが使われている。ME-50FSでは、ひとつの理想のパッケージとしてパワーアンプを内蔵としているが、ユーザーにも少しの遊びを許しているポイントがある。それが、スピーカー背面にあるスピーカーI/O端子。Lineレベルの入力であれば、内臓のパワーアンプを介してスピーカーが駆動されるのだが、内蔵のパワーアンプを切り離し、外部のパワーアンプからの入力も持っているということだ。パワードスピーカーとしてはかなり珍しい設計ではないだろうか? これこそ、このスピーカーに対する自信の現れとも言える。メーカーとしての完全なるパッケージとしての究極は、もちろん内蔵アンプであることは間違いない。しかし、外部アンプの入力を受け付けるということは、外部アンプが持つ実力を100%引き出せる「測定器」としての側面を持つスピーカーであるということでもある。一般的なパワードスピーカーではユニットの特性を補正するためにアンプ自体の出力に癖を持たせるということは少なくない。完全アナログで仕立てられたME-50FSは、どのような入力が来たとしても完全に理想的な動作をするという「スピーカーとしての完全体」を体現しているのである。 アコース綾部工場 TOAの国内の製造拠点であるアコース綾部工場。すでに大量生産品はインドネシアの工場に移行しているが、ハイエンド製品、少量生産品などは国内でひとつずつ手作業で作られている。アコース株式会社はTOA株式会社のグループ企業で、プロオーディオ機器の開発、設計、生産、出荷までを行っている。綾部工場は木工加工を中心にプロオーディオ機器を生産する拠点。もう一つの米原工場は、エレクトロニクス、電子回路などの生産を行っている。2つの工場双方ともに多品種小ロットの生産に適した工場である。 ・Made in Japan!日本のものづくり 綾部工場は、京都府の綾部市にある。明智光秀で一躍有名になった福知山市の隣町で旧丹波国となる。もう少し行けば日本海に面した若狭湾、舞鶴港というあたりで、大阪から100km圏であり舞鶴若狭道で1時間強で行くことができる場所。実際のところかなりの田園風景が広がっているのだが、高速が通ってからは工業団地ができたりとそれなりの発展もしている街である。完全に余談ではあるが筆者の出生地はこの綾部市であり馴染みの深い土地である。 このアコース綾部工場は、木工加工を中心とした生産拠点ということでスピーカーエンクロージャーの生産がその中心となる。まずは、その木工加工の現場を見せていただいた。切り出し用のパネルソーや多品種小ロットの生産のためとも言えるNCルーター。多軸、かつデュアルヘッド仕様なので、複雑な加工をスピーディーに行うことができる。プログラムを読み込ませて専用の治具に材木をセットすれば、複雑化形状もあっと言う間に削り出していく。設計で想定した通りの材料がここで切り出されることとなる。 切り出された材料は塗装工程へと回される。長いレールにぶら下げられ人の手により塗装が行われる。低温で一度乾燥させた後に一度冷やし、2階部分にある高温の乾燥室へと送られる。やはりスピーカーエンクロージャーの塗装ということで黒に塗ることが多いのだろう、飛散した塗料で黒くなったこの空間は、この工場でも印象的な空間であった。ここでは、特殊塗料による塗装など、やはり小ロット多品種に対応した工程が行えるようになっている。特別色等の特注製作などもこの工場があるからこそ実現できるということだ。 次に見せていただいたのが、スピーカーの組み立ての現場。さすがにコーン紙、フレームなどは別のところで作ったものを持ってきているとのことだが、スピーカーの心臓部とも言えるマグネットとコイルはここで作っている。巨大な着磁機が並び、製品に応じた素材に対して着磁を行いマグネットを作っている。自社で製造できるということは、磁界強度、サイズなども自由自在ということだ。そして、コイルの製作に使うコイル巻き機。アナログなこの機械はどうやら自分たちで手作りしたようだという。生産に必要なものがなければ作ってしまおうという、まさに職人魂が垣間見える。 📷(左上)スピーカーを駆動するための磁石を作るための着磁機。製造する磁石のサイズに合わせ機械がずらりと並ぶ。(右上)ボイスコイルを巻くための専用機械。過去の先達の手作りであろうということだ。(左下)完成したボイスコイル。これが、コーン紙に貼られスピーカーとなる。(右下)スピーカーユニットの組立工程。コーン紙を専用の器具で接着している。 実際にコイルを巻くところを見せていただいたのだが、スピーカーコイル用の特殊な形状の素材が使われていた。一般的な丸い線材ではなく、きしめん状の平たい銅線で巻いた際に固着するようアルコールで溶ける特殊な溶剤がコーティングされている。このきしめん状の銅線にアルコールを湿らせながら巻いていくことで、巻き終わったコイルは筒状のコイルとなる。一つずつ職人が巻いていくことで巻数は自由。ボビンの経を変えたり、線材の太さを変えることでさまざまな形状のボイスコイルを作ることが可能だ。この機械で巻き終わったコイルは、焼入れを行うことで、さらにしっかりと固着されてユニット組立工程へと渡される。ツイーター等のメタルドームもここで一つずつ手作業でプレスして整形されている。さすがにこの板金用の金型は自社製造ではないということだが、製品ごとさまざまな形状の金型がずらりと準備されていた。組立工程では一つずつ専用の治具を使いエッジ、コーン紙の貼り合わせ、ボイスコイルの接着、フレームの取付などが、ひとりの職人の手によって行われる。 次が組み立ての工程。塗装の終わったエンクロージャーにユニット、キャビネットグリル、ネットワーク回路などのパーツを組み込み、梱包までを一気に行っている。大量生産のラインであれば何人もが担当するような作業を、一人でしかも手作業で行っている。多品種小ロットということで、毎日異なる製品を組み立てているのだが、間違いのないように常にマニュアルが開かれ、工程ごとにページを捲りながら作業を進めていた。組み立てられて梱包される前には、もちろんしっかりと所定の性能が出ているかチェックがなされる。これぞMade in Japan!日本のものづくりの現場を見た思いである。 ・綾部という地をスピーカー製造の聖地に 整然と整えられたパーツ庫は、言わばTOAプロオーディオ製品の生まれ故郷。常に数万種類のパーツがストックされ、入念な生産計画に沿って生産が行われているということだ。写真を見ていただければわかるのだが、驚くほどこれらの工程に関わる職人は少ない。自動化できるところは機械に頼り、多品種に対応するため複雑な工程では、一人ひとりが多くの工程をこなすことで、少人数による生産を実現している。管理部門も含めた従業員数は28名、まさにプロフェッショナルの集団と言えるだろう。 このアコース綾部工場では、試作機の製造なども行っている。どのようなカスタムパーツも作ることができるこの拠点があるからこそ、TOAではさまざまな試作を繰り返し、クオリティの高い製品をリリースすることができている。そのための実験設備も備わっており、その一つが無響室だ。試作した製品がどのような特性なのか?それを作ってすぐにテストできる環境があるということだ。さまざまなバリエーションの試作機を作り、それをその場で実際にテストして、設計数値が実現できているかを確認する。まさに理想の開発環境と言える。無響室以外にも-20度〜180度までの環境が再現できるという恒温槽による温度変化による特性、耐久性のテストだったりといことも行える設備がある。 ほかにも試聴用の部屋もあり、実際に聴感テストも行っている。取材時はME-50FSのインビーダンス補正回路を設計するときに使ったであろう様々な治具などが置かれていた。そして、この部屋の片隅にはスピーカーコーン紙の共振測定器が置かれていた。スピーカーが振動しているときにレーザーでその表面の動きを測定し、不要な共振がないかを計測する。実際の素材を使っての実際の測定。計算だけではなく実際の製品で測定することによる正確性の追求。さまざまな素材の融合体であるスピーカーユニットであるからこそ必要とされる実地の重要さが感じられる。 TOAのものづくりの拠点、それがこのアコース綾部工場であり、この試作機を作るための理想的な環境があったからこそME-50FSが妥協を一切許さない製品として世にリリースされたのであろう。コイルの巻数一巻きにまで気を配って生産できるこの環境、理想を追い求めるための究極形である。今回ご案内いただいたTOAの皆さんもこの拠点があったからこそME-50FSは完成し、まさにここがME-50FSの故郷であると仰っていたのが印象的。この綾部という地をスピーカー製造の聖地に、その意気込みが実を結ぶのもそう遠くはなさそうだ。 📷(左)アコース綾部工場 (右)左より工場取材にご協力いただいたTOAの藤巴氏、ジーベックの栗山氏、アコース綾部工場の藤原氏、ME-50FSの生みの親とも言えるTOA技監の松本氏。 Studio BEWEST ME-50FS取材の最後に訪れたのは実際のユーザーである岡山県津山市のレコーディングスタジオBEWESTにお伺いして、実際の使い勝手やその魅力についてをお話いただいた。オーナーの西本氏はバンドマンからレコーディングエンジニアへと転身した経歴を持ち、岡山市内と津山市に2つのスタジオを構える。BEWESTの独自の取り組みなども併せてお届けしたい。 ・サウンドを生み出す立場からの目線 📷Stduio BEWEST オーナー兼エンジニア 西本 直樹 氏 岡山市から北へ60kmほどいったところに津山市はある。大阪からも中国道で150kmほどの距離だ。12年前にオープンしたこのスタジオはレコーディングから、ミックス・マスタリングまでをワンストップで行うスタジオとして稼働していたが、岡山市内に3年前に新しくスタジオを立ち上げたことで、今はミックスとマスタリングの拠点として稼働しているということだ。このスタジオの特長は、ビンテージから最新の製品までずらりと取り揃えられたアウトボードやマイクなどの機材。その機材リストの一部をご紹介すると、マイクはビンテージのNeumann U47 TUBE、オリジナルのtelefunken U47、SONY 800G、Chandler REDD Microphone、Ehrland EHR-Mなどビンテージの名機から、現行の製品まで幅広いラインナップを揃える。この選択の源泉はお話を伺っていくとレコーディングへの向かい合い方にあると感じた。 西本氏のルーツはバンドマンである。バンドのレコーディングを行っていく中で機材に興味を持つ。そしてギタリストとしてバンド活動を行っていた西本氏は、インディーズのレコーディング現場での体験で完成した作品の音に対してメジャーとの差を痛感したという。レコーディングのバジェットが違うから仕方がないと諦めるのではなく、その差は何なのか?この部分に興味を持ち、独学でレコーディングを行うようになっていったそうだ。機材が違うのであれば、同じものを使えば同じクオリティーになるのか?マイクは?マイクプリは?独学でどんどんと掘り下げていき、気が付いたらスタジオを作っていて日本中からレコーディングの依頼を受けるようになっていたということだ。 お話を聞いているとエンジニアとしてスタジオで経験を積んだ方とは、やはり視点が異なることに気付かされる。ミュージシャンの視点で、自身の音がどのような音なのかをしっかりと認識した上で、それがどのような音としてレコーディングされ作品になってほしいか?あくまでもサウンドを生み出す立場からの目線を貫いている。そのため、音がリアルなのか、なにか変質してしまっているのか?そういったところに対して非常に敏感であり、常に一定の音に対しての物差しを持って向かい合っているエンジニアである。 ・「このまま置いていってほしい」 その西本氏とME-50FSの出会いはInterBEE 2022で話題になっていたことがきっかけだとのこと。興味を抱いた西本氏がすぐに問い合わせしたところ、TOAは岡山市内のスタジオまでデモ機を持ってきてくれたそうだ。ちょうど、岡山のスタジオでウェストキャンプ@岡山というローカルのエンジニアを日本中から集めた勉強会のようなイベントを予定していたそうで、集まった10数名のエンジニアと試聴を行うことができた。その場にいた全員が強いインパクトを受け、この製品の魅力を体感したということ。やはり雑多なInterBEEの会場ででも聴こえてきたインパクトは本物であり、スタジオでの試聴でもその印象は大きく変わらなかったということだ。その後、ミックス・マスタリングをメインで行っている津山のスタジオで改めてじっくりと試聴。改めて聴き直してもその最初に感じたインパクトは変わらず購入を即決したという。すぐにでもこのスピーカーで作品づくりをしたいという思いが強くなり「購入するので、このまま置いていってほしい」とお願いしたほどだそうだ。 ちなみに、それまでメインで使っていたスピーカーは、Focal Trio11。このスピーカーは今でも気に入っているということだが、ME-50FSとの違いについてはセンター定位のサウンドのアタック感、サスティンの見え方、音の立ち方、減衰の仕方などがはっきりと見える点。これは位相が改善していくとセンター定位がどんどんとはっきりしていくという位相感の良さからくるものだろう。ME-50FSの狙い通り、といった部分を直感的に感じ取っている。 ・標準器となるサウンドの魅力 ME-50FSの導入により作業上大きく進化したことがあったそうだ。スタジオではマスタリングまでのワンストップで制作を行っているため、スタジオで作られた音源をさまざまな場所、車内や他のスピーカー環境、ヘッドフォン、イヤフォンなどで違いが出ないかを確認する作業を行っている。やはり、リスニング環境により多少の差異が生じるのは仕方がないが、イメージそのものが異なってはいないか?という部分にはかなり神経を使って仕上げているとのこと。これまでのスピーカー環境では、少なからず修正、微調整の必要があったとのことだが、ME-50FSで作業を行うようになってから、この修正作業がほとんどなくなったということだ。究極の標準器を目指して開発されたME-50FSのポテンシャルを言い表すエピソードではないだろうか。フラットである、位相変化がないということは音に色がついていないということである。そのため、他の環境であったとしてもその環境の色がつくだけで、色自体が変化するということにはならないということではないだろうか。 ほかにもサウンドとしての魅力は、奥行き感、前後の距離感、立体感などを強く感じると言う点にあるという。やはり、位相の良さ、トランジェントの良さがここには大きく影響していると感じるところだとお話いただいた。製品開発にあたりTOAがコンセプトとした部分が実際のコメントにも現れている。開発コンセプト、TOAの目指した標準器としてのサウンドが気に入った方であれば「これしかない」と思わせる実力を持った製品であると言える。 トランジェントが良い、ということは音の立ち上がりが良い、サスティンの余韻が綺麗に減衰するなどといった部分に効果的だ。これを実現するためにTOAでは10cmという小口径のユニットを採用し、ロングストローク化して最低限となる質量のユニットを使い正確にユニットを動かすということでその改善にあたっている。動き出しの軽さ、正確なユニット動作の入力に対するレスポンス。そういったことを考えるとやはりユニット自体の質量は少ないに越したことはない。打楽器などのアタック感も確実に改善しているのだが、このトランジェントの良さを一番感じるのはベースラインだという。高域に関しては他社のスピーカーもトランジェントを突き詰めているが、低域は大口径のユニットを使うため物理的に対処できないところがある。ME-50FSでは、小口径のユニットでその帯域をカバーしているため、圧倒的なトランジェント特性を低域に持たせることに成功している。 BEWESTではスピーカー補正のためにTorinnov Audioを導入している。西本氏はスピーカーを少し動したり、機材配置のレイアウトを変更するたびにTorinnovで測定を行い、自身の感覚だけではなく、測定器として何がどう変化したのかを確認しながらそのチューニングを行っている。ME-50FSを導入した際に測定を行ったところ、位相がほぼフラット!今までに見たことのないフラットな直線状の結果が表示されたということだ。これは、現在製品としてリリースされているスピーカーとしてはありえないこと。シングルスピーカーで無限バッフルといった理想的な環境であればもしかしたらそうなるかもしれない、というレベルの理想に限りなく近い結果である。位相特性は2-way / 3-wayであればそのクロスオーバー周波数付近(フィルターを使用するため)の位相のねじれ。それをME-50FSでは設計の要であるインピーダンス補正回路で解決している。また、ユニット自体の共振周波数による変化、この共振周波数はキャビネットにより生じるものもあれば、バスレフポートにより生じるものもある。スピーカー設計を行った際には、これらが基本的には絶対に生じるものであり、位相特性はかなり暴れたものになるのが普通である。言い換えれば、この位相特性がそのスピーカーの持つ音色ということが言えるのかもしれない。ME-50FSにはこれが無い。良い意味で音色を持たないスピーカーであると言えるだろう。これが、前述した他の試聴環境で聴いた際の破綻のなさに直結している。 ・アナログの持つ普遍性を再認識する 同様にウィークポイントに関してもお伺いしたが、これに関してはやはりローエンドのお話が出た。10cmという口径からくるものだと感じたが、やはり大口径スピーカーのサウンドとは違う。しかし、ME-50FSは設計の優秀さもあり、それでも40Hzあたりまではしっかりと音として出力されている。それ以上低い30Hzあたりになるとさすがに苦しいが、音程を持って人間が知覚できる範囲はカバーできていると言えるだろう。このようなこともありTrio 11から移行したばかりのころはローエンドの不足を感じていたが、この部分も量感の違いはあってもしっかりと出力されているので時間とともに慣れてしまったということだ。ただし、マスタリングという観点で考えるとやはり昨今の作品で使われる20~30Hzが欲しくなることはあるそうだ。 このスピーカーを使うエンジニアとしては、アナログだから、デジタルだからという部分に拘りは特に無い。ただ、アナログの持つ普遍性とは、変わらずにあるもの、究極を目指せるものであることを改めて認識したということだ。スタジオを作ってからずっと持ち続けてきた、モニターへの悩み。このスピーカーとの出会いによりその悩みが解消された。やはりイメージして作った音と、他のスピーカーでの再生も含めた出音の差がないというのがスタジオモニターとしての理想であり、それを実現しているこのスピーカーは革命的だという。 色々なお話をお伺いしたが、TOAの開発コンセプトがまさにエンジニアの求める理想のスピーカーであったということを裏付けるかのようなお話をいくつも聞くことができた。TOAのこれまでのスピーカー開発の技術、そのすべてが詰め込まれた結晶体とも言える1台、音の標準器となるME-50FSから出力されるサウンドがどのようなものか是非体感してみていただきたい。   *ProceedMagazine2023-2024号より転載
NEWS
2023/12/19

Dolby Atmos Album Assembler v1.3 リリース情報

Dolby Atmos Album Assembler v1.3 Dolby Atmosでミックスされた楽曲やアルバムの仕上げを簡単に行うことができるツール、Dolby Atmos Album Assemblerの最新バージョンv1.3がリリースされました。 公式サイト: https://customer.dolby.com/content-creation-and-delivery/dolby-atmos-album-assembler-v13 v1.3の主な変更点 新機能/改善: ・ プロジェクトを開いたときに、見つからないオーディオファイルへの再リンク ・ タイムライン上に見つからないクリップを表示 ・ ステレオリファレンスファイルのサンプルレート変換(サポートされているサンプルレートは44.1、48、88.2、96、176.4、192 kHzです。インポート時に、ファイルはプロジェクトのサンプルレートと32ビット深度に変換されます。) ・ Preferencesのサンプルレートセレクター(Preferencesウィンドウから、Assemblerプロジェクトのサンプルレートを設定可能) ・ LFEローパスフィルター ・ Dolby Atmosエコシステム(Dolby Atmos Renderer v5.2およびAlbum Assembler v1.3を含む)全体の新しいレンダリング処理により、空間コーディングのクラスタリング処理がレンダリング、モニタリング、ラウドネス信号チェーンから削除されました。クラスタリング処理は知覚上透明(=perceptually transparent)であったため、これによるレンダリングへの聴感上の違いは生じません。 これによる利点: - リアルタイムのレンダリングとラウドネス測定におけるCPU負荷の軽減 - オフラインラウドネス測定の高速化 ・ サイズ・メタデータのレンダリング処理が改善され、バイノーラルや小型スピーカーレイアウトへのレンダリング時に、サウンドの改善とラウドネス蓄積※の軽減を実現(※:音が過剰に重なり、聴感上の音量が上がること) ・ Dolby Atmosエコシステム全体におけるラウドネス測定の調整(すり合わせ) ・ Dolby Atmos Renderer v5.2をサポート ・ 5.1.4トリム・プログラム・レベル・メタデータのサポート(存在する場合) ・ 他のDolby Atmosコンテンツ作成ツールに合わせてUIコンポーネントを更新 修正された問題: ・ Renderer v5.2以降でステレオ・リファレンス・トラックをモニタリングする場合、モニタリング・チェインは本来のステレオをパススルーさせるため、すべてのバイノーラル処理をバイパスするようになりました。(GANYMEDE-1987)さらに、レンダラー側に"Stereo reference on"状態のステータスが表示されます。 ・ コンテンツによっては、ラウドネスを複数回測定すると、それぞれの測定結果が±0.1だけ異なることがありました。これは、同じコンテンツをAlbum AssemblerとDolby Atmos Rendererで測定しても確認できました。これは起こりうる丸め誤差でした。(ganymede-1731) ・ 過去にラウドネス測定を保存したプロジェクトでラウドネス解析を行うとき、解析をキャンセルするとラウドネス設定がデフォルトにリセットされる問題を修正しました。(ganymede-2348) ・ Dolby Atmos Renderer v5.1 において、トリム、ダウンミックス、バイノーラル Renderer モードのメタデータ変更が、(タイムスタンプされたサンプル位置ではなく)約 1536 サンプル早く発生していました。このトランジションは、前のクリップの終わり、またはクリップ間の無音のギャップで発生していました。メタデータのトランジションが正しいサンプル位置で発生するようになったため、聞き取れるようになった可能性があります。(GANYMEDE-2338) および (GANYMEDE-1549) リリースノート全文はこちら(原文): https://customer.dolby.com/content-creation-and-delivery/dolby-atmos-album-assembler-v13/release-notes システム要件 ・ Dolby Atmos Renderer v5.2以上(別途購入が必要) ※必要なコンピュータおよびOSについては、レンダラーに同梱されているマニュアルを参照してください。 ・ Dolby Atmos Renderer v5.2がサポートするMacOS VenturaまたはSonomaのバージョン ・ iLokアカウント(ライセンス認証用) 【参照】Dolby Atmos Renderer v5.2.0リリース情報: https://pro.miroc.co.jp/headline/dolby-atmos-renderer-v5-2/ 入手方法 ・90日間体験版 (Dolby Customer サイトでサインアップ&サインイン後にDL可能です) https://customer.dolby.com//content-creation-and-delivery/dolby-atmos-album-assembler-v13 ・AVIDストアでライセンス購入 https://www.avid.com/ja/plugins/dolby-atmos-album-assembler Dolby Atmos制作環境の構築、スタジオ施工に関するお問い合わせはぜひROCK ON PROまで!下記コンタクトフォームよりお気軽にお問い合わせください。 ↓ぜひこちらの記事もあわせてご確認ください https://pro.miroc.co.jp/headline/dolby-atmos-renderer-v5-2/
Music
2023/12/19

MTRX II / MTRX StudioにThunderbolt 3 Moduleが登場!〜新たなオーディオ・ワークフローを実現するシステムアップとは〜

NAMM Show 2023でPro Tools | MTRX IIとともに発表され、大きな話題となった「MTRX Thunderbolt 3 Module」。オーディオ制作者の長年の夢であったかもしれないAvidフラッグシップI/Oをネイティブ環境で使用できる日がついにやってきたことになる。MTRX Thunderbolt 3 Moduleの特徴は、MTRX II / MTRX StudioをCore Audioに接続するだけでなく、DigiLinkポートの入出力と同時にThunderbolt入出力を追加で使用できるという点にもある。つまり、1台のMTRX II / MTRX StudioにHDXシステムとネイティブDAWを同時に接続することが可能で、双方に信号を出し入れすることができるということだ。単に高品位なI/Oをネイティブ環境で使用できるようになるというだけでなく、中規模から大規模なシステム設計にまで影響を及ぼす注目のプロダクト「MTRX Thunderbolt 3 Module」を活用した代表的なシステムアップの例を考えてみたい。 Thunderbolt 3 Module 価格:135,080円(税込) MTRX IIとMTRX Studioの両製品に対応したThunderbolt 3モジュールのリリースにより、DigiLink接続によるパワフルなDSP統合環境に加えて、 Thunderbolt 3経由で実現する低レイテンシーなCore Audio環境での柔軟性も実現可能となる。Thunderbolt 3オプション・モジュール経由で、MTRX IIでの使用時に最大256ch、MTRX Studioの場合では最大64chにアクセスが可能、Core Audio対応アプリケーション等をDADmanソフトウエアにルートし、より先進的なオーディオ・ワークフローが実現できる。 シーン1:Core Audio対応DAWのI/Oとして使用 MTRX Thunderbolt 3 Moduleの登場によって真っ先に思いつくのはやはり、これまでHDXシステムでしか使用できなかったMTRX II / MTRX Studioをネイティブ環境でI/Oとして使用できるようになったということだろう。Logic Pro、Nuendo、Cubase、Studio OneなどのCoreAudio対応DAW環境でAvidフラッグシップの高品位I/Oを使用することができるだけでなく、巨大なルーティング・マトリクスや柔軟なモニターコントロール機能をシステムに追加することができるようになる。 もちろん、恩恵を受けるのはサードパーティ製のDAWだけではない。HDX非対応のPro Tools Intro、Pro Tools Artist、Pro Tools Studio、さらにPro Tools Ultimateをnon-HDX環境で使用している場合にも、HDXシステムで使用されるものと同じI/Fを使用することができるようになる。特に、Pro Tools Studioはこのオプション・モジュールの登場によって、そのバリューを大きく拡大することになる。Pro Tools Studioは最大7.1.6までのバスを持ち、Dolby Atmosミキシングにも対応するなど、すでにイマーシブReadyな機能を備えているが、従来のAvidのラインナップではこれらの機能をフル活用するだけのI/Oを確保することが難しかった。MTRX Thunderbolt 3 Moduleの登場によって、Avidの統合されたIn the Boxイマーシブ・ミキシングのためのシステムが完成することになる。 シーン2:HDXシステムにダイレクトにMacを追加接続 MTRX II / MTRX Studioのドライバーであり、ルーティング機能やモニターセクション機能のコントロール・アプリでもあるDADman上では、DigiLinkからのオーディオとThunderboltからのオーディオは別々のソースとして認識されるため、これを利用してDigiLink接続のMacとThuderbolt接続のMacとの間でダイレクトに信号のやりとりができる。例えば、Dolby Atmosハードウェア・レンダラーとHDXシステムのI/Fを1台のMTRX II / MTRX Studioに兼任させることが可能になる。Pro Toolsとハードウェア・レンダラーが1:1程度の小規模なミキシングであれば、I/O数を確保しながらシステムをコンパクトにまとめることができるだろう。 もちろん、Dolby Atmosハードウェア・レンダラーだけでなく、CoreAudioにさえ対応していれば、スタンドアローンのソフトウェアシンセ、プロセッサー、DAWなどとPro Toolsの間で信号をやりとりすることができる。シンセでのパフォーマンスをリアルタイムにPro ToolsにRecする、Pro ToolsからSpat Revolutionのようなプロセッサーに信号を送る、といったことが1台のI/Fでできてしまうということだ。Thuderboltからのソースはその他のソースと同様、DADman上で自由にパッチできる。使い方の可能性は、ユーザーごとに無限に存在するだろう。(注:MTRX StudioのThuderbolt 3 I/Oは最大64チャンネル。) シーン3:Dolby Atmosハードウェア・レンダラーのI/Fとして使用 シンプルに、HDXシステムとDolby Atmosハードウェア・レンダラーのそれぞれにMTRX IIを使用することももちろん可能だ。HDX側のMTRX IIからDanteでレンダラーに信号を送り、レンダラー側のMTRX IIからモニターセクションへ出力することになる。大規模なシステムの場合、複数のプレイアウトPro Toolsからの信号を1台のMTRX IIにまとめると、オプションカードスロットがDigiLinkカードで埋まってしまい、アナログI/Oをまったく確保できないことがある。ハードウェア・レンダラーのI/FとしてMTRX IIを採用した場合には、その空きスロットを利用して外部機器とのI/Oを確保することができる。MTRX II同士をDanteで接続していればひとつのネットワークにオーディオを接続できるので、Dante信号としてではあるがメインのMTRX IIからコントロールすることも可能だ。 NAMM Show 2023での発表以来、多くのユーザーが待ちわびたプロダクトがついに発売開始。In the Boxから大規模システムまであらゆる規模のシステムアップを柔軟にすることができるモジュールの登場により、ユーザーごとのニーズによりマッチした構成を組むことが可能になった。新たなワークフローを生み出すとも言えるこの製品、システム検討の選択肢に加えてみてはいかがだろうか。   *ProceedMagazine2023-2024号より転載
Sales
2023/12/16

ONKIO Acousticsが20%OFFのクリスマスセール開催!

数多くのアーティストに長年愛されてきたレコーディングスタジオ「音響ハウス」のStudio No.1、No.2 の“フロアの鳴り” を忠実に再現したリバーブプラグイン「ONKIO Acoustics」が、20%OFFとなるクリスマスセールを開催! ONKIO Acousticsは、株式会社ソナ/オンフューチャー株式会社の中原雅孝氏が開発したVSVerbテクノロジーによる、素材に対して不要な音色変化が生じない高品位なリバーブです。ver1.2から音響ハウスの音を知る名だたるエンジニア陣が設計したプリセットが追加されており、日本のポップスを彩る音響ハウスの「鳴りと響き」をすぐに引き出してお使いいただけます! セール詳細 [セール期間] 2023年12月16日 〜 2023年12月25日 [セール価格] ¥10,780→ ¥8,624 (本体価格:¥7,840) Rock oN Line eStoreで購入>> < 動作環境 > ■OS - Mac macOS 10.14.6 - macOS 12(64-bit) - Intel Mac , Apple M1対応 - Windows10 , Windows11 ※32-bit版のOSとホストDAWアプリケーションはサポートされておりません ■認証方式 - iLokライセンス認証(iLok 2、iLok 3、マシンオーソライズ対応) ■対応DAW&プラグインフォーマット - AAX Native / VST3 / AU (全て64-bitのみ対応) 音響ハウス レコーディングエンジニアの中内氏によるONKIO Acoustics解説・実践動画から、実際の使用イメージもご確認ください!
Support
2023/12/15

Dolby Atmos Renderer v5.2.0リリース情報 〜 レンダリング処理の改善 やMac Studio M2 Ultra / macOS 14.1.1に対応 〜

Dolby Atmos Renderer v5.2.0 がリリース レンダリング処理の変更による改善 Dolby Atmos Rendererの最新バージョンv5.2.0がリリースされました。今回のリリースではレンダリング処理の変更を伴いますので、アップデートをご検討される方は必ず本記事を最後までお読みください。 公式サイト: https://customer.dolby.com//content-creation-and-delivery/dolby-atmos-renderer-v520 v5.2.0の主な変更点 新機能/改善: ・ Dolby Atmosエコシステム(Dolby Atmos Renderer v5.2およびAlbum Assembler v1.3を含む)全体の新しいレンダリング処理により、空間コーディングのクラスタリング処理がレンダリング、モニタリング、ラウドネス信号チェーンから削除されました。クラスタリングの廃止は、クラスタリング・プロセスが知覚上透明(=perceptually transparent)であったため、レンダリングに聴感上の違いは生じません。 これによる利点: - リアルタイムのレンダリングとラウドネス測定におけるCPU負荷の軽減 - オフラインでのラウドネス測定とADM BWF .wavファイル書き出しの高速化 ・ サイズ・メタデータのレンダリング処理が改善され、バイノーラルや小型スピーカーレイアウトへのレンダリング時に、サウンドの改善とラウドネス蓄積※の軽減を実現(※:音が過剰に重なり、聴感上の音量が上がること) ・ Dolby Atmosエコシステム全体におけるラウドネス測定の調整(すり合わせ) ・ "Speaker calibration"ウィンドウのキーボードナビゲーションを改善 ・ MP4エクスポートでハイフレームレートのビデオをエクスポート ・ "Trim and downmix"ウィンドウで、5.1.4仕様のトリムをサポート ・ Dolby Atmos Album Assembler v1.3をサポート ・ Album Assemblerがステレオのリファレンスファイルをモニターしているときにそのステータスを表示 ・ Mac Studio 14,14 M2 Ultraに対応 ・ macOS 14.1.1をサポート 修正された不具合: ・ 一部のコンテンツで、ラウドネスを複数回測定すると、それぞれの測定結果が+/- 0.1だけ異なることがありました。これは、Dolby Atmos Rendererで同じコンテンツを測定した場合にも見られます。これは起こりうる丸め誤差でした。(PRAU-4305) ・ 旧バージョンのレンダラーを開いているときに Windows に Dolby Atmos Renderer をインストールすると、インストール中に旧バージョンが開いたままになり、新規インストール完了後に不安定になることがありました。(PRAU-2681) ・ 5.1.2 マルチチャンネルインターリーブ形式のリレンダリングを書き出すとき、 WAVEEX ラベルが含まれていませんでした。(PRAU-5984) 完全に解消された不具合: ・ 空間コーディングエミュレーションとスナップメタデータが同時にアクティブな場合、ゾーンマスキングメタデータが無効になっていました。(PRAU-2653) ・ 空間コーディングエミュレーションがオフの状態でステレオ(2.0)で モニターすると、トリムとダウンミックスの設定が適用されていませんでした。(PRAU-3685) リリースノート全文はこちら(原文):https://customer.dolby.com/content-creation-and-delivery/dolby-atmos-renderer-v520/release-notes 注意:V5.2.0以降ではレンダリングの処理に一部変更があります。 今回発表のV5.2.0以降、空間コーディングのクラスタリング処理が排除されるとのことです。それにより、この移行期間中、新しいレンダリングプロセスと以前のプロセスでコンテンツを測定した場合、ラウドネス測定値がわずかに異なる可能性があることに注意が必要とのことです。この結果はコンテンツに大きく依存するため、Dolbyは全ユーザーへのDolby Atmos Renderer v5.2およびDolby Atmos Album Assembler v1.3へのアップデートを推奨しています。また各DAWに搭載されているネイティブレンダラーについても最新バージョンへのアップデートが推奨されるとの記載があります。(※動作テスト済みのマシン/OS/DAWとなっているかにつきまして、以下"システム要件"より必ずご確認をお願いします。) 重要:先日、2023.12でPro Toolsに統合レンダラーが内蔵されましたが、今回のDolby Atmos Renderer 5.2.0の動作確認済みDAWの対象となっているのは、現時点でPro Tols 2023.9までとなっておりますのでご注意ください。なお、現在AVIDへ問い合わせ中のため、新たな情報が入り次第、本ページへの記載を更新します。(2023.12.15現在) 現在、Dolby Atmosコンテンツ制作ツールでモニタリングとラウドネス測定の両方に使用されているレンダリングプロセスには、空間コーディングのクラスタリングプロセスが含まれています。Dolby Atmos Renderer v5.2、Dolby Atmos Album Assembler v1.3、および今後リリースされるパートナーのデジタル・オーディオ・ワークステーション(DAW)から、モニタリングとラウドネスの両方のシグナル・チェーンからクラスタリングを取り除く最新のレンダリング・プロセスに移行します。この変更にはいくつかの利点があり、ラウドネス測定にも影響があります。 >> Dolby Atmos Renderer v5.2 is Now Available (原文) https://professionalsupport.dolby.com/s/article/Dolby-Atmos-Renderer-v5-2-is-now-available?language=en_US 新しいレンダリングプロセスの詳細については、以下のリンクをクリックしてお読みください: >>Dolby Atmos monitoring and loudness updates for content creators (原文) https://dolby.my.salesforce.com/sfc/p/#700000009YuG/a/4u000000B3IM/yYycsBj3hEI8M.3T.tbv5L5gwKVPDcV7uwF2wcDdgQE システム要件 動作テスト済みOS Dolby Atmos Rendererは、macOS 11.7.10~14.1.1、Windows 10 Pro* およびWindows 11 Pro* でご利用いただけます。 *1台のコンピュータでDAWからDolby Atmos Rendererにオーディオをルーティングするために必要なDolby Audio Bridgeは、macOSでのみ使用可能です。 Windowsをお使いのお客様は、Dolby Atmos RendererをDAWとは別のコンピューターで実行し、DAWとの間でオーディオをルーティングするハードウェアソリューションを使用する必要があります。 サポートされるセットアップについては、公式サイトにサインアップ後閲覧可能なドキュメントを参照してください。 動作テスト済みコンピュータ ・ MacBook Pro 18,21; M1 Max 32 GB RAM ・ MacBook Pro 14,6; M2 Max 32 GB RAM ・ MacBook Pro 16,1; Intel Core i9 2.4 GHz, 32 GB RAM ・ MacBook Pro 15,1; Intel Core i7 2.6 GHz, 16 GB RAM ・ Mac Pro 7,1; 8-Core Intel Xeon, 3.5 GHz, 32 GB RAM ・ Mac Pro 6,1; 6-Core Intel Xeon E5, 3.5 GHz, 32 GB RAM ・ Mac mini 14,12; Apple M2 Pro, 16 GB RAM ・ Mac mini 9,1; Apple M1, 16 GB RAM ・ Mac mini 8,1; Intel Core i7 3.2 GHz, 16 GB RAM ・ Mac Studio 13,1; M1 Max, 32 GB RAM ・ Mac Studio 14,14 M2 Ultra, 32 GB RAM 動作テスト済みDAW レンダラーは、Dolby Atmosレンダラーと通信可能なDAW(またはその他のオーディオ録音/編集ソフトウェア)をサポートしています。 ・ Avid Pro Tools Ultimate 2022.12~2023.9 ・ DaVinci Resolve Studio 18 ・ Steinberg Nuendo 12 and 13 ・ Merging Pyramix 14 Premium (Windows) Dolby Atmos Rendererは、Dolby Atmos Music Pannerプラグインを追加することで、macOS上の他のDAWでも使用できます。 詳細はMusic Pannerのドキュメントを参照してください。 公式サイト: https://customer.dolby.com//content-creation-and-delivery/dolby-atmos-renderer-v520 入手方法 Dolby Atmos Renderer V5.0をお持ちの方、またはすでにアップグレードされている方は、Dolbyカスタマー・サポートまたはAvidアカウントの"製品"(My Products)から最新バージョンをダウンロード可能です。新規で購入の方はAVID Storeよりダウンロード購入可能です。 ◎Production Suiteからのアップグレードはこちら ◎Mastering Suiteからのアップグレードはこちら ◎新規のご購入はこちら ◎エデュケーション版はこちら Dolby Atmos制作環境の構築、スタジオ施工に関するお問い合わせはぜひROCK ON PROまで!下記コンタクトフォームよりお気軽にお問い合わせください。
NEWS
2023/12/13

Pro Tools 2023.12リリース〜Dolby Atmos Rendererを内蔵!!

Pro Tools最新バージョンであるPro Tools 2023.12がリリースされました。年間サポートが有効な永続ライセンス、または、有効なサブスクリプションライセンスをお持ちのユーザー様は、Avid Accountから最新バージョンをダウンロードしてご使用いただけます。 Pro Tools 2023.12のもっとも大きなトピックは、待望のDolby Atmos Renderer機能の内蔵!ハードウェア・レンダラーやDolby Atmos Audio Bridgeを使用した外部アプリケーションとしてではなく、Pro Toolsの機能の一部としてDolby Atmosのレンダリングが可能になりました。 その他、このバージョンでは、Pro Tools Sketch機能の拡張、トラック・マーカー機能への追加、I/O設定並びにルーティングへのカラー・コーディング、H.264ビデオへのSame As Source(SAS)バウンス、Native Instruments Sシリーズ・コントローラー対応、その他があります。 詳細は以下のAvid公式WEBサイトも合わせてご覧ください。 Pro Tools 2023.12 新機能紹介 Pro Tools Dolby Atmos Renderer Pro Tools Sketch 2023.12 新機能 主な新機能 統合型Dolby Atmos レンダラー ついに、Pro Toolsに待望のDolby Atmos Renderer機能が搭載されました。I/O設定ウィンドウに新たに追加された「Dolby Atmos」タブで設定を行うことが可能です。 新たにサポートされるDolby Atmos内部レンダラーは、Pro Tools StudioとUltimateに含まれ、セットアップ、ミキシング、モニタリングが簡素化され、イマーシブ・ミキシング・ワークフローの効率を向上させます。内部レンダラー機能を搭載することで、Dolby AtmosミックスをPro Tools内でレンダリングおよびモニターできるようになりました。 従来通り、外部レンダラーとラウンドトリップして使用する事も可能ですので、ミキシング用途やワークフローによって使い分けることも可能な統合型Dolby Atmosレンダラー機能搭載のバージョンとして、Dolby Atmos素材の仕込みや作曲段階からファイナルミックスに至るまで、幅広い用途でご活用いただけます。 新しいウィンドウでは、Atmosミックスをさまざまな視点から包括的に視覚化し、マルチスピーカーとバイノーラルのヘッドフォンモニタリングをすばやく切り替えることができます。さらに、新しいI/Oセットアップタブでは、ベッド、オブジェクト、グループ、トリム、ダウンミックスの設定が簡素化され、セッションの一部として保存され、簡単に呼び出すことができます。 Pro Tools Studioでは最大7.1.2Bedまで、Pro Tools Ultimateでは最大9.1.6BedまでのDolby Atmosレンダリングが可能です。 また、リレンダー機能は5.1、バイノーラル、ステレオを使用可能。そして、従来のDolby Atmos Rendererと同様、ラウドネス計測については5.1リレンダリングされたソースを計測している点はご注意ください。 I/O設定並びにルーティングへのカラー・コーディング I/O設定や内部バスへのルーティングを色分けすることができるようになりました。例えば、ボーカル用やドラム用などに分けて作成してあるリバーブ用のバスを色分けしておくことで、送りたいバスを直観的かつ瞬時に選択することができるようになります。 トラック・マーカー機能拡張 2023.6 リリースで導入されたトラックマーカー機能を使用すると、ユーザーはトラック内に詳細な色分けされたコメントを追加して、音楽とオーディオの両方のポストワークフローを改善できます。 2023.12 では、この機能をベースに、より多くのマーカー・ルーラーで視認性を高め、各ルーラーに特定の目的を持たせて、テキストを表示するスペースを増やすことができます。トラックマーカーは、改善された並べ替え機能とフィルタリングオプションにより、「メモリー・ロケーション」ウィンドウ内でも、より簡単に見つけることができるようになりました。 Pro Tools Sketch 機能強化 2023.12ソフトウェア・リリースでは、SketchとPro Toolsセッション間の新しい相互運用性が導入され、新しいオーディオ・エフェクトが追加され、MIDIワークフローの改善などが追加されています。 MIDIクリップをスケッチ・ウィンドウからPro Toolsのタイムラインにドラッグすると、さらに操作するためにMIDIとして保持するか、オーディオとしてレンダリングするかを選択できるようになりました。逆に、Pro ToolsからSketchウィンドウにオーディオ・クリップをドラッグする際に、処理されたサウンドを維持するために、シグナル・チェーン全体(プラグイン処理、Elastic Audio、クリップ・エフェクトなどを含む)をレンダリングするオプションが追加されました。 このリリースでは、Sketchでクリップを微調整する新しい方法を提供するフィルターゲートエフェクトも追加されています。最後に、デスクトップのメディア・ブラウザーの改善により、ループやサンプルへのアクセスが容易になります。SketchをPro Toolsセッションに直接埋め込むこともできるようになりました。 全Pro Toolsサブスクリプション新規が20%オフ!Avid年末プロモーション開催中!! 最新バージョンがリリースされたばかりのPro Tools。Artist、Studio、Ultimateの全サブスクリプション(アカデミック版を除く)が対象の年末プロモーションも開催中! サブスクリプションは新規と更新に価格差がないので、「今すぐ最新バージョンを使いたい!」という方はぜひ本プロモーションのご利用をご検討ください。 Avid年末プロモーションの詳細はこちらの記事でご確認ください! 9938-31154-00 Pro Tools Artist Annual Paid Annually Subscription - NEW 通常価格:¥15,290(本体価格:¥13,900) →年末プロモーション特価¥12,232(本体価格:¥11,120) Rock oN Line eStoreで購入>> 9938-30001-50 Pro Tools Studio Annual Paid Annually Subscription Electronic Code - NEW 通常価格:¥46,090(本体価格:¥41,900) →年末プロモーション特価¥36,872(本体価格:¥33,520) Rock oN Line eStoreで購入>> 9938-30123-00 Pro Tools Ultimate Annual Paid Annually Subscription Electronic Code - NEW 通常価格:¥92,290(本体価格:¥83,900) →年末プロモーション特価¥73,832(本体価格:¥67,120) Rock oN Line eStoreで購入>> オーディオ・ポストプロダクションのワークフローに大きなインパクトを与える機能が多数追加されたPro Tools 2023.12。導入、お見積のご相談はお気軽にROCK ON PROまでお問い合わせください。 ROCK ON PROでは、Pro Tools HDXシステムをはじめとしたスタジオシステム設計を承っております。スタジオの新設や機器の更新をご検討の方は、ぜひ一度弊社へご相談ください。
NEWS
2023/12/11

SSLからUSB I/O機能搭載のプリアンプ Pure Drive Quad / Octoの2機種が登場!

Solid State Logicから新製品として4chプリアンプ「Pure Drive Quad」、8chプリアンプ「Pure Drive Octo」が登場します! ORIGINにも搭載されているSSL伝統のSuperAnalogueプリアンプにさらに2つのドライブモードが追加され、USBオーディオインターフェース搭載も搭載したマルチチャンネルプリアンプです! 2種類のDRIVEモード Pure Driveは、SSLの代名詞でもあるクリーントーンを持ったSuperAnalogueプリアンプから、Classic Drive、Asymmetric Driveという2つのDRIVEモードに各CH独立して切り替えが可能です。 Classic Driveモードは、ORIGINコンソールのドライブモードと同じく、信号レベル、ゲインが上がるにつれて主に奇数倍音が付加されます。対してAsymmetric Driveモードでは、偶数倍音が発生し厚みのあるサウンドに。1つのマイクプリで3種のキャラクターを持つPure Driveは、様々なレコーディングに対応できること間違いなし! USBオーディオインターフェース機能 また本製品の大きな特徴が、最大32-bit/192 kHzの入力に対応したUSB接続のオーディオインターフェース機能です。搭載のUSBサウンドカードにより、Quadでは4chのアナログ入力(最大32bit/192KHz)と12chのデジタル出力(4 AES + 8 ADAT @44.1/48 kHz)が、Octoでは8chのアナログ入力(最大32bit/192KHz)と24chのデジタル出力(8ch AES + 16ch ADAT @44.1/48 kHz)が実現! ハイクオリティのパフォーマンスを柔軟な環境で発揮してくれる、まさに現代的なプロダクトといえます。 製品情報 SSL / Pure Drive Quad 価格:¥198,000(本体価格:¥180,000) 発売時期:12月上旬 Rock oN eStoreから入手!
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2023/12/08

SSL2/SSL2+にマイク、ヘッドフォンが付いたレコーディングパックが登場!

Solid State Logicの人気オーディオインターフェース SSL2 / SSL2+に、SSL印のコンデンサーマイクとヘッドフォンがセットになった、SSL2/SSL2+レコーディングパックが12月15日(金)に発売となります。 SSL2 / SSL2+は、24ビット/192kHz対応のオーディオインターフェース。SSLコンソール4000シリーズヘッドアンプのキャラクターを再現する「LEGACY 4Kボタン」やAKM製 AD/DA コンバーター、ICとアナログトランジスターを組み合わせた高性能プリアンプを搭載し、安価ながらもSSLクオリティのサウンドを実現した幅広い層に人気の製品です。また、2023年3月に公開されたファームウェア・アップデートにより、ループバック機能も追加されています。 SMC 80 Studio Microphone & SHP 20 Headphones ボディに刻まれたSSLの文字が特徴的なコンデンサーマイクSMC 80とヘッドフォンSHP 20は、このレコーディングパックでのみ入手できる限定製品です。 SMC 80はカプセルサイズ25mmの単一指向性マイク。最大入力音圧レベル136dB(1kHz THD1%)、S/N比78dB、セルフノイズ16dBAといったスペック。SHP 20は周波数特性15Hz-25kHz、インピーダンス32Ω、感度98±3dBの密閉型ヘッドフォンとなっています。簡易的な配信環境などを1セットで揃えることができるパッケージです。 <SSL2 Recording Pack 同梱内容> ・SSL2またはSSL2+ オーディオ・インターフェース ・ヘッドフォンSHP 20 ・コンデンサーマイク SMC 80(専用ショックマウント付き) ・2.5m XLRマイクケーブル Solid State Logic / SSL2 レコーディングパック 価格:¥49,500 (本体価格:¥45,000) 発売予定:2023年12月15日 Rock oN eStoreで予約購入!>> Solid State Logic / SSL2+ レコーディングパック 価格:¥60,500 (本体価格:¥55,000) 発売予定:2023年12月15日 Rock oN eStoreで予約購入!>> 持ち運び可能なインターフェースや、簡易的な配信/レコーディング環境をお考えの方は選択肢の一つとしていかがでしょうか。様々な用途に合わせたシステム提案は、ROCK ON PROが承ります!
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2023/12/07

【無償UPG期間情報追加】Altiverb 8発売開始!業界標準リバーブがアップデート!!

コンボリューション(畳み込み演算)リバーブ製品として、今や業界標準とも言えるプラグインの最新バージョン『Altiverb 8』のリリースが発表されました。実在する空間の音響特性によって最高レベル品質のリバーブを生成。その種類はシドニーのオペラハウスからスコットランドの地下重油貯蔵タンクまでに至ります! 世界的に有名なコンサートホール、レコーディング・スタジオ、スコアリング・ステージをはじめ、電車の駅、バスルーム、水道管の中まで世界中のあらゆる空間で収録された実際のリバーブをミックスに付加することが可能。 刷新されたブラウズ画面により、膨大なライブラリをより容易に管理することができるようになりました! 2001年の登場から、20年以上にわたりブラッシュアップを重ねてきた『Altiverb』の最新バージョンをぜひお試しください。 製品情報 ブランド:AUDIO EASE 製品名:Altiverb 8 発売日:2023年12月6日(水) ラインナップ:Altiverb 8 Regular、Altiverb 8 XL ニュースの詳細>>(国内代理店公式WEBサイト) 製品の詳細>>(国内代理店公式WEBサイト) 2023/12/7 追記 無償アップグレードについて 2022年12月1日以降にAltiverb 7をオーサライズされたユーザー様は、無償でAltiverb 8へアップグレードしていただけます。 上記期間内にAltiverb 7をオーソライズした方 こちらのリンク(AUDIO EASE 本国WEBサイト)にアクセスし、アカウントに登録されたメールアドレスを入力して進めていただきます。「8」のライセンスを認証するように促されます。 インストーラは、こちらのリンク(AUDIO EASE 本国WEBサイト)にアクセスし、アカウントに登録されたメールアドレスを入力すると、インストーラをダウンロードするリンクが記載された英文メールがメーカーから届きます。 不明点がある場合は、国内代理店であるフォーミュラオーディオへお問合せください。 Altiverb 7のライセンスをお持ちで、まだオーソライズされていない方 すでに、バージョン7のシリアルナンバーで製品をオーサライズすると、始めからバージョン8のライセンスで使用が始まります。「7」から「8」へのアップグレード作業がありません。 Altiverb 7の製品パッケージには「7」のインストーラが収められていますが、「8」のインストーラを取得していただく必要がありますのでご注意ください。インストーラのダウンロード手順は、製品同梱のPDF書面で案内されています。 販売情報 AUDIO EASE / Altiverb 8 Regular 販売価格:¥77,000(本体価格:¥70,000) ・入出力フォーマット:モノラル、ステレオ ・対応サンプルレート:最大96kHz Rock oN Line eStoreで購入>> AUDIO EASE / Altiverb 8 XL 販売価格:¥133,100(本体価格:¥121,000) ・入出力フォーマット:モノラル〜最大9.1.6ch(DAWの仕様に依る) ・対応サンプルレート:最大384kHz Rock oN Line eStoreで購入>> 各種アップグレードについて Altiverb 8には、旧バージョンからのアップグレード・ライセンスが用意されています。Altiverb 6 Regular、Altiverb 6 XL、Altiverb 7 Regular、Altiverb 7 XLからAltiverb 8 RegularまたはAltiverb 8 XLへのアップグレード、および、Altiverb 8 RegularからAltiverb 8 XLへのアップグレードが可能です。 アップグレード製品の価格は、決定次第、本ページに追記いたします。 2023/12/6 追記 各種アップグレードの価格が発表されました。 Altiverb 8 Regularへのアップグレード Altiverb 6 Regular to 8 Regular 販売価格:¥ 39,435 (本体価格:¥ 35,850) Rock oN Line eStoreで購入>> *旧バージョンのオーサライズに使用されたメールアドレスをお知らせください。 Altiverb 6 XL to 8 Regular 販売価格:¥ 39,435 (本体価格:¥ 35,850) Rock oN Line eStoreで購入>> *旧バージョンのオーサライズに使用されたメールアドレスをお知らせください。 Altiverb 7 Regular to 8 Regular 販売価格:¥ 14,157 (本体価格:¥ 12,870) Rock oN Line eStoreで購入>> *旧バージョンのオーサライズに使用されたメールアドレスをお知らせください。 Altiverb 7 XL から Altiverb 8 Regularへのアップグレードはございません。7 XLをご使用のユーザー様はAltiverb 8 XLへのアップグレードをご検討ください。 Altiverb バージョン5以前からのアップグレードにつきましては、個別にお問い合わせください。 Altiverb 8 XLへのアップグレード Altiverb 6 Regular to 8 XL 販売価格:¥ 95,084 (本体価格:¥ 86,440) Rock oN Line eStoreで購入>> *旧バージョンのオーサライズに使用されたメールアドレスをお知らせください。 Altiverb 6 XL to 8 XL 販売価格:¥ 53,746 (本体価格:¥ 48,860) Rock oN Line eStoreで購入>> *旧バージョンのオーサライズに使用されたメールアドレスをお知らせください。 Altiverb 7 Regular to 8 XL 販売価格:¥ 69,806 (本体価格:¥ 63,460) Rock oN Line eStoreで購入>> *旧バージョンのオーサライズに使用されたメールアドレスをお知らせください。 Altiverb 7 XL to 8 XL 販売価格:¥ 28,468 (本体価格:¥ 25,880) Rock oN Line eStoreで購入>> *旧バージョンのオーサライズに使用されたメールアドレスをお知らせください。 Altiverb 8 Regular to 8 XL 販売価格:¥ 55,660 (本体価格:¥ 50,600) Rock oN Line eStoreで購入>> *旧バージョンのオーサライズに使用されたメールアドレスをお知らせください。 Altiverb バージョン5以前からのアップグレードにつきましては、個別にお問い合わせください。 現実に存在する空間のリバーブを使用するIRリバーブを浸透させた立役者とも言える『Altiverb』。20年以上のながきにわたり業界標準の地位を守ってきた信頼に加え、ライブラリを増加させながら進化を続け、急速に増加しているイマーシブ制作にも対応した製品です! プロフェッショナルに愛用されるリバーブサウンドをぜひライブラリに追加してください。 本製品のお問い合わせをはじめ、プロフェッショナル・オーディオのご相談はお気軽にROCK ON PROまでお問い合わせください!!
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2023/12/06

Proceed Magazine 2023-2024 販売開始! 特集:今シブ大作戦

ProceedMagazine2023-2024号がいよいよ発刊です!今号の特集は「今シブ大作戦」。私たちが渋谷の地に根ざして、はや30年が経ちますが、いまその最前線にあるのはイマーシブサウンド。このムーブメントを捉えるべく、私たちは「いま渋谷でイマーシブ」→「今シブ」を掲げました。ヘッドホンでイマーシブスタジオを高精度に再現するSony 360 Virtual Mixing Enviroment、やはり欠かせないスピーカーでの環境構築メソッド、そして活況を見せるイマーシブ制作関連ツールの数々を取り上げ、イマーシブ制作の最新情報をブラッシュアップします。そのほか、弊社特派員(?)による世界最大の音響研究所Fraunhofer IISのレポートや現地公共放送局SWRのスタジオ訪問など、普段お目にかかれないドイツメディアの舞台裏もご紹介します。過去最大級のボリュームでお届けするProceedMagazine、今回も制作シーンをリードする情報満載でお届けです! Proceed Magazine 2023-2024 特集:今シブ大作戦 今シブ大作戦。 今、渋谷でイマーシブ。最先端を行く感性豊かなクリエイターを惹きつけ、グローバルに情報を発信する渋谷。私たちメディア・インテグレーションが渋谷の地に根ざしてから早くも30年以上の月日が経とうとしています。振り返れば機材の変遷もさることながら、いまそのフロントラインにあるのはImmersive Sound。立体音響のムーブメントが押し寄せ、制作サイドはもちろんリスナー側においても、これまでヒトが得てきた音場環境をも刷新する革新的な局面が訪れています。 ​ そこで私たちはクリエイターがそのムーブメントを乗りこなしていけるよう後押しをしていこう、と「今、渋谷でイマーシブ」→「今シブ」を掲げました。今号のProceedMagazineでは制作・リスニング環境のゲームチェンジャーとなり得るサービス「360 Virtual Mixing Enviroment」や、ワークフローを取り巻くイマーシブツール、そしてコンテンツを伝送するMPEG-Hやヨーロッパ現地での実際など、グローバルに展開する「今シブ」サウンドのいまを追いかけます。 Proceed Magazine 2023-2024 全168ページ 定価:500円(本体価格455円) 発行:株式会社メディア・インテグレーション   ◎SAMPLE (画像クリックで拡大表示) ◎Contents ★People of Sound / LAUSBUB ★今シブ大作戦 Mix Revolution 360VME / murozo / maruni studio studio m-one 今シブトラスでイマーシブ環境を構築! / いまどき今シブなツールたち。 ★次世代放送メディアのありかた ドイツメディアを支える舞台裏 Fraunhofer IIS / SWR / BFE / RIEDEL Communications ★Sound Trip RavensBourne University / IBC 2023 ★Product Inside TOA ME-50FS ★ROCK ON PRO導入事例 株式会社三和映材社 MAルーム「A2」 株式会社Cygames 大阪サウンドフォーリースタジオ ★ROCK ON PRO Technology DDM+AWS+Waves クラウドミキシング / Avid Thunderbolt 3 Module 現代サーバー事情の超整理 / しまもんの、だってわかんないんだモン!! ★Build Up Your Studio パーソナル・スタジオ設計の音響学 その28 特別編 音響設計実践道場 〜第九回 データ整理編 その2〜 ★Power of Music Bogren Digital Jens Bogren Interview 名古屋芸術大学 ドルビーアトモス配信 ROTH BART BARON New Album「8」 ★BrandNew Native Instruments / iZotope / Avid / Nugen Audio LEWITT / RME / Blackmagic Design / ISOVOX YAMAHA / ROLAND / UVI / Positive Grid / Expressive E ★FUN FUN FUN SCFEDイベのイケイケゴーゴー探報記〜! Roland Store Tokyo ライブミュージックの神髄   ◎Proceed Magazineバックナンバーも好評販売中! Proceed Magazine 2023 Proceed Magazine 2022-2023 Proceed Magazine 2022 Proceed Magazine 2021-2022 Proceed Magazine 2021 Proceed Magazine 2020-2021 Proceed Magazine 2020 Proceed Magazine 2019-2020 Proceed Magazineへの広告掲載依頼や、内容に関するお問い合わせ、ご意見・ご感想などございましたら、下記コンタクトフォームよりご送信ください。
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2023/12/05

全Pro Toolsサブスクリプション新規が20%オフ!Avid年末プロモーション開始!!

Avid Cyber Weekプロモーション終了と同時に年末プロモーションが開始されました。プロモーション内容はすべてのPro Toolsサブスクリプションとが20% OFFで手に入るというもの! Avidからの年末のギフトをどうぞ手に取ってください! Avid 年末プロモーション 概要:対象製品の販売が20% OFF 期間:2023年12月5日(火)〜2024年1月2日(火) 対象製品:Pro Tools Artist年間サブスクリプション(新規)、Pro Tools Studio年間サブスクリプション(新規)、Pro Tools Ultimate年間サブスクリプション(新規) *ROCK ON PROは2023年12月30日(土)〜2024年1月3日(水)の間は休業となりますのでご注意ください。 9938-31154-00 Pro Tools Artist Annual Paid Annually Subscription - NEW 通常価格:¥15,290(本体価格:¥13,900) →年末プロモーション特価¥12,232(本体価格:¥11,120) Rock oN Line eStoreで購入>> 9938-30001-50 Pro Tools Studio Annual Paid Annually Subscription Electronic Code - NEW 通常価格:¥46,090(本体価格:¥41,900) →年末プロモーション特価¥36,872(本体価格:¥33,520) Rock oN Line eStoreで購入>> 9938-30123-00 Pro Tools Ultimate Annual Paid Annually Subscription Electronic Code - NEW 通常価格:¥92,290(本体価格:¥83,900) →年末プロモーション特価¥73,832(本体価格:¥67,120) Rock oN Line eStoreで購入>> 世界中のプロフェッショナルが愛用するAvidクリエイティブツールをお得に入手するまたとないチャンス!ご購入、お見積りの相談はROCK ON PROまでお気軽にお問合せください。
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2023/12/04

SCFEDイベのスタジオ探報記 第8回 prime sound studio form / RockoN Webサイトにて公開中!

憧れのスタジオを訪問してスタジオの魅力、ハイエンド機材やビンテージ機材の魅力、そして“スタジオで生まれる特別なマジック”の正体について解き明かす大好評インタビューシリーズ「SCFEDイベのスタジオ探報記」。第8回は、エイベックスが運営する商業スタジオ「prime sound studio form」へスタジオ探訪しております! 『SCFEDイベのスタジオ探訪記 第8回:prime sound studio form』 >>>>記事本編はコチラ>記事本編はコチラ
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2023/12/01

残り2週間!iZotopeブラックフライデー 〜全DTMer iZotopian化計画〜進行中!!

11/15より開催されている「iZotopeブラックフライデー 〜全DTMer iZotopian化計画〜」プロモーション。12/13の開催終了まで残り2週間を切りました!いまや音楽制作に必須となったiZotope製品が、25% OFFから最大で75% OFFで手に入るビッグチャンスをお見逃しなく!! iZotopeブラックフライデー 〜全DTMer iZotopian化計画〜 期間:2023年12月13日(水)受注分まで 対象製品一覧>>
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2023/11/28

SCFEDイベのスタジオ探報記 第7回 調布レコード / RockoN Webサイトにて公開中!

憧れのスタジオを訪問してスタジオの魅力、ハイエンド機材やビンテージ機材の魅力、そして“スタジオで生まれる特別なマジック”の正体について解き明かす大好評インタビューシリーズ「SCFEDイベのスタジオ探報記」。第7回は「調布レコード」へスタジオ探訪です! 『SCFEDイベのスタジオ探訪記 第7回:調布レコード』 >>>>記事本編はコチラ>記事本編はコチラ
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2023/11/27

全Pro Toolsサブスクリプション新規、Media Composer | Ultimateが20%オフ!Avid Cyber Week プロモーション開始!!

Avid Black Fridayプロモーション終了と同時にCyber Weekプロモーションが開始されました。プロモーション内容はBlack Fridayと同様、すべてのPro ToolsサブスクリプションとMedia Composer | Ultimateが20% OFFで手に入るというもの! Avidからの初冬のギフトをどうぞ手に取ってください! Avid Cyber Weekプロモーション 概要:対象製品の販売が20% OFF 期間:2023年11月27日(月)〜12月4日(月) 対象製品:Pro Tools Artist年間サブスクリプション(新規)、Pro Tools Studio年間サブスクリプション(新規)、Pro Tools Ultimate年間サブスクリプション(新規)、Media Composer | Ultimate(新規) 9938-31154-00 Pro Tools Artist Annual Paid Annually Subscription - NEW 通常価格:¥15,290(本体価格:¥13,900) →Cyber Week特価¥12,232(本体価格:¥11,120) Rock oN Line eStoreで購入>> 9938-30001-50 Pro Tools Studio Annual Paid Annually Subscription Electronic Code - NEW 通常価格:¥46,090(本体価格:¥41,900) →Cyber Week特価¥36,872(本体価格:¥33,520) Rock oN Line eStoreで購入>> 9938-30123-00 Pro Tools Ultimate Annual Paid Annually Subscription Electronic Code - NEW 通常価格:¥92,290(本体価格:¥83,900) →Cyber Week特価¥73,832(本体価格:¥67,120) Rock oN Line eStoreで購入>> 9938-30116-00 Media Composer | Ultimate 1-Year Subscription NEW 通常価格:¥77,110(本体価格:¥70,100) →Cyber Week特価¥61,688(本体価格:¥56,080) Rock oN Line eStoreで購入>> 世界中のプロフェッショナルが愛用するAvidクリエイティブツールをお得に入手するまたとないチャンス!ご購入、お見積りの相談はROCK ON PROまでお気軽にお問合せください。
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2023/11/27

SOUND PARTICLES「ブラックフライデー/サイバーマンデー」セール開催!

コンピュータグラフィックスの概念を取り入れた独自のアルゴリズムを搭載し、全てのプラグインが最大9.1.6chまでのイマーシブオーディオ制作にも対応しているSOUND PARTICLE社が、現在「ブラックフライデー/サイバーマンデー」セールを開催中! 全製品が50%OFFで手に入れられるチャンス!ProToolsにDolby Atmos Rendererが搭載される前に、イマーシブツールをお得に揃えておきましょう! SOUND PARTICLES社 ブラックフライデー/サイバーマンデー 概要:SOUND PARTICLES全製品が50% OFF 期間:ブラックフライデー:2023年11月15日(水)19:00 〜 11月27日(月)    サイバーマンデー:2023年11月27日(月)19:00 〜 12月3日(日) 詳細なラインナップと価格は下記WEBページで! Rock oN Line eStore>> SOUND PARTICLES国内代理店フォーミュラ・オーディオWEBサイト>> https://pro.miroc.co.jp/headline/skydust-3d-sound-particles/ https://pro.miroc.co.jp/headline/sound-particles-apple-silicon-support/ https://pro.miroc.co.jp/headline/sound-particles-density/
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2023/11/27

SCFEDイベのスタジオ探報記 第6回 日本コロムビア株式会社 / RockoN Webサイトにて公開中!

憧れのスタジオを訪問してスタジオの魅力、ハイエンド機材やビンテージ機材の魅力、そして“スタジオで生まれる特別なマジック”の正体について解き明かす大好評インタビューシリーズ「SCFEDイベのスタジオ探報記」。第6回は、「日本コロムビア株式会社 スタジオ技術部」へ探訪しております! 『SCFEDイベのスタジオ探訪記 第6回:日本コロムビア株式会社』 >>>>記事本編はコチラ>記事本編はコチラ
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2023/11/27

【12/15まで】INTER BEE特別講演『AI・機械学習が創り出す新しい音と音楽』アーカイブ公開中

幕張メッセ現地会場は今年も盛況のうちに終えたInterBEE2023ですが、オンライン会場は12月15日(金)まで開催されています。現地に参加できなかった方、全て回りきれなかった方や見たい講演を見逃した方も、オンライン出展やセミナーアーカイブまでお見逃しなく! 特別講演『AI・機械学習が創り出す新しい音と音楽』 弊社プロダクトスペシャリストの前田洋介が登壇した特別講演、『AI・機械学習が創り出す新しい音と音楽』も現在アーカイブ公開中! 海外製品におけるAIや機械学習の動向をはじめ、機械学習を使った新しい音声・音楽生成、Deep Learningを用いた音生成と音楽解析技術の紹介など、最先端の事例のデモンストレーションからAI・機械学習における基礎用語まで解説した、要注目の内容となっています。 12/15(金)までアーカイブ配信中  公開は終了しました。ご視聴ありがとうございました。 [INTER BEE FORUM 特別講演] 『AI・機械学習が創り出す新しい音と音楽』 配信ページ:https://www.inter-bee.com/ja/forvisitors/conference/session/?conference_id=2373 ※コンファレンスを聴講するには来場登録(無料)及びログインが必要です。 講師:前田 洋介(ROCK ON PRO プロダクト・スペシャリスト) レコーディングエンジニア、PAエンジニアの現場経験を活かしプロダクトスペシャリストとして様々な商品のデモンストレーションを行っている。映画音楽などの現場経験から、映像と音声を繋ぐワークフロー運用改善、現場で培った音の感性、実体験に基づく商品説明、技術解説、システム構築を行っている。
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2023/11/24

【BLACK FRIDAY SALE 2023】厳選リスト公開中!by ROCK ON PRO

Rock oN Company Webサイトで公開されている、Rock oN 黒金SALE情報はすでにご覧いただいていますでしょうか? その中でも、特に日頃よりROCK ON PROをご愛顧いただいている皆さま向けに厳選した製品リストを公開中です! 期間限定、早いもの勝ちの特別価格になりますので、お見逃しのないよう必ずご確認くださいませ! BF2023 ROCK ON PRO 厳選リストはこちら 厳選リストはこちら その他 各社ブラックフライデーセール開催情報 ◎iZotope ブラックフライデー 〜全DTMer iZotopian化計画〜 ◎FLUX:: Back to Black Sale ! ◎Audiomovers製品 Cyber Month/Black Friday セール! ◎Sonnox Oxford ◎Krotos ブラックフライデーセール2023 ◎FabFilter ブラックフライデーセール2023 ◎Synchro Arts ブラックフライデーセール2023 ◎Sound Particles ブラックフライデーセール2023 こちらに掲載のセール価格は期間限定、在庫無くなり次第終了となります。少しでも気になる製品があるという方は今すぐROCK ON PROへとお問合せください!
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2023/11/22

MTRX Thunderbolt 3 Moduleが国内出荷開始!

AvidフラッグシップI/OであるPro Tools | MTRX IIおよびPro Tools | MTRX Studioをホストマシンへ直接接続することを可能にする、Pro Tools | MTRX Thunderbolt 3 Module。NAMM2023で発表され、システム設計の幅を大きく拡大するその機能に注目が集まっていた本製品がついに日本国内でも流通を開始いたしました! ROCK ON PRO・Rock oN Company店頭のほか、Rock oN Line eStoreからお買い求めいただけます。 Avid Pro Tools | MTRX Thunderbolt 3 Module 販売価格:¥ 135,080 (本体価格:¥ 122,800) Rock oN Line eStoreで購入>> MTRX Thunderbolt 3 Moduleについて Thunderbolt 3オプション・モジュールは、Pro Tools|MTRX StudioおよびMTRX IIに対応しており、MTRX Studioでは64チャンネル、MTRX IIでは最大256チャンネルの低レイテンシー接続を備えた完全なネイティブ・システムを構築することができます。 DigiLink接続を行っているPro Tools|HDXを使用している場合も、Thunderbolt 3を併用することが可能です。この場合は、Pro Toolsのオーディオ(DigiLink経由)と、他のホスト・ベースのオーディオ・アプリケーション(Thunderbolt 3経由)を双方向にルーティングすることもでき、サウンド・デザインや作曲の可能性をより創造的に広げることができます。 また、MTRX IIまたはMTRX StudioにThunderbolt経由で接続された1台のコンピューターと、HDXにDigiLink経由で接続された別のコンピューターを、一緒に接続することも可能です。 日本語製品紹介ブログ Pro Tools|MTRX IIとThunderbolt 3オプションの紹介 Thunderbolt 3 Moduleを使用すれば、MTRX II / MTRX Studio1台のみで複数のコンピューターからの信号を相互にやりとりすることができるようになり、システム構築の幅が大きく拡大します。HDXシステムとDolby Atmos RendererのI/Oを1台で完結できたり、外部からの持ち込みMac/PCからPro Toolsへ直接音声を取り込むことができるなど、運用面でのメリットも非常に大きいオプションモジュールとなっています。 デモのお問い合わせのほか、システム構築・スタジオ設計などのご相談はお気軽にROCK ON PROまでお問い合わせください。 https://pro.miroc.co.jp/headline/avid-pro-tools-mtrx-ii-proceed2023/ https://pro.miroc.co.jp/headline/avid-pro-tools-mtrx-ii-thunderbolt3-module/
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2023/11/22

【12/7(木)開催!】サウンドプロデューサーURU氏による360 Reality Audio 制作ストーリー @ Lush Hub

360 Reality Audio 作品を多数手掛けるサウンドプロデューサーURU氏が手掛けたアヤノハラグチ氏の楽曲 Moenの制作ストーリーとともにノウハウを解説、セミナー終了後には懇親会を開催いたします。これから360Reality Audio制作にチャレンジしてみたい方も、すでに制作を始めているという方も、お気軽にご参加ください! 参加申し込みフォームはこちら 開催概要 『サウンドプロデューサーURU氏による360 Reality Audio 制作ストーリー』 開催日時:2023年12月7日(木) 18:00 - 19:00 (セミナー終了後、懇親会を開催いたします) 会場:Lush Hub 東京都渋谷区神南1-8-18 クオリア神南フラッツB1F 参加費:無料(申込みフォームの提出をお願いします) 講師:URU 氏 ゲスト:アヤノハラグチ 氏 定員:先着30名様 ご参加特典:360 WalkMix Creator 30日体験版ライセンス(後日配布予定) Artistアヤノハラグチ氏がイメージした立体空間を、URU氏が360 Reality Audioフォーマットの作品として完成させるまでの技術的なポイントを、各段階でのセッション・ファイルを使用して紹介します。セミナー終了後には懇親会を実施予定ですので、他の参加者の方との情報交換の場としてお気軽にご参加くださいませ。 主なトピックス ・360 Reality Audio作品の制作を決めた理由 ・制作準備、立体空間での音のデザイン、設計 ・録音 ・ミックス作業の準備 ・ミックス時に難しいところとその対処方法 ・その他(質疑応答など) こんな方におすすめ! これから360 Reality Audio作品の制作に取り組んでみたい方 360 WalkMix Creatorを持っているがどのように作業を進めたらいいのか分からない方 360 Reality Audio制作経験者による知見、ノウハウを得たい方 他の360 Reality Audio 制作者の方と情報交換したい方 講師紹介 講師:URU 氏 Sony Music Publishing,Japan専属作家 BIZM inc.プロデューサー https://smpj.jp/songwriters/uru/ ゲスト:アヤノハラグチ 氏 アーティスト https://www.ayanoharaguchi.com/ 司会:前田 洋介 ROCK ON PRO Product Specialist 作品紹介 〜Moen / アヤノハラグチ〜 Moen / アヤノハラグチ 会場案内 LUSH HUB https://lush-hub.com/ 東京都渋谷区神南1-8-18 クオリア神南フラッツB1F 参加申し込みフォームはこちら https://pro.miroc.co.jp/headline/360ra-news/ https://pro.miroc.co.jp/2023/07/13/360vme-launch/
Event
2023/11/22

【次回12/4(月)開催】360VME体験会@MIL STUDIO 開催告知

12月4日(月)、360 Virtual Mixing Environment(360VME)の特別体験会を弊社MIL Studioにて開催いたします。 ※「360VMEって何?」という方は、まずはこちらの記事をお読みください。 ◎こんな方におすすめ 360 Reality Audio、Dolby Atmosコンテンツの制作に興味がある方 イマーシブミックスに興味があるが、制作環境の構築にお悩みの方 (例:スピーカーの選定で悩んでいる、設置環境が用意できない…etc) 汎用プロファイルでのバイノーラル再生に不満のある方 MIL Studioの音響環境でミキシングを行なってみたい方 2023年12月 360VME特別体験会@MIL STUDIO 開催概要 ◎日付:2023年12月4日(月) ◎時間:13時〜18時(開始時間については弊社よりご案内いたします。) ・1日最大5組 x3名 計15名様 ・1組あたり最大3名様までご参加可能です。ぜひお誘い合わせの上ご参加ください。 ※2名以下でお申し込みの場合、最大同時3名様まで他の参加者の方との相席とさせていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。 ・所要時間は1名様当たり約20分、1組で1時間となります。 ◎開催場所:MIL Studio – 祐天寺駅より徒歩3分 ※住所は体験会ご参加の方にのみメールでご案内いたします。 ◎お申し込み方法:下記ボタンより申込フォームを送信ください 申込フォームはこちら News!12月7日(木)には渋谷LUSH HUBにてURU氏、アヤノハラグチ氏をお迎えし、360 Reality Audio のセミナーおよび懇親会を開催予定です!こちらもあわせてご確認ください! https://pro.miroc.co.jp/headline/360ra-seminar-1207/ 本件に関するお問い合わせは下記コンタクトフォームより送信ください。 https://pro.miroc.co.jp/headline/360ra-seminar-1207/ https://pro.miroc.co.jp/headline/sony_360-vme_report/ https://pro.miroc.co.jp/headline/mdr-mv1-vme-release/
NEWS
2023/11/21

Eventideよりイマーシブプラグイン登場 & 発売記念セール開催!

デジタル・オーディオ・プロセッサーによるスタジオ音響機器の老舗メーカーEventideから、イマーシブエフェクトプラグインが新たに2つ登場しました! Eventideの歴史的なラックエフェクターにも搭載されていたBlackhole、MicroPitchという2つのエフェクトが、7.1.4chまでのイマーシブオーディオフォーマットに対応。さらに発売を記念して今なら半額以下の金額で手に入れられる特別セールも開催しております! リバーブ・プラグイン "Blackhole Immersive" BlackholeはそのアルゴリズムがラックマウントDSP4000やH8000に搭載されていたモジュレイテッド・リバーブ・プラグインです。「Gravity」コントロールは、ディケイタイムを操作でき、マイナス方向に回すと反転してリバースリバーブとして扱うことができる唯一無二の機能。リバーブ音を保持するFreezeボタンやインプットをミュートするKillスイッチなど、多彩な機能が特徴です。 イマーシブ対応のBlackhole Immersiveでは、そういった従来の機能はもちろんのこと、さらにイマーシブワークフローに合わせた機能が追加されました。各チャンネルにどれだけ信号を送るかは下部のフェーダーで簡単に操作でき、スピーカー間のリバーブの混ざり具合も「Crossfeed」で調節可能。また、フロント/トップ/リアごとに設定できるEQも追加され、洗練されたUIの中でスムーズにサウンドデザインが行えます。 Eventide / Blackhole Immersive 77,000円(税込) → 発売記念セール30,800円(税込) セール期間:11/07~12/25 (月) まで >>Rock oN eStoreで購入! ディレイ・ピッチシフター・プラグイン "MicroPitch Immersive" MicroPitchは、1976年に発売されたEventideを代表する伝説的な機材H910 Harmonizerからはじまり、歴史と共に進化を続けてきたプラグインです。 MicroPitch Immersiveでは、Left/Right、Front/Back、Top/MainそれぞれのDetuneパラメーターをTiltコントロールすることにより、非対称なデチューンを作り出すことができます。パラメーターを設定した2点間で時間軸変化させることが可能なモーフィングバーや、各チャンネルへのセンドフェーダー、イマーシブなEQなどはBlackhole Immersiveと共通した機能として搭載。高解像度なディレイにより、繊細なサウンドから非現実的なサウンドまで幅広い音作りが行えるプラグインです。 Eventide / MicroPitch Immersive 77,000円(税込) → 発売記念セール30,800円(税込) セール期間:11/07~12/25 (月) まで >>Rock oN eStoreで購入! イマーシブ制作のプラグインにまた強力な製品が加わりました。繊細な調整から飛び道具的な扱いまで様々な使い方が想像でき、Atmos Musicの制作はもちろんのことポスプロ、ゲーム制作など幅広いサウンドデザインで活躍するプラグインなのではないでしょうか!イマーシブ制作の環境構築や制作ツールのご相談はROCK ON PROまで!
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2023/11/16

Pro Toolsサブスクリプション、Media Composer | Ultimateが20%オフ!Avid Black Friday プロモーション開始!!

Avid Black Fridayプロモーションが開始されました。すべてのPro Toolsサブスクリプションと、Media Composer | Ultimateを20% OFFで手に入れるチャンス! Avidからの晩秋のギフトをどうぞ手に取ってください! Avid Black Fridayプロモーション 概要:対象製品の販売が20% OFF 対象製品:Pro Tools Artist年間サブスクリプション(新規)、Pro Tools Studio年間サブスクリプション(新規)、Pro Tools Ultimate年間サブスクリプション(新規)、Media Composer | Ultimate(新規) 9938-31154-00 Pro Tools Artist Annual Paid Annually Subscription - NEW 通常価格:¥15,290(本体価格:¥13,900) →Black Friday特価¥12,232(本体価格:¥11,120) Rock oN Line eStoreで購入>> 9938-30001-50 Pro Tools Studio Annual Paid Annually Subscription Electronic Code - NEW 通常価格:¥46,090(本体価格:¥41,900) →Black Friday特価¥36,872(本体価格:¥33,520) Rock oN Line eStoreで購入>> 9938-30123-00 Pro Tools Ultimate Annual Paid Annually Subscription Electronic Code - NEW 通常価格:¥92,290(本体価格:¥83,900) →Black Friday特価¥73,832(本体価格:¥67,120) Rock oN Line eStoreで購入>> 9938-30116-00 Media Composer | Ultimate 1-Year Subscription NEW 通常価格:¥77,110(本体価格:¥70,100) →Black Friday特価¥61,688(本体価格:¥56,080) Rock oN Line eStoreで購入>> 世界中のプロフェッショナルが愛用するAvidクリエイティブツールをお得に入手するまたとないチャンス!ご購入、お見積りの相談はROCK ON PROまでお気軽にお問合せください。
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2023/11/15

【アーカイブ映像販売中 1/4まで】Jonathan’s Mastering Bootcamp

エアロスミス、シカゴ、デヴィッド・ボウイ、ピンク・フロイド、ニルヴァーナなどを手掛け、「マスタリング界の至宝」として知られるアメリカ音楽業界屈指のマスタリングエンジニアJonathan Wyner氏を講師に迎え、キング関口台スタジオにて実施します。 計5時間(休憩含)近くに及ぶ今回のセッションでは、氏が実際にマスタリングを手掛けた最新のリリース楽曲、そして日本のエンジニアが手がけた楽曲の双方を題材にして、始点から終点における実際の各工程を実演/解説します。 主なマスタリングツールとしてiZotope Ozone 11を使用し、各工程がどのような判断に基づき、設定をされたのかを解説。そして日本のエンジニアによるマスタリング楽曲を氏がどのように紐解くのか、その捉え方やアドバイスは必見です。 今回は15名様限定販売(日本語通訳あり・会場参加¥19,800)にて、キング関口台スタジオコントロールルームに行なわれるセミナーにご参加いただけます。 会場参加のお客様には現場での質疑コーナー参加に加え、期間限定の日本語字幕収録配信URLも後日お届けいたします。当日講義に参加できない方のために、Vimeo Proでの期間限定配信URL販売も実施します。(配信は12月下旬を予定・期間限定収録配信¥9,800) 期間限定配信(12月下旬予定)を購入する Jonathan’s Mastering Bootcamp 開催概要 ※本イベントは終了しました。アーカイブ映像はMIオンラインストアにて予約販売中です。(12月下旬予定) ◎日時:11月19日13:00 〜 17:00 (休憩30分、質疑対応時間を含む) ※ 開催時間は当日の進行により変動する場合があります ◎場所:キング関口台スタジオ (Google Mapで開く) ◎価格: ・ 会場参加:¥19,800 ・ 期間限定配信:¥9,800 (日本語字幕収録版、12月下旬URL配布、約1~2週間限定の配信を予定) 著名作品を数多く手掛けるJonathan Wyner氏のテクニックをじっくり学ぶことができる、大変貴重な機会です。お見逃しなく!
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2023/11/15

InterBEE 2023 出展情報 〜コンテンツ制作の次世代ワークフローを実体験!〜

株式会社メディア・インテグレーションおよびROCK ON PROは今年も国内最大級の放送機器展InterBEE2023に出展いたします。 ◎Inter BEE 2023出展情報・会期: <幕張メッセ会場>2023年11月15日(水)〜17日(金)10:00~17:30 (最終日は17時まで) <オンライン>11月6日(月)~12月15日(金) ・場所:幕張メッセ/オンライン ・弊社展示ブース:ホール1 小間番号1610(ROCK ON PRO)、小間番号1513、1508(株式会社メディア・インテグレーション) ・入場料:無料(全来場者登録入場制) ※来場者登録はこちらから Inter BEE 公式WEBサイトはこちら>> ROCK ON PRO/MIブースの見どころ! ◎AVID Pro Tools(ROCK ON PRO) NAMM show2023で大きな話題となったMTRX Thunderbolt 3 ModuleをPro Tools | MTRX II に実装。オーディオ制作者の長年の夢であったかもしれないAvidフラッグシップI/OをCore Audioに接続したネイティブ環境でのシステムアップを実現、制作ソリューションの可能性を拡げるこのアイテムをハンズオンします。 ◎MPEG-H(ROCK ON PRO) Pro Tools 23.6でそのインストーラーが統合されたMPEG-H。次世代放送規格にも記載のあるこのフォーマット、実際の制作ツールのご案内と、何が出来るのか?その特徴とするインタラクティブ・オーディオとは一体何なのか?数年後に現実のものとなる最新技術にいち早く触れるチャンスです。 ◎Dante Domain Manager + Waves CloudMX(MI) AoIPの一つであるDanteはすでに多くの現場で活用され、日常的に使用される技術になりましたが、ローカルエリアネットワークでの運用という制約がつきまといます。せっかくのIPなのだから、インターネット経由で接続がしたいという要望が出るのは必然です。これをついに現実のものとするDante Domain ManagerとDante Connect、そして、クラウドサービスであるAWS。これらに加え、AWS上で動作するオーディオ・ミキサーWAVES Cloud MXを展開します。オーディオ制作環境の未来をご覧ください。 ◎イマーシブゾーン(MI) 本ブースの目玉の1つである「イマーシブゾーン」では実際にDolby Atmos / 360RA制作でのモニターワークフローを体験いただけます。さらに世界中どこにいても複数の共同作業者と同時にコラボレーションすることを可能とするAudiomoversもご紹介します。 ◎セミナーゾーン(MI・ROCK ON PRO) メディア・インテグレーションおよびROCK ON PROブース展示の製品に関連した最先端技術の解説、ノウハウセミナーを実施いたします。さらにFLUX SPAT Revolutionを使ったWFS(波面合成)も実演予定です。 タイムテーブルPDFはこちら [15日 16日 17日] ※上記内容は変更される場合がございますのであらかじめご了承ください。 ROCK ON PRO / MIブース セミナー情報 15日(水) 日時:2023年11月15日(水)11:10 〜 17:00 場所:プロオーディオ部門 ホール 1 小間番号 1610 セミナーゾーン ・11時10分〜 「世界をつなぐプロジェクトを実現Audiomovers LISTENTO」 講師:Mirek Stiles 氏 (Audiomovers) & Igor Maxymenko 氏 (Audiomovers) ・11時50分〜 「音楽制作もPro Tools + Sketch 〜携帯デバイスで作曲、そのままセッションファイルへ展開〜"」 講師:小笠原 一恵 氏(Avid オーディオ・ソリューション・スペシャリスト) ・13時10分〜 「Waves Cloud MX & Dante Connect:世界初クラウドベースのオーディオ・ミキサー」 講師:前田 洋介(ROCK ON PRO)& 佐藤翔太(Media Integration) ・13時50分〜 「イマーシブ制作に革命をSONY 360 VME 〜スピーカーがなくても始められる高品位イマーシブ環境〜」 講師:前田 洋介(ROCK ON PRO プロダクト・スペシャリスト) ・14時30分〜 「Waves eMotion LV1ミキサーで実演、ライブサウンドで必ず役立つWavesプラグインの使い方」 講師:出原 亮 氏(福山 Cable) ・15時10分〜 「進化を続けるPro Tools + ATMOS&RX 〜今後の必須ツールAtmos&RXが統合!その全貌に迫る〜」 講師:ダニエル・ラヴェル 氏(Avid オーディオ・ソリューション・スペシャリスト マネージャー) ・15時50分〜 「360 Reality Audioがもたらす音楽の拡張性!/ 360 WalkMix Creator™」 講師:高田 英男 氏(株式会社ミキサーズラボ 、日本音楽スタジオ協会会長) ・16時30分〜 「次世代放送規格MPEG-Hの持つ魅力 〜キーワードはイマーシブとインタラクティブ、次の音声制作はどうなるのか〜」 講師:前田 洋介(ROCK ON PRO プロダクト・スペシャリスト) ROCK ON PRO / MIブース セミナー情報 16日(木) 日時:2023年11月16日(木)11:10 〜 17:00 場所:プロオーディオ部門 ホール 1 小間番号 1610 セミナーゾーン ・11時10分〜 「イマーシブ制作に革命をSONY 360 VME 〜スピーカーがなくても始められる高品位イマーシブ環境〜」 講師:前田 洋介(ROCK ON PRO プロダクト・スペシャリスト) ・11時50分〜 「Waves Cloud MX & Dante Connect:世界初クラウドベースのオーディオ・ミキサー」 講師:前田 洋介(ROCK ON PRO)& 佐藤翔太(Media Integration) ・13時10分〜 「進化を続けるPro Tools + ATMOS&RX 〜今後の必須ツールAtmos&RXが統合!その全貌に迫る〜」 講師:ダニエル・ラヴェル氏(Avid オーディオ・ソリューション・スペシャリスト マネージャー) ・13時50分〜 「不可能を可能にするOmnibus/Injectの活用方法 Audiomovers」 講師:Mirek Stiles 氏(Abbey Road Studios) & Igor Maxymenko 氏 (Audiomovers co-founder) ・14時30分〜 「Nugen Audio新製品2種、ラウドネスメーターの超定番VisLM 3の進化と、比較試聴ツールAB Assist 2の機能紹介」 講師:山口哲(Media Integration) ・15時10分〜 「iZotope Ozone 11 Preview」 講師:青木征洋(作編曲家/ギタリスト/エンジニア) ・15時50分〜 「Abbey Road 核心の歴史」 講師:Mirek Stiles 氏(Abbey Road Studios) & Igor Maxymenko 氏(Audiomovers co-founder) ・16時30分〜 「360 Reality Audioがもたらす音楽の拡張性!/ 360 WalkMix Creator™」 講師:高田 英男 氏(株式会社ミキサーズラボ 、日本音楽スタジオ協会会長) ROCK ON PRO / MIブース セミナー情報 17日(金) 日時:2023年11月17日(金)11:10 〜 17:00 場所:プロオーディオ部門 ホール 1 小間番号 1610 セミナーゾーン ・11時10分〜 「Nugen Audio新製品2種、ラウドネスメーターの超定番VisLM 3の進化と、比較試聴ツールAB Assist 2の機能紹介」 講師:山口哲(Media Integration) ・11時50分〜 「音楽制作もPro Tools + Sketch 〜携帯デバイスで作曲、そのままセッションファイルへ展開〜」 講師:小笠原 一恵 氏(Avid オーディオ・ソリューション・スペシャリスト) ・13時10分〜 「イマーシブ制作に革命をSONY 360 VME 〜スピーカーがなくても始められる高品位イマーシブ環境〜」 講師:前田 洋介(ROCK ON PRO プロダクト・スペシャリスト) ・13時50分〜 「テクノロジーが導くエンジニアリングの未来 Audiomovers」 講師:Jonathan Wyner 氏(マスタリングエンジニア) & Igor Maxymenko 氏(Audiomovers) ・14時30分〜 「360 Reality Audioがもたらす音楽の拡張性!/ 360 WalkMix Creator™」 講師:高田英男 氏(株式会社ミキサーズラボ、日本音楽スタジオ協会会長) ・15時10分〜 「次世代放送規格MPEG-Hの持つ魅力 〜キーワードはイマーシブとインタラクティブ、次の音声制作はどうなるのか〜」 講師:前田 洋介(ROCK ON PRO プロダクト・スペシャリスト) ・15時50分〜 「Waves eMotion LV1ミキサーで実演、ライブサウンドで必ず役立つWavesプラグインの使い方」 講師:出原 亮 氏(福山 Cable) ・16時30分〜 「Waves Cloud MX & Dante Connect:世界初クラウドベースのオーディオ・ミキサー」 講師:前田 洋介(ROCK ON PRO)& 佐藤翔太(Media Integration) コンファレンス出演情報 さらに、InterBEE会期2日目となる11/16(木)のInterBEE Forum 特別講演に弊社プロダクトスペシャリストの前田洋介が今年も出演いたします。「海外製品におけるAIや機械学習の動向」をはじめ、「機械学習を使った新しい音楽生成、Deep Learningを用いたドラム音生成と音楽解析技術の紹介」、「楽曲制作や楽器演奏をサポートする編曲・楽譜AIの研究事例」など、制作業界のこれからを考える上で要注目の内容となっています。ぜひ来場者登録の上、国際会議場201会議室へとお越しください! 【タイトル】[INTER BEE FORUM 特別講演] 『AI・機械学習が創り出す新しい音と音楽』 【日時】 2023年11月16日(木) 14:30-16:00 【場所】 幕張メッセ国際会議場 2F 201会議室 【テーマ】 ・海外製品におけるAIや機械学習の動向 ・機械学習を使った新しい音楽生成、Deep Learningを用いたドラム音生成と音楽解析技術の紹介 ・楽曲制作や楽器演奏をサポートする編曲・楽譜AIの研究事例 12/15(金)までアーカイブ配信中 配信ページ:https://www.inter-bee.com/ja/forvisitors/conference/session/?conference_id=2373 ※コンファレンスを聴講するには来場登録(無料)及びログインが必要です。 講師:前田 洋介(ROCK ON PRO プロダクト・スペシャリスト) レコーディングエンジニア、PAエンジニアの現場経験を活かしプロダクトスペシャリストとして様々な商品のデモンストレーションを行っている。映画音楽などの現場経験から、映像と音声を繋ぐワークフロー運用改善、現場で培った音の感性、実体験に基づく商品説明、技術解説、システム構築を行っている。
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2023/11/07

RME製品3年保証を開始

ドイツに本拠地を置くオーディオメーカーRME。MADI関連のコンバーターやAES67 AoIPへの対応といったユーティリティ面での強みだけでなく、独自の同期テクノロジー"Steady Clock"による精密なサウンドクオリティが高く評価される老舗メーカーです。 このRMEの国内代理店であるシンタックスジャパンが、国内正規販売店にてご購入いただいた全てのRME製品の保証期間を3年まで延長するサービスを開始いたしました。 シンタックスジャパンのWEBサイトから、ご購入いただいたRME製品の製品登録を行なっていただくことで、通常の1年保証に追加で2年間の保証が延長され、購入日から3年間の製品保証が提供されます。 さらに、保証期間の延長は新しくご購入いただくお客様だけでなく、既に製品をお持ちのユーザー様も対象となります。 ※中古品、転売品、並行輸入品は対象外です。 ※本ニュースに関するお問い合わせは下記リンク先より、シンタックスジャパンへお問い合わせください。 詳細はこちら>>(シンタックスジャパンWEBサイト) RME製品はその高いサウンドクオリティとユーティリティにより、スタジオの構成機器としても非常に人気の高いプロダクト。システム設計やスタジオ構築のご相談は、お気軽にROCK ON PROまでお問い合わせください。
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2023/11/06

ONKIO Acousticsが20%OFFのブラックフライデーセールを開催!

数多くのアーティストに長年愛されてきたレコーディングスタジオ「音響ハウス」のStudio No.1、No.2 の“フロアの鳴り” を忠実に再現したリバーブプラグイン「ONKIO Acoustics」が、20%OFFとなるブラックフライデーセールのお知らせが届きました! ONKIO Acousticsは、株式会社ソナ/オンフューチャー株式会社の中原雅孝氏が開発したVSVerbテクノロジーによる、素材に対して不要な音色変化が生じない高品位なリバーブです。サンプリング収録は音響ハウススタッフ総出で行われ、音響ハウスのエンジニア自身も使用しているという再現度はお墨付きのサンプリングリバーブを、この機会に是非お買い求めください! セール詳細 [セール期間] 2023年11月1日 〜 2023年11月30日 [セール価格] ¥10,780→ ¥8,624 (本体価格:¥7,840) Rock oN Line eStoreで購入>> < 動作環境 > ■OS - Mac macOS 10.14.6 - macOS 12(64-bit) - Intel Mac , Apple M1対応 - Windows10 , Windows11 ※32-bit版のOSとホストDAWアプリケーションはサポートされておりません ■認証方式 - iLokライセンス認証(iLok 2、iLok 3、マシンオーソライズ対応) ■対応DAW&プラグインフォーマット - AAX Native / VST3 / AU (全て64-bitのみ対応) 音響ハウスの音を手にいれる絶好のチャンス!VSVerbテクノロジーの詳細なども掲載されている開発陣へのインタビュー記事を読めば、さらに興味を持っていただけると思います! https://pro.miroc.co.jp/solution/onkio-acoustics-proceed2023/ https://pro.miroc.co.jp/headline/onkio-acoustics/
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2023/11/02

360 Reality Audio クリエイター向け最新情報ピックアップ!

360 Reality Audio クリエイター向け最新情報を随時ご紹介いたします。新しい情報が上部に追加されていきますので、ぜひブックマーク登録してご利用ください。 また、これから360 Reality Audioの制作を始めたい方向けの情報は以下ページにてまとめています。こちらもぜひご覧ください。 >>【360RA入門】これから360 Reality Audio 制作を始めるあなたに役立つ情報サイトまとめ 【12/7(木)開催!】サウンドプロデューサーURU氏による360 Reality Audio 制作ストーリー @ Lush Hub (2023/11/27) 12月7日(木)18時より、360 Realiry Audio制作についてのセミナーが渋谷Lush Hubにて開催されます。セミナー終了後には今シブ懇親会も開催!詳細は下記ページよりご確認ください。 https://pro.miroc.co.jp/headline/360ra-seminar-1207/ https://pro.miroc.co.jp/headline/360ra-seminar-1207/ 【次回12/4(月)開催】360VME体験会@MIL STUDIO 開催告知(2023/11/27) 次回の360VME体験会は12月4日(月)に開催されます。イマーシブ制作用の汎用バイノーラルプラグインで自分にあったものがないとお悩みの方、ぜひ一度360VMEを体験してみてください!参加費無料、下記ページからお申し込みフォームの提出をお願いします。 https://pro.miroc.co.jp/headline/360vme-trial/ https://pro.miroc.co.jp/headline/360vme-trial/ ProceedMagazine2023号にて米国LAの360VME測定スタジオをご紹介(2023/9/13) サービス開始時点で世界に3拠点用意されたSONY 360 VME(Virtual Mixing Enviroment)の測定スタジオ。そのLAにおける拠点、GOLD-DIGGERSの取材記事が公開されています。ボトムスピーカーを4本配置しているのが特徴的ですね! https://pro.miroc.co.jp/headline/gold-diggers-proceed2023/ 360 Virtual Mixing Environment 一般申込開始のお知らせ(2023/7/13) 複数のスピーカーで構成された立体音響スタジオの音場を、独自の測定技術によりヘッドホンで正確に再現する新技術、360 Virtual Mixing Environment(360VME)。弊社MIL Studioにおけるプロファイル測定サービスがいよいよ開始しました! https://pro.miroc.co.jp/2023/07/13/360vme-launch/ 360 WalkMix Creator™を使って360 Reality Audio作品を作ろう! MI公式You Tubeチャンネルにて公開中(2023/4/24) 国内トップクラスの制作実績を持つ山麓丸スタジオ様にご協力いただき作成したチュートリアルムービーがMI公式You Tubeチャンネルにて公開されています。 基本的な操作から実践的なノウハウが目白押し!360RAクリエイターの皆さま、必見です! ・#1 360 WalkMix Creator™の立ち上げとアウトプットの設定 ・#2 マルチチャンネルをインサートするテクニック ・#3 DAWのオートメーションでのコントロール ・#4 空間表現のテクニック ・#5 DAWのフェーダーを活用したボリューム・コントロールのテクニック 360 WalkMix Creator™ V1.4.0 リリース情報、 11月1日(火)より価格改定(2022/10/17 更新) 360 Reality Audio制作ツール「360 WalkMix Creator™」の、V1.4.0がリリースされました。待望のプレイヤー機能や、ADM及びMaster ADM形式での書き出しに対応。また、11月からの値上げもアナウンスされましたので、導入をご検討中の方はこの機会をお見逃しなく! https://pro.miroc.co.jp/?post_type=headline&p=53569&preview=true#.Y00nMezP0-Q Macユーザー向け : M1チップでの動作に対応(2022/8/2更新) 2022/7/13 リリースの最新Ver 1.3.3より、M1チップ搭載のMacでの動作に対応しました。"360 WalkMix Creator.app"より、現在のバージョンをご確認の上、必要に応じてアップデートを行なってください。 システム要件(2022年8月現在) Windows® ・Windows 8/8.1 64-ビット(Standard、またはProエディション) Windows 10 64-ビット(Enterprise、ProまたはHomeエディション) ・Intel Core i5、Intel Corei7以降推奨 ・16GB RAM、32GB以上推奨 macOS ・macOS 10.15 またはそれ以降 ・Apple M1, Apple M1 Ultra, or Intel® Core i5 プロセッサー, Intel® Core i7 または AMD Ryzen™ 7 または それ以降推奨 ・16GB RAM (32GB またはそれ以上推奨) Proceed Magazine 2022 (2022/8/2更新) ROCK ON PROが年2回発行している、Proceed Magazine。最新号にて360 Reality Audio特集掲載中。以下の記事は本誌より転載されています。 https://pro.miroc.co.jp/solution/360-reality-audio-360-walkmix-creator-proceed2022/ https://pro.miroc.co.jp/headline/360-walkmix-creator-case-study-milet-proceed2022/ 今後も随時関連情報をアップデートしていきます。360 Reality Audio制作機材、スタジオ施工に関するお問い合わせは実績豊富なROCK ON PROにお任せください。下記コンタクトフォームよりご連絡をお待ちしております。 その他の関連情報はこちら https://pro.miroc.co.jp/headline/360ra-info-2022/ https://pro.miroc.co.jp/headline/gold-diggers-proceed2023/ https://pro.miroc.co.jp/solution/360vme-proceed2023/ https://pro.miroc.co.jp/headline/sony_360-vme_report/ https://pro.miroc.co.jp/2023/07/13/360vme-launch/ https://pro.miroc.co.jp/headline/360-walkmix-creator/ https://pro.miroc.co.jp/works/360studio-proceed2021-22/ https://pro.miroc.co.jp/headline/nagoyageidai-proceed2021-22 https://pro.miroc.co.jp/solution/sound-on-4%cf%80-360ra-part-1 https://pro.miroc.co.jp/solution/sound-on-4%cf%80-360ra-part-2 https://pro.miroc.co.jp/solution/sound-on-4%cf%80-360ra-part-3 https://pro.miroc.co.jp/solution/sound-on-4%cf%80-360ra-part-4
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2023/10/31

Nugen AudioからAB Assist 2が登場!A/B比較のリスニングツール

Nugen Audioから新製品、「AB Assist 2」が登場しました!複数のオーディオソースを素早く比較できる便利なリスニングツールAB Assist 2は、既に登場していた「A|B Assist」からさらにパワーアップした製品となっています。 簡単にA/B比較のリスニング・テストが行えるため、異なるテイク、ミックスを主観とバイアス抜きで比較することができます。制作時に求められる素早く正確な判断を手助けしてくれることでしょう。 A|B Assistからの進化点 比較できるオーディオソース数が2つから4つに増加 最大7.1.4までのマルチチャンネルオーディオに対応! オートレベルマッチ:ソースのLUFSをマッチングし、レベル差による影響を排除可能! モノラル・チェック:ソースをモノラル変換してのモニタリングチェック機能 ソース切り替え時のスムーズなフェード 外部センドを使用せず、複数のプラグイン・インスタンスから直接比較する信号を受信 ブラインドテスト・モード ブラインドテストモードを使う事で、よりバイアスを排除した比較が行えます。通常のリスニングモードではソースにA~Dの固有ラベルが振られるのに対し、ブラインドテストモードではW~Zのラベルが毎回ランダムで振り分けられます。ランダム配置された音源を比較し、良いと思った音源をChooseボタンで選択、複数回の比較が試行できたらRevealボタンで結果を見ることが出来ます。制作現場はもちろん、製品開発や学術分野での簡単な評価実験ツールとしても活用できるのではないでしょうか。 製品情報 Nugen Audio / AB Assist 2 販売価格:¥7,810 (本体価格:¥7,100) >>MIオンラインストアで購入 <プラグインフォーマット > AAX / VST3 / AU <システム要件> Mac OSX 10.13 (Intel)、 11.0 (M1) / 512 MB RAM Windows 10 / 512 MB RAM ※AB Assist 1をすでにお持ちの方は、メーカーサイトのアカウントページ内、My Offers and Upgradesから10ドルでAB Assist 2にアップグレードも可能です。 制作は多くの判断の繰り返しです。音源比較はAB Assist 2が、システム構築はROCK ON PROがサポートいたします!
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2023/10/26

【在庫限り】限定10台!Apogee Symphony I/O MKII 特価のご案内

デジタル・レコーディング黎明期からクオリティの高さに定評のあるApogge Electronics。同社のフラッグシップI/OであるSymphony I/O MK IIはその高いクオリティだけでなく、様々なホストへの接続と豊富なI/Oのカスタマイズによってあらゆる現場のニーズに柔軟に対応できる仕様が高い評価を得ています。 このSymphony I/O MK IIから、DigiLinkポートを搭載したモデルである「Symphony I/O MKII Pro Tools HD Chassis」を10台限定の特価で販売いたします! 以下のI/O構成の中からお好きなものをお選びいただき、ROCK ON PROまでお問い合わせください。 8x8x8 I/O w/8xマイクプリ 構成 ・Symphony I/O MKII Pro Tools HD Chassis 本体 ・Slot 1: 8x8 Analog I/O + 8 Mic Pre Amps + 8x8 AES オプションカード ・Slot 2: なし 通常価格:¥814,000(本体価格:¥740,000) 限定特価:¥651,200(本体価格:¥592,000) 16x16x16 I/O w/16xマイクプリ 構成 ・Symphony I/O MKII Pro Tools HD Chassis 本体 ・Slot 1: 8x8 Analog I/O + 8 Mic Pre Amps + 8x8 AES オプションカード ・Slot 2: 8x8 Analog I/O + 8 Mic Pre Amps + 8x8 AES オプションカード 通常価格:¥1,155,000(本体価格:¥1,050,000) 限定特価:¥1,039,500(本体価格:¥945,000) 8x8x8 I/O w/8xマイクプリ + 16x16アナログI/O 構成 ・Symphony I/O MKII Pro Tools HD Chassis 本体 ・Slot 1: 8x8 Analog I/O + 8 Mic Pre Amps + 8x8 AES オプションカード ・Slot 2: 16 Analog In + 16 Analog Out Module オプションカード 通常価格:¥1,243,000(本体価格:¥1,130,000) 限定特価:¥1,056,550(本体価格:¥960,500) 16x16アナログI/O 構成 ・Symphony I/O MKII Pro Tools HD Chassis 本体 ・Slot 1: 16 Analog In + 16 Analog Out Module オプションカード ・Slot 2: なし 通常価格:¥902,000(本体価格:¥820,000) 限定特価:¥721,600(本体価格:¥656,000) 32x32アナログI/O 構成 ・Symphony I/O MKII Pro Tools HD Chassis 本体 ・Slot 1: 16 Analog In + 16 Analog Out Module オプションカード ・Slot 2: 16 Analog In + 16 Analog Out Module オプションカード 通常価格:¥1,331,000(本体価格:¥1,210,000) 限定特価:¥1,131,350(本体価格:¥1,028,500) 2023年春にはI/Oカードがブラッシュアップされ、さらにサウンドクオリティを増したSymphony I/O。Dolby Atmosを始めとしたイマーシブ制作にも十分なI/Oを搭載でき、システムの中核を担えるパワフルなI/Fです。詳細なお見積もり・納期のお問合せはROCK ON PROまでお問い合わせください! その他、システム設計、スタジオ構築やデモのご相談も随時お待ちしております。
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2023/10/26

Neumann初のオーディオインターフェイスMT 48 発売開始!

1928年創業、すべてのスタジオマイクの起源であるNeumannから、新たな製品カテゴリーとなるオーディオインターフェイス「MT 48」が発売されました。 NAMM Showなどで発表・展示され、その仕様や発売日などが注目されていたMT 48は、スイスのメーカーMerging Technologiesとの緊密な連携の上に開発されました。高精度ADコンバーターは、驚異的な136dBのダイナミックレンジで動作します。これによりMT 48 は同クラスのオーディオインターフェースの4倍の解像度を実現します。 妥協のないオーディオインターフェースとして、広大なダイナミックレンジ、優れたコンバーター、プリアンプ、ヘッドホンアンプにより、音質の新しい基準を打ち立てます。 製品情報 NEUMANN MT 48 U 販売価格:¥ 330,000 (本体価格:¥ 300,000) Rock oN Line eStoreで購入>> 主な特徴 リファレンスクラスの高分解能コンバーター内蔵オーディオインターフェイス 直感的なタッチスクリーンインターフェイス 4つの内蔵ミキサー、DSPプロセッシング(EQ、ダイナミクス、リバーブ) 2系統マイク/ライン入力 2系統ライン/インスト入力 4系統アナログ出力(ステレオ) ADAT、S/PDIF、Ravenna、AES67による拡張I/O トークバック機能を内蔵した4つの独立ミキサー MT 48は、NeumannとスイスのメーカーMerging Technologiesとの緊密な連携の上で開発された製品。Merging Technologiesといえば、業務用テープレコーダーで有名なNagraにいた技術者によって設立され、ヨーロッパの放送業界におけるDAWの標準機であるPyramixをはじめ、DSD/DXD・AoIP・3Dパンナーなどの先進的なテクノロジーをいち早く取り入れた製品開発と、何よりもその圧倒的なサウンドクオリティとそれを実現するAD/DA技術の高さで有名なメーカー。 そうしたMerging Technologiesの協力により、MT 48は単なるUSB-Cオーディオインターフェイス機能だけでなく、オンボードDSPによるリアルタイムプロセッシングやモニターコントロール機能、AES67に準拠したRavennaやDanteなどのAoIP信号によるI/O拡張機能など、まるでミキサーのような機能を備え、それらをタッチパネルによって直観的に操作可能とします。 Gallery 言わずと知れたマイクロフォンのメーカーとして高い信頼と人気を確立し、近年ではモニタースピーカーやヘッドホンなどの分野で優れた製品を数多くリリースしてきたNeumann。MT 48のリリースは、音の入出力の部分だけでなくそれらを繋ぐオーディオインターフェイスの部分にも、そのNeumannクオリティが行き渡るということを意味しています。 高精度ADコンバーターや優れた接続性を持つ製品をリリースしたということで、これまでのNeumann製品の性能をデジタルワークフローでも十分に発揮する製品が満を持して登場したという印象です。 本製品についてのお問い合わせ・見積作成、また、Pro Tools HDXシステムやスタジオ構築のご相談はお気軽にROCK ON PROまでお寄せください。
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2023/10/24

SCFEDイベのスタジオ探報記 第5回 ワーナーミュージック・マスタリング / RockoN Webサイトにて公開中!

憧れのスタジオを訪問してスタジオの魅力、ハイエンド機材やビンテージ機材の魅力、そして“スタジオで生まれる特別なマジック”の正体について解き明かすインタビューシリーズ「SCFEDイベのスタジオ探報記」。第5回にして初のマスタリングスタジオ、「ワーナーミュージック・マスタリング」にスタジオ探報しております! 『SCFEDイベのスタジオ探訪記 第5回:ワーナーミュージック・マスタリング』 >>>>記事本編はコチラ
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2023/10/23

フォーミュラ・オーディオ取扱製品が価格改定

スタジオ定番のAudio Easeをはじめ、DSpatial、Sound Particlesといったメーカーのプラグインを国内販売するフォーミュラ・オーディオから、価格改定のお知らせが届きました。 旧価格でのお求めはお早めにどうぞ! 対象:2023年11月1日(水)出荷分より 主要製品の価格改定情報 ◎Audio Ease Altiverb 7 XL ¥126,500(税込) → ¥133,100(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> Altiverb 7 Regular ¥74,800(税込) → ¥77,000(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> indoor ¥104,500(税込) → ¥108,900(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> Speakerphone 2 ¥60,500(税込) → ¥62,700(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> 360pan suite 3 ¥39,600(税込) → ¥41,800(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> Altiverb 7 XL from 7 Regular ¥58,300(税込) → ¥60,500(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> ◎IOSONO Anymix Pro ¥42,900(税込) → ¥43,450(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> ◎DSpatial Reality VR ¥75,900(税込) → ¥78,100(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> Reality Builder ¥431,200(税込) → ¥447,700(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> ◎Sound Particles SkyDust 3D ¥55,000(税込) → ¥59,400(税込) (リリースセール25%OFFは継続) Rock oN Line eStoreで購入>> 上記以外の製品についてはROCK ON PRO営業担当者、または、Rock oN Companyまで個別にお問合せください。 業界標準のプラグインとして愛用者も多いAudio Ease社製品は、アップグレード版も改定の対象となっています。導入、アップグレードをご検討中の方はお早めにお問合せください。
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2023/10/23

【無金利キャンペーン】Avid Special 2Weeks!100万円以上のご購入で36回分割払が無金利!10月31日まで

現在、Rock oN Companyでは、AVID製品を100万円以上購入で36回まで無金利となるお得なキャンペーンを実施中です。100万円未満でも24回まで無金利!この機会をぜひお見逃しなく! AVID製品がスーパーバリューな2週間!! 10/31までの期間限定キャンペーン Avid製品を100万円以上ご購入で、なんと36回無金利のショッピングクレジットがご利用可能です! 100万円未満ご購入の場合は24回無金利、ショッピングクレジットをご利用されないお客様には、 100万円以上のご購入でPro Tools Ultimateアップグレード版をプレゼント!(¥57,750のバリュー) ※36回無金利をご利用希望の方はこちらからお問い合わせください! ◎【ご購入例】 以下3製品をご購入の場合、合計金額¥1,748,120(税込)、 通常金利36回払の金利手数料 ¥ 101,565 が、なんと無料!! 月々のお支払い額 ¥48,500(初回のみ¥50,620)でご購入頂けます。 ・Pro Tools | MTRX II Base unit with DigiLink, Dante 256 and SPQ ・Pro Tools | MTRX 8 Line Pristine AD card ★在庫限り旧価格! ・Pro Tools | MTRX Pristine 8 DA card ◎今なら在庫あります。即納可能! 値上げ前在庫は更にお得です!! ・MBOX Studio ★在庫限り旧価格! ・Pro Tools | Carbon Hybrid Audio Production System ・Pro Tools | Carbon Pre ★在庫限り旧価格! ・Avid S1 ・Pro Tools | Dock Control Surface ★在庫限り旧価格! ◎MTRX関連 ・Pro Tools | MTRX Studio ★在庫限り旧価格! ・Pro Tools | MTRX Base unit with MADI and Pro|Mon ★在庫限りで販売終了! ・Pro Tools | MTRX II Base unit with DigiLink, Dante 256 and SPQ ・Pro Tools | MTRX 8 Line Pristine AD card ★在庫限り旧価格! ・Pro Tools | MTRX Pristine 8 DA card ◎HDX関連 ・Pro Tools HDX Core (does not include software) ★在庫限り旧価格! ・HDX Core with Pro Tools Ultimate Perpetual License NEW ★在庫限りで販売終了! ・HDX THUNDERBOLT 3 CHASSIS,DESK ・HDX THUNDERBOLT 3 CHASSIS,RACK ★在庫限り旧価格! ・Pro Tools | Sync X ★在庫限り旧価格! Rock oN Company店頭でのご相談はこちらから↓ Rock oN 来店予約はこちら スタジオ構築のご相談、HDXシステム導入などに関しまして、ご不明な点がありましたら下記コンタクトフォームより、ROCK ON PROまでお問い合わせください! https://pro.miroc.co.jp/headline/bouce-solution-2023/ https://pro.miroc.co.jp/headline/hdx-pro-tools-ultimate-budle-end-of-sale/ https://pro.miroc.co.jp/headline/pro-tools-get-to-support-apple-silicon-m2-mac/ https://pro.miroc.co.jp/headline/pro-tools-2023-9/ https://pro.miroc.co.jp/headline/pro-tools-perpetual-new-license-get-revival/ https://pro.miroc.co.jp/headline/avid-pro-tools-mtrx-ii-proceed2023/
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2023/10/23

SOUND PARTICLES「ハロウィン・セール」開催!

コンピュータグラフィックスの概念を取り入れた独自のアルゴリズムで、画期的なサウンドを提供するポルトガルのメーカーSOUND PARTICLE社が、10月23日より「ハロウィーン・セール」を開催! 全てのプラグインがセール対象です。DensityやDopplerを含むエフェクト・プラグイン6種類をまとめたバンドル6FXも40%オフとなり、さらにお得にSOUND PARTICLES製品を揃えることも! SOUND PARTICLES社 ハロウィン・セール 概要:SOUND PARTICLES全製品が40% OFF 期間:2023年10月23日(月)19:00 〜 10月31日(火) 詳細なラインナップと価格は下記WEBページで! Rock oN Line eStore>> SOUND PARTICLES国内代理店フォーミュラ・オーディオWEBサイト>> https://pro.miroc.co.jp/headline/skydust-3d-sound-particles/ https://pro.miroc.co.jp/headline/sound-particles-density/ https://pro.miroc.co.jp/headline/sound-particles-apple-silicon-support/
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2023/10/20

LeSound 取り扱いおよびサポート終了のお知らせ

音効向けプラグイン、SpaceMotors、AudioTextureなどの製品でお馴染みのブランドLeSoundより閉業のアナウンスがありました。 これに伴い、弊社におきましてもLeSound全製品の販売およびサポートを終了いたします。 各ライセンスをお持ちの方におかれましては、ライセンスが失効することはございませんが、お使いの動作環境が対応している限りの使用となります。 突然のご案内となり恐れ入りますが、ご理解・ご了承いただけますと幸いです。 ご不明点につきましては以下のContact Formよりお問い合わせください。
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2023/10/17

【在庫あり〼】HDXカードとPro Tools Ultimate永続ライセンスのバンドル販売が終了!

2023年9月のPro Tools永続ライセンス復活に伴い、「HDX/Pro Tools Ultimate 永続ライセンス・バンドル」の販売が終了となります。販売終了時期は2023年12月31日。これ以降、HDXカードとPro Tools Ultimate永続ライセンスのバンドル販売はおこなわれませんのでご注意ください。 生産完了となる製品:Pro Tools HDX Core with Pro Tools | Ultimate Perpetual License NEW(型番:9935-71763-00) 販売終了日:2023年12月31日 メーカー希望表示価格:¥1,012,110(本体価格:¥920,100-) 旧価格在庫をお得にGet! Avid Pro Tools HDX Core with Pro Tools | Ultimate Perpetual License NEW 在庫限り特価!¥852,500(本体価格:¥775,000) 現行定価よりも約¥160,000もお求めやすい最終在庫!本記事公開時点で、残り5点のみの超特価です! バンドル生産完了後のお買い求めについて 上記バンドル製品の販売が終了して以降は、以下の製品の組み合わせで同等品をお求めいいただけます。9月の価格改定でPro Tools Ultimate永続版の新規ライセンスが値下がりしたことにより、HDXカード+Pro Tools Ultimateのバンドル製品よりも安価にお求めいただけます。 1 Pro Tools HDX Core 型番:9900-65173-00 メーカー希望表示価格:¥778,800(本体価格:¥708,000) 2 Pro Tools Ultimate Perpetual Electronic Code - NEW 型番:9938-30007-00 メーカー希望表示価格:¥231,000(本体価格:¥210,000) または Pro Tools Ultimate Perpetual Box – NEW 型番:9935-71832-00 メーカー希望表示価格:¥231,000(本体価格:¥210,000) ※本製品の国内リリースは第4四半期を予定しています。 ROCK ON PROでは、HDXシステム構築をはじめ、スタジオ設計や機材のデモなど、音に関する様々なご相談を随時お待ちしております。ぜひ、お気軽にお問合せください! https://pro.miroc.co.jp/headline/pro-tools-perpetual-new-license-get-revival/ https://pro.miroc.co.jp/headline/pro-tools-get-to-support-apple-silicon-m2-mac/
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2023/10/16

【1枚無料】GRACE design m908の購入でオプションカードが付いてくる期間限定キャンペーンが開催中!

10月16日から11月末日までにGRACE design m908 モニターコントローラーをお買い上げの方に、 もれなくm908オプションカード1枚をプレゼントする期間限定キャンペーンが開催されました! GRACE design m908は、ステレオからサラウンド、Dolby Atmosや360 Reality Audioといった最大24chまでのイマーシブオーディオフォーマットに対応するモニターコントローラーとして、国内外のプロフェッショナルスタジオで採用されています。 標準では、AES3、TOSLINK、S/PDIF、ADATといった合計68chのデジタル入力、16chのバランスアナログ出力と、24chのデジタル出力を搭載していますが、オプションカードによる拡張でADの増設やDante, DigiLink, Ravenna/AES67といった今や大規模システムには欠かせない入出力の追加が可能! スタジオの用途に合わせたカスタムと、様々な入力ソース、モニタ環境を瞬時に切り替えられる利便性が好評のモニターコントローラーです。 そんなm908を今購入された方全員に、お好きなオプションカードを1枚プレゼントするキャンペーンとなっています!1枚税込149,600円のオプションカードが無料でついてくる、m908を導入する絶好の機会をお見逃しなく! GRACE design / m908 販売価格:¥1,507,000 (本体価格:¥1,370,000) Rock oN Line eStoreで購入>> キャンペーン詳細 内容:期間中にGRACE design m908 サラウンド/イマーシブ・モニターコントローラーをお買い上げいただくと、お好きなm908オプションカードを1枚無料で差し上げます。 期間:2023年10月16日~2023年11月末日 プレゼント対象オプションカード: ・8ch AD Option ・Dante Option ・Digilink Option ・Ravenna Option (各種販売価格 ¥149,600) キャンペーン詳細:https://umbrella-company.jp/contents/grace-design-m908-optioncard-promotion/ m908は特にイマーシブ対応スタジオなど大規模なシステムで活躍するプロフェッショナル・モニターコントローラーです。導入やシステム構築のご相談はROCK ON PROにお任せください! ROCK ON PROのm908導入事例もぜひご参考に! https://pro.miroc.co.jp/works/imagicatakeeshiba-proceed2022/ https://pro.miroc.co.jp/works/avexr-studio-proceed2022-23/ https://pro.miroc.co.jp/works/imagica-sdi-studio-proceed2020/
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2023/10/16

バウンス清水の!皆さんの夢を実現するAVID目的別ソリューション!

Rock oNでは皆さんの夢を実現するAVIDのソリューションを多数ご用意しています!また高額お見積りでも安心の18回無金利や24回超低金利もご利用可能です。ぜひRock oNスペシャリストにご相談ください! ◎16ch ノーレイテンシーレコーディングセット ■構成製品 ・Pro Tools | Carbon ・Pro Tools | Carbon Pre ・[AVB-TB] Thunderbolt AVB GE Adapter for Macs ■こんな方にオススメ! スタジオみたいにPro Tools でレイテンシーなくレコーディングしたい! ■ここがポイント! Carbon Preで拡張することにより16chマイクプリつきのレコーディングシステムが構築可能! HDXシステムを組むより安く、Pro Tools ノーレーテンシーレコーディングシステムをGETできる! ■これが出来るようになる! スタジオの様に録音したいけどHDXシステムは高くて導入するのが難しい、そんなあなたもCarbon とCarbon Preでスタジオと同等レベルの16chのレコーディングができます! このシステムでドラムレコーディングシステムが個人で持てる!! ◎イマーシブオーディオミキシングセット ■セット① 構成製品 ・MTRX Studio ・Dante Virtual Soundcard ・DB25-XLRM DigiSnake 4’ x2 ■セット② 構成製品 ・MTRX ・DA8 x2 ・Pro Tools | MTRX 64 channel IP Audio Dante Module ・Dante Virtual Soundcard ・DB25-XLRM DigiSnake 4’ x2 ■こんな方にオススメ! Dolby Atmos、360 Reality Audioなどのイマーシブオーディオミキシングをスピーカーで始めようとしている方。 ■ここがポイント! スピーカーへの多Ch OUT、モニターコントローラーが同時に手に入るMTRX STUDIO / MTRXでストレスなくミキシング環境をシステムアップ!HDXを使わず、Dante Virtual Soundcardを使いDanteでルーティングすることによってコストを大幅ダウン! ■これが出来るようになる! マルチチャンネルのスピーカーを扱う場合、モニターコントロールとキャリブレーションをどこでするかが課題になります。MTRXシリーズなら1台で全てができるので、ストレスフリー! ◎Next Level from HD I/Oセット ■構成製品 ・MTRX ・AD8 x2 ・DA8 x2 ・Pro Tools Ultimate Perpetual Annual Electronic Code – UPGRADE ■こんな方にオススメ! 現在 HD I/Oを使用している方、以前よりお安くMTRXに乗り換えできる!! ■ここがポイント! 16 in/16outのMTRXへHD I/Oから以前よりお安く更新できる!Pro Tools のVerも新しくして心機一転!! ■これが出来るようになる! 拡張性と高密度新世代サウンドこそMTRXの醍醐味!HD I/Oは過去の時代のI/Oと言えるかもしれません。令和を生き抜くサウンドはMTRX以上が必要でしょう!今こそ乗り換えのファイナルチャンスです! ◎スタジオパーフェクトセット ■構成製品 ・Pro Tools HDX Core with Pro Tools | Ultimate Perpetual License NEW ・iLok 3 ・MTRX II ・AD8 x2 ・DA8  x2 ■こんな方にオススメ! 新規でPro Tools HDXシステムを導入したい方。新設スタジオを作る予定の方。 ■ここがポイント! HDXシステムが初めての方でもRock oNならモジュールインストール作業のアシストなど不安要素を解消できます! ■これが出来るようになる! なんと言ってもノーレーテンシーレコーディング!商業スタジオはやはりHDXシステムの導入がベストでしょう!発売したばかりのフラッグシップI/Oと組み合わせて、他と差をつけよう! Rock oN 来店予約はこちら
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2023/10/02

“The Ones & GLM Kitプレゼント・キャンペーン”実施中!

アクティブ・モニタースピーカーのパイオニアGenelecがお得なキャンペーンを実施中です。キャンペーン期間中に"The One"シリーズ対象モデルをペアで購入いただくと、GLM Kit (税込¥55,000相当)をプレゼント! GLM KitはGLMアダプターと測定用に校正されたマイクロホンのセット。設置空間がスピーカーに与える影響に着目し、登場後17 年目を迎えた今でも進化を続けているスピーカー・マネージメント・ソフトウェア、GLM(Genelec Loudspeaker Manager)を使用する際に必要な製品です。簡便な測定プロセスと直感的な操作による強力なキャリブレーション機能をはじめ、豊富な機能を提供します。 GLM Kitについての詳細はこちら>> The Ones & GLM Kitプレゼント・キャンペーン 概要:対象期間中にThe Ones シリーズ(下記対象製品)をペアでご購入されたお客様にGLM Kitをプレゼント! 対象期間:2023年12月31日(日)まで 1台のみのご購入はキャンペーン対象外です。 ペア以上でご購入の場合も、GLM Kitは1台のみプレゼントとなります。 中古品のご購入は対象外です。 対象製品 8331AP(グレー)、8331AM(ブラック)、8331AW(ホワイト)、8331ARw(RAW) ペア販売価格:¥ 726,000 (本体価格:¥ 660,000) 8331A詳細はこちら>> Rock oN Line eStoreで購入>> 8341AP(グレー)、8341AM(ブラック)、8341AW(ホワイト)、8341ARw(RAW) ペア販売価格:¥ 924,000 (本体価格:¥ 840,000) 8341A詳細はこちら>> Rock oN Line eStoreで購入>> 8351BP(グレー)、8351BM(ブラック)、8351BW(ホワイト) ペア販売価格:¥ 1,276,000 (本体価格:¥ 1,160,000) 8351B詳細はこちら>> 8361AP(グレー)、8361AM(ブラック)、8361AW(ホワイト) ペア販売価格:¥ 1,540,000 (本体価格:¥ 1,400,000) 8361A詳細はこちら>> イマーシブモニター環境の構築に最適な3ウェイ・ポイント・ソースモニターのThe Onesシリーズと、GLMアダプターと測定用に校正されたマイクロホンのセットによるスピーカー・マネージメント・ソフトウェアGLM(Genelec Loudspeaker Manager)をセットでお得に手に入れる絶好のチャンスです! モニタースピーカーの選定・デモ、Pro Tools HDXシステムをはじめとしたスタジオ構築のご相談はROCK ON PROまでお気軽にお問い合わせください。
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2023/09/26

Rock oN 渋谷店にて360VME測定デモを開始!

今年7月に弊社MIL Studioにて測定サービスの運営を開始し、既に体験された方々からは驚きの声をいただいているSONY 360 Virtual Mixing Environment(360VME)。今までもMIL Studioでの体験会は開催してきましたが、この度Rock oN Company 渋谷店で測定デモのご案内を開始します! 今までの体験会には参加できなかった方も、Rock oN渋谷ならいつでも体験・案内が可能になります。気に入っていただければ、その場でMILでの測定サービス購入も大歓迎!またRock oN渋谷ならではのデモとして、店頭にある様々な種類のヘッドフォンによる比較なども対応可能。VME対応ヘッドフォン以外ではどれほどの精度なの?という疑問をお持ちの方も是非一度お越しください。 測定デモは、Rock oN渋谷リファレンスルームにてご体験いただけます。レコーディングスタジオクオリティでの視聴を可能とするため株式会社SONAによる音響調整を行なった、Focal CI 100 ICWをサラウンド4本、トップ4本常設の7.1.4ch Dolby Atmos環境です。 ※ 店頭での測定デモは予約制とさせていただきます。 ご希望の方はRock oN Company 渋谷店 03-3477-1756 まで、お気軽にご連絡ください。 ◎ Rock oN Company 渋谷 営業時間:12:00-19:00(日曜 臨時定休) 住所:〒150-0041 東京都渋谷区神南1-8-18 クオリア神南フラッツ1F TEL:03-3477-1756 360VME測定に関するお問い合わせや、イマーシブ制作環境のご相談などはROCK ON PROまで! https://pro.miroc.co.jp/2023/07/13/360vme-launch/ https://pro.miroc.co.jp/solution/360vme-proceed2023/ https://pro.miroc.co.jp/headline/sony_360-vme_report/
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2023/09/22

Pro ToolsがM2 Macに対応!~ Pro Tools サポート情報

日本時間2023年9月22日にリリースされたPro Tools 2023.9にて、Pro Toolsが待望のM2チップを搭載した最新の各種Macへの対応を果たしました! 同時に、M2チップ環境下での各種Thunderboltシャーシとの互換性も検証が進み、現行のMacを使用したシステム互換性が確認できるようになっています。 Pro Tools システム要件>> Pro Tools 2023.9 リリース・ノート>> Pro Tools OS (オペレーティングシステム) 互換性 リスト>> Pro ToolsでサポートされるAppleコンピュータとオペレーティング・システム>> ↑Pro Toolsのホストマシンとして使用できるMac/Windowsの機種を知りたい方はこちら Pro Tools Thunderbolt Chassis 互換性>> ↑Pro Toolsの外部シャーシとして使用できるThunderboltシャーシの機種を知りたい方はこちら HDXカードの電源ケーブルについて HDXカードはPCIeスロットに挿入するだけでなく、付属の電源ケーブルを使ってMac Pro本体または外部Thunderboltシャーシに接続する必要があります。 この電源ケーブルには複数の種類があり、HDXカードにはすべての種類の電源ケーブルが付属しています。 そのため、HDXカードもシャーシも新品、という状況であればトラブルは起きませんが、すでにHDXカードをお持ちでThunderboltシャーシを新しくした際には、必要なケーブルが揃っているかご確認の上、もし、HDXカード購入時に付属していた電源ケーブルが残っていない場合は電源ケーブルのみを追加で購入する必要があります。 各種シャーシに必要な電源ケーブルは、上記 Pro Tools Thunderbolt Chassis 互換性>>でご確認いただけます。 いくつかの例として、 MAGMA で使用していたケーブルは現行のAVID HDXシャーシやEchoIII には使用できません。 SONNET eGPUで使用していたケーブルは現行のAVID HDXシャーシに使用することができません (EchoIIIは変換ケーブルが付属しているので新品なら大丈夫)。 SONNET EchoExpressIIIで使用しているケーブルは、そのまま(変換している場合は変換ケーブルも一緒に移植)現行のAVID HDXシャーシとEchoIIIで使用することが可能です。 などが挙げられます。 現行のMacが次々とM2へアップデートされる中、Pro ToolsのM2環境のサポートは多くのユーザーが待ち望んだアップデート!システムの新規導入やMacの更新をご検討中の方は、ぜひROCK ON PROまでお問い合わせください!! https://pro.miroc.co.jp/headline/pro-tools-2023-9/ https://pro.miroc.co.jp/headline/pro-tools-perpetual-new-license-get-revival/
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2023/09/22

Pro Tools 2023.9リリース ~ Pro Tools Sketchが新登場!

Pro Tools 2023.9がリリースされました。最新の音楽制作ワークフローに対応した作曲機能であるPro Tools Sketchウィンドウが新たに搭載されます。 また、今回のアップデートに伴い、待望のM2 Macへの対応が発表!サポートされる各種ハードウェアについては、こちらの記事でまとめております。 さらに、Pro Tools 2023.9のリリースと同時に、こちらも待望の永続ライセンスの新規販売が再開、そして、年間サポートプランの更新と再加入が統合されました。 こちらも、詳細は別ページにまとめてありますので、合わせてご確認ください。 有効なサブスクリプションまたはアップデート+サポート・プランが有効期間中の永続ライセンスをお持ちのすべてのユーザー様は、最新バージョンPro Tools 2023.9をAvidアカウントからダウンロードしていただくことが可能です。 主な新機能 Pro Tools Sketchウインドウ追加、無償iPad版Pro Tools Sketchも同時リリース 従来の編集ウィンドウとミックスウィンドウに加えて、第三のウィンドウとなるPro Tools Sketchウィンドウが追加されました。 Pro Tools Sketchクリップベースでノンリニアな楽曲制作をおこなうことが可能な作曲用ウィンドウ。「Scene」と呼ばれるシーケンスを作成し、それらを自由にリピートしたり繋ぎ合わせたりすることで、まさにスケッチをするように、楽曲制作のアイデアをすぐに形にすることが可能になります。 Pro Tools Sketchは、Pro Toolsの全てのバージョン(無料のPro Tools Introを含む)で利用できる新しいウィンドウです。 Sketchウインドウ追加により、Pro Toolsの音楽制作ワークフローは拡張され、世界クラスのレコーディング、編集、ミキシング機能にノンリニアな制作環境が追加されます。 無料のiPadアプリも別途入手できます。 Pro Tools Sketchの詳細はこちらのAvid Blogでも紹介されています。 Pro Tools 2023.9のリリースに合わせ、そのSketchウインドウで対応している全ての機能並びに無償で利用可能なサウンド・ライブラリーを搭載したPro Tools Sketch iPad版もリリースされます。Pro Tools Sketch iPad版は、Apple App ストアで無償にて入手いただけます。 Sketchで作成したデータは、Pro Tools 2023.9(以上)のSketchウインドウで、そのまま開くことが可能、より完成度を高める為、Pro Tools上で制作作業を継続できます。 Pro Tools Sketch iPad版の詳細はAvid WEBサイトのこちらのページでもご確認いただけます(英語)。 Pro Tools Sketch 基本機能 最大16トラックと事実上無制限のシーンをサポート 1GB+ループとサンプルライブラリ 数十のインストゥルメントサウンドとプリセットを備えたPlayCellおよびSynthCellソフトウェアインストゥルメント 9つのエフェクトプロセッサ オンボード・オーディオおよびMIDI編集ツールと統合ミキサー Pro Tools Sketch FAQ Pro Tools Sketchはどうやって入手できますか? Pro Tools 2023.9以上の場合は、新たなSketchウインドウとして搭載されており、iPadアプリの場合はApple Appストアにて入手できます。 Sketchは、どのPro Toolsに搭載されますか? Pro Tools Introを含む、全てのバージョン2023.9以上のPro ToolsにSketchウインドウとして搭載されます。 Android版のPro Tools Sketchはありますか? 当初のリリース時は、デスクトップのPro Tools (Mac/Windows) アプリケーション並びにiPadアプリのみとなります。 iPhone版及びAndroid版は、将来的な対応を予定しています。 Pro Tools Sketchは無償ですか? Pro Tools Sketch iPad版は無償です、また、無償版のPro Tools Intro Mac/Windowsアプリケーション上にもSketchウインドウは搭載されています。 Pro Tools Sketchは Pro Tools毎に機能に違っていますか? いいえ、SketchはiPad版及びSketchウインドウともに同じ機能です(16トラック及び事実上無制限のシーン)。 Pro Tools上のEdit/Mixウインドウにデータを移行させた後は、それぞれのPro Toolsの機能を利用いただけます。 Pro Tools Sketchのファイルフォーマットは何ですか? Sketchファイルは.ptsketch拡張子を使います。 Pro Tools Sketch iPad版で作成したデータは、どうやって他のPro Tools SketchまたはPro Toolsに持っていくのですか? Sketch上で作成したファイルを、iCloud等のクラウドサービスまたはEmail等で送信し、他のiPadやPro Toolsで開く事ができます。 Sketchファイルをデスクトップで直接開くには、Pro Tools 2023.9以上が必要となります。 Pro Tools Sketchをエクスポートした際、使用した全てのコンテンツ(ループやサンプル)も一緒に書き出されますか? はい、Sketchファイルは、Pro Toolsセッション・ファイルの構造とは異なり、関連する全てのファイルが1つのSketchファイル内に含まれる形で保存/書き出されます。 Pro Toolsセッション上では、Sketchウインドウはどのように連携するのですか? ノンリニア及びリニアなワークフローの両方を使いながら作業したい場合は、Sketchをリニアなタイムラインを持つPro Toolsとシンクさせる形で作業していくことができます。 Sketch での作業を完結後、Pro Toolsのリニアなタイムラインに移行して作業したい場合は、任意または全てのSketch上のクリップをPro ToolsのEditウインドウ内のタイムライン上にドラッグ&ドロップしてデータを移行させることができます。以降は、使用するPro Toolsが持つ、全ての編集/ミックス機能を使用し楽曲を完成させることが可能となります。 1つのSketchファイルを、複数のPro Toolsセッションに対して”ピン留め”する事も可能です(Sketchウインドウ右上にあるピン・ボタンを使います)。これにより、Pro Toolsセッションを開いた際に、ピン留めしたSketchファイルが自動的に開くようになります。 Pro Tools Sketchに必要最低動作システム条件はどうなりますか? Pro Tools Sketch iPad版の動作には、iPad OS16以上が必要です。 Pro Tools 内のSketch ウインドウは、使用する各Pro Toolsの必要動作環境に準拠します。 セッション選択範囲のエクスポート機能 (Pro Tools Studio & Ultimate のみ) タイムラインの一部を新規セッションとしてエクスポートできるようになりました。新しい「コピーを保存…」オプションから「選択されたタイムライン範囲のみ」にチェックを入れて行います。 大規模なセッションを分割したり、その一部のみをリミックスしたい場合などに、より直感的な操作で求める結果を得ることができるようになりました。 プラグイン幅のフィルタリング (Pro Tools Studio & Ultimate のみ) Pro Toolsがより多くのマルチチャンネル・フォーマットに対応するに従い、トラック幅の違いによって、同じプラグインが何個もプラグイン・ウィンドウに並ぶということが起こってしまっています。 これを解消するために、Pro Tools 2023.9からはプラグインが4つ以上の幅を提供する場合、それらの選択肢がサブフォルダに配置されるようになりました。 ドラッグ&ドロップによるプラグイン・スロットのリオーダー機能 これは待ち望んでいた方も多い機能ではないでしょうか!?プラグインのインサート位置をドラッグ&ドロップによって変更/入れ替えることが可能になりました!Pro Tools Intro、Artist、Sudio、UltimateのすべてのPro Toolsで使用可能です。 その他の新機能 ダッシュボードがPro Tools Sketch対応に 編集選択範囲を次のマーカーレーンまたはルーラーに移動するキーコマンドが追加され、マーカーを含むトラック間だけをすばやく移動 キーボードショートカットの特殊ペーストで、マーカーをマージ I/O設定のデフォルト・パスのリストを統合 I/O設定のインプットタブに新しくパス順リストが追加され、Dolby Atmos Rendererからのリレンダリング・リターンに合わせたパスを簡単に作成 各新機能のより詳細な内容はこちらのAvid Blogをご覧ください。 待望のM2チップ搭載Macをサポート! Pro Tools 2023.9にて、Pro Toolsが待望のM2チップを搭載した最新の各種Macへの対応を果たしました! まさに待望と言える今回のアップデート。最新のOS/ハードウェア、さらに外部Thunderboltシャーシへの対応状況へのリンクはこちらの記事にまとめております。ぜひ合わせてご覧ください! https://pro.miroc.co.jp/headline/pro-tools-get-to-support-apple-silicon-m2-mac/ 音楽的なアイデアをより直感的に実現することができるPro Tools Sketchの登場で、楽曲制作をメインとするユーザー様にとっては非常に使いやすくなったPro Tools。作曲からミックスまでをひとつのDAWで完結できるワークフローは、待ち望まれていたソリューションではないでしょうか。 新規導入はもとより最新バージョンへのアップグレードのご相談、スタジオ構築やシステム設計のお問い合わせもお気軽にお寄せください! https://pro.miroc.co.jp/headline/pro-tools-perpetual-new-license-get-revival/ https://pro.miroc.co.jp/headline/pro-tools-get-to-support-apple-silicon-m2-mac/
NEWS
2023/09/22

2023.9.26 追記あり】Pro Tools永続版の新規販売が復活!さらに、更新と再加入が統合

Pro Tools各種の永続版新規ライセンスの販売が再開されました。 2022年の春に販売終了となって以来、一部の例外を除きPro Toolsソフトウェアを新規に導入する場合はサブスクリプション版を購入するしかありませんでしたが、EDU(アカデミック)版を除いた各種Pro Tools永続版ソフトウェアを新規購入することが再びできるようになりました! Pro Tools Studio(旧Pro Tools)とPro Tools Ultimateの永続版復活と同時に、従来はサブスクリプションのみだったPro Tools Artistにも永続版ライセンスが登場します。 また、11月以降の出荷となる予定ですが、Pro Toolsソフトウェアのパッケージ販売も再開。店頭での購入もしやすくなりそうです。 さらに、永続版ライセンスのアップグレードをわかりやすくするため、従来は「更新」と「再加入」にわかれていたライセンスが「アップグレード」に一本化されます。 更新版を購入したもののアクティベーションを忘れている間に更新期限が過ぎてしまった、といったトラブルもなくなりそうですね! *本記事に記載の変更事項はPro Toolsのみに適用となります。Media Composer及びSibeliusには適用されませんのでご注意ください。 *サブスクリプション版も、従来通り販売を継続いたします。ご用途に応じて、永続版またはサブスクリプション版をご選択ください。 Pro Tools永続版が復活 2022年に緊急速報!! Pro Tools 新ラインナップが発表!! 超速セミナーも開催!の記事でお伝えして以降、Pro Tools永続版のソフトウェアのみを新規購入していただくことはできなくなっていましたが、この度、Pro Tools Ultimate、及び、Pro Tools Studioの永続版新規ライセンスが復活。さらに、もともとサブスクリプション版のみだったPro Tools Artistに永続版が新登場しました。 Artist、Studio、Ultimateの機能の違いについては、こちらの記事をご覧ください。 *過去の記事のため、一部に過去の名称が使用されています。Pro Tools Flexは、現在ではPro Tools Ultimateに名称変更されています。 Pro Tools Artist 9938-31362-00 Pro Tools Artist Perpetual License - Pro Tools Artist永続ライセンス新規 販売価格:¥30,690(本体価格:¥27,900) 9935-73360-00 Pro Tools Artist Perpetual License (Boxed) - Pro Tools Artist 永続ライセンス(パッケージ版) 販売価格:¥30,690(本体価格:¥27,900) Pro Tools Studio 9938-30001-00 Pro Tools Studio Perpetual License - Pro Tools Studio永続ライセンス 販売価格:¥92,290(本体価格:¥83,900) 9935-71826-00 Pro Tools Studio Perpetual License (Boxed) - Pro Tools Studio永続ライセンス(パッケージ版) 販売価格:¥92,290(本体価格:¥83,900) Pro Tools Ultimate 9938-30007-00 Pro Tools Ultimate Perpetual License - Pro Tools Ultimate 永続ライセンス 販売価格:¥231,000(本体価格:¥210,000) 9935-71832-00 Pro Tools Ultimate Perpetual License (Boxed) - Pro Tools Ultimate 永続ライセンス(パッケージ版) 販売価格:¥231,000(本体価格:¥210,000) Pro Tools Ultimateは永続版が復活しただけでなく、販売停止以前の¥337,700から30%以上のプライスダウンが合わせて実施。ソフトウェアのみでの導入がしやすくなりました! 年間サポート「更新」と「再加入」が統合、「アップグレード」という名称に 永続ライセンス版は、Avidアカウントからのサポートや、最新版へのアップグレード/Avid Complete Plugin Bundleの使用権などを保持するために年間サポート&アップグレードプランを「更新」する必要があります。更新期限を過ぎると、Pro Tools自体は使用できるものの、最新版へのアップグレードやプラグインの使用ができなくなり、それらの機能を使用するためには年間サポート&アップグレードプランに「再加入」する必要がありました。 今回の永続版新規ライセンス販売再開に伴い、複雑だったこのシステムが変更されます。上記の機能/サービスを使用し続けるためのライセンスは「永続版アップグレード」という名称に統合され、販売価格は従来の「更新」と同額になります。 これにより、年間サポート&アップグレードプランが有効期間中なのか否かにかかわりなく、ひとつのライセンスで更新も再加入もできるようになります。 年間サポート&アップグレードプラン加入のメリットについては、こちらの記事をご覧ください。 *過去の記事のため一部の情報が更新されておりませんが、概要については現在も同様です。より詳細については、ROCK ON PROまでお問い合わせください。 また、「永続版アップグレード」については、現時点ではパッケージ販売の予定はございません。 Pro Tools Artist アップグレード 9938-31363-00 Pro Tools Artist Perpetual Upgrade - Pro Tools Artist 永続版アップグレード 販売価格:¥10,670(本体価格:¥9,700) Pro Tools Studio アップグレード 9938-30003-00 Pro Tools Studio Perpetual Upgrade - Pro Tools Studio 永続版アップグレード 販売価格:¥28,820(本体価格:¥26,200) 9938-30003-20 Pro Tools Studio Perpetual Upgrade EDU for Students & Teachers - Pro Tools Studio EDU 永続版アップグレード(学生/講師用 ) 販売価格:¥14,300(本体価格:¥13,000) 9938-30003-30 Pro Tools Studio Perpetual Upgrade EDU for Institutions - Pro Tools Studio EDU 永続版アップグレード(教育機関用) 販売価格:¥14,300(本体価格:¥13,000) Pro Tools Ultimate アップグレード 9938-30008-00 Pro Tools Ultimate Perpetual Upgrade - Pro Tools Ultimate 永続版アップグレード 販売価格:¥57,750(本体価格:¥52,500) EDU永続版新規は復活せずも、アップグレードが可能に EDU(アカデミック)ライセンスについては永続版の新規販売は復活しませんでした。Pro Toolsソフトウェアのみの新規導入の場合、これまで通りサブスクリプションをご選択いただくことになります。 一方で、EDU版では「再加入」が2022年春に廃止されてしまったいましたが、今回の更新・再加入の統合により、お持ちの永続ライセンスを最新バージョンへアップグレードすることが可能になりました。 すでにお持ちのPro Tools Studio永続版のアップグレードには、新たに統合された「EDU永続版アップグレード」をお求めください。 ご購入済みの「更新」「再加入」ライセンスについて ユーザー様の中には、「永続アップグレード+サポートプラン更新」または「永続アップグレード+サポートプラン再加入」を買ってしまったけどまだアクティベーションしてないよ!という方もいらっしゃるかと思います。 ご安心ください。使えます。 ここまでお読みいただいた熱心なAvidファンであるみなさまはすでにお気づきと思いますが、「永続版アップグレード」の型番は以前の「永続アップグレード+サポートプラン更新」と同じです。すなわち、ご購入済み・未アクティベートの「更新」ライセンスは引き続きご使用いただけるだけでなく、永続アップグレード+サポートプランが切れているライセンスにも適用することが可能になります。 「永続アップグレード+サポートプラン再加入」も在庫がある限りは販売店経由で販売され、従来通り、年間アップグレード+サポートプランの有効期限が切れているライセンスに対して使用していただくことで、年間アップグレード+サポートプランを再び有効にすることができます。 2023.9.26 追記 Pro Tools 永続版ライセンスに関するFAQ 新たなPro Tools永続版にはどういった種類がありますか? • Pro Tools Artist • Pro Tools Studio • Pro Tools Ultimate これらの3つのライセンスは電子コードおよびパッケージ版として(Q4から)購入できるようになります。アカデミック版の新規の永続版ライセンスはございません。 既存の永続版ライセンスをどのようにアップグレード(もしくは再加入)できますか? 永続ライセンスを最新にするプロセスをシンプルにするために、Pro Tools永続版アップデート+サポートプランの更新と再加入版は、Pro Tools永続アップグレード版に統合されます。今後、アップデート+サポートプラン期限が切れたお客様向けの個別の再加入版はなくなりました。 次のPro Tools 永続版用のアップグレードが今後利用できます: • Pro Tools Artist Perpetual Upgrade • Pro Tools Studio Perpetual Upgrade • Pro Tools Studio Perpetual Upgrade EDU for Students & Teachers • Pro Tools Studio Perpetual Upgrade EDU for Institutions • Pro Tools Ultimate Perpetual Upgrade これらの永続ライセンス・アップグレードは、既存のPro Tools永続アップデート+サポートプラン更新と同じ型番となり、再加入版は廃止されます。新たに統合された永続アップグレード版は、Pro Toolsファミリーにのみ適用されることにご注意ください(SibeliusとMedia Composerの永続ライセンスは上記の影響を受けません)。 既存のアクティブ・プランはどのように更新するのですか? 有効なアップグレードプランをお持ちのお客様は、Avidの代理店や販売店から永続アップグレードを購入し、Avidアカウントの製品ページで償還コードを入力することで入手可能です。 Pro Tools 12以降のユーザーで、有効期限が切れたプランを使用している場合、どのように最新のプランに切り替えることができますか? 上記同様に、有効期限が切れたプランをお持ちのお客様は、Avidの代理店から永続アップグレードを購入し、Avidアカウントの製品ページに償還コードを入力することで入手可能です。 Pro Tools 9、10、11ユーザーで、有効期限が切れたプランを使用している場合、どのようにアップグレードできますか? Pro Tools 9、10、11ユーザーでプランの有効期限が切れているお客様は、Avidの代理店から永続アップグレードを購入し、Avid.com/redemption からアップグレードしてください。 期限切れのライセンスをアップグレードする前に、Avidアカウントを作成する必要がありますが、購入できるのはAvid代理店経由のみで、Avid直のWeb shopからの購入はできません。 学生や教員がPro Tools Studio EDU for Students & Teacher永続ライセンスを更新または再加入するには? 有効期限が切れたPro Tools Studio EDU for Students & Teachersは、Avid代理店で永続アップグレードを購入し、Avidアカウントの製品ページで償還コードを入力することができます。お客様はAvidアカウントの製品ページにあるリンクからアカデミック資格を再確認する必要があります。 Pro Tools Studio EDU for Institutionsの永続ライセンスを更新または再加入するには、どのような手続きが必要ですか? プランの有効期限が切れたPro Tools Studio EDU for Institutionalのお客様は、Avid代理店から永続版用のアップグレードを購入し、Avidアカウントの製品ページに償還コードコードを入力します(Avid オンラインショップから直接永続アップグレードを購入するオプションはありません)。教育機関版のお客様のアカデミック資格再認証プロセスは不要です。 ついに実現した、待望のPro Tools永続版復活。商業スタジオ様などでは「使用しようと思ったらサブスクリプションが切れていた!」というようなトラブルを防止するためにも、非常に嬉しいニュースではないでしょうか。 見積り・ご購入ご要望だけでなく、「永続版とサブスクリプションは何が違うの?」「結局、私はどれを買ったらいいの?」などの疑問・質問、また、Pro Tools HDXシステムをはじめとしたスタジオ設計・施工のお問い合わせは、ROCK ON PRO営業担当またはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。 https://pro.miroc.co.jp/headline/pro-tools-2023-9/ https://pro.miroc.co.jp/headline/pro-tools-get-to-support-apple-silicon-m2-mac/
Sales
2023/09/21

NuGen Audio Loudness 関連ツールが期間限定プロモーション!

Nugen Audioが提供するラウドネス関連ツールが9月28日までの期間限定で33% OFFの特大セール実施中! 製作者の意図が伝わるダイナミクス感を失う事なく、ラウドネスのコンプライアンスに適合させるには、ツールの正確さはもちろんのこと、優れた視認性と操作性が求められます。 NuGen Audioは、ラウドネスの基準が制定されて以降、業界標準となったVisLM-Hラウドネス・メーター・プラグインをはじめ、ガイドラインにそった素材を制作するための様々なツールを提供してきました。 テレビ放送だけではなく、ストリーミング・メディアも含めた国際的なラウドネス基準への適合の流れの中で、このLoudness Toolkitは、ワークフローを効率化、ラウドネス適合に費やす時間を大幅に短縮し、あなたが意図したミックスをクライアントに届けるために欠かせないツールとなるでしょう。 概要:Nugen Audio対象製品が約33% OFF! 期間:2023年9月20日(水)~ 2023年9月28日(木)受注分まで 対象製品 Loudness Toolkit 2 通常価格:¥146,630 →プロモ特価:¥98,200(本体価格:¥89,273) VisLM-H 2 ラウドネス・メーター、LM-Correct 2 ラウドネス自動補正プラグイン、ISL 2 トゥルー・ピーク・リミッターのバンドル製品。業界標準ツールを一度で手に入れられるお得なセット品。 製品の詳細はこちら>> VisLM-H 2 通常価格:¥73,370 →プロモ特価:¥49,200(本体価格:¥44,727) ARIB TR-B32等の規準に対応したラウドネス&トゥルー・ピーク・メーター。インテグレート、ショートタイム、ダイナミクスレンジなど、ラウドネス基準に準じた制作に欠かせない機能を備えています。 製品の詳細はこちら>> LM-Correct 2 通常価格:¥65,890 →プロモ特価:¥44,100(本体価格:¥40,091) 作成済みのファイルを、ARIB TR-B32、EBU R128、ITU-R B.S 1770-2などの国際ラウドネス規格に自動的に補正します。スタンドアロン、Audio Suiteで動作。 製品の詳細はこちら>> ISL 2 | True Peak Limiter 通常価格:¥41,030 →プロモ特価:¥27,500(本体価格:¥25,000) ITU-R B.S.1770で定められたアルゴリズムに準拠した、トゥルー・ピーク・リミッター。 製品の詳細はこちら>> LM-Correct 2 DynApt Extension 通常価格:¥33,550 →プロモ特価:¥22,500(本体価格:¥20,455) オーディオ・トラック全体を解析し、ダイアログの明瞭度を確保しながら、ダイナミクスを圧縮。トランザクションも保持する機能を、自動補正アプリケーションLM-Correct 2に追加します。 製品の詳細はこちら>> ミキシング中に使用するメーター、書き出し時のトゥルー・ピーク・リミッター、制作後の自動補正と、ラウドネスに関連する作業を一手に担うことが可能なNugen Audio。コンテンツ制作に必携のプラグイン集の期間限定プロモーションをお見逃しなく! プロモーションに関するご質問、ご購入の相談、また、Pro Tools HDXシステムの設計・導入に関するお問い合わせは、ROCK ON PROまでお気軽にお寄せください。
Review
2023/09/18

SOUNDTRIP 2023 / Apogee Studio / 製品開発現場におけるDolby Atmos環境

Apogee Electronics社が持つApogee Studio。本社に隣接するスタジオでのDolby Atmosへの取り組み、製品と連携して育まれるテクノロジー。アメリカでのDolby Atmosへの興味、関心などを含めてレポートしていきたい。Apogeeはデジタルレコーディングを牽引してきたレジェンドとも言えるメーカーであるが、改めてそのレコーディング業界における功績を振り返るところから始めていこう。 時代を作った銘機と隣接したスタジオ 1985年に3人の創業者により設立されたApogee。正式な会社名としてはApogee Electronics Corpである。3名の創業者のうちBetty Bennettは、現在も同社の社長を務めており、Bob Clearmountainの妻としての顔も持つ人物である。今はAudio Interfaceメーカーとして認知されているApogeeだが、そのルーツはDigital Filterにある。デジタルレコーディングの黎明期である1980年代に、当時新しいリスニングメディアであったCDのデジタル歪みなど、デジタルメディア特有の問題を解決する技術をリリースしている。Apogeeの924 / 944 Anti-Aliasing Filterは、瞬く間に評価を得てリリース翌年の1986年には業界標準のデジタル・マルチトラック・レコーダーであったSONY PCM-3324、その互換機を製作していたMitsubishiのオプションとして採用されている。このフィルターは「冷たい」「硬い」と言われていたデジタル音声を、アナログライクなサウンドにすることができる魔法のようなフィルターであった。 次にリリースしたのが、AD-500 / AD-1000。このAD/DAコンバーターではUV22と呼ばれる画期的なディザーを登場させる。UV22ディザーは、その名前を見ることは少なくなったもののYAMAHAを始め多くの3rd Partyメーカーが採用した技術だ。Digital Filter、そしてディザーと画期的な技術を発表するApogeeはデジタル・オーディオの持つ持病のようなデメリットを、次々と過去のものへとしていった。 そして1997年にはAD-8000をリリース。Pro Toolsでのレコーディングがスタジオに浸透し始めた時期に登場したこの8ch AD/DAは、サウンドにこだわるスタジオの代名詞ともなっていた。当時、アナログレコーディングにこだわるエンジニアもAD-8000であればデジタルでも大丈夫、とPro Toolsへの移行を加速させた機材のひとつ。その後、Master Clock GeneraterであるBig Ben、ホームレコーディングに向けたEnsemble、Duet、さらにはiOS対応のONE、JAM、Micなどとターゲットを明確にした製品をリリースしていく。 📷往年のApogee製品ラインナップ。リリースした製品数は少ないものの、すべてが歴史を彩る銘機と呼ばれるのもばかり。1990年代のデジタルレコーディングを支えたAD-500/1000/8000は時代を代表するサウンドを作ったもの。その伝統のサウンドは現行の製品にしっかりと受け継がれている。左下のプラグインのようにUV22は様々な他メーカーの製品でも採用されディザーの重要性を業界に知らしめたApogeeの技術を象徴する製品だ。 このようにApogeeの歴史を振り返ると、時代を作った銘機が揃っていることがわかる。確固たる技術、サウンドへのこだわり、イノベーションを持った製品をリリースするメーカーであり、今日のデジタルレコーディングのベースとなる技術はApogee由来のものが数多く存在する。そのベースには、本社に隣接するApogee studioの存在が大きく関わってくる。実際のレコーディングの現場が機材を開発しているオフィスの隣にある。しかもそのスタジオをメインで使用しているのはBob Clearmountain氏であり、そこからのフィードバックを得て製品開発、チューニングを行っているということを考えるとApogeeの製品クオリティーの高さにも納得がいく。また、一部のエントリーモデルを除き、プロシューマ向けの製品はすべて本社で生産しているというのもApogeeのこだわり。一部のブティック・ブランド、ガレージメーカー以外でMade in USAというのは今や貴重な存在だ。 メーカースタジオもイマーシブ対応へ それでは、Apogee Studioの紹介に移りたい。本社の隣にあるApogee Studioは、Old Neveをメインコンソールに据えたレコーディングスタジオ。近年はライブパフォーマンスの配信なども行っているそうだ。このスタジオも7.1.4chのイマーシブ対応に改装がすでに行われていた。Old Neveのアナログコンソールに、7.1.4chのスピーカーセット。アンバランスに感じなくもないが、それだけイマーシブミックスの需要が高いということだろう。 📷Old NEVEのコンソールが据えられたApogee Studioのコントロールルーム。モニタースピーカーはNeumann KH310での7.1.4chとなる。もちろん、Audio InterfaceにはApogee Symophony mk2。Appleとの関係も深いApogeeらしく、Logic ProでのDolby Atmosミキシングのデモも見せていただいた。 スピーカーはすべてNeumann KH310で統一されている。1980年代〜1990年代にラージモニターとアナログコンソールでの作業を行ってきたエンジニアがNeumann KHシリーズを愛用しているケースが多いように感じるのは筆者だけだろうか?ラージモニターのような豊かなローエンドを持つこのシリーズ、特に3-wayのKH310がお気に入りだということだ。実際にそのサウンドも聴かせてもらったのだが、様々な機材が置かれたコントロールルームでのイマーシブ再生ということを考えると反射が多く理想的とは言えない環境ではあったが、Apogee Symphonyの持つストレートでトランジェントの良いサウンドとNeumann KH310の豊かなボリューム感により、直接音の成分が多く部屋の響きが持つ雑味をあまり感じることもなくイマーシブ再生を聴くことができた。部屋としてのアコースティックを大きく変えることは難しいが、このように機材のセレクトによりその影響を軽減できるということはひとつの大きな経験となった。 もちろん、イマーシブミキシングの際にNeveアナログコンソールの出番はない。このコンソールはステレオ仕様となるためモニターセクションとしての利用もできない。それでもレコーディングを行うということにおいて、誰もが憧れる素晴らしいサウンドを提供することに疑いの余地はないだろう。ミキシングルームを別に用意することが多いイマーシブのミキシングルーム。別記事でも紹介しているVllage Studioもイマーシブ・ミキシングのためのスタジオは、収録用の部屋とは別のAvid S6が設置された部屋である。 それでもイマーシブ対応を果たしている理由は、Apogee Studioが音楽制作のためのスタジオであるとともに、Apogeeの製品開発のための施設でもあるということにほかならない。単純に制作スタジオということであれば、合理的な判断の上で別にイマーシブ・ミキシングルームを作ることになるだろうが、Apogeeがイマーシブ制作の環境を持つということの意味として、Apogeeのプロダクトの使用感、機能のチェックなどにも利用するということになるからだ。 ここで使われているのはもちろん、Apogee Symphony mk2。そしてバージョンアップにより機能が追加されたイマーシブ対応のモニターセクション。そのテストヘッドとしてこの環境が活用されている。さらに、音質面であったり深い部分でのユーザー・エクスペリエンスを確認するために、このほかにも2部屋、合計3部屋のイマーシブミックス環境を整えている。部屋の大きさ、部屋の設備、接続される機材、音の環境、そういったことを様々なケースでテスト、検証のできる環境がここには揃っている。ユーザの目線での製品開発、使い勝手の検証、そういったことを即座にフィードバックできる環境を持っているということもApogeeならではと言えるのだろう。 アメリカ西海岸のサウンドの秘密 もうひとつ用意されたイマーシブ環境のスペースを見ていく。こちらはGenelec the ONEで7.1.4chを構築した部屋。アメリカのスタジオらしく、遮音、吸音といった日本のスタジオのような音響設計は入っていない。正面の角に設置されたベーストラップと調音パネルが数枚設置されているのみである。この部屋はミキシングルームとしての操作デスクをミニマムにしている。PC、Audio Interface、Displayがデザインされたひとつのデスクに収められ、これだけでミキシングのシステムが完成している。 この部屋でもそのサウンドを聴かせてもらった。部屋自体の響きはあるはずなのだが、締まった低域とダイレクトに耳へ届く中高域。吸音は最低限なのに濁りを感じることのないサウンドには驚いた。低域に関しては、やはり床の影響が大きいのではないかと想像している。日本のスタジオは、遮音のために浮床構造を用いて外部からの音の侵入を防いでいる。そのために、部屋自体がその名の通り宙に浮いているような状態となっている。音というのは振動であり、その振動を遮断するということが遮音ということになる。アメリカのスタジオはどこも床はコンクリート。平屋の建物が多いロサンゼルスということもあり、地面からそのままコンクリートを流し込んだ床になっているのだろう。日本であれば、湿気を抜くためにも床下には空間を設けるのが常識となっているが、乾燥したアメリカ西海岸ではその必要が少ないのかもしれない。この床の安定感、重厚さ、そういったものが低域のタイトな響き、アメリカ西海岸のサウンドの秘密なのかもしれないと感じたところだ。 Old Neveのミキサーが鎮座するスタジオとは全く方向性の異なるサウンドではあるが、やはりここもApoogee Symphonyのサウンド。使い勝手はもちろん、そのサウンドキャラクターを確認するのに、これだけ異なった環境で聴き比べを行うことができるというのは、サウンドチューニングにとっても大きな意味を持っているのだろう。 📷リビングルームのような、開放感のある部屋に設置されたGenelecでの7.1.4chのスピーカーシステム。デスクは最小限のスペースにPC本体を含めて設置できるように設計されたカスタムデスクが置かれていた。アコースティックチューニングは最低限。音を聴きながらのチューニングの結果がこのような形で結実している。 ユーザーの利用環境もシミュレート 📷iLoudで構築された7.1.4chのミキシングルーム。イマーシブ制作を行うミニマムなシステムにおいてApogeeの製品の使い勝手などを確認するためのシステムアップがなされている。 最後に、片付いていないので、とかなり遠慮されていたのだが、ホームスタジオであればどのような環境になるか?ということをシミュレーションするためのミキシングルームを見せてもらった。ここでは、iLoudのスピーカーで7.1.4chが構築されている。イマーシブミキシングを行う上で、ミニマムな環境でのテストケースを検証しているということだ。このように、ユーザーの利用環境をシミュレートしながら、実際に作業をしてみてどうなのかというケーススタディを積み重ねていることがよく分かる。そして、次の制作環境としてターゲットとしているのが、すべてイマーシブ環境だということは特筆すべきポイント。アメリカでのイマーシブ制作の盛り上がりを強く感じずにはいられない。実際のところ、Bob Clearmountain氏へ過去に自身がレコーディングをおこなったヒットソングのイマーシブミキシング依頼が殺到しているということだ。このような新しいフォーマットへのムーブメントが感じられるのは本当に素晴らしい。過去作品のイマーシブミキシングも素晴らしいことだが、新譜、特にイマーシブを前提に制作された楽曲の盛り上がりも楽しみにしたい。 Apogeeの歴史、イノベーション、テクノロジーといったベースから、ユーザー目線での製品開発、イマーシブ時代の到来を感じさせるApogee Studioの進化。そのようなものを感じ取っていただけたのではないだろうか。この場で伝えたいことが数多く内容も多岐に渡ったが、このようなメーカー開発の現場での事例からも、アメリカでのDolby Atmos、イマーシブサウンドへの期待感が滲み出ていることが感じられる。是非ともこの感覚を共有していただければ嬉しいかぎりだ。   *ProceedMagazine2023号より転載
Review
2023/09/13

SOUNDTRIP 2023 / media HYPERIUM / Immersive Sound@ L.A.

2023年のグラミー賞でBest Immersive Audio Albumを受賞した、Stewart Copeland, Ricky Kej & Herbert Waltl「Divine Tides」。その制作を担当したプロデューサー / Herbert Waltl 氏とエンジニア Eric Schilling 氏にインタビューの機会を得た。イマーシブオーディオに対しての向かい合い方、ミキシングに対する考え方、制作者目線での貴重なコメントをいくつもいただくことができたのでご紹介していきたい。 ステレオとイマーシブで2度のGrammy Winnerに 長年にわたり、音楽業界に多大なる足跡を残しているミュージシャンであり、プロデューサーのHerbert Waltl 氏と、グロリア・エステファンを始め、ラテン、ポップスなど多彩な音楽の制作に携わるエンジニアのEric Schilling 氏のお二人にHerbert Walti氏が1996年に立ち上げたmedia HYPERIUMでお話を伺った。まずは、お二人のこれまでの実績、今年のグラミー賞を受賞した作品について振り返る。 📷写真左よりROCK ON PRO 前田洋介、Herbert Waltl 氏、Eric Schilling 氏、株式会社メディア・インテグレーション北木 隆一 Herbert Waltl 氏は3度のグラミー賞受賞、3度のグラミー賞ノミネート、数々のプラチナディスクの制作に携わったプロデューサーである。テクノロジーに精通し、新しいフォーマットへの積極的な取り組みでも知られる。1996年にmedia HYPERIUMを立ち上げ、サラウンド作品の可能性を求めて様々な研究を行ってきた。その後、イマーシブオーディオにも積極的に取り組み、Ray Charles / Lady Gaga / Pink / Sting / Jason Derulo / Sheryl Crow / Chick Corea / S.F. Symphony / BR Symphony Orchestra / Royal Concertgebouw Orchestraなどの作品に携わっている。グラミー賞でもBest music DVD Awardなどにノミネートされていることからわかるが映像関連の制作の評価も高く、映画のサウンドトラックなどの制作も行っている。まさに、サラウンド〜イマーシブと音楽フォーマットの進化とともに歩み続けている、技術をしっかりと理解したプロデューサーと言えるだろう。 Eric Schilling氏は、アメリカのトップエンジニアの一人。2000年以降に4度のグラミー賞受賞、7度のラテングラミー賞受賞。代表的な作品としては、Gloria Estefanとの16枚のアルバムが挙げられる。それ以外にもNatalie Cole / Jon Secada / Elton John / Natalie Imbruglia / Shakiraなどのアルバムを手掛けている。ラテン音楽のエッセンスを取り入れたポップスに代表作が多い。サンフランシスコ出身だが、伝説的なプロデューサーBill Szymczykとの出会いから、彼のフロリダのスタジオBayshore studioへと移籍、そこで上記したようなマイアミ発の数多くのヒット作品に携わるようになる。現在も自宅と自身のスタジオはマイアミ、オークランドにある。近年はAlicia Keysのアルバムの360 Reality Audioフォーマットへのリミックス作業を、彼女のメインエンジニアであるAnn Mincieliを中心に、George Massenburgらと今回インタビューで伺ったmedia HYPERIUMで行った。他にも数多くのイマーシブ作品に関わっている。 Divine Tides / Stewart Copeland, Ricky Kej 2023 Grammy Winnerとなった「Divine Tides」は、Stewart Copeland / Ricky Kej & Herbert Waltlによる、様々なカテゴリーの音楽を集めた宝箱のような作品。クラシック、ラテン、ゴスペル、そのベースにはRicky Kejの出身であるインド音楽など多種多様なエッセンスが詰まっている。元The PoliceのドラマーStewart Copelandは近年映画のサウンドトラックの制作を精力的におこなっており、さらにはオーケストラ向けの楽曲や、バレエ音楽、オペラなども手掛けている。そんな世界観にインド出身の新進気鋭のミュージシャンRicky Kejのエキゾチックなエッセンスをベースとしたメロディー、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団によるオーケストレーション、Southan Gospel(南アフリカをベースとするゴスペル)でグラミー賞ワールド・ミュージック部門の常連であるSoweto Gospel Choirによるハーモニー、Rasika Shekarなどインド出身のミュージシャンによるコラボーレーションが重ねられ、2021年にリリース。そして2023年の本年にグラミーを受賞した作品だ。 これを、Herbert WaltiとEric Schillingがmedia HYPERIUMでイマーシブにミキシングした。この作品は、ステレオ音源で聴いてみていただいてもわかるように広大な世界観を持つ。Stewart Copelandによる空間が拡張していくようなパーカッションサウンド。もともとイマーシブオーディオのために作られたような世界観を持つこのアルバムが、二人によるイマーシブミックスでその本来の姿を現しグラミーを再び受賞している。ステレオでの新譜とイマーシブミックスが2度にわたりグラミーを受賞したのはかなり珍しいケースなのではないだろうか。 7.2.5 + 4B、media HYPERIUM インタービューをおこなったmedia HYPERIUMはロサンゼルスの南、ロングビーチの西にある小高い丘陵地Rolling Hillsにある。高級住宅地であるこの場所の一角にあるオフィスビルにこのスタジオはある。プール付きの豪邸が立ち並ぶ本当に静かな住宅街の商業エリアに突然スタジオがある、といったところだ。このスタジオにはミキシング用の部屋があるのみで、別の場所でレコーディングされたものをここでミキシングしているそうだ。 スピーカーはNeumannが選択されている。イヤーレベルのスピーカーはKH420、解像度が高く、大音量でなくともサウンドの迫力を感じることができる素晴らしいモデルだと絶賛されていた。イマーシブではスピーカー数が多いため、すぐに音圧過多になり疲れてしまうが、少し控えめの音量でもしっかりとサウンドを確認できるNeumann KHシリーズはお気に入りのモデルだということ。配置されたスピーカーのレイアウトは7.2.5 + 4B。イヤーレベルに7本のKH420、トップレイヤーにはKH310、ボトムはKH120とNeumannのKHシリーズで統一されている。ちなみに、特別な音響処理がなされている訳では無いオフィスとして作られたこの部屋の響きを気に入って使っているということだが、なぜこのようにバランスの取れたサウンドがするのかはあまり考えたことはなく、スピーカーを置いて鳴らしてみたら良い音がした、それがすべてだとシンプルかつ明確な答えをいただいた。 📷オフィス施設の一室に作られたスタジオ。写真の通り、水平面に7chのNeumann KH420、上部にはSONY 360 Reality Audioに合わせ仰角30度に設置された5chのKH310と、Dolby Atmosに合わせて仰角45度に設置された4chのKH150。壁面には厚手のカーテンが張り巡らされてはいるが、吸音・遮音などは行われていない。聴音用のパネルが左右に設置されているのみのシンプルなスタジオである。 音響空間の再現にとって必然の配置ができる さてここからは、どのようなお話を聞くことができたかお伝えしていきたい。映画音楽にも関係があった二人はサラウンド、そしてDolby Atmosなどのイマーシブフォーマットに以前より取り組まれていた。ステレオに対しての可能性の広がりをフォーマットの拡張とともに感じ、それぞれのフォーマットで作品をリリースしている。 中でも360 Reality Audioは、完全な360度 4πの空間を持つフルオブジェクト指向のフォーマットということでいち早くその先進性、可能性を感じ取って作品制作に携わってきている。音楽の表現として下方向が加わったということは大きいと言う印象を持たれていた。確かに下から聴こえてくる直接音というものは少ないかもしれないが、音響空間の再現にとっては非常に重要であるということを感じている。低音の表現に関しても、やはり音を配置できる空間が広いことで柔軟性が上がるというよりは必然性を持って音の配置が行えるようになった、という感覚ということだ。楽曲として、作品として、然るべき位置から然るべき音が鳴る。表現の自由とも言い換えることができるのかもしれないが、その一方で、これまでにそれほど音の配置に悩んだことはない、というコメントは印象的であった。普段の暮らしで接している音空間、それこそが4πの空間でありそれを再現する。その中に音楽としての刺激、感覚を盛り込んでいくという作業は非常に楽しい作業だとのこと。Dolby Atmosとの同時制作の場合にも、360 Reality Audioから制作をして順に再現できる空間を狭くするという手法をとっているということだ。 📷左手後方には機器ラックがある。この角度から見ると上部のスピーカーの位置を各フォーマットに合わせて設置されているのがよく分かる。 エンジニアのEric氏は、携わったアーティストのライブパフォーマンスのサポートなども行っていることもあり、音楽を生で楽しんでいる環境の音、そんなものまでも再現したという欲求もあるという。それを考えるとイマーシブオーディオは最適なフォーマット、というよりもイマーシブだからこそ会場の熱気のようなものまで伝えることができるようになってくるのではないかと大きな可能性を感じているということだ。アメリカはライブパフォーマンスを楽しむということを非常に重要視するカルチャーがある。ライブを楽しむということは、ミュージシャンのパフォーマンスを楽しむということであり、才能に触れ、それに感動するということでもある。音楽という一瞬にして消えていくパフォーマンスとの出会い、それを非常に大切にしているし、それに対しての対価を惜しまない。そんな文化が根底にあると感じている。 これはヨーロッパでも同様で、ヨーロッパに根付くクラッシク音楽の下地は同じようなところから来ているのではないだろうか。少し脱線してしまうが、アメリカ人の強さは、日本語で言うところの「一期一会」であると筆者は感じている。一度切りの出会い、チャンスをいかにつかめるか?その瞬間にかけるパワーが桁違いに感じられる。いま楽しむと決めたら、その時間は徹底的に恥も外聞もなく楽しむ。瞬間のパワーがすごいから、素晴らしいパフォーマンスに出会ったときの反応もすごい、それが連鎖的に全体の空気となり、さらに素晴らしい音楽、時間、空間を生み出す。遠慮がないといえばそうなのかもしれないが、音楽、エンターテインメントに触れるということにおいて遠慮は必要ないもの。会場の熱気、熱狂をそのまま詰め込んだイマーシブオーディオのアルバムが誕生するのは時間の問題かもしれない。 📷作業デスク前方はこのようになっており、ボトムの3chのKH150の姿が見える。さらに2本KH150が置かれているが、これはボトム・バックサイド用で360RA作業の際に接続して使っているということだ。 音楽の持つ可能性はイマーシブオーディオの誕生により確実に進化する。表現のできるキャンパスが広がったことで、これまでと違う音楽がこれから次々と登場してくるだろう。イマーシブオーディオを楽しむ環境も今はイヤホンやヘッドホンだが、これはアメリカには合っていない。車社会であるがゆえに、カーオーディオへのイマーシブオーディオの普及が重要なポイントになるという。カーオーディオが進化すれば、運転をしながらでも新しい体験、楽しみとしてイマーシブオーディオがさらに普及するだろうということだ。ロサンゼルスのようにどこへ移動するのも車で、そして渋滞も当たり前、1時間程度のドライブは日常茶飯事という環境であれば、カーオーディオというのはひとつのキーワードである。「なんせ、いつも車の中にいるからね、、」と少々うんざりとした表情で話してくれたが、その一方でイマーシブオーディオにおけるリスニング環境の未来については明確なビジョンが見えている様子でもあった。 📷機材ラックには大量のdCsのDAコンバーターが。往年の銘機であるdCsのDAコンバーターを以前より愛用しており、ここでもスピーカーへの出力はこれでDAしているとのこと。作業用のデスク上には、Avid S1が3台並ぶ。やはり作業デスクは前方からの音にとって障害となるので、できるだけコンパクトにまとめている。PCディスプレイを左右に振り分けているのも音の聴こえ方を考えてのこと。MergingのANUBUSはモニターコントローラーとして採用されている。 映画から普及が始まったイマーシブオーディオだが、固定された画面のある映画よりもヴィジュアルの存在しない音楽のほうがより自由であり、可能性が広がっているのではないかという。映画もイマーシブにより映像に描かれた世界の再現性というところに大きく寄与しているのは間違いないし、映像を印象づける強力なインパクトの一端になっている。しかし音にとって、大きな印象の差異を引き起こす映像がないということは、ユーザーそれぞれが音楽を自由に受け取り、それを楽しむことができるということでもある。映画音楽なども手掛けてきたからこそ感じる、音楽としてのイマーシブの可能性。二人のお話からは新たなフロンティアとして音楽表現の手法がより拡がったことを楽しんでいる様子がよく伺えた。   *ProceedMagazine2023号より転載
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2023/09/11

オーディオブレインズが代々木ショールームをリニューアル

MSI Japanのグループ企業であり、設立以来、海外のプロフェッショナルから高い評価を得る音響機器、コミュニケーション機器の輸入販売並びにメンテナンスを行う株式会社オーディオブレインズ。 2023年9月1日より、同社 代々木ショールームがリニューアル・オープンしました。ライブサウンド、レコーディング、会議システムなど、オーディオブレインズが取り扱う製品をシステムの形で実際に体験することができる貴重な空間です。 詳細、及び、ご予約は同社WEBサイトをご覧ください。 >>代々木ショールームリニューアルオープンのお知らせ 今回リニューアルされたのは主に1F部分で、Martin Audioの中・小型スピーカー各種、Powersoft パワーアンプ、Avid S6Lライブコンソール、Flux:: Spat Revolutionなどが展示されています。 代々木・北参道からほど近くというどなたでもアクセスしやすい場所ですので、ぜひ、同社の提供する最新プロ・オーディオソリューションを体験してください。 完全ご予約制となっていますので、オーディオブレインズ社お問い合わせフォームからご予約をお願いいたします。
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2023/09/11

SOUND PARTICLES「40%オフ初秋セール」開催!

コンピュータ・グラフィックスのパワーとテクノロジーを音響の世界に持ち込み、全てのプラグインが最大9.1.6chまでのイマーシブオーディオ制作にも対応しているSOUND PARTICLE社が、9月12日より「40%オフ初秋セール」を開催! セール対象は全製品!新製品であるAudioMatrixや、9月6日にバージョン1.5のアップデートが発表された3DシンセサイザーSkyDust 3Dなど、SOUND PARTICLES製品を手に入れる絶好のチャンスです。 SOUND PARTICLES社 40%オフ初秋セール 概要:SOUND PARTICLES全製品が40% OFF 期間:2023年9月12日(火)19:00 〜 9月25日(月) 詳細なラインナップと価格は下記WEBページで! Rock oN Line eStore>> SOUND PARTICLES国内代理店フォーミュラ・オーディオWEBサイト>> https://pro.miroc.co.jp/headline/skydust-3d-sound-particles/ https://pro.miroc.co.jp/headline/sound-particles-density/ https://pro.miroc.co.jp/headline/sound-particles-apple-silicon-support/
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2023/09/11

SOUNDTRIP 2023 / GOLD-DIGGERS / LAにおけるSONY 360 VMEサービス測定スタジオ

サービス開始時点で世界に3拠点用意されたSONY 360 VME(Virtual Mixing Enviroment)の測定スタジオ。東京 / MIL Studio、NY / The Hit Factory、そしてLAにおける拠点がこのGOLD-DIGGERSだ。 ここではLAのスタジオを実際に訪問し、GOLD-DIGGERSがどのようなスタジオで、イマーシブ制作に対してどのような考えを持っていて、また、VMEというエポックメイキングなサービスをどのように捉えているのか、様々なお話を聞くことができたのでご紹介していきたい。 ●メディア・インテグレーション 360VMEサービス概要ページ ●メディア・インテグレーション 360VME測定サービスご案内ページ ●ソニー社:360VME解説ページ 再生された7部屋のレコーディングスタジオ 📷1920年代に建てられた当時の雰囲気を残す外観。この黄色い看板もビキニバー時代のものがそのまま残されているということだ。 まずは、GOLD-DIGGERSがどのようなスタジオなのかをご紹介したい。East Hollywoodにあるこのスタジオは、ホテル、バー、ライブハウスが併設された珍しい営業形態のスタジオである。望むならば日中レコーディングを行い、新曲を夜にライブハウスで披露、そのままホテルに宿泊、といったこともできてしまう他に類を見ないスタイルだ。このスタジオがあるのはロサンゼルスを東西に貫くサンタモニカ・ブルーバード沿いの1920年代に建てられたという歴史ある建物なのだが、遡るとここで営業していたビキニバーとその上階のホテルがそのスタートとなるそうだ。そして、そのバーの後ろにあった若いミュージシャンが多く利用していたというリハーサルスタジオが、現在のレコーディングスタジオの原型となっている。 ただし、若いミュージシャンと言ってもここはロサンゼルス。デビュー前のThe Doors、Jimi Hendrix、Slayer、Hollerwood Rose(Guns'n Rosesの前身)などが利用していた場所だったという。残念ながら1990年台にはほとんど廃墟のようになっていたそうだが、これらの設備に目をつけ、手直しを行い最新の設備を持った7部屋のレコーディングスタジオと、ライブバー、そしてブティック・ホテルという現在の営業スタイルに再生させている。歴史のある場所、建物、そういったものを大切に次の時代にあった施設へと生まれ変わらせていく。アメリカらしい伝統の引き継ぎ方を感じさせるスタジオだ。ちなみに、サンタモニカ・ブルーバードに向かって掲げられている看板は、オープン当初のビキニバーのものがそのまま使われているそうだ。 📷1Fにあるライブスペースのバーカウンター、これも歴史を感じさせる重厚さ。ライブスペースのステージも照明器具も球体状のシャンデリアと洒落た作り。 360RA & Atmosコンパチブル 📷後方を振り返ると上から、Atmos用、360RA用、水平面、ボトムと4層のスピーカーが配置されているのが分かる。 GOLD-DIGGERSは7部屋のレコーディングスタジオを持つが、そのうち2部屋がイマーシブ対応となっている。今回じっくりと見させていただいたStudio 6はSONY 360 Reality Audio 5.0.5 + 4BとDolby Atmos 9.1.4両対応のスピーカーシステムを持つ。写真からもわかるように天井にSONY 360 Reality Audio用の5chのスピーカー(仰角30度)と、Dolby Atmos対応の4chのスピーカー(仰角45度)がそれぞれ独立して用意されている。この仰角の違いは音響表現にかなりの違いをもたらす。特にリアルレコーディングした音源を再現しようとした際に、音場のつながりなどに大きな影響がある。また、下方向にあたるボトムスピーカーを4ch導入しているのも特徴的。前方向だけではなく、全天周の表現ができる360 Reality Audioをしっかりとスピーカーで再現するためには、ボトムスピーカーが後方にもあったほうが効果的ということだ。確かに真下に音像を配置した際に、ボトムスピーカーで後方に配置したものがないとイヤーレベルで後方のソースが鳴ってしまう。下方向のものはしっかりとボトムスピーカーからだけ鳴らしたい、ということを考えれば理にかなったスピーカー設置である。 この部屋では、音楽作品の制作はもちろんだが、East Hollywoodという土地柄から映画のサウンドトラックの仕事も多いという。中でもイマーシブ制作への需要は高く、こちらのStudio 6は人気の高い部屋だということだ。また、写真を見ると黄色い光が強く差し込んでいることがわかる。得てして外部とは遮断された穴蔵のような空間になりがちな制作スタジオだが、こちらでは屋根から光を導くミラートンネルが用意されていて、外光をスタジオにいながら浴びることができる仕掛けがあった。晴天率の高いロサンゼルスらしいギミックだ。 📷元々ボーカルブースであった部屋をマシンルームとして使用している。フロントのL,C,Rch以外はパッシブのスピーカーとなるためアンプもこちらに収められていた。 ヘッドホンで高い精度でのプリミックスを 肝心の360 VMEの話を聞いてみると、これは本当にエキサイティングな出来事だと興奮気味に話していただいた。コマーシャルベースのスタジオということもあり、自分たちのスタジオのファシリティー、そのサウンドを持ち帰ってもらうことができるこの360VMEは革命的な出来事だという。前にも述べたようにイマーシブ制作の需要は高く、部屋が埋まってしまっているために受けられない仕事もあるということだが、360VMEサービスを使えば他の部屋でもヘッドホンでかなり高い精度でのプリミックスを行うことができる。作業の最後に一日だけスピーカーの設置されたStudio 6で作品を仕上げ、完成させるといったこともできそうだ。音楽にとって高い可能性を持つイマーシブフォーマットでの制作を停滞させることなく、逆にアクセラレートすることもできる素晴らしい技術だと表現していた。 📷今回スタジオをご案内いただいたチーフエンジニアのEd McEntee氏と筆者。 イマーシブの持つ表現力、空間の広がりは全く新しいもので、2つの大きな可能性を感じている。一つは、従来の録音というサイエンスが追い求めている空間をそのままキャプチャーして再現(「リプロデュース」という言葉を使っていたのが印象的であった)するもの。音響においてのキャンバスが、やっと実世界と同等の広がりを持ったことで実現できる高い精度でのリプロデュース。これは、今後さらに高いレベルでの制作物が登場するのではないかという期待とともに、自身もそんなチャレンジを行ってみたいと熱く語っていただいた。 もう一つは、新しい4π空間というキャンバスに対して新しいアートを誕生させるアーティストが出現してくるのではないかという期待。GOLD-DIGGERSはサイズの異なるスタジオを複数用意することで、予算の大小に関わらずアーティストを受け入れることができるようになっている。新進気鋭の才能あふれるアーティストの受け入れも積極的に行っており、その中から新しい音楽が生まれてくることに期待しているということだ。過去のメジャータイトルのイマーシブでのリミックスも多く行われているが、やはり思い出とともにあるステレオミックスの感覚を捨てられないでいる作品も多い。もちろん、イマーシブに触れるきっかけとしてリミックスという手法は素晴らしいが、その魅力を100%伝えられているかというとそうではなく、もっと素晴らしいものが生み出される可能性を秘めていると感じているそうだ。 STUDIO DIGEST !! 📷チーフのEd氏が一番のお気に入りだというStudio2。ビンテージのNeve8014が鎮座する。MicPreは最初の8chがNeve 33102、次の8chは1073という仕様。センターセクションには2254Eが2ch分埋め込まれている。その上にはBrentAvirilがMicPreとしてノックアウトしたことで有名になったラインアンプ1272が並ぶ。Neve好きにはたまらない仕様にカスタムされている。別スタジオのStudio1にはAPI 2448 32chがある。 📷もう一つのイマーシブ・ミキシング・ルームであるStudio 9(7,8は欠番)。こちらはPMC6をL,C,Rchに9.1.4ch仕様の部屋となる。 📷収録のためのSoundStage。楽器庫かと思うほどの充実したビンテージアンプ、機材のコレクションを備え、すべてのスタジオの共用ブースとしてコントロールできるように設計されている。 📷マイクコレクションの一部、こちらにはAKG D12がズラリ。マイクのコレクションは新旧問わずに評価の高いモデルが取り揃えられている。 📷こちらもビンテージのAKG C12A。Telefunkenと並び銘機となるAKG C12の後継機、C414シリーズとの端境期に生産されていた製品。そのサウンドはC12の型番通りの音が出る。 360 VMEサービスで、イマーシブ作品を作る敷居はぐっと低くなる。GOLD-DIGGERSのStudio 6をヘッドホンとともに持って帰ってもらうことで、イマーシブ制作のホームスタジオとしての価値も高まる。制作のペースも上がることが予想できる。サービスインが待ちきれないということが本当に強く感じられた。今後は、東京のMIL Studio、NewYorkのThe Hit Factory、そしてLAのGOLD-DIGGERS。このスタートラインに立っている3つのスタジオでも連携してノウハウを積み重ね、360 VMEをイマーシブ音楽制作の起爆剤にしていきたい。   *ProceedMagazine2023号より転載
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2023/09/08

9/23(土)、24(日) サンレコフェス2023で360VMEを体験しよう!

9月23日(土・祝)、24日(日)、KANDA SQUARE ROOM & CONFERENCEにて、サウンド&レコーディング・マガジン主催のセミナー&展示会イベント『サンレコフェス2023』が開催されます。そのサンレコフェスにて、MIL studioでの測定サービスを実施中であるSONY 360 Virtual Mixing Environment(360VME)の体験ルームが特設されることになりました! サンレコフェスでVME体験! https://www.minet.jp/brand/sony-360-vme/sony-360-vitual-mixing-environment/ 360VMEは、複数のスピーカーで構成されたイマーシブスタジオの音場を、独自の測定技術によりヘッドホンで正確に再現する技術です。測定サービスは現在、世界で3つのスタジオでのみ開始されており、国内では弊社の運営するMIL studioにて測定を行っています。そんな360VMEの貴重な体験会が、サンレコフェス2023の会場で実施されます!イマーシブ制作に興味はあるが環境構築に踏み出せていない方や、個人最適化された最高品質のバイノーラルを体験したい方など、興味のある方は是非ご来場ください。 360VME体験ブース詳細:https://www.snrec.jp/entry/news/srfes2023_360vme もちろんMIL studioでの測定サービスも受付中です。詳細はコチラから! サンレコフェス2023 開催概要 ◎日時 ・9月23日(土・祝) 13:00〜18:00 ・9月24日(日) 10:00〜18:00 ◎会場:KANDA SQUARE ROOM & CONFERENCE 〒101-0054 東京都千代田区神田錦町二丁目2番地1 ◎入場無料(※登録制、詳しくは公式サイトをご確認下さい)  サンレコフェスでは、他にも弊社メディア・インテグレーション含む多くの企業ブースや、イマーシブ環境構築から宅録まで様々なテーマのセミナー・イベントも開催される予定です!ぜひご来場ください! MILでのVME測定や、イマーシブオーディオの制作環境構築に関するお問い合わせはROCK ON PROまで! https://pro.miroc.co.jp/2023/07/13/360vme-launch/ https://pro.miroc.co.jp/solution/360vme-proceed2023/ https://pro.miroc.co.jp/headline/sony_360-vme_report/
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2023/09/06

SOUNDTRIP 2023 / Village Studios / LAの音楽史を作った、そして作り続けるスタジオ

アメリカ西海岸でも特にロサンゼルスは音楽の歴史を語る上で外せない街の一つだろう。ゴールドラッシュに代表される、アメリカ西部開拓史の最終目的地の一つでもあるこの街からは、今でもフロンティアスピリッツに代表される新しいものへの貪欲さ、そして挑戦するという気概が感じられる。音楽にあってもウェストコーストロックなどとひとくくりにされることも多いが、やはりロンドンともニューヨークとも異なったマインドの音楽がこの街から誕生している。そんなロサンゼルスを代表する老舗のレコーディングスタジオ「Village Studios」を訪問したのでその模様をレポートしたい。 LAにおける音楽カルチャーの生誕地 まずは、この「Village Studios」の歴史を少し紹介していきたい。立地としてはWest Hollywoodということになるが、高級ブティックが立ち並ぶビバリーヒルズよりも海側となり、ビーチで有名なSanta Monicaに限りなく近い場所にある。このスタジオは1922年にMasonic Templeとして作られた建物を改装してRecording Studioとしている。Masonic Templeとは、フリーメイソンの教会であり、一般の教会とは異ってラウンジのような作りになっていたようである。その後、1960年ごろにはMaharishi Mahesh Yogiによる超越瞑想のセンターとして使われていたそうだ。超越瞑想といえばフラワームーブメント世代のアーティストが、ヴェーダに由来するマントラ瞑想法として取り入れ、かの時代を代表するサブカルチャーとして一世を風靡したことで知られる。The Beatlesのメンバーがそれを学んだのは有名な話で、インドでのPV撮影などそれを印象づけるものが多く残されている。 この施設を実業家であるGeordie Hormelが1968年に買取りスタートしたのが今のVillage Studiosである。このあとに一部屋づつ紹介するが、このスタジオにはまさに歴史を作ったといえるNeve 8048コンソールがあり、それ以外の部屋にもNeve 88Rコンソール、最新のイマーシブミキシングルーム、Neve Genesysの部屋などがある。このスタジオでのレコーディングされた作品を紹介しようとすると誌面がそれだけで埋まってしまうので、受付前に飾られていたプラチナディスクのコレクションからいくつか紹介すると、The Rolling Stones "山羊の頭のスープ"、The Red Hot Chill Peppers "CALIFOLNICATION"、Stealy Dan "AJA"、Phil Collins "Face Value"、Nine Inch Nails "with teeth"、Smasing Pumpkins "メロンコリーそして終わりのない悲しみ"、その他にもVillage Studiosで多くのレコーディングを行ったアーティストとしては、The DoorsのJim Morrison、Bob Dylan、Santanaなど枚挙にいとまがない。スタジオに置かれているハンドブック「Greenbook」がWebにも公開されているが、まさに錚々たるミュージシャンが名を連ねている。 それ以外にも、映画のサウンドトラックも多く手掛けている。音楽スタジオであるためミュージカル・ムービーのサウンドトラックが多いのだが、近年のヒット作としてはLady GAGAとBradry Cooperの名演と高い音楽性でアカデミー賞を受賞した「アリー/スター誕生」のサウンドトラックもこのスタジオから生まれている。それ以外にも「ショーシャンクの空に」「君につづく道」「カーズ」「トイ・ストーリー2」など、どれも聞いたことがあるビッグタイトルばかりではないだろうか、ハリウッドお膝元のスタジオならではの作品群である。 Studio A Village Studiosを代表するのは、間違いなくこのSutdio Aだろう。歴史的なNeve 8048が据えられており、数え切れないほどの名作がここで生み出された。しっかりとメンテナンスされ、状態の保たれたコンソール。気品すら漂うその様は改めて音楽の制作方法について問いただされているような気がした。近年ではやはり収録には、Pro Toolsを使うことがほとんどだということだが、コンソールの脇にはFlying Faderを扱うためのコンピューターがしっかりと鎮座している。演奏を録音する、そこで生み出された音楽を残すための行為、それこそがレコーディング。素晴らしい演奏を生み出すのをアシストし、余すことなく記録する。そのための施設がレコーディングスタジオである。そんなことを改めて感じさせる部屋であった。このNeve 8048について、あれこれと語るのはここではナンセンスな気がする。隣のスタジオで生まれる素晴らしい音楽を収録するために、必然性を持ってここにある、そんな存在だ。 この日は、レコーディングセッションを始める前に見学をさせてもらったため、すぐにでもセッションが始められるようにすべてがセッティング済み。さすがに誰のセッションが行われるのかまでは教えてもらえなかったが、きれいに片付けられたスタジオよりも実感があってよかった。コントロールルーム側には、コンソール以外にも溢れんばかりのビンテージ機器。当たり前のようにオリジナルのPultecがあり、Lexiconのリバーブがある。少しタイムスリップをしたかのような感覚にさえ感じられる。 スタジオ側もマイクがスタンバイされている。VocalとGuitar、そしてPianoというトリオ構成のセッティング。それぞれに向けられているマイクが機材好きにはたまらないチョイスだ。Vocalには、オリジナルのELAM251(!!)、PianoにはOff micがRCA BX44、On micがAKG C12。GuitarにはNeumann U 67(もちろんオリジナル)。最低限かつ最強のセッティングではないだろうか、垂涎の眼差しが止まらない。こんなところからも老舗のレコーディングスタジオならではの凄みが感じられる。この日、案内をしてくれた若いスタッフも、この機材コレクションには今でも感動していると自慢気に話をしてくれた。 Studio D 次に案内されたのが、Villageで一番広いスタジオとなるStudio D。こちらのコンソールはNeve 88R。国内ではほとんどお目にかからないモデルではあるが、現行モデルであるNeve 88RSに連なるNeveのアナログコンソールの始祖にあたるモデルだ。Small / Large Faderを備えたインライン仕様のマルチトラックレコーディング対応モデルで、もちろんFlying Fader仕様の72Faderコンソール。マイクプリはNeve 1081が備わっている。サイドデスクとしてBMCコンソール(1073仕様)が設置されていた。こちらは、マイクプリとして活用されているようだ。モニタースピーカーはカスタムメイドのモデルで、ユニットはTADのドライバーが使われている。あとから追加されたのであろう、スーパーツイーターが増設されているのが印象的であった。オリジナルを大切にしながら時代に合わせてモディファイを行う。そんな一幕を垣間見た気がした。 スタジオ側は広いスペースでゆったりとミュージシャンが配置されている。床にラグを敷いてそこに席を置いている。アメリカのレコーディングスタジオらしいところだ。日本であれば、パーテションで仕切ってしまいたくなるところだが、それをしていないのもやはり文化の違いを感じるところ。素敵な装飾、ライトが設られたブースとしても使えるスペースもあるのだが、この日のセッションでは荷物の置き場として使われていた、なんとも贅沢である。それ以外にもミーティングスペースとしてプライベート空間が確保されている、その重厚な雰囲気からは歴史を感じさせられる。 Studio F 3部屋目にしてやっと現行の製品に出会うことができた。こちらの部屋が最新のイマーシブミキシングに対応したStudio Fである。Avid S6をメインコンソールとして5.1.4chのイマーシブミキシングルームとなっていた。この部屋はミキシング専用ということではあるが、他のスタジオとのタイラインが確保されており、バックアップのレコーディングなども行えるようになっているということだ。タイラインはあえてアナログ。音質などを考慮すると音楽においてはまだまだアナログがベストチョイスだという判断をしているということだ。スピーカーはKALI Audioのモデルが使われていた。 2F Studio こちらは、コンパクトなコントロールルームでNeve Genesysが設置された部屋。コンパクトとはいってもNeve Genesysの48Fader仕様、それだけでも中々な迫力だ。この部屋はオープン当初はスタジオではなかったそうだが、途中で部屋を増やすにあたり改装されて今の形になっているそうだ。一台づつコメントを付けて紹介したくなるようなアウトボードのコレクションがサイドボードに。モニタースピーカーはOcean Wayが採用されている。 Stage 当初は物置部屋として使われていた部屋にステージを設置し、いまはライブの配信などを行っているスペース。ここは、まさにコロナ禍の様々な制約により生まれたスペースである。これだけの天井の高いスペースが余っているということ自体が驚きではあるのだが、思いついたことをすぐに実行するそのモチベーションは素晴らしい。カメラや、ビデオスイッチャーなどを用意してライブパフォーマンスの配信を行っているということだ。 Studio 古代の神殿のような荘厳な造りのスタジオ。天井も高く容積もあるため響きの良い空間である。日本ではどうしても響きを殺してそれぞれのサウンドのセパレーションをよく収録をしたいと考えてしまうが、響きがあることで生まれる音楽もある。特にクラシック楽器などは、ホールの響きと合わさって一つの楽器の音色が完成されるという考え方もある。そんなことを思い出させる空間であった。この部屋に置かれているピアノは、オスカー・ピーターソンが愛用していたピアノを譲り受けたものだそうだ。こういったちょっとしたエピソードにもレジェンドの名前が挙がってくる。 Lab 最後に紹介するのはこちらのLab。残念ながら常駐のメンテナンススタッフはいないということだが、定期的に通ってきてもらい、スタジオのすべての機器はここで修理メンテナンスを行っているということだ。そのための保守パーツなどもすべてストックされているとのこと。こういったことの積み重ねでこのスタジオが60年以上の歳月に渡って維持されてきているということだ。そして、この部屋の反対側の壁にはストックされているアウトボードがぎっしり(!)。こちらももう説明不要かと思うが、歴史的な銘機が完動状態で保管されている。これだけのものを維持する労力は計り知れない、歴史的なスタジオではあるが、それを維持し運営することの努力を垣間見ることができた。 やはり、ウェスト・コーストロックの震源地の一つであったVillage Studios。歴史を作ったそのスタジオは雰囲気、空気、そのすべてにオーラを纏っている。そしてもともとからの装飾であると思われるスタンドグラスや、素晴らしい調度品の数々。スタジオに入るとすぐにその歴史と伝統を感じずにはいられない空間であった。そんなVillage Studiosもコロナ禍においては開業より一度も火を落としたことのなかったVillage StudiosのNeveも60年ぶりに電源が落とされることもあったそうだが、スタジオからのライブ配信、コンサート・イベントなど新しい形での営業が少しづつ始めていったとのことだ。なお、このコロナ禍でのロサンゼルスのスタジオの様子はLA Timesに記事として掲載されている。これまでもこうして時代の流れに柔軟な対応をとってきたのだろう、困難から再び立ち上がるさまは改めて称賛に値する。 「さすが」としか言いようがない完璧なスタジオと、それにより積み重ねられてきた歴史。コロナ禍という未曾有の驚異にも現代的に対応して変化を続けるVillage Studios、今後も次の歴史を積み重ねて音楽との歩みを紡いでいってもらいたい。   *ProceedMagazine2023号より転載
Tech
2023/09/04

Pix & Mixで深まるラウンドトリップ / Media Composer & Pro Tools

Avidのビデオ編集ソフトウェアMedia Composerと世界中から支持を集めるDAWであるPro Toolsの間でのデータ移行をスムーズにする機能、通称「Pix & Mix」が2022年12月に発表された。Avidでは33年もの歴史がありながらも、この2つのアプリケーションが互いに直接やり取りすることができなかったことは少し奇妙にも感じられるが、OMFやAAFといったオープンファイルフォーマットを提唱し、これまで牽引してきたAvidが満を持してこの機能強化を行っていくと公表している。ここでは従来の変換方法がどのようなものだったかを振り返りつつ、このPix & Mixがどのように2つのアプリケーションを連携させていくのかを確認していこう。 Media ComposerとPro Tools連携の従来フローを再確認! これまで発表されているPix & Mixの機能について説明をしていくが、その前にMedia Composerのオペレーションで必要となる用語について説明をしておきたい。これらの用語とMedia Composerの構造についての概要を理解しておけば、制作ワークフローもより簡単で身近なものになるはずだ。また、互換性を最大限活用するために今までのデータ移行方法であるAAFでのやり取りについても再確認してみよう。 Media Composerの基礎用語 ●プロジェクト Media Composerではプロジェクトに複数のシーケンスとビンを作ることができ、そのデータはファイルとして1つのフォルダに保存される。Pro Toolsにはこのプロジェクトに相当するものはないが、作業を1つのフォルダにまとめるという意味ではセッションファイルやその他のデータを保存しているフォルダに似ている。 ●シーケンス Pro Toolsのセッションがこれに相当する。これまでもOMF / AAFといったファイル形式に変換されてPro Toolsに持ち込まれているものだ。Media Composerでは1つのプロジェクトに複数のシーケンスを作ることができる。 ●レンダリング / ミックスダウン タイムラインにあるエフェクトが適応されたメディアファイルを作成する。単一のクリップまたはトラックにするという観点からPro Toolsのバウンスと同様のものだ。 ●ビン Media ComposerのビンはPro Toolsにおけるクリップリストがこれにあたる。クリップだけでなくシーケンスやエフェクトのデータもこの中に保存される。 Media ComposerとPro ToolsのAAF互換 これまでのフローでは、OMF / AAF(Open Media Framework / Avid Authring Format)ファイルを介してデータ移行を行っていた。これらのファイルはオープンファイルフォーマットであり、Avid製品だけではなく他社メーカーにおいてもこのファイルをサポートすることにより、ビデオまたはオーディオのタイムラインデータのやり取りをすることができる相互に互換性を持ったフォーマットだ。 AAFを介する方法では、ビデオ編集側でシーケンスデータをAAFファイルに変換してエクスポートし、Pro Tools側ではそのAAFファイルをインポートしてセッションファイルに変換、というビデオ側とPro Tools側の両方でデータ変換が必要になる。また、その場合にPro Toolsではトラックの割り当て、ビデオの選択などセッションデータのインポートの項目で各項をひとつずつ確認、選択することでデータを開くことになる。 変換でトラック名はどうなる? Media ComposerもPro Toolsもトラック名を変更することができる。通常はA1、A2と表示されているトラック名だが、この名前をMedia Composer側で変更しておくと、Pro Toolsにインポートした際に同じ名前で表示されるため素材の管理も簡単になる。 マルチトラックの扱いは? Media Composerはモノ、ステレオ、5.1、7.1のマルチチャンネルトラックを扱うことができる。素材がモノである場合はモノトラックに、ステレオのものはステレオトラックに編集されたままでPro Toolsに渡すことができる。 ボリューム・パンオートメーションはそのまま? Media Composerで書いたボリューム・パンオートメーションも、そのままの状態でPro Toolsにインポートすることができる。またクリップベースのゲインのデータもフェードのデータも互換がある。さらに、Media Composerで設定したトラックエフェクトは、トラックプラグインとしてPro Toolsにインポートされる。ただし、Pro Toolsでこれを再現するためには、Pro Toolsにもインストールされている標準のプラグイン、またはサードパーティのAAXプラグインを使用することが必要となる。 新機能Pix & Mix によるセッションファイル互換! これからのMedia ComposerとPro Tools間でのデータの流れは、Pix & Mixによってセッションデータで行うことができる。Media Composerバージョン2022.12からは、セッションデータ(.ptxファイル)をエクスポートすることができるようになったため、Pro Toolsではそのファイルをダブルクリックするだけで移行されたファイルを開くことができるようになった。まずは、その移行方法のオペレーションを実際のエクスポート画面に沿って見ていこう。 Media ComposerでPro Toolsセッションファイルをエクスポート 【手順】 1. ビンの中でシーケンスを右クリックし、出力>ファイルにエクスポート…を選択。 2. エクスポートダイアログボックスでOptionsをクリックすると、エクスポート設定ウィンドウが開く。 3. エクスポート設定のプルダウンメニューから「Pro Toolsセッション」を選択。 4. 「保存ボタン」をクリックし、保存場所や名前を指定して保存。 【選択オプション解説】 ●マークを使用 シーケンスにイン点とアウト点がついている場合には、そのマークが優先されインアウト間がエスクポートの対象になる。チェックを外すとシーケンス全体をエクスポートする。 ●選択されたトラックを使用 シーケンスでアクティブになっているトラックだけをエクスポートする。ビデオのカット点をPro Toolsでも確認したい時は、ビデオの編集点があるトラックを選択する。 ●アクティブでないオーディオトラックを含む シーケンスで選択されていないオーディオトラックをエクスポートの対象にしたい場合には、このオプションを有効にする。 ●シーケンスのビデオ / オーディオトラックすべてを含む さらに、Media Composerからのエクスポートでは、セッションファイルと一緒にメディアをコピーするかしないかを選択する。このオプションが選択されていないと、ビデオ、オーディオメディアをセッションファイルに関連付することができないため、必ずチェックを入れておきたい。 オプションを選択した後は、ビデオ / オーディオの詳細の項目で細かな設定を選択していく。ポイントとなるのはメディアのコピーを行うのかどうかだ。Avid NEXISのような共有サーバーがある場合には、メディアのコピーをしない選択で良いだろう。ビデオ・オーディオメディアなどすべてのメディアをコピーせずとも、シーケンスで使われている同一メディアにリンクして使用することができるからだ。この場合、エクスポート方法は「メディアにリンク」を選択する。この時の注意点として、ビデオトラックにエフェクトがある場合には、エフェクトがレンダリングされていることを確認する。Pro Toolsにはビデオエフェクトを適用する機能がないため、レンダリングしたメディアにリンクする必要がある。 また、共有サーバーがない場合には、メディアをコピーしてPro Toolsへ持ち込む必要があるため「すべてのメディアをコピー」または「メディアをコンソリデート」を選択する。この項目はビデオとオーディオに対してそれぞれ設定することになる。 エクスポートされたセッションファイルは、.ptxが読み込み可能なすべてのバージョンのPro Toolsで開くことができるが、マーカーを含めた互換性を実現するためには、Pro Tools 2022.12以降の使用が推奨だ。 メディアコピーに関する機能向上 Media Composer 2023.3では、セッションファイルへのエクスポートのプロセスでメディアをコピーする際のオプションが追加された。エクスポート画面の「ビデオ / データの詳細」と「オーディオの詳細」、それぞれのタブで「以前のシークエンスに含まれるビデオまたはオーディオメディアを除くかを尋ねる」のオプションを選択すると、ビンのコンテンツ全体を比較し差分をエクスポートできる。以前は2つのシーケンスを比べることしかできなかったが、このバージョンからはビン全体を対象にすることができる。 これをチェックした上で「保存」ボタンをクリックしファイル場所を選択すると、「Select Sequence(シーケンス選択)」ダイアログボックスが表示され、「Exclude Audio and Video Media Referenced from Sequence(シーケンスで参照されたオーディオ・ビデオメディアを除外)」ドロップダウンメニューから、ビン内のコンテンツ(「すべて」)を選択することができる。また、「メディアをコンソリデート」でのエクスポート方法でも、同様に差分をエクスポートすることが可能だ。 また、「WAVではないメディアをBWFに変換」オプションは、エクスポート中にメディアの差分をコピーしながらファイル変換を行う。「ビンのフィールドレコーダーメタデータをオーディオにエンベデッドする」は、Media ComposerにあるメタデータをすべてPro Toolsに渡すことができるオプション項目だ。 Pro Tools 2023.6で対応、トラック・マーカー機能 Media Composerのシーケンスでは2種類のマーカーが使用されている。シーケンスのトラック(クリップ)に置かれるトラックマーカーと、タイムラインに置かれるタイムラインマーカーだ。AAFファイルではこれらは区別されず、Media ComposerのマーカーはPro Toolsでファイルを開いた際にすべてタイムラインマーカーとして表示される。しかし、Pro Tools 2023.6からはMedia Composerのトラックにあるマーカーはセッションファイルの受け渡しによって、トラックマーカーとして表示。また、そのマーカーについているコメント(日本語可)やカラーもそのまま再現できるため、視認性がより良くなることはもちろんのこと、コメントを確認することでビデオ編集者とのコミュニケーションも取れるようになる。 以上のように、セッションでのエクスポートの利点は、ビデオタイムラインをスピーディーにそのまま再現できることにある。Media Composerで編集された編集点が、Pro Toolsのタイムラインでそのまま再構築され、トラックの表示、オーディオプラグイン、マーカー、コメントも再現でき、MA作業のスピードアップにつながる。Avidからのメッセージでは、Media ComposerとPro Toolsの互換性はこれまで以上にアップしていく予定だという。今回の解説と逆方向に、Pro ToolsからMedia Composerへのデータ戻しも可能になるかもしれない。このようなラウンドトリップ機能の向上が、さらなるワークフローの変化をもたらすことにも期待していきたいところだ。   *ProceedMagazine2023号より転載
Review
2023/08/30

Avid Pro Tools | MTRX II / Thunderbolt 3オプション〜期待を裏切らないフラッグシップ機の更新〜

2016年の発表以来、Avid製オーディオI/Fのフラッグシップとして多くの現場で愛用されてきたPro Tools | MTRX。AvidはNAMM Show 2023でさらなるブラッシュアップを施した後継機「Pro Tools | MTRX II」と、フラッグシップ機をNative DAWで使用するためのThunderbolt 3 オプションモジュールを併せて発表。大注目の新製品についてその機能を概観するとともにシステムアップ上の利点を考えてみたい。 ●PRO TOOLS | MTRX ll / ¥1,089,000(本体価格¥990,000) MTRXをベースに新たなFPGAを用いて、オリジナルと同等の音質を維持しつつ開発された MTRX II 。内蔵SPQ、Dante 256 Ch内蔵(Dante 128 Optionも併用可能)、マトリクスルーティングは4096 x4096へ。イマーシブ時代におけるミキシングおよびモニタリング・キャパ シティーの拡張を実現している。従来のMTRX Optionカードと完全互換を持ち、アナログ入出力を全8スロットへフルに使用することも可能。 Avidのフラッグシップモデルがいまリロードされた。 Pro Tools | MTRX ファミリーがNative環境で使用可能に! 大注目のThunderbolt 3モジュールに対応 Avid製フラッグシップ・オーディオI/Fとして信頼を寄せられてきたPro Tools | MTRX(以下、「初代MTRX」)。1500 x 1500という大規模なクロスポイントを備えたルーティング・マトリクス、モジュール方式を採用することによる高い柔軟性と拡張性、そして比類なきオーディオクオリティがプロフェッショナルな現場で愛されてきた大きな理由だろう。4月に開催されたNAMM Show2023では、その初代MTRXにさらなるパワーアップを施したPro Tools | MTRX II(以下、「MTRX II」)が発表された。MTRXファミリーの代名詞でもあるルーティングマトリクスの強化や、Dante / SPQの内蔵、アナログI/Oカードの換装上限撤廃など、さまざまな機能強化が図られている。さらに、大注目は同時に発表されたThunderbolt 3オプションモジュール。MTRX IIとMTRX StudioをついにNative環境で使用することが可能になっている。 MTRX II 自体の機能も気になるところだが、ある意味でそれ以上に注目されそうなプロダクトが、MTRX IIと同時に発表されたThunderbolt 3オプションモジュールだ。これは、オプションカードスロットではなく本体にインストールするタイプのモジュールとなっており、MTRX IIとMTRX Studioで使用することが可能。残念ながら、初代MTRXに追加することはできないのでご注意いただきたい。 これまで、Pro Tools | MTRX ファミリー(初代MTRX / MTRX II / MTRX Studio、以下、「MTRXファミリー」)をMac / PCと接続するには、本体ユニットまたはオプションカードのDigiLinkポートを使用するしかなかったが、Thunderbolt 3オプションモジュールを換装することでMTRX IIとMTRX StudioをNative環境でも使用することができるようになる。具体的に言えば、Pro Tools Studio / Artistはもちろん、Steinberg NUENDO、Apple Logic Pro、Presonus Studio OneなどのCoreAudio対応DAWにおけるNative制作環境で、AvidフラッグシップI/Oを使用できるようになるということだ。特に、ver.2022.4でマルチチャンネル制作に対応したPro Tools Studioを使用したNative環境で、大規模なルーティングとモニタリング機能を備えたMTRXファミリーを使用することができるというのは、ユーザーにとっては大きなトピックではないだろうか。 ●Thunderbolt 3 Module ¥135,080(本体価格¥122,800) 📷MTRX IIとMTRX Studioの両製品に対応したThunderbolt 3モジュールがリリース。これによりDigiLink接続によるパワフルなDSP統合環境に加えて、 Thunderbolt 3経由で実現する低レイテンシーなCore Audio環境での柔軟性も実現可能となる。Thunderbolt 3オプション・モジュール経由で、MTRX IIでの使用時に256ch、MTRX Studioの場合では64chにアクセスが可能、他のアプリケーション等をDADmanソフトウエアにルートし、より先進的なDolby Atmosワークフローが実現できる。 Avidの発表によれば、Thunderbolt 3オプションはHDXとの併用が可能。DADmanのルーティングマトリクスに、I/OソースとしてHDXとは別にThunderbolt 3の入出力が見えるようになり、これらをMTRX上でルーティングすることができるようになるとのこと。イメージとしては、従来のDigiLink I/O オプション・カードを使用して複数のPro ToolsシステムをMTRXに接続する場合に近いものになる。 この機能を利用することで、メイン機とは別のマシンにインストールされたCoreAudio対応DAWとの間で信号のやりとりができるのはもちろんだが、大きな期待が寄せられるのが、MTRX II / MTRX Studio 1台で、Pro ToolsとDolby Atmosハードウェア・レンダラー間の信号をやりとりできるようになるのでは!?ということだ。システムにおいてクリティカルな部分となるため、発売開始後に実際の挙動などを実機で検証する必要はあるが、仕様上はこうした構成を取ることが可能となっている。Dolby Atmos制作のシステムアップにも一石を投じる可能性を持ったプロダクトに大いに期待したい。 Dante / SPQ内蔵など、機能面での性能もアップ 初代MTRXの拡張カードの中でも需要が高かった128ch Dante I/OとSPQだが、MTRX IIでは256ch分(@44.1/48kHz)のDante I/Oと、SPQ機能がはじめから本体の機能として内蔵されることになる。Dolby Atmosや360 Reality Audioなどのイマーシブ制作においては、オーディオ入出力もスピーカーシステムも従来よりはるかに大規模となるため、多数のオーディオを伝送できるDanteと、最大1,024のフィルターを追加して音響補正機能を提供するSPQというふたつの機能が本体内蔵になるのは、かなり豪華なアップデートではないだろうか。 ちなみに、初代MTRX用のオプションカードはMTRX IIでも引き続き使用することが可能だ。MTRX IIにビルトインされるDante I/OにはSRC機能がないため、SRCが必要な場合や、さらなるI/O数が必要な場合などは、従来通り128ch Danteカードを追加することで対応することができる。極端な例だが、8スロットすべてにDanteカードを追加した場合、MTRX II 1台で合計1280chのDante信号を扱うことができるということだ。MTRX II に内蔵されるSPQはオプションカードとして初代MTRXで使用できるものと同じ128 EQチャンネル+最大1,024フィルター。MTRX Studioに内蔵されているものとは異なり、SPQの機能をフルに使用することができる。反面、初代MTRXに内蔵されていたAES/EBU I/Oは廃止されてしまった。今後はAES/EBU信号を扱いたい場合には、オプションカードを追加することで対応することになる。 オプションカードに関してもうひとつ嬉しいアップデートは、アナログI/Oインストール数の上限が撤廃されたことだ。初代MTRXではアナログのオプションカードはInput / Output合計で6枚までしかインストールすることができなかったため、Pro Toolsシステムを大規模なアナログコンソールと接続する場合などにネックになってしまうことがあった。MTRX II ではこの上限がなくなり、8つのスロットすべてにアナログI/Oカードをインストールすることができるようになっている。 さらに、MTRXファミリーの特徴であるルーティングマトリクスとモニタープロファイル機能にも大幅なパワーアップが施されている。ルーティングマトリクスのクロスポイントは従来の1500 x 1500から、3倍近くとなる4096 x 4096に増加。モニタープロファイルで使用できる内部サミングミキサーは256 × 32から512 × 64に増加する。このアップデートにより劇場用のDolby Atmos制作においても十分な数のチャンネルを扱うことができるようになる。 初代MTRXと同様、システムのコアデバイスとしての活躍が期待されるMTRX II。AvidフラッグシップI/Fとしての期待を裏切らない仕様だ。また、待望のThunderbolt 3モジュールもついに発表となり、こちらも今後の制作環境に大きな柔軟性をもたらすことが期待される。やはり、ハードウェアで開発される新製品は、制作システムを構成するにあたりに大きなインパクトを与えることになる、今からその登場を心待ちにしたい。   *ProceedMagazine2023号より転載
NEWS
2023/08/28

SCFEDイベのスタジオ探報記 第4回 キング関口台スタジオ / RockoN Webサイトにて公開中!

憧れのスタジオを訪問してスタジオの魅力、ハイエンド機材やビンテージ機材の魅力、そして“スタジオで生まれる特別なマジック”の正体について解き明かすインタビューシリーズ「SCFEDイベのスタジオ探報記」。第4回は、「キング関口台スタジオ」にスタジオ探報です! 『SCFEDイベのスタジオ探訪記 第4回:キング関口台スタジオ』 >>>>記事本編はコチラ
Support
2023/08/25

【Avidサポート情報】アカデミック版の認証方法が変更されました。

Avid製品のアカデミック(EDU)ライセンスの認証方法が変更されました。EDUライセンスをご購入いただいたユーザー様は、ご自身のアカウントにライセンスを登録した後、アカウント内からアカデミック認証を完了するまで製品をダウンロードすることができませんのでご注意ください。 アカデミックライセンスの認証方法はこれまでの「identit-e」に変わり、「Proxi.ID」を使用したライセンス認証となります。 Proxi.IDのSSO(シングルサインオン)システムに登録されている教育機関の場合、認証は即座に行われ、従来のように証明書のファイルを転送したり何時間も待つことはなくなります。 Proxi.IDに登録がない教育機関の場合でも、メールアドレスでの認証、または、identit-eの場合と同じように証明書のアップロードによって認証を受けることができます(この場合、12〜48時間ほど掛かります)。 Avidソフトウェア製品をアカウントに登録した後の詳細な手順、および、アカデミック認証に関する良くあるご質問は以下のリンク先をご覧ください。 アカデミック版 (Redemption Code) 製品の Proxi.ID 認証手順>> アカデミック認証に関する良くあるご質問>> この変更は学生・教員向け(個人名義)ライセンスの認証に関するものです。教育機関向け(教室用)ライセンスに関してはROCK ON PRO営業担当までお問い合わせください。 Avidは学生・教員向け/教育機関向けのアカデミックライセンスをラインナップしています。ニーズに合ったプロダクトを提案させていただきますので、ライセンスについてご不明な点はお気軽にお問い合わせください。 ROCK ON PROでは音響・映像に関するシステム設計、スタジオ構築のご相談を随時お待ちしております。ハードウェアを含めたご相談も、contactボタンからお気軽にご連絡ください。
Sales
2023/08/24

【9月30日まで!】MTRX II トレードアップキャンペーン実施中!

Avidの最新フラッグシップI/OであるPro Tools | MTRX II。オリジナルMTRXから好評だった256ch分のDante I/O、音響補正SPQ機能を内蔵仕様に変更し、内部マトリクスも大幅な進化を遂げたMTRX IIの発売を記念し、Rock oN Companyでは他機種からのトレードアッププロモーションを実施中です。 対象となる機種を下取りに出すことで、買取金額がUP!さらに、MTRX II本体のご購入価格もDown!I/Fの買い替えをご検討中の方は、ぜひこの機会をご利用ください! Pro Tools | MTRX IIについての詳細はこちらの記事>> 本キャンペーンについての詳細はこちら>> Pro Tools | MTRX II発売記念 トレードアップ・プロモーション 期間中、Pro Tools | MTRX IIご購入時に対象機種を下取りに出していただくと、下取り金額UP!で買取いたします。さらに、通常価格¥1,089,000(税込)であるMTRX II本体を特価 ¥1,000,000(税込)にて提供いたします! 期間:2023年9月30日まで 対象:下表に記載 下取り対象機種 *記載の買取金額は上限金額です。機器の状態や付属品の有無などによっては、買取金額が記載の金額に満たない場合がございますのでご了承ください。 MTRXからの純粋なパワーアップだけでなく、発売が待たれるTB3オプションカードを使用すればハイエンドNative I/Oとしても機能するMTRX II。キャンペーンのご利用だけでなく、少しでも気になるという方は、ぜひRock oN Company店頭でのデモをお申込みください。 ROCK ON PROではAvid製品をはじめとした音響システムの設計・販売や幅広いスタジオ構築のご相談を随時受け付けております。ぜひ、お気軽にお問い合わせください! https://pro.miroc.co.jp/headline/avid-pro-tools-mtrx-ii-thunderbolt3-module/
NEWS
2023/08/23

YAMAHA新デジタルミキサーDM3受注開始!

YAMAHA伝統のデジタルミキサーの系譜に新たなページを加える新機種DM3が受注を開始いたしました。すでに受注を開始しているDM3 Standardと合わせて、コンパクトなデジタルミキサーをお探しのユーザー様には要チェックのプロダクトです。 DM3シリーズはコンパクトでありながら、機能、接続、音質のすべてにおいて、一切の妥協なく高い品質を誇るデジタルミキサーです。YAMAHAのデジタル技術を駆使したサウンドクオリティは96kHzまでのサンプルレートに対応。9インチ・タッチディスプレイによる直感的な操作が可能です。 DM3の詳細はRock oN Line eStoreでご確認いただけます。 YAMAHA DM3(Dante搭載) 販売価格:¥286,000 (本体価格:¥260,000) Rock oN Line eStoreで予約>> *出荷予定日:2023年9月以降 YAMAHA DM3 Standard(Dante非対応) 販売価格:¥231,000 (本体価格:¥210,000) Rock oN Line eStoreで購入>> 国内におけるデジタルミキサーの先駆者でもあるYAMAHAの待望の新機種!本格的なライブコンサートでのサブミキサーとしてだけでなく、中小規模のライブやストリーミング配信ではメイン機として使用することもできる高品質・高機能なプロダクトです。 本製品のお問い合わせ、また、スタジオ設計・システム構築のご相談はお気軽にROCK ON PROまで!
Music
2023/08/16

GPU Audio / 既存概念を超越するオーディオGPU処理の圧倒的パフォーマンス

AES2022で綺羅星の如く登場し、業界の注目を集めているGPU Audio 社。これまで、AudioのPC上でのプロセスはCPUで行う、という認識が暗黙の了解のように存在していたのだが、GPUというこれまで活用してこなかったプロセッサーを使用することで、さらなる処理能力の向上を現実のものとした、まさにゲームチェンジャーとなりうる可能性を秘めた技術を登場させている。 Viennaの動作で実証された驚くべき能力 NAMM 2023の会場では、そのGPUプロセスに対し賛同した複数のメーカーとの共同ブースを構えて展示を行っていた。GPU Audio自体は、独自に開発したプラグインを複数発表しているが、NAMMの会場ではVienna Symphonic Libraryの誇る、高精度だが非常に動作が重いとされるVienna MIR PRO 3Dのセッションを、なんとGPU上で動作させるというデモを行って会場を驚かせていた。 📷コンサートホールを模したバーチャル空間に配置されたインストゥルメント。実際のオーケストラの配置を念頭に各パートが配置されており、そのパート数はなんと63。クオリティーの高さと引き換えに動作が重いことで有名なViennaではあるが、こちらのデモではさらに3D空間でのシュミレーションが加わっている。 このVienna MIRのセッション上には70トラックの音源が同一空間に配置され、3D空間内部での音源として再生が行われていた。CPUでの処理では音にノイズが混ざったりしていたものが、GPU上で動作させると使用率は30%程度に抑えられ、しかも安定して綺麗に再生される、ということがまさに目の前で実践されていた。このデモで使用されていたLaptop PCは、いま考えられる最高のスペックだと自信たっぷりに案内されたのだが、まさにその通りで、CPUはIntel Core i9 13900、メモリ64GB、GPUはNVIDIA GeForce RTX 4090という、現時点における最高の組み合わせ。つまり、その最新世代のCore i9でさえ動かしきれないものを、GPUをもってすれば余裕を持って動作させることができる。これは、GPU Audioがアナウンスしているように、FIRの計算であれば40倍、IIRの計算でも10倍のパフォーマンスが得られるということが現実になっているということだ。 📷クローズアップしたのはGPU Audioの技術により組み込まれたCPU/GPUの切り替えボタン。ベータ版のため実際の製品でもこのような仕様になるかは不明ではあるが、これこそが本記事でご紹介しているGPUによるオーディオ処理を確認できるポイントとなる。GPUがいかに強力とはいえ、有限のプロセッシングパワーであることは間違いない。従来のCPU処理と選択できるというアイデアは、ぜひともリリース版にも搭載してもらいたい機能だ。 並列処理、ベクトル計算を得意とするGPU 📷CPUとGPUでの処理速度の差をグラフ化したものがこちら。一般的に処理が重いと言われているFIR(リニアフェイズ処理)において、30〜40倍の速度向上が見込めるというのが大きなトピック。一般的なEQ処理などで使われるIIRにおいては、CPUとの差は縮まり10~15倍。これは、元々の処理自体が軽いということもありこのような結果になっているようだが、それでも大幅な処理速度向上が見込める。多数のコアを使った並列処理によるFIR処理の高速化は、やはりGPUの真骨頂と言えるのではないだろうか。 なぜ、GPUをAudioのプロセスに使うだろうか?筆者も10年以上前から、Audio Processを行うにあたりCPUは頑張って仕事をしているが、GPUは常に最低限の仕事(ディスプレイへのGPUの表示)しか行っていないのは何とももったいないと感じていた。高価なデスクトップPCを購入すれば、それに見合ったそこそこのグレードにあたるGPUが搭載されてくることがほとんど。搭載されているのにも関わらず、その性能を活かしていないのはなんとももどかしい。しかも、GPUはオーディオ信号処理にとってのエキスパートとなる可能性を持つ部分が数多くある。 まず考えられるのは、大量のトラックを使用し多数のプラグインを駆使してミキシングを行うといったケース。かなり多くの処理が「並行して複数行われる」ということは容易に想像できるだろう。これはまさにGPUが得意とするリアルタイム性が必要な並列処理であり、レイテンシーを縮めることと、並列処理による処理の最適化が行えるはずである。次に、GPUがベクトル計算のプロフェッショナルであるということ。オーディオ波形を扱うにあたり、この特徴は間違いなく活かせるはずである。オーディオの波形編集などで多用されるフーリエ変換などはGPUの方が秀でている分野である。 ●GPU(Graphics Processing Unit)とは!? GPUとはGraphics Processing Unitの略称であり、リアルタイム画像処理に特化した演算装置あるいはプロセッサを指す。通常の演算処理に使用するCPU=Central Processing Unitとの違いは、膨大な並列処理をリアルタイムに演算する必要がある3Dのレンダリング、シェーディングを行うために数多くの演算用のコアを搭載しているということが挙げられる。現行のCPUであれば、4~20個ほどのコアを搭載しているものが一般向けとして流通しているが、それに対しGPUではNVIDEAの現行製品RTX 40シリーズは処理の中心となるCUDAコアを5888~16384個と桁違いの数を搭載している。 このような高度な並列処理が必要となった過程はまさに3D技術の進化とともにあり、Microsoftが1995年に開発した、ゲーム・マルチメディア向けの汎用API Direct Xの歴史とともにハードウェアの進化が二人三脚で続いている。3Dのグラフィックスをディスプレイに表示するには、仮想の3D空間において、指定座標におかれた頂点同士をつなぎ合わせたワイヤーフレームの構築し、そこに面を持たせることで立体的な形状を生成。これを空間内に配置されたオブジェクトすべてにおいて行う。そこに光を当て色の濃淡を表現、後方は影を生成、霧(フォグ)の合成など様々な追加要素を加えてリアリティーを上げていく。こうして作られた仮想の箱庭のような3D空間を、今度は2D表現装置であるディスプレイ表示に合わせて、3D-2Dの座標変換処理、ジオメトリ処理を行うこととなる。これらの作業をリアルタイムに行うためには、高速にいくつもの処理を並列に行う必要がある。それに特化して並列化を進めたものが今日のGPUである。 NVIDIA GPU比較表 このような並列処理に特化したGPUは、2005年ごろよりコンピューティングの並列化に最適なプロセッサーとしてGPGPUという新たな分野を切り拓いている。単一コアの高性能化が一定の水準で頭打ちすることを見越して、処理を並列化することでの効率化、高速化を図るというものである。汎用CPUと比較して明確なメリット・デメリットはあるものの、特定分野(特にベクトル計算)においてはその性能が発揮されるということもあり、スーパーコンピュータ分野で普及が進んでいる。 現在では、Direct X 10以降の世代の汎用GPUであればGPGPU対応となっている。汎用のAPI「C++ AMP」や「OpenACC」などのプログラミング言語環境も整っており、普通に入手可能な製品でもGPGPUの恩恵を受けることは可能である。まさに今回紹介するGPU Audioはこのような特徴を活かしたものと言えるだろう。 オーディオでシビアなレイテンシーを解決 📷NAMM Showの会場でGPU Audioは、そのテクノロジーに賛同するメーカーと共同でブースを構えていた。 リアルタイムかつ、同時に数多くの処理を並列でこなすことのできるGPUが、まさにAudio Processingの救世主となりうる存在であることは、多くのPCフリークが気付いていたはずである。しかし、なぜ今までGPUを活用したオーディオプロセッシング技術は登場してこなかったのだろうか? ここからは筆者の考察も含めて話を進めていきたい。GPU Audioのスタッフに話を聞いたところ、昨年のAES 2022での発表までに費やした開発期間は、実に8年にも及ぶということだ。一見シンプルにみえるGPU上でのオーディオ処理だが、実現するためには多くの困難があったようだ。その具体的な事例として挙がっていたのはレイテンシーの問題。 そもそもリアルタイム性を重視して設計されているGPUなのだから、問題にはならなさそうな気もするが、グラフィックとオーディオの持つ性質の差が解決を難しくしていたようだ。想像をするに、画像処理であれば一部分の処理が追いつかずにブロックノイズとして表示されてしまったとしても、それは広い画面の中の微細な箇所での出来事であり、クリティカルな問題にはならない。しかしオーディオ処理においてはそうとは行かない。処理遅れにより生じたノイズは明らかなノイズとして即時に聴こえてしまい、オーディオにおいてはクリティカルな問題として顕在化してきてしまう。単純にGPGPUなど、GPUをコンピューティングとして活用する技術は確立されているのだから、プログラムをそれにあった形に変換するだけで動くのではないか?と考えてしまうが、そうではないようだ。 CPUが非力だった時代より今日までオーディオプロセスを行わせるための最適なデジタル処理エンジンは、DSP=Digital Signal Processerである。これに異論はないはずだ。昨今ではFPGAを使用したものも増えてきているが、それらも基本的にはFPGA上にDSPと同様に動作するプログラムを書き込んで動作させている。言い換えれば、FPGAをDSPとして動作させているということだ。 その後、PCの進化とともにCPUでの処理が生まれてくるのだが、これは汎用のプロセッサーの持つ宿命としてレイテンシーが発生してしまう。もちろんDSPの処理でもレイテンシーは発生するのだが、CPUは処理の種類によりレイテンシー量が異なってくる一方で、その遅延量を定量化することが可能なのがDSPの持つ美点である。レイテンシーが定量であるということは、オーディオにとっては非常に重要なこと。問題にならないほどレイテンシーが短いのであれば、あえてディレイを付加することにより遅延量を定量化することは容易いのだが、チャンネル間の位相差などレイテンシー量がバラバラになるとクリティカルな問題に直結してしまう。GPUの持つ可能性がどれほどのものなのかは、今後登場する製品に触れたときに明らかになることだろう。 📷デモではViennaを使っていたが、GPU Audioでは自社でのプラグインのリリースも行う。こちらが自社で開発したコーラス、フランジャーなどのモジュレーション・プラグインと、FIRを活用したリバーブプラグインとなる。従来のCPUベースのプラグインをリリースするサードパーティ各社への技術提供と並行して、このようにGPU Native環境でのプラグイン開発を行うプランが進行している。 デモを見るかぎりGPUが持つ可能性は非常に高いと感じる。PCでのオーディオプロセスとしてはフロンティアとも言える領域に踏み込んだGPU Audio。今まで以上のプロセッシングパワーを提供することで、全く新しい処理を行うことができるプラグインの登場。DAWのミキシングパワーはCPUで、プラグインプロセスはGPUで、といったような処理の分散による安定化など多くのメリットが考えられる。今後、GPU Audioの技術により業界が大きく変化する可能性を大いに感じられるのではないだろうか。 📷プレゼンテーション用のステージではライブパフォーマンスも行われていた。QOSMOはファウンダーであり、自身もミュージシャンであるNao TokuiとBig YUKIによるパフォーマンスを提供。一流ミュージシャンに寄るパフォーマンスが楽しめるのもNAMM showの醍醐味のひとつ。   *ProceedMagazine2023号より転載
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2023/08/10

TAOCファクトリーツアー / 鋳鉄のプロフェッショナル集団が生み出す、質実剛健プロダクツ

制振についてのコア技術に特許を持ち、実に40年にわたりホームオーディオの分野で活躍しているTAOC。40年間の製品開発で蓄積したノウハウを基に開発した新たな製品レンジ「STUDIO WORKS」シリーズを投入し、これまでは特注でしか生産されることがなかったプロオーディオ市場へ本格的に参入する。鋳鉄こそが「遮断」と「吸収」という2つの役割を両立できるベストな材質だという鋳鉄のプロフェッショナルたちがどのようにして製品を開発・生産しているのか、愛知県豊田市のアイシン高丘株式会社を訪れた。 振動を制するものはオーディオを制す TAOCはブレーキディスクローターやシャーシ部品をはじめとした自動車部品を生産するアイシン高丘株式会社を母体に持つ。自動車用鋳造部品の製造ラインで採取される鋳鉄粉を用いて、鋳鉄の制振性や音響特性を活かした製品をホームオーディオの分野で多くリリースしているのがTAOCブランドだ。ほとんどの製品が制振にフォーカスをあてたもので、そのブランド名の頭文字が「Takaoka Anti Oscillation Casting」から成っていることからも、立ち上げ当初より音響機器の最適な振動制御を鋳造(Casting)で達成することを目的に活動してきたことが窺える。また、「異なる厚みの鉄板を密着させ、互いに違った固有値を持つ板材が振動を抑制することで、音質改善を行う二重鉄板構造」について特許を取得したこともあり、現在では多くの金属製スピーカースタンドメーカーが生産する製品の天板に採用されている。 音楽を活かすために「整振」するTAOCの製品には、音像の厚み、広がり、帯域のバランス、解像度といった要件が求められる。この複数の要件を満たすには、密度が高く、硬度が高く、自己の振動を持ち込まない減衰性を併せ持つ材質が必要となるが、これにおいて3拍子揃った材質が鋳鉄だ。 さらに、鋳鉄(言い換えれば黒煙を多量に含んだ鉄)は高い振動吸収性を持つ。鋳鉄はキャベツの葉を剥がしてランダムに並べたような黒鉛構造を持っており、その黒鉛と鉄部分の摩擦によって振動エネルギーは熱エネルギーに変換され制振性を発揮する。これが鋳鉄の大きな特徴であり、安全のためにも不要な振動を抑えておきたいブレーキローターに鋳鉄が用いられているのもうなずける。 📷各素材を特性ごとに並べてみると、鋳鉄がいかに3拍子揃った材質であるかがわかる。例えば、密度が最も高い鉛は一方で硬度が低く、硬度が最も高いセラミックは減衰性が低い。マグネシウムは減衰性に秀でているが、密度が低くなり音の厚みや解像度に劣ってしまう。この3つの特性を高い次元でバランスよく持っているのが鋳鉄だ。 鋳鉄が持つ独特な特性を体験する アイシン高丘本社に到着後、広大な敷地内でも最奥に位置するTAOCオフィスまで車で移動。鋳鉄工場見学のレクチャーと諸注意を受けつつ、まずTAOC製品に広く用いられる鋳鉄粉のサンプルを見せていただいた。大きめの薬瓶に入れられた鋳鉄粉サンプルは、手に取ると当然ながらズッシリと重い。鉄粉はパウダー状になっている訳ではなく、砂粒ほどの大きさがあり、これが各種製品へ充填されている。試しに手に持って水平に揺らしてみると、ショックレスハンマーと同じ原理が働き、寸止めした時の反対側への反動が少なくピタッと止まる。力量は異なるが、スピーカースタンドの中でもこういった現象が起こっているのかと不思議な体験ができた。 作業着とヘルメットを装着したところで鋳造工場内へ移動を始めるが、大きな炉を拝見する前に、社内の研修施設で今の製造工程や自動化されている機械内処理の説明をいただいた。その研修施設の入口にはダンベルやエンジンブロックのサンプルを使った解説があり、自動車部品以外の鋳物製品や鋳造の成形不良のサンプルも展示されている。その中に音に関係するサンプルもあったのでご紹介しておきたい。そこには鐘形になった鉄4種類、青銅、アルミの成形物が設置されており、これをマレットで叩くことが出来るのだが、叩いてみるとアルミや青銅はサスティンが長くその音色も聴き慣れた美しいものなのだが、比べて鋳鉄を叩いた音色はどれも複雑な倍音をもち、アタックも鈍く、そして減衰が速い。素材自体に制振効果があるということは前知識としてあったが、実際にマレットで衝撃を与えた際の応答は予想以上に顕著なもの。オーディオ製品として鋳鉄が持つ可能性に期待が高まる。 鐘形のサンプルの裏手側には設計から製品になるまでの工程がジオラマ形式で展示され、アイシン高丘の鋳物製造フローが学べる。社員研修や社内技能試験などでは研修施設の機能をフルに活用するとのことだが、今回は鋳鉄粉が出来るまでの一部の工程を説明していただいた。 鋳鉄粉が採取できる工程は、鋳造の後半にあたる後処理工程となる。上型、下型、中子型から製品を取り出す作業が行われ、製品は砂型を壊して取り出される。取り出した製品には型で使われた砂が付着しているため、ショット機と呼ばれるサンドブラストの一種を使用してバリや砂を除去する。この作業によって、素材の表面が剥がれ落ち鋳鉄粉が採取できるわけだ。こうしてショット機からメディアが噴射され後処理が完了すると集塵機には砂、メディア、鋳鉄粉が混ざったものが集まる。これを選別して鋳鉄粉を取り出し、さらに取り出した鋳鉄粉は規格に沿ったメッシュを通して粒を揃えたものを採取する。このような工程で選りすぐられた鋳鉄粉をTAOCではスタンドの制振材として活用している。 📷バリ取りの工程で写真のショット機が使用される。砂型から取り出された製品からサンドブラストの一種であるこちらの機械を使ってバリと砂を除去する。すぐ隣にあるのがショット機用の集塵機。ここに集められたものを規格に沿ったメッシュでふるいにかけ、砂粒状の鋳鉄粉が採取される。 非日常的な迫力の工場内 研修施設での解説を受けたあとは、鋳物を製造している製造ラインへと移動する。人間の背丈を遥かに超える大型機械群に囲まれて、なにが何の為の機械なのかまるで見当がつかない。いよいよ工場にやって来たという感覚が湧いてきた。 ライン見学は製造工程通りに案内され、まずは材料となる鉄を溶かす溶解炉であるキュポラのセクションへ。1400度以上の鉄が連続溶解できるキュポラの足元には6トンほどの溶かされた鉄が入る釜が2基設置されており、満杯になるとレールを伝って鋳込セクションへ運ばれる。残念ながら、先程キュポラから運ばれてきた真っ赤な鉄を注ぐ鋳込の工程自体は外から作業を見ることができなかったのだが、工場内は常に80dBを超える音で満たされており、定期的に聞こえるエアー重機のブローオフは瞬間的に100dBを超える。これだけでも非日常的な迫力を感じることができた。 そして、後処理のセクションへ移動する。研修施設で見たショット機を使ってのバリ取りを行い、まさにいま鋳鉄粉が出来ている工程でこちらも自動化されている。その経路の途中にはセキ折りのセクションがあり、製品から伸びている湯道を切り離す作業のラインを見学。鉄でできた大きなプラモデルとでも言えば良いのだろうか、傍らから見るとランナーからパーツをニッパーで切る作業に似ているのだが、ニッパー風のエアー工具も切り離される製品もやはりそのすべてが大きい。 システムをきちんと機能させる土台 工場内を見学した後はTAOCの開発室兼視聴室へ向かった。視聴室の前は広大な庭が広がっており、アイシン高丘のOBや夜勤明けの従業員がハーフラウンドのゴルフをプレイできるという。これ以外にも社内の取り組みとして工場排熱を利用してスッポンを育てていたり、ショット機で出た砂を再利用してウコンを育てていたこともあるそうだ。鋳鉄粉もTAOC発足前は再びキュポラに戻され製品へリサイクルされていたそうだが、資源の活用とSDG'sへの意識が旧来から全社的に根付いていることがうかがえる。 開発室の中はその半分のスペースがリスニングスペースとなっており、天井や壁面は防音・吸音加工が施されている。残り半分のスペースは様々な資料と音源を収納したラック、ここを囲うようにオリジナルスピーカーや検聴を待つ試作品が並び、そこにはSTUDIO WORKSのデスクトップ型スタンドもあった。同じくSTUDIO WORKSのインシュレーターを手に取ってみると一般的にイメージする鋳物とは思えない仕上がりで、質感はどちらかと言うと鍛造に近い。切削の工程があるのか聞いたところ、仕上げの工程はあるが基本的には鋳込時の流す量と時間で密度をコントロールしているという。それらの製品を設置していただき拝聴後、TAOCチームの南氏、杉田氏、西戸氏にお話を伺った。 Rock oN多田(以下、R):改めてTAOCの持つ特徴をお伺いさせてください。 西戸氏:アイシン高丘は1960年ごろからトヨタ自動車の鋳物部品を生産しており、東洋一の鋳物工場を作るんだという熱意を持ってスタートしました。そしてちょうど40年前の1983年、オイルショックで一時的に鋳物の生産量が少なくなっていく中で自動車部品以外にもこの独自の鋳造加工技術を活かせることはないかと、社内で検討する部署が立ち上げられて、鋳物のスピーカーベースの生産からオーディオアクセサリの事業をスタートしました。鋳物を使ったモノづくりとして、鋳物の墓石を作ってはどうだとか、当時は色々試行錯誤していたと聞いています。また、当時はシミュレーションも少なかったため、製品開発は試行錯誤の体当たりで製作していました。インシュレーター、オーディオボード、オーディオラック、スタンドに加えて鋳鉄製ユニットマウントリングを特長としたスピーカーの製作など、鋳鉄が持つ振動吸収を活かした製品をリリースしています。鋳鉄には素材自体が自分で揺れず、振動を適度に吸収するという特性があります。それを実証するようにスピーカーユニットのリングを作った時は樹脂と比べて真っ直ぐにドライバがストロークしました。これは本来持っている音を出すことができていたとも言えます。   R:STUDIO WORKSという新たなコンセプトで製品を生み出した経緯をお伺いできますか。 南氏:2018年に、とあるマスタリングスタジオのテックエンジニア様から、システム全体の音質向上のためにお声がけいただきTAOC製品を導入いただきました。以降も、エンジニア様とは音質に関する研究交流を続けていた中、杉田の案で2021年のInter beeに2人で行き、特注スタンドのオファーをいただき、要望を伺いながら何本も製作していく中、徐々にプロオーディオ向け製品のコンセプトが定まっていったという経緯があります。  杉田氏:ポタフェス(ヘッドフォン、イヤホン)に行った時も印象深いですね。ポタフェスはポータブルオーディオのイベントではありますが、それを踏まえても音響製品のイベントなのに会場が無音というのはショックを受けました。今までは主に、音を聴く側のお客様に向けての製品作りでしたが、ヘッドフォンの中に聴こえる素晴らしい音を創る側のエンジニア様、音楽家の皆様向けにTAOCとしてお役に立てられないかと思うようになりました。 R:STUDIOWORKSをどういったユーザー層を想定しているのでしょうか。 南氏:プロのエンジニアの方々やミュージシャンの皆様はもちろん、良い音を追求するすべての方々にご体験いただきたいですね。 杉田氏:イレギュラーな使い方や面白いご意見をいただき、そのフィードバックをいただければそこから更に製品の改善にもつながると思います。また個人向けで評価をいただいているこれまでの製品も、プロの方のフィードバックを反映してより良いものが作れると思っています。試作に対してのハードルが低いので、要望はどんどん欲しいですね。なので特注製品、いわゆるワンオフも大歓迎です。製品はすべて国産で製造しているので、フットワークも軽いですよ。 📷本文中でも触れたデスクトップサイズのスタンドも試作されていた。ユーザーの声を素早く反映してラインナップすることはもちろん、ワンオフでの特注にも柔軟に対応できるそうだ。 南氏:TAOCスタジオワークスは一貫して、確かな効果と実用性にこだわり、外観はとてもシンプルな仕様になっています。従来のTAOC製品同様に、20年・30年以上と永く使えるモノづくりをしています。また、今回のスタンドやインシュレーターはどのモデルも、それぞれエンジニア様やロックオンさんと何度も意見交換をしながら完成させたコラボのような製品で、みなさんの熱い思いが詰まっていると感じています。素晴らしい音楽を作られる皆様の鋭い感性と貴重なご意見に、いつも多くの学びがあります。今後も多くのミュージシャン様、エンジニア様とご一緒させていただきながら、TAOCスタジオワークスを進めていきたく思っています。 杉田氏:1983年9月に創業したTAOCは、今年2023年9月に40周年を迎えます。今までのご愛顧に深く感謝をお伝えしながら、次の40年に向けて新しいチャレンジをしていきます。TAOCスタジオワークスも、すでに多くのエンジニア様・ミュージシャン様のスタジオに導入いただけており、手応えを感じています。シリーズ第2弾の製品開発も進めていますので、ぜひ注目していただけると嬉しいですね。 📷写真左より、アイシン高丘エンジニアリング株式会社 TAOCチーム杉田 岳紀 氏、TAOCチーム 西戸 誠志 氏、Rock oN 多田純、ROCK ON PRO 前田洋介、TAOCチーム 南 祐輔 氏。 工場内でキュポラの説明を受けた時にまるでターミネーター2のラストシーンみたいですねと言うと、T-800は鉄の中で沈むので鉄より比重が大きい、おそらくT-800は鉄ではないんですね…と答えが返ってきた。映画のワンシーンにおいても鉄が基準(!)、そのどこまでもアイアンファーストな姿勢はプロオーディオの中で新たなメインストリームを作り出すことになるのではないだろうか。工場で製品が生産される際に生じる余剰となっていた鋳鉄粉だが、それを確かな研究開発の裏付けでリユースし、類まれなる制振特性は40年にわたりオーディオの世界で実績を重ねてきた。そしていま、プロユースの現場にもそのムーブメントが訪れようとしている。   *ProceedMagazine2023号より転載
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2023/08/09

Nuendoが50% OFF!Steinberg『Summer Deals』開催中!!

世界中の映画 / TV のポストプロダクション、ゲームオーディオ、イマーシブサウンドのプロフェッショナルに選ばれる、業務用DAWの最高峰のひとつSTEINBERG Nuendo。Dolby Atmos関連機能の内蔵や、かゆいところに手が届くユーティリティの充実など、最先端の機能をいち早く取り入れる開発姿勢に定評があります。 最新版であるNuendo 12と、Nuendo 11からのUPGライセンスが期間限定で50% OFFとなるキャンペーンが実施中です! STEINBERG 『Summer Deals』 期間:2023年8月9日 (水) ~ 9月7日 (木) Nuendo 12 パッケージ版 Sale特価 ¥55,000 50%OFF!! (通常販売価格 ¥110,000) Rock oN Line eStoreで購入>> Nuendo 12 ダウンロード版 Sale特価 ¥55,000 50%OFF!! (通常販売価格 ¥110,000) Rock oN Line eStoreで購入>> Nuendo 12 Update from Nuendo 11 パッケージ版 Sale特価 ¥13,750 50%OFF!! (通常販売価格 ¥27,500) Rock oN Line eStoreで購入>> Nuendo 12 Update from Nuendo 11 ダウンロード版 Sale特価 ¥13,750 50%OFF!! (通常販売価格 ¥27,500) Rock oN Line eStoreで購入>> Pro Toolsと人気を二分するプロフェッショナルDAWを、この機会にぜひ手に入れてください!!その他、システム構築のお問い合わせなどはROCK ON PROまでお気軽にお問合せください。
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2023/08/09

Eventide 夏休みバンドルセール開催中!

5つのEventideプラグイン・バンドル製品を対象にした「夏休みバンドルセール」が開催中です! あらゆるEventideプラグインを網羅したAnthology XIIや優秀なマスタリングプラグインシリーズを含むElevate Bundleなどが、最大で通常の70% OFFでのお買い求めいただけます。 デジタル・オーディオ・プロセッシングの先駆者であり長い歴史と技術を持つ同社製品を、この機会にぜひお試しください! Eventide 夏休みバンドルセール 期間:2023年9月5日(火)まで 対象:Anthology XII、Elevate Bundle、Ultra Essentials Bundle、H9 Plug-in Series Bundle、Clockworks Bundle 価格:こちらから確認ください>>
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2023/08/08

AVID Sibelius 永続版アップグレードキャンペーン開催!

2023年9月30日(土)までの期間限定で、AVID Sibelius永続版のアップグレード・サポートプランがプロモーション価格でご購入いただけるキャンペーンが開催中!アップグレード・サポートプランに加入すると、期間内であれば永続版でも常に無償で最新版へのアップグレード、サポートの利用が可能です。 今年で登場から30年を迎えるSibelius、直近の2023.6アップデートではAIを活用しスコア上の情報に基づいてコードを提案する「コード・オートコンプリート」機能が追加。他にも、ユーザーの要望に応えるべく様々なアップデートがリリースされています。詳細は公式サイトのSibelius最新情報をチェック! Sibelius永続版をお持ちの方は、この機会を是非ご活用ください! Sibelius Ultimate アップグレード・サポートプラン再加入版(1年) ¥21,780 → ¥17,270 (税込) Rock oN Line eStoreで購入>> Sibelius Ultimate アップグレード・サポートプラン再加入版(3年) ¥43,560 → ¥34,540 (税込) Rock oN Line eStoreで購入>> 対象:Sibelius 1〜8をお持ちの方、Sibelius Ultimate 2018以降をお持ちで、アップグレード・サポートプランが失効してから1ヶ月以上経過している方 Sibelius Artist アップグレード・サポートプラン 再加入版(1年) ¥14,520 → ¥11,440 (税込) Rock oN Line eStoreで購入>> 対象:Sibelius First 1〜8をお持ちの方、Sibelius (Artist) 2018以降をお持ちで、アップグレード・サポートプランが失効してから1ヶ月以上経過している方 一部製品価格変更、取り扱い終了製品のお知らせ ・Sibelius Ultimate 乗換版サブスクリプション(1年)が新価格、¥18,370(税込)での販売となります。 こちらは他社製の楽譜作成ソフトをお持ちの場合に、Sibelius Ultimate サブスクリプション版がお安くご加入いただけるパッケージです。ご購入後に、Finale、Notion、Encore、Mosaic、カワイスコアメーカーProのいずれかのシリアル番号が必要となります。 ・Sibelius Ultimate 切替版 サブスクリプション(1年版、および2年版)のメーカー取り扱いが終了となります。 直近1年では7度の新機能をリリースし日々進化を重ねるSibelius、最新版へのアップグレードをこのタイミングで是非ご検討ください。システム更新の相談・お問い合わせはROCK ON PROまで!
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2023/08/08

ONKIO Acoustics / 音響ハウス開発陣が語る、DAWへ空気感を吹き込むその音の佇まい

1973年の設立から50年にわたり、数多のアーティストから愛され続けているレコーディングスタジオ「音響ハウス」。CITY-POPの総本山として、近年さらに注目を集めているこの音響ハウスにスポットを当てた音楽ドキュメンタリー映画「音響ハウス Melody-Go-Round」が2020年秋に公開された。本作のなかでは日本を代表するアーティストの数々が、音響ハウス独特の空気感や響きの素晴らしさについて語っている。 この映画制作を通じて、その稀有な響きを記録しておくべきだというアーティストや音響ハウスOBからの提言が寄せられ、音響ハウスStudio No.1、No.2のフロアの響きを忠実に再現する構想がスタートしたという。そして約1年半の開発期間を経た2022年秋、音響ハウス公式記録となるソフトウェアONKIO Acousticsが満を持して発売された。ONKIO Acoustics誕生までの足跡と開発秘話、そしてソフトウェアに込められた熱い想いを音響ハウスにて伺うことができた。 ●TacSystem / ONKIO Acoustics  価格 ¥10,780(税込) 「録音の聖地」ともいえる音響ハウス Studio No.1 / No.2の空間を、音場再現技術であるVSVerbを用いて忠実に再現したプラグイン「ONKIO Acoustics」。音響ハウスの公式記録として次世代に伝える意義も込め、大変リーズナブルな価格で提供されている。ONKIO Acousticsプラグインでは、マイクのポジションを X軸、Y軸、Z軸 それぞれ-999mm〜+999mm、マイクアングルを-90度から+90度まで変更でき、単一指向性 / 無指向性 の切替えも可能。まるで、実際に音響ハウスでレコーディングを行っているかのような空気を体感することができる。 >>>ONKIO Acoustics製品ホームページ   ●ONKIO HAUS Studio No.1 📷音響ビル8FのStudio No.1。コントロールルームにはSSL 9000Jを擁しこれまでも数々の名盤がレコーディングされてきた。ONKIO Acousticsではこちらのメインフロアを再現、マイクポジション設定のほかにもStudio No.1の特徴的な反射板の量までセレクトすることができる。 ●ONKIO HAUS Studio No.2 📷プラグイン内での再現ではStudio No.2のメインフロアはもちろん、Booth-Aのソースをブース内、ブース外から収録するシチュエーションも用意された。なお、こちらのコンソールはSSL 4000G、蓄積されたメンテナンスのノウハウがつぎ込まれそのサウンドが維持されている。 VSVerbとの出会い 📷株式会社音響ハウス 執行役員 IFE制作技術センター長 田中誠記 氏 スタジオの響きを忠実に再現するという最初の構想から、ソフトウェア実現に至る第一歩は何から始まったのだろうか?「レコーディングスタジオの生命線となる、スタジオの鳴りや響きをどのようにして記録・再現するか、まずはタックシステム 山崎淳氏に相談することから始まりました」(田中氏)その相談を受けた山崎氏の回答は「株式会社ソナ / オンフューチャー株式会社 中原雅考 氏が研究している特許技術、VSVテクノロジーしかない」と迅速・明快だったという。 音場を再現するにあたり、従来のImpulse Responceによる計測では測定機器の特性や部屋の騒音に左右され、ピュアな音場再現性に欠けるとの問題提起をしてきた中原氏は、仮想音源の空間分布をサンプリングするVSVerb(Virtual sound Sources reVerb)を音響学会およびAESで発表していた。VSVerbは空間の反射音場をサンプリングすることで、任意の空間の響きを再現する音場再現技術である。測定した音響インテンシティーの波形から反射音成分だけを抽出することにより、部屋の騒音をはじめ、マイクやスピーカなど測定時の不要な特性を一切含ないリバーブを生成することができる。それはつまり、不要な音色変化を生じさせない高品位なサンプリングリバーブを意味している。 VSVerbを用いて音響ハウスを再現する最初のデモンストレーションは、生成したVSVerbの畳み込みに Waves IR-L Convolution Reverbを利用して行われた。音響ハウスで20年以上のレコーディング経験を持つ中内氏はそのサウンドを聴いて、自身が楽器にマイクを立てている時の、まさにその空気感を感じて大変驚いたという。スタジオでの話し声でさえリアルに音場が再現されてしまう感動は、他のエンジニア達からも高く評価され、VSVerbを用いてソフトウェア制作に臨むことが決定。2021年夏に開発がスタートした。 ●4πサンプリングリバーブ / VSVerb VSVerbは所望の空間の反射音場をサンプリングすることで、任意の空間の響きを再現する音場再現技術です。反射音場は全周4πsr方向にてサンプリングされるため、1D, 2D, 3Dのあらゆる再生フォーマットに対して響きの再現が可能です。VSVerbをDAWのプラグインに組み込むことで音響制作時に任意の空間の響きの再現が可能となります。 響きの時間特性を方向別にサンプリングする従来の方向別 IRによるサンプリングリバーブとは異なり、VSVerbは一つ一つの反射音の元となる「仮想音源」の空間分布をサンプリングするサンプリングリバーブです。従来の方向別 IRリバーブでは、サンプリングの際のマイキングで再生可能なチャンネルフォーマットが決定してしまいますが、VSVerbはチャンネルに依存しない空間サンプリング方式のため完全なシーンベースのリバーブとなります。そのため、任意の再生フォーマットに対してリバーブエフェクトが可能です。 VSVerbでは測定した音響インテンシティーの波形から反射音成分だけを抽出することでリバーブを生成しているため、部屋の騒音やマイクやスピーカーなど測定時の不要な特性を一切含まないリバーブです。つまり、素材に対して不要な音色変化を生じさせない高品位なリバーブとなります。 (出典:オンフューチャー株式会社 資料) ACSU2023 Day1 #1 4πへの階段 〜 MILやVSVerb などを通して垣間見るイマーシブ制作のNext Step 〜 https://www.youtube.com/watch?v=yEW4UA0MIwE 📷今春開催されたAvid Creative summit 2023では、株式会社ソナ/オンフューチャー株式会社 中原 雅考氏による「ONKIO Acoustics」のコア技術=VSverbについての技術解説セミナーが催された。音場再現技術についてのロジックをベーシックから解説し、どのように音響ハウスの空間が再現されたのか確認することができる。 スタッフ総出のサンプリング 音響ハウスStudio No.1、No.2の鳴りをサンプリングする作業はスタッフ総出で、B&K(ブリュエル・ケアー)の全指向性スピーカーを床から1.2メートル、マイクをStudio No.1では床から2.7メートル、Studio No.2では2.5メートルの高さに設置して行われた。Senheiser AMBEO VR Micが用いられたが、その4ch出力はAmbisonics方式では処理されず、AMBEO VR Micは音響インテンシティープローブとして使用されたそうだ。 📷スタッフ総出で行われたという、サンプリング作業の様子を見せてくれた。B&K(ブリュエル・ケアー)の全指向性スピーカーとSennheiser AMBEO VR Micを設置する場所や高さは、通常レコーディング時の音源位置と、アンビエンスマイクの位置を想定して決定されたそうだ。 これら4chの音データがオンフューチャーのソフトで解析され、音圧と粒子速度を掛け合わせた音響インテンシティーにより、反射音成分のみが抽出されている。なお、Studio No.1の壁面上部にある反射板は取り外し可能になっているため、サンプリングには反射板の設置パターンがFully(全設置)、Half(半分設置)、None(無し)の3種類が用意された。曲面加工が施され、裏面にパンチカーペットが貼られた木製の反射板1枚1枚が、スタジオの響きをコントロールする重要な役割を果たしている。「Halfという設定は、音響ハウスの響きを熟知している著名なプロデューサーが、ハーフ設定を好んでレコーディングしていることから採用しました」(中内氏)とのことで、その響きがプラグインの中でもしっかりと再現されている。Studio No.2ではメインフロアに加えて、ブース内、ブース外でのサンプリングもおこなわれ、それらの再現もまた音響ハウスを知る多くのミュージシャンから高評価を得ている。 音響ビル社屋をイメージしたGUI 📷株式会社音響ハウス IFE制作技術センター 技術グループ チーフ 志村祐美 氏 プラグインのGUIデザインは映像編集に携わってきた志村氏が担当に抜擢され、コロナ禍のためリモート会議で制作が進められたそうだ。グラフィックソフトの画面を共有して、リアルタイムにデザインする様子を皆で確認しながら試行錯誤したそうだが、志村氏は「このパーツを修正したい理由を、私が理解できるように説明して下さい!というやり取りが何度もありました(笑)」と当時の苦労を語ってくれた。「GUIのグランドデザインは最初、音響ビルそのものをイメージした縦長サイズで、メニューをクリックしてスタジオを選択するというものでした」(田中氏)その構想は製品版GUIの縦長サイズと、背景にうっすらと見える煙(けむり)のテクスチャへと引き継がれていた。「音響ビル外観をイメージした色使いで、下からフワッと上がるけむりのグラデーションが空気感を表現しています。プラグインが縦に長いと場所をとるので、画面を三つ折りにしたいという私の最初の要望も製品に反映されています」(志村氏) 📷音響ビル社屋をイメージしたという、田中氏が描いた最初期のGUIスケッチ。こちらをスタートに志村氏がデザインを施していった。外部のデザイナーではなく、建物自体をも含めたスタジオの空気感をよく知った社内スタッフで丹念に組み上げられていったことがわかる。 Lexiconのリモートコントローラーをイメージしたフェーダー部は、ストロークの長さにもこだわった。「ストロークが長い方が使いやすいだけでなく、音に関係なかったとしてもパッと見た瞬間のカッコ良い / 悪いが判断基準でした。見えないものを創るという性質上、見えるもので盛り上がりたいという気持ちを大切にしています」(中内氏)そういったスタッフの想いを具現化していく作業は、まるで音楽を生み出すようでスタジオワークにも近かったのではないだろうか?パラメーターを少なくして簡単に音作りできるようにしたい、という開発時からのコンセプトとともに、スタッフそれぞれの哲学が込められたGUIには一切の妥協がなかった。 空気を録音することがコンセプト 📷株式会社音響ハウス スタジオ事業部門 技術部 音楽グループ チーフ レコーディングエンジニア 中内茂治 氏 「ONKIO Acousticsは音響ハウスのスタジオを再現するルームリバーブなので、オフマイクを作るのに向いています。例えばレコーディング編成の都合上、ブース内でオンマイク収録した際には、オフマイク音をONKIO Acousticsで再現してオンマイクとブレンドしたりします」(中内氏)さらにその後段でリバーブ処理することにより、豊かな奥行き感を表現するという手法もあるそうだ。また、シンセサイザー音源から出力されるダイレクトなサウンドはアタック成分が強く、特にサンプリング音源の硬さがイコライザーで取れない場合には、ONKIO Acousticsを使用するだけで一発で解決するケースも多いのだとか。「極論を言えば、リバーブ音を構成する LOW / MID / HIGH 3つのバンドレベルのうち、HIGHを下げるだけでほぼ音が馴染んでしまいます。アタックのコントロールと空気感を含めた前後のコントロールが抜群で、コンサートホールに例えると三点吊りマイクで収録したような空気感も得られます。どんなEQよりも簡単迅速に、オケに馴染む音作りを実現してくれますよ。昨今はヘッドホンやイヤホンだけで音楽制作をしているDTMユーザーが増えていますが、そのような環境であればこそ、ONKIO Acousticsの空気感が際立ってくると思います。アレンジや音作りの手がかりとしてもぜひ活用して欲しいです」(中内氏) 📷音響ハウスStudio No.1の反射板は簡単に取り外しが可能とのこと。反射板の場所や数を調整して響きを自在にコントロールできる、そんな稀有な機能を備えたスタジオだ。ONKIO Acousticsプラグイン内でもReflectors:Fully(フル設置)、Reflectors:Half(半分設置)、Reflectors:None(なし)の3種類を選択することができ、Studio No.1の機能をもリアルに再現することができている。 「ONKIO Acousticsはエフェクトカテゴリーとしてはリバーブに相当しますが、空気を通す、つまり空気を録音することがコンセプトにあるので、一般的なリバーブプラグインとは異なります」(田中氏)度々登場するこの "空気" というキーワード。そのなかでも特に、空気を録音するというコンセプトは、音の正体が空気の疎密波であるということを再認識させてくれるのではないだろうか。ONKIO Acousticsは他のプラグインと同様に、パソコン内で音楽制作するツールということに変わりはないが、DAWに空気感を吹き込む、その音の佇まいが最大の魅力ということである。 「次世代の若者に音響ハウスのサウンドを体験して欲しいという思いが一番にあります。プロの方達は実際に音響ハウスに来ることができますが、そうではない方達にレコーディングスタジオの空気感を知って欲しいですね。このプラグインが、自宅だけではできない音作りがあるということに気付くきっかけとなって、数年後にユーザーがエンジニアやアーティストになって音響ハウスを使ってくれれば良いなと。そこで、次世代に伝えたいという意味でも、大変リーズナブルな価格設定で提供しています」(田中氏)驚くのはその価格の低さだけではない。たった29.8MBというプラグインのデータサイズは、サンプリング・リバーブというカテゴリーにおいては驚異的な小容量である。ソフトウェアのデータサイズから見ても、ONKIO Acousticsが通常のリバーブとは根本的に異なることがお分かりいただけるだろう。 空間処理における最強コンビへの構想も!? 📷空気の振動にこだわったONKIO Acousticsとは対照的に、鉄板の振動が温かい響きを生み出すプレートリバーブEMT-140。マシンルームに所狭しと並ぶEMT-140たちをプラグインで再現して欲しい!という声が寄せられているそうだ。 ONKIO Acousticsはバージョン1.2.0で、音響ハウスのOBを含む5名の著名エンジニアによるプリセットが追加された。それらのプリセットはDAW初心者が空気を通した音作りを学べるだけでなく、サウンドプロフェショナルにも新たなアイディアをもたらしてくれるだろう。「ユーザーからGUIに関するリクエストがあれば、ぜひお聞きしたいです」(志村氏)とのことで、今後のバージョンアップにも期待が持てそうだ。また、VSVerbテクノロジーは反射音場を全周4πステラジアン方向でサンプリングする方式のため、1D、2D、3D のあらゆる再生フォーマットに対応できるのも大きな特長である。サラウンドミックスの需要が高まっているなかで、将来的にONKIO Acousticsがサラウンド対応することにも期待したい。 また、ONKIO Acousticsの発売をうけて、音響ハウスが所有している5台のプレート・リバーブ EMT140をぜひプラグインで再現して欲しい!という声も寄せられているようで、「ONKIO PLATE」としてその構想も浮かんできているようだ。「EMT140はアンプがトランジスタのほか真空管モデルもあり、みな個体差があって音が違うので、正常に動いている今のうちに記録して皆で使えるようにしたいですね。サウンド・エンジニアリングの勉強にもなりますよ」(田中氏)とのことで、このONKIO PLATEをONKIO Acousticsと併用すれば、CITY-POPを代表する空間処理の最強コンビになることは間違いないだろう。音響ハウスの新たなるソフトウェア展開が、DAWユーザーとレコーディングスタジオとの関係に新しい空気を吹き込み、次世代に向けて歩み始めている。   *ProceedMagazine2023号より転載
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2023/08/07

Pro Tools 保守の価格改定とラインナップ変更のお知らせ

Avidオーディオハードウェアと、ハードウェアを含むPro Toolsシステムの保守関連製品の一部に、価格変更とラインナップ変更(販売終了)のお知らせがございます。 特に、HDXカードやHD I/Oが複数含まれるシステムをご使用のユーザー様にとっては影響の大きなトピックとなりますので、お見積りやご発注のタイミングについてはくれぐれもご注意ください。 Pro Toolsシステム関連の保守の一部が価格改定&販売終了 発効日:2023年8月21日(月) 目次 ◎システム一括保守が販売終了 ◎ハードウェア保守の一部が価格改訂 ◎Sync HD、HD Native TBの保守について ◎システム一括保守が販売終了 下記3つの保守型番が廃番になります。これらの保守は2023年8月21日(月)以降、ご発注いただくことができなくなります。 2023年8月21日(月)付で廃番になる保守 0540-30238-09 Pro Tools HD Systems, 1-Year Updates + ExpertPlus with Hardware Support Plan NEW 販売価格:¥245,300(本体価格:¥223,000) 0541-30217-09 Pro Tools HD Systems, 1-Year ExpertPlus with Hardware Coverage RENEWAL 販売価格:¥245,300(本体価格:¥223,000) 0540-03712-01 Pro Tools | HD Interface, Extended Hardware Support NEW 販売価格:¥43,230(本体価格:¥39,300) これに伴い、これまでほぼシステム単位で一括で保守に加入していたユーザー様は、システムを構成する各機器ごとに個別の保守に加入していただくことが必要となります。 小規模システムの場合は個別機器ごとの保守加入の方が低予算となりますが、例えば、HDXカードが3枚、HD I/Oが2台の場合などは上記型番が販売終了となる前に保守加入/更新を実施された方がお得になります。 ご不明点・見積もりのご依頼などはお気軽にROCK ON PROまでお問い合わせください。 Pro Tools HD Systems保守とは 0540-30238-09、及び、0541-30217-09は「HDシステム保守」や「HDXエクスパート・プラス・アドバンテージ・プラン」と呼ばれ、ひとつの保守でシステム全体をカバーできる保守です。大凡、以下のサポートが含まれています。 Pro Tools Ultimateソフトウェア1つ分の年間保守 HDXカード最大3枚分の年間保守(=1枚でも3枚でも同じ価格) HD システムに存在する全てのHD I/Oを対象とした年間保守(=1台でもそれ以上でも同じ価格) Sync HDの年間保守 USからの発送の場合もありますが、修理品の先出し対応 8月21日(月)以降は、上記をすべてカバーする場合はシステム内のすべての機器の分だけ個別の保守に加入する必要があります。 0540-03712-01 Pro Tools | HD Interface, Extended Hardware Support NEWに関しては、「更新」の型番が継続となり、更新用の型番で新規保守加入も承る仕組みに変更となります。 ◎ハードウェア保守の一部が価格改訂 ハードウェア保守の一部に価格改定が実施されます。改訂率は製品によってかなり幅がありますので、ご発注・見積もりのご相談はお早めにお願いいたします。 *クリック/タップで拡大 上記リスト、及び、前項に掲載されていない保守は、従来の価格のまま販売継続となります。 ご不明点・見積もりのご依頼などはお気軽にROCK ON PROまでお問い合わせください。 ◎Sync HD、HD Native TBなどの保守について 0541-60493-01 Pro Tools | HD Interface, Extended Hardware Support, Renewalは以下の機種単体の保守の加入、及び、更新に対応します。 HD Native TB Sync HD MADI IO OMNI PRE HD IO 特に、HD Native TB、Sync HD、PREは迷いやすいと思われますので、お困りの場合はROCK ON PROまでご相談ください。 ご不明点・見積もりのご依頼などはお気軽にROCK ON PROまでお問い合わせください。 システムを一括でサポートする保守プランが廃番になることで、特に大規模なシステムを運用するユーザー様にとっては、予算の規模や作成手順に大きな変更が必要になると思われます。 Pro Toolsが永続ライセンスなのかサブスクリプションなのかによっても予算が変動しますので、保守加入や更新をご検討中の方は、ぜひ一度ROCK ON PROまでご相談ください。
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2023/08/07

SOUND PARTICLES「プラグイン40%オフ」セール開催!

コンピュータ・グラフィックスのパワーとテクノロジーを音響の世界に持ち込み、その製品はハリウッド映画のサウンドデザインでも使用されているSOUND PARTICLE社が、8月7日より「プラグイン40%オフ」セールを開催! 全てのプラグインがPro Tools 2023.6に追加されたサラウンドトラック幅(5.0.2ch〜9.1.6chや最大7次のAmbisonicsなど)に対応したことにより、イマーシブ制作をさらに加速させる存在となるSOUND PARTICLES製品を手にいれる絶好のチャンスです! SOUND PARTICLES社 プラグイン40%オフセール 概要:SOUND PARTICLES製品が25%〜40% OFF 期間:2023年8月7日(月)〜8月12日(土) 詳細なラインナップと価格は下記WEBページで! Rock oN Line eStore>> SOUND PARTICLES国内代理店フォーミュラ・オーディオWEBサイト>> https://pro.miroc.co.jp/headline/skydust-3d-sound-particles/ https://pro.miroc.co.jp/headline/sound-particles-density/ https://pro.miroc.co.jp/headline/sound-particles-apple-silicon-support/
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2023/08/04

現場目線から見えてきたダビングステージでのAvid S6 / TOHOスタジオ株式会社 ダビングステージ2

📷今回お話をお伺いしたTOHOスタジオ株式会社ポスト・プロダクション部の皆様。実際にAvid S6での実作業を行われた方にお集まりいただきお話をお伺いした。左上:両角 佳代子氏、右上:早川 文人氏、左下:下總 裕氏、右下:岩城 弘和氏 2022年9月にAvid S6をダビングステージに導入した東宝スタジオ。リニューアルされてから本記事執筆までの7ヶ月で16本の作品のダビングを行ったという。本誌前号ではそのシステムのご紹介を行ったが、実際にダビングの現場におけるAvid S6の使用感や、ワークフローにどのような変化が起こったかなど、現場目線から見えてくるAvid S6導入の効果を伺った。 システムに配されたPro Tools 7台 まずは、NEVE DFCコンソールからAvid S6へと更新されたことによるワークフローの変化からご紹介していきたい。前号でも触れているが、Avid S6へと更新を行うことで、NEVE DFCが担っていたミキシングコンソールとしてのミキシングエンジンは無くなった。それを代替するためにミキサー専用のPro Toolsを2台導入し、その機能を受け持たせるというシステム設計を行っている。プレイアウトのPro Toolsが4台。ミキサーエンジンとしてのPro Toolsが2台、ダバー / レコーダーとしてのPro Toolsが1台という7台構成でのシステムとなっている。 システムとして見れば煩雑になったとも感じられる部分ではあるが、もともとPro Toolsのオペレートに習熟した技師の方が多いということ、またMA室にAvid S6、そしてシグナルルーティングのコアとして稼働しているAvid MTRXが導入済みであったこともあり、現場スタッフの皆さんもそれほど大きな混乱もなくこのシステムを受け入れることができたということだ。外部からの技師の方々も国内の他のダビングステージでAvid S6での作業を経験したことのある方が多かったということでシステムの移行は想定よりもスムーズだったという。 📷スタジオのシステムを簡易に図としたものとなる。非常に多くの音声チャンネルを取り扱うことができるシステムであるが、その接続は想像よりもシンプルに仕上がっているということが見て取れる。各MTRX間のMADI回線は、すべてパッチベイを経由しているため、接続を変更してシステムの構成を簡単に変更することができる。図中にすべてを記載できたわけではないのだが、各MTRXはMADI及びAESがユーティリティー接続用としてパッチ盤へと出力されている回線を持っている。そのため持ち込み機器への対応などもMTRXのパッチを駆使することで柔軟に行うことができるように設計されている。 このシステムを見た方は、なぜ、ミキサーPTが必要なのか?という疑問を持たれるかもしれない。シンプルにステムをダバーで収録するだけであればプレイアウト用のPro Tools内部でステムミックスを行えば良い。しかし、コンソールありきでミキシングを行ってきた経験のある方からすれば、ステムミックスを行うのはあくまでもコンソールであり、プレイアウト用のPro Toolsは音声編集、再生を担当するという考え方が根強い。仕込みが終わり、ダビングステージで他の音源とともにバランスを取る際に、改めてまっさらなフェーダー(0dB位置)でのミックスを行いたいということである。実際にミキシングを行うという目線で考えれば頷けるのではないだろうか。 もちろん実際の作業で、Pro Toolsに慣れ親しんだ方はミキサー用Pro Toolsを使用しないというケースもあったとのこと。ダイアログ、音楽はダイレクトに、効果はミキサーを通してなどというハイブリッドなケースもあり、どのような要望にも応えられる柔軟性を持ったシステムに仕上がっていることが実際の作業でも実証されている。もちろん、東宝スタジオのもう一つのダビングステージにはNEVE DFCがあるので、究極的にはNEVE DFCとAvid S6の選択もお客様のニーズに合わせて行える環境が整っている。 コンソール依存ではないオートメーション管理 実際にAvid S6での作業を行ってみて感じたメリットとしては、オートメーションデータの在り処が挙げられる。このオートメーションデータが、すべてPro Toolsのデータとして存在することによるメリットが非常に大きいということをお話いただいた。 これまで、リテイク(修正作業)や完パケ後のM&Eステム制作作業などを、ダビングステージを使わずに行うことができるようになったということを挙げていただいた。もちろん、リテイク後の確認はダビングで行う必要があるが、Pro Tooleにすべてのオートメーションデータがあるので、Pro Tools単品でのミックスが可能になった。これは、NEVE DFCを使ってミックスを行っていた際には行うことができない作業である。ミキサー用Pro Toolsを使っていたとしても、そのミキシング・オートメーションデータはPro Toolsのセッションファイルとして管理される。そのため、他のPro Toolsへとセッションインポートを行うことでミキシングの状況の再現が可能となる。一方、NEVE DFCでは当たり前だがNEVE DFC内にオートメーションデータがあり、その再現にはNEVE DFCが必須となるからだ。 このメリットは、特に後作業で発生する各種ステムデータの書き出しなどをダビングステージを使用しなくても行えるということにつながる。これにより、今後ダビングステージ自体の稼働も上げることができるのではないか?とのお話をいただくことができた。 システム更新によるメリットは、このような派生作業にまでも影響を与えている。Avid S6はそれ自体がミキシングエンジンを持たないため、コンソールではなくコントローラーだ、などと揶揄されることもあるが、コントローラーだからこそのメリットというものも確実にあるということを改めて確認することができた。 オフラインバウンスを活用する これは、極端な例なのかもしれないが、オフラインバウンスでのステムデータの書き出しも実現している。ミキサーPro Toolsをバイパスするシステムアップであれば、オフラインバウンスで書き出したデータをダバーに貼り込むというワークフローも現実のものとして成立する。これによる作業時間の短縮などのメリットももちろんある。決まったステムからオフラインバウンスでダバーに渡していくことで、バス数の制限から開放されるといったワークフローも今後視野に入ってくるのではないだろうか。現状ではダバーへ最大128chの回線が確保されている。今後の多チャンネル化などの流れの中ではこのような柔軟な発想での運用も現実のものとなってくるのかもしれない。 このお話を伺っていた際に印象的だったのが、オフラインバウンスで作業をするとどうもダビングをしているという感覚が希薄になってしまうというコメントだ。確かに、というところではあるが、ついにダビングにもオフラインの時代がやってくるのだろうか、省力化・効率化という現代の流れの中で「オフラインバウンスでのダビング」というのものが視野に入ってくることを考えると、筆者も少し寂しい気持ちになってしまうのは嘘ではない。 システムがAvid Pro ToolsとAvid MTRXで完結しているために、作業の事前準備の時間は明らかに短くなっているとのことだ。具体的には、別の場所で仕込んできたPro ToolsセッションのアウトプットをNEVE DFCのバスに合わせて変更するという手間がなくなったのが大きいとのこと。Avid S6であれば、途中にAvid MTRXが存在するので、そこでなんとでも調整できる。事前に出力をするバス数を打ち合わせておけば、Pro Tools側での煩雑なアウトプットマッピングの変更を行うことなくダビング作業に入ることができる。ダビング作業に慣れていない方が来た場合でも、すぐに作業に入ることができるシンプルさがある。準備作業の時間短縮、完パケ後作業を別場所で、などとワークフローにおいても様々なメリットを得ることができている。 Avid S6ならではの使いこなし 📷前号でもご紹介したTOHOスタジオ ダビング2。Avid S6を中心としたシステムが構築されている。コンソールの周りには、プレイアウトのPro Toolsを操作するための端末が配置されている。マシンルームはMacPro 2019とAvid MTRXの構成に統一され、同一性を持ったシステムがずらりと並ぶ。メンテナンス性も考えてできる限り差異をなくした構成を取っているのがわかる。 東宝スタジオでは、国内最大規模となるAvid S6 / 72Fader Dual Head仕様を導入したが、物理的なフェーダー数は充分だろうか?これまでのNEVE DFCではレイヤー切り替えにより操作するフェーダーを切り替えていたが、Avid S6ではレイアウト機能など様々な機能が搭載されている。これらをどのように使いこなしているのだろうか?実際のオペレーションに関してのお話も伺ってみた。 物理フェーダー数に関しては、充分な数が用意されていると感じているそうだ。Pro Toolsのここ最近の新機能であるフォルダートラックと、Avid S6のフェーダースピル機能を活用する方が多いという。フェーダースピル機能とは、フォルダートラックにまとめられた個別のフェーダーをフォルダートラック・フェーダーの右、もしくは左に展開することができる機能である。バスマスターでもあるフォルダートラックのフェーダーを手元に並べ、フェーダースピル機能を使って個別のトラックのバランスの微調整を行う。まさにAvid S6ならではの使いこなしを早速活用していただいている。 オペレートに関して、NEVE DFCからの移行で一番多く質問されるのがオートメーションの各モードの動作。やはりメーカーが異なるということもあり、オートメーションモードの名称に差異がある。具体的には「Latchってどんな動作するんだっけ?」というような質問である。これは、回数を重ねてAvid S6を使っていけば解決する問題ではあるが、NEVE DFCと2種類の異なるコンソールを運用する東宝スタジオならではの悩みとも言えるだろう。また、コンソールとしてのEQ、COMPの操作という部分に関しては、Pro Tools上のプラグインを活用するシステムとなるため、自ずとノブではなくマウスに手が伸びるとのこと。正面を向いてしっかりと音を聴いて作業できる環境、ということを考えるとコンソール上のノブでの操作が有利だが、やはりプラグインの画面が表示されると慣れ親しんだマウスとキーボードで操作することの方が今のところは自然ということだろう。 唯一無二から正確な再現性へ そして、いちばん気にかかる部分かもしれない音質に関して、Avid S6の導入に合わせて更新されたAvid MTRXと、NEVE DFCとの差異についてお話を聞いてみたところ、やはり、音質に関して違いがあることは確かだ、とのコメントをいただいている。確かにメーカーも異なるし、機器としても違うものなので同列に語ることは難しいかもしれないが、味のあるNEVEに対して、クリアで忠実な再現性を持ったAvid MTRXといったニュアンスを感じているとのこと。NEVEはどこまで行ってもNEVEであり、やはり唯一無二のキャラクターを持っているということに改めて気付かされているということだ。一方、Avid MTRXについては、忠実性、レスポンスなどNEVEでは感じられなかったサウンドを聴くことができるとのこと。 Avid MTRXの持つ正確な再現性は、効果音のタイミングに対して今まで以上にシビアになったりと、これまで気にならなかったところが気になる、という事象となって出現してきているということ。これはさらに作品を磨き上げることとができる音質を手に入れたということでもあり、非常にやりがいを感じる部分でもあるとのことだ。既にMA室でも導入の実績のあるAvid MTRXだが、ダビングステージの音響環境ではさらにその傾向を顕著に聴き取ることができる。これにより、今後の作品の仕上がりがどのように変化するのか楽しみな部分でもある。 音質に関しては、今後マスタークロックや電源などにもこだわっていきたいとのコメントをいただいている。これは、Avid S6が非常に安定して稼働しているということの裏返しでもある。システムのセットアップに必要な時間も短縮され、システム自体の安定度も高い。そういったことから、さらに高い水準での探求を考える余地が見えてきているということとだろう。安定稼働させることで精一杯であれば、音質云々以前にシステムを動作させることで疲弊してしまうというのは想像に難くない。このようなコメントをいただけるということは、システムとしての安定度に関しても高い水準で運用いただいているということが伺い知れる。 こうなってくると、あまり話題に上ることも多くなかったPro Toolsのミキサーエンジンの持つHEATなども活用してみては面白いのではないか?と考えてしまう。テレビのように厳密なレベル管理は行われていない映画。(これは悪い意味で管理されていないということではなく、芸術作品であるがゆえに管理を行っていないということである。)パラメーターによりレベル差が生じるHEATはテレビ向けのポストプロダクションでは使い勝手に難がある機能であったが、映画であれば多少のレベルの変動は許容できるはずである。お話をまとめていてふと、こんな想像もよぎっていった。 ●ROCK ON PRO 導入事例 TOHOスタジオ株式会社 ポストプロダクションセンター2 様 / アジア最大規模のS6を擁したダビングステージ https://pro.miroc.co.jp/works/toho-proceed2022-23/ システムの更新を行いNEVEが懐かしいというお客様も確かにいるが、新しいシステムで安定度高く作業を行うことができるメリットは大きく、好評をいただいているということだ。もう一つのダビングステージには、NEVE DFCがあるということもあり、お客様には幅広い選択肢でのワークフローを提案できる環境が整備されている。これはスタジオにとって大きなメリットであり、今後も継続していきたい部分でもあるということ。 とはいえ、Avid S6によるワークフローの改善、省力化、安定度に対する魅力も大きく、NEVE DFCとAvid S6のHybridコンソールシステムは組めないのか?などという質問も出てきている。ハリウッドでは、このようなシステムアップも現実のものとして稼働している。東宝スタジオのどのように使いたいのかというワークフローを色々と相談をしながら、今後のベストなシステムアップのお手伝いを行えればと考えている。今後の日本映画のポストプロダクションシステムを占うファシリティー。Avid S6へ移行することで獲得した多くのメリットをどのようにこれからのシステムアップに活かしていけるのか?これが今後のテーマになっていくのではないだろうか。   *ProceedMagazine2023号より転載
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2023/08/04

Native Instruments国内代理店業務開始のお知らせ

(株)メディア・インテグレーション MI事業部は2023年8月4日(金)よりNative Instruments社製品の日本国内正規代理店業務開始を開始いたします。 今後ポータルログインを含めてブランド統括予定のNative Instruments、iZotope、Plugin Allianceの3ブランドの国内販売/サポート/マーケティングについて8月4日(金)より一括で弊社MI事業部にて受付が可能となります。 ブランド統合に関するニュースリリースはこちら>> NI Japanからの事前案内では8月1日(火)より流通開始としておりましたが、倉庫移管作業の遅延に伴い、8月4日(金)からの業務開始に変更となります。 8月4日(金)時点で出荷を開始するのはソフトウェア(KOMPLETE各種)のみとなり、ハードウェア製品は8月14日(月)より流通開始を予定しております。 新WEBサイトの公開予定に関して 日本国内で実施されるキャンペーンやブログ/動画コンテンツなどを素早く情報発信するためのNative Instruments日本語専用サイトを新規作成予定です。 上記WEBサイトはiZotope.jpおよびPlugin Alliance(minet.jp)ページと相互連携し、各種イベント情報もここから順次発信していく予定です。 上記サイトの正式公開は8月29日(火) を予定しております。 本件についてのお問い合わせは(株)メディア・インテグレーション MI事業部までご連絡ください。
Sales
2023/08/04

新Native Instrumentsより3つのお知らせ

iZotope、Brainworx、Plugin Allianceと統合し、新たな体制となったNative Instrumentsからお得なセールを始めとした3つのお知らせです。 真夏のホットなイベントにお乗り遅れのないようご注意ください! 1:Native Instruments KOMPLETE 20周年記念SALE UPG等を含むKOMPLETE 14の全てのラインナップが20%オフに加え、9月4日(月)までにNative Access登録することでiZotope Nectar 3 Plus(¥35,000相当)とCelemony Melodyne 5 Essential (¥11,000相当)のライセンスが後日メールにてプレゼントされます。 さらにiZotopeユーザーのためのK14クロスグレードが新登場。Advancedユーザーであれば最大40%オフでKOMPLETE 14各種を導入することが可能です! Rock oN Line eStoreでチェック!>> 2:最安値は¥0!iZotopeボーカルミックスセール 今年の夏休みは”無償配布のNectar Elements v3"を使ってボーカルミックスにチャレンジしよう!さらにミックス/マスタリングを磨くOzone 10やMPS 5など各種クロスグレードが最大70%オフ! 中でも最新のOzone 10 AdvancedやRX 10 Advancedを含むEverything Bundle (v14)へのクロスグレードは¥46,000(税込)から導入可能です。 Rock oN Line eStoreでチェック!>> ☆無償配布のNectar 3 ElementsからKOMPLETE SELECTへクロスグレードすることでNectar 3 Plusをお得にGETするのもオススメです。 3:豪華景品が当たるiZotopeボーカルミックスコンテスト開催! Nintendo Switch用ゲーム『メグとばけもの』(メーカー:Odencat) 使用楽曲を題材としたボーカルミックスコンテストを同時開催します。 完成した楽曲オケと処理前のボーカルSTEMを使ってミックスにチャレンジしてみましょう。 ダウンロードURLや詳細ルールなどはこちら>> 優秀作品にはNintendo Switch LITEと『メグとばけもの』 (メーカー:Odencat)ダウンロード用のニンテンドープリペイドカード、その他にもiZotopeバンドル製品やLEWITTマイクロフォン等をプレゼント予定です。 コンテスト使用楽曲 『願いの星 (feat. Laura Shigihara)』 作曲:裏谷玲央氏  ミキシング:青木征洋氏 新たな体制の下、さっそく人気ブランドを横断した活動を見せるNative Instruments。これからDAWに触れようとする方からベテランまで、誰にとっても嬉しい真夏のイベントですね。 Native Instrumentsに関するお問い合わせは弊社MI事業部まで、製品のご購入やシステムのご相談はROCK ON PROまで、お気軽にお問い合わせください! https://pro.miroc.co.jp/headline/native-instruments/
Event
2023/08/03

【本イベントは終了しました】SONY360VME特別体験会@MIL STUDIO 9/5(火)、9/6(水)開催のお知らせ

9月5日(火)、6日(水)の2日間、360 Virtual Mixing Environment(360VME)の特別体験会を弊社MIL Studioにて開催いたします。 「360VMEって何?」という方は、まずはこちらの記事をお読みください。 https://pro.miroc.co.jp/solution/360vme-proceed2023/ さて、各所に公開されている体験レポートの記事を見て、ご興味をお持ちの方も多いとは思いますが、百聞は一見に如かず!やはり体験してみないと分からない部分も多々あるのではないかと思います。 今回の体験会では、そうした皆さまを弊社MIL Studioに特別にお招きし、実際にその実力をじっくりご体験いただきます。 2日間で計12組、1組当たり3名様まで同時にご参加いただけますので、同じスタジオのエンジニアの方や、クリエイターのご友人、アーティスト、プロデューサーの方など、ぜひお誘い合わせの上、ご参加いただけますと幸いです! SONY360VME特別体験会@MIL STUDIO 開催概要 ◎日付:2023年9月5日(火)、6日(水) ◎時間:13時〜18時(開始時間については弊社よりご案内いたします。) ・各日6組、2日間で計12組様 ・1組あたり最大3名様までご参加可能です。ぜひお誘い合わせの上ご参加ください。 ・所要時間は一人当たり約20分、1組で1時間となります。 ※お申し込み1組様ごとの体験会実施を予定しておりますが、申込多数の場合、最大同時3名様まで他の参加者の方との相席をご相談させていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。 ◎開催場所:MIL Studio – 祐天寺駅より徒歩3分 ※住所は体験会ご参加の方にのみメールでご案内いたします。 ◎お申し込み方法:下記ボタンより申込フォームを送信ください 受付は終了しました 8/22(火)には、ゲスト講師にCrystal Sound レコーディングエンジニア murozo氏をお迎えし、360VMEセミナーを実施いたします。この日も360VMEの体験会を実施するほか、セミナー終了後には360VMEの今後の活用、そしてイマーシブ制作のこれからについて熱く語りえる、"今シブ懇親会"を実施予定です!詳細はこちら、もしくはページ下部のバナーからご確認ください! 本件に関するお問い合わせは下記コンタクトフォームより送信ください。 https://pro.miroc.co.jp/2023/08/03/360vme-event1/ https://pro.miroc.co.jp/headline/sony_360-vme_report/ https://pro.miroc.co.jp/headline/mdr-mv1-vme-release/
Broadcast
2023/08/03

Waves Live SuperRack〜あらゆるミキシング・コンソールにアドオン可能なプラグイン・エフェクト・ラック

Dante、MADI、アナログ、AES/EBU…どんな入出力のコンソールにも接続可能で、最大128ch(64chステレオ)のトラックに大量のWavesプラグインをニアゼロ・レイテンシーで走らせることができる、ライブサウンドとブロードキャスト・コンソールのための最先端のプラグイン・エフェクト・ラック。それが「SuperRack SoundGrid」です。 プロセッシングをおこなう専用サーバー本体は2Uのハーフラック・サイズ。1Uまたは2Uハーフラックの専用Windows PCはマルチタッチ・ディスプレイに対応しており、プラグインのパラメータをすばやく直感的に操作することが可能です。 システム内の伝送はWavesが開発したレイヤー2のAoIP規格であるSoundGrid。汎用のネットワークハブを介してLANケーブルのみでシステム全体を接続します。 スタジオ・ミキシングやレコーディングはもちろん、省スペースなシステムでパワフルなデジタルエフェクト処理、冗長性、ニアゼロ・レイテンシーを実現するSuperRack SoundGridは、限られた機材で最高の結果を求められるライブサウンドや中継の現場などにはまさにうってつけのソリューションと言えるでしょう。 ◎主な特徴 0.8msのネットワーク・レイテンシー 最大4台のアクティブDSPサーバーをサポートし、プラグインの処理能力をさらに向上 最大4台のリダンダントDSPサーバーをサポートし、冗長性を確保 複数のプラグインを同時に表示・プラグインの表示サイズの変更 マルチタッチ対応のグラフィック・インターフェイス ワークスペースを最大4台のタッチディスプレイに表示 SoundGrid I/Oをネットワーク上でシェアすることで、大規模なシステムにも対応 Waves mRecallアプリ:保存したスナップショットを、Wi-fi経由でスマートフォン、タブレットから呼び出し可能 個別デモのご用命はROCK ON PRO営業担当、または、contactバナーからお気軽にお申し込みください。 番組や収録のマルチトラック音源をお持ち込みいただければ、Waves SuperRackシステムを使ったミックスを体験頂けます。 ◎システム構成例1 図はSuperRack SoundGridを使用したシステムの基本的な構成。例としてMADI I/Oを持ったコンソールを記載しているが、アナログやAES/EBUなどの入出力を持ったコンソールにも対応可能だ。 中列にあるMADI-SoundGridインターフェイスを介して信号をSoundGridに変換、左上の専用PCでプラグインをコントロールし、左下の専用サーバーで実際のプロセスをおこなう。 アナログコンソールやデジタルコンソールと使用したい場合は、中列のSoundGridインターフェイスを、IOCなどのアナログ・AES/EBU入出力を備えたモデルに変更すればよい。 ◎システム構成例2 YAMAHA、DiGiCo、Avid Venueなど、オプションカードとしてSoundGridインターフェイスが存在しているコンソールであれば、コンソールから直接ネットワーク・ハブに接続することでシステムをよりシンプルにすることも可能だ。 SuperRackシステムの構成と選択肢 図は前述「システム構成例」からコンソールを省いたSuperRackシステム部分の概念図。ユーザーの選択肢としては、大きく3ヶ所ということになる。 左下のオーディオ入出力部については、SuperRackを接続したいコンソールの仕様によって自ずと決まってくる。SoundGridオプションカードをラインナップしているモデルであれば該当のオプションカード、そうでなければ対応するI/Oを持ったDiGiGridデバイスといった感じだ。 DiGiGrid IOCやCalrec Hydra2のように複数の種類のI/Oを持ったインターフェイスを使用すれば、デジタルコンソールとアナログコンソールで同時にSuperRack SoundGridを使用するといった構成も可能になる。 左上のWindows PCは基本的にプラグインを操作するUI部分のため、求めるマシンパワーに応じて、1UハーフラックのAxis Scopeか2UハーフラックのAxis Protonから選択すればよい。 同時に使用したいWavesプラグインやタッチディスプレイの数、レコーディング用のDAWホストを兼ねるか否かなどが選定の基準になるのではないだろうか。 右上のSoundGrid DSP Serverが、実際にWavesプラグインのプロセッシングをおこなう部分となる。複数の選択肢があるが、ここも同時プロセスの量やリダンダントの有無によって決まってくる部分だろう。 その他、KVMやLANケーブルが別途必要になる。特にケーブルはCat6対応のものが必要である点には留意されたい。 参考価格と比較表 *表はCalrec用の構成例、コンソールに応じてI/Oを選択 **プラグインライセンスは別途購入が必要 渋谷Lush Hubにて個別デモンストレーション受付中! ROCK ON PROでは、このSuperRackシステムの個別デモンストレーションを渋谷区神南のイベントスペースLUSH HUBで予約制にて受付中です。 LUSH HUBについての詳細はこちら>> 番組や収録のマルチトラック音源をお持ち込みいただければ、Waves SuperRackシステムを使ったミックスを体験頂けます。 デモご予約のご希望は、弊社営業担当、またはcontactバナーからお気軽にお問い合わせください。
Event
2023/08/03

【本イベントは終了しました】360RAもATMOSも360VMEで実現!イマーシブMixRevolution!

先日、いよいよ一般向けの測定申し込みが開始されたSONY 360 Virtual Mixing Environment(通称360VME)。個々人のプロファイルを測定することで、HRTF + スピーカーやその部屋の音響特性を含め、そっくりそのままヘッドフォンの中で再現することが可能です。イマーシブ制作に携わっている方、これから制作に挑戦してみたいという方の中には、ご興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 今回、そんな皆さまのために、360VMEの測定体験会の場をご用意いたしました。体験会終了後には、場所を移し、あらためて360VMEの解説セミナー、そしてイマーシブ制作の未来についてみんなで語り合える"今シブ懇親会"を開催いたします。堅苦しい内容ではございませんので、ぜひお気軽にご参加ください! 受付は終了しました ◎360RAもATMOSも360VMEで実現!イマーシブMixRevolution! 〜MIL Studio 4π音響を再現する360VME ヘッドフォンでイマーシブMIXに革命を〜 測定体験会にお申込みいただいた先着12名様(注1)を弊社MIL Studioにお招きし、360VMEの測定および制作環境を想定した試聴セットをご準備。VMEの実力、その精度、ヘッドフォンミキシングの可能性を実体験していただきます。 その後、渋谷LUSH HUBへと会場を移し、Crystal Soundエンジニアmurozo氏をゲストとしてお迎えして、あらためて360VMEの概要や技術的背景、そして、測定会場として世界三拠点のうちの一つに選ばれたMIL Studioをご紹介。 murozo氏には、実際に360VMEを使用して行われた作業の実体験を元に、VMEにより広がる可能性、ヘッドフォンミキシングでどこまでできる?といった部分についてお話しいただきます。ここでは「360VMEで何ができるの?」「360VMEの持つ可能性は?」「360VMEの実力は?」といった疑問について、徹底的に解説いたします。 さらにセミナー終了後には、今回ご体験いただいた皆さまと、現在イマーシブ制作に携わっているmurozo氏、そして今後イマーシブ制作を検討されている皆さまを含め、全員で360VMEの有効性、可能性をアツく語り合える"今シブ懇親会"を開催いたします! 体験してみなければ分からない360VMEの実力を、この機会にぜひ存分にお楽しみください! (注1)お申し込みの先着順12名様までとさせていただきます。あらかじめご了承ください。 ◎こんな方におすすめ: 360 Reality Audio、Dolby Atmosコンテンツの制作に興味がある方 イマーシブミックスに興味があるが、制作環境の構築にお悩みの方 (例:スピーカーの選定で悩んでいる、設置環境が用意できない…etc) 汎用プロファイルでのバイノーラル再生に不満のある方 MIL Studioの音響環境でミキシングを行なってみたい方 イベント概要 ◎体験トライアルセミナー:『360RAもATMOSも360VMEで実現!イマーシブMixRevolution!』 〜MIL Studio 4π音響を再現する360VME ヘッドフォンでイマーシブMIXに革命を〜 ◎セミナーゲスト講師:murozo氏(Crystal Sound レコーディングエンジニア) ◎日時:2023年8月22日(火) ・12:00 ~ 16:00 : 360VME 測定体験会 @MIL Studio - 所要時間は1名につき約20分。1時間あたり3名、最大12名の方の実施を想定しています。体験終了後はセミナー開始まで自由時間となりますが、遅くとも5分前までには集合をお願いします。 ・17:00 ~ 18:00 : 360VME セミナー @LUSH HUB ・18:00 ~ 20:00 : 今シブ懇親会 @LUSH HUB ※上記は予定時間です。祐天寺駅から渋谷駅までのご移動につきましては恐れ入りますが公共交通機関をご利用ください。 ◎開催場所:MIL Studio 、LUSH HUB ・360VME測定体験会 : MIL Studio - 祐天寺駅より徒歩3分 ※住所は体験会ご参加の方にのみメールでご案内いたします。 ・360VMEセミナー&今シブ懇親会 : LUSH HUB - 渋谷駅より徒歩9分 東京都渋谷区神南 1-8-18 クオリア神南フラッツ B1F (Rock oN Company 地下) ◎お申し込み方法:下記ボタンより申込フォームをご送信ください 受付は終了しました ※フォームを送信後、自動返信による内容確認のメールが届きます。その後、順次ご予約確定のご案内を別途メールにて差し上げます。メールが届かない場合、迷惑メールフォルダの確認をお願いいたします。 ◎お申し込み期限について: ・セミナーおよび懇親会の申込期限は特に定めませんが、MIL Studioでの測定体験会は先着順で12名様までとさせていただきます。 ・想定を上回るお申し込みをいただいた場合、早めに受付を終了する場合もございますので、あらかじめご了承ください。 講師紹介 murozo オーディオエンジニア Crystal Soundを拠点に活動する気鋭のオーディオエンジニア。レコーディング・ミックス・マスタリングをはじめ、Dolby Atmos・360Reality Audioによるイマーシブ作品にも携わる。山下智久、MAZZEL、1MILL、LEX、Bonbero、ShowyVICTORなどHIPHOP、R&Bからポップスまで国内外問わず幅広く手掛けている。 9月にも360VME体験会のみを実施予定です。8月の日程ではご参加が難しいという方は、ぜひこちらの日程もご検討ください。1組3名様まで。2日間で計12組限定です!詳細はこちら、もしくはページ下部のバナーをクリックしてご確認ください。 本イベントに関するお問い合わせは、下記コンタクトフォームより送信ください。 8月のご参加が難しいという方は、ぜひ9月の体験会もご検討ください。↓ https://pro.miroc.co.jp/2023/08/03/360vme-event2/ https://pro.miroc.co.jp/headline/sony_360-vme_report/ https://pro.miroc.co.jp/headline/mdr-mv1-vme-release/ https://pro.miroc.co.jp/works/milstudio-system-proceed2022/ https://pro.miroc.co.jp/works/mil-studio-tech-proceed2022/
NEWS
2023/08/02

RME製品の一部が受注再開!

2022年6月1日より一部の製品の受注を停止していたRMEブランドですが、その一部について安定供給の目処がたち受注が再開されました。納期は製品ごとに異なりますので、詳細はROCK ON PRO / Rock oN Company 店頭 / Rock oN Line eStoreまでお問合せください。 主な受注再開製品 Babyface Pro FS ¥ 140,800 (本体価格:¥ 128,000) Rock oN Line eStoreで購入>> 在庫あり!! Fireface UFX III ¥ 484,000 (本体価格:¥ 440,000) Rock oN Line eStoreで購入>> 8月中に入荷予定 Digiface USB ¥ 88,000 (本体価格:¥ 80,000) Rock oN Line eStoreで購入>> 8月中に入荷予定 MADIface USB ¥ 143,000 (本体価格:¥ 130,000) Rock oN Line eStoreで購入>> 代理店在庫あり HDSPe AIO Pro ¥ 143,000 (本体価格:¥ 130,000) Rock oN Line eStoreで購入>> 代理店在庫あり HDSPe AES ¥ 179,300 (本体価格:¥ 163,000) Rock oN Line eStoreで購入>> 8月中に入荷予定 その他の受注再開製品 ADI-2 FS ADI-6432 ADI-6432R ADI-6432R BNC ADI-8QS AVB TOOL Digiface AVB Digiface USB Fireface 802 MADIface USB M-16 AD M-16 DA M-1610 Pro M-32 AD M-32 AD Pro M-32 DA Micstasy AI4S-192 AIO AO4S-192 AIO HDSPe AES HDSPe AIO Pro HDSPe MADI HDSPe RayDAT さまざまなニーズに応えられる多様なラインナップと高いサウンドクオリティが定評のRME。主要製品の受注再開は多くのみなさまにとって朗報ではないでしょうか!? Fireface UCX II、Digiface Dante等はまだ受注再開の目処がたっていないようですが、これらも情報が入り次第、ROCK ON PRO WEBにて速報いたします! その他、Pro Tools HDX システム、スタジオ構築等のご相談はROCK ON PROまでお気軽にお問合せください。
NEWS
2023/08/02

SSL B-Series Dynamics Module発売!SL4000Bモデルのコンプレッサーが500シリーズモジュール化!

SSLから新たに、SL4000Bのダイナミクス部分をモデリングしたAPI500互換のモジュールコンプレッサー「B-Series Dynamics Module」が発売されます! Solid State Logicが創業期の1976年にリリースしたスタジオラージフォーマットレコーディングコンソール「SL4000B」。SL4000Bは、その後世界中のレコーディングスタジオに導入されたSL4000Eのプロトタイプとして6台のみ製造された、SSL社にとってすべての始まりといえる伝説的なコンソールです。昨年には、プラグインコントローラーUC1付属プラグインとして、SL4000Bをエミュレートしたチャンネルストリップ「4K B」が新たに登場していました。 B-Series Dynamics Moduleは、このSL4000Bチャンネルストリップのオリジナル回路設計をベースとした、500シリーズモジュールチャンネルコンプレッサーです。 B-seriesならではの機能! 本製品の特徴の一つが、RATIO、RELEASEに追加された「ds」モード。dsモードに設定すると、サイドチェイン・フィルターが追加されレシオは10:1に固定されます。アタックタイム、リリースタイムが速い、シビランスをトリガーにディエッサーとして使用することが可能となるモードです。 既に発売されているSL4000EのダイナミクスをモデルにしたE-Series Dynamics Moduleと比較すると、RATIOやRELEASEが固定値からのセレクト式になっているのもポイント! 製品情報 Solid State Logic / B-series Dynamics Module 価格:¥115,500 (税抜 ¥105,000) 発売日:2023年8月4日 Rock oN Line eStoreでのご予約・ご注文はこちら SSLコンソールの始祖であるSL4000Bの回路設計を受け継ぎ、よりアグレッシブなサウンドとなったコンプレッサー/ゲートモジュールです。本製品をはじめとした機材導入・デモのご相談はROCK ON PROまで!
Review
2023/08/01

TOA ME-50FS 〜完全アナログ設計・妥協無きこだわりが実現する驚異の原音忠実・ハイファイサウンド〜

国内老舗音響メーカーTOAが手がけるプロフェッショナルモニタースピーカー    ME-50FS 1934年創業、国内の非常用放送設備や業務用放送設備にて圧倒的なシェアを誇る老舗音響機器メーカーTOA。商業施設の天井埋込スピーカーや公共交通機関など、街中いたるところでそのロゴを見かける機会も多いだろう。そのTOAが、音楽制作を目的とした、プロフェッショナル向けのモニタースピーカーを開発しているのを皆さまはご存知だろうか。 ご存知という方の中には、昨年のInter BEE 2022で実物を試聴されたという方もいるかもしれないが、その出音を初めて聴いた時の印象は多くの人にとって衝撃的な体験となるだろう。昨今多種多様なモニタースピーカーが存在する中で、ひときわ異彩を放ち、驚異的な原音忠実再生能力を誇るのがこのTOA ME-50FSだ。 このME-50FSは、2018年のInter BEEで展示されていたアコースティックモニタースピーカー Q-ME-50proの後継機種にあたり、プロ向けのモニタースピーカーとしてブラッシュアップされたものだ。とくにアナログ回路の設計をはじめ細部までとことん理想を追求し、特徴的なユニットの配置からバスレフポートの形状その他諸々、その設計の全てにおいて一切の妥協を許さずに開発されたという。 ◎ME-50FS (公式サイト) https://www.toa-products.com/solution/ME50FS 試聴時の印象 〜多種多様なサウンドに対応する高水準のレスポンス~ 実際に試聴をしてみると、どこまでもフラットな周波数特性ながらも、サイズからは想像できない力強いサウンド、あまりの音の生々しさに、思わず再生している音が録音された環境を思い浮かべずにはいられない。 大抵のスピーカーは、再生している音楽のジャンルによって多少なりとも得意不得意はあるものだが、このME-50FSは本当にジャンルを選ばない。ポップス、ロック、ジャズ、クラシック、EDM、歌もの、インスト、古き良き時代の楽曲から周波数レンジが広い流行りの楽曲まで、こちらが求めるレスポンスをあまりにも的確に返してくれるので、つい、あれもこれもと試聴したくなってしまう。何度も聞いた楽曲でも、新たな発見を与えてくれるスピーカーというのは、エンジニアにとってこの上なく心強い味方となるに違いない。 これだけ多種多様なジャンルの音への適応能力があるということは、裏を返せば、このスピーカーが原音にいかに忠実であるかということの裏付けであると言えるだろう。一般に、音を"意図的に作っている"印象が強いスピーカーというのは、往々にしてサウンドの得意不得意が顕著になりやすい。一方、このME-50FSはスピーカー自体の"癖”というものが全くもって感じられないため、スピーカーを通り越して、録音環境を想像してしまう、という訳だ。 完全アナログ設計・妥協無きこだわりが実現する驚異の原音忠実・ハイファイサウンド。その裏側で、具体的にはどのような工夫がなされているのだろうか。その一部を紐解いてみたい。 ユニット配置へのこだわり ~理想的なフルレンジ"を実現するための工夫~ スピーカーユニットは、10cmのウーファーが2つと25mmのマグネシウムツイーター1つで構成されている。 一般的に位相の良いスピーカーというと、ウーハーとツイーターを1つのユニットに収めた同軸スピーカーを思い浮かべる方も多いかもしれない。しかし、同軸構造だと、確かに理想的な点音源には近づくものの、異なる周波数を発するユニットを1つに収める以上、それぞれが発する振動の影響など、避けられないトレードオフが発生してしまう側面もあるという。 その問題を解決するため、ME-50FSは2台のウーハーとツイーターを可能な限り近接した配置とし、各ユニットの使用帯域を剛ピストンモーション領域に限定。さらに、クロスオーバー周波数を1600Hzと下げることで、定位と位相を理想的なフルレンジに近づけることに成功している。3つのユニットの中心から等距離となる点(各ユニットの中心に内接する円の中心)が音響中心点となる格好だ。 フルアナログへのこだわり ~理想的なサウンドの肝となる外付のインピーダンス補正回路~ ↑ME-50FSの背面 ※画像クリックで拡大 エンクロージャには、それぞれ直方体のボックスがスピコンケーブルで接続されている。一見、電源ユニットかと勘違いしてしまうかもしれないが、ME-50FSはアクティブスピーカーであり、電源ユニットはパワーアンプ部と一体でスピーカーのエンクロージャー内に収められている。 では、このボックスは一体何のためにあるのかというと、実はこの中で、パッシブアナログ回路での低域共振補正とインピーダンス補正が行われている。たとえ理想的な筐体を設計したとしても、必ず生じてしまうこの副産物を、ここで補正することによってようやくその真価が発揮されている。 ここで言う低域共振とは、スピーカーユニットとキャビネット内の空気の間で発生する共鳴現象によって引き起こされ、特定の周波数に対して共振しやすい特性を持っている。特定帯域の音に癖が付いたり、位相ずれが生じたりする原因となるため、適切に補正を行う必要がある。 一方、インピーダンスは、個別のスピーカーユニット、コイルやコンデンサといったパーツに起因するもので、周波数によって変動が生じる。こうした変動は、当然ながら最終的な周波数特性に影響を与え、音質や位相特性に悪影響をもたらしてしまうことがあるため、低域共振同様に補正が必要なものである。 ※公式サイトより引用 最近では、内蔵のDSP回路で補正を行うタイプのスピーカーも多く存在するが、それらを全てアナログのパッシブ回路で行ない、更にアンプ側から見た負荷条件まで踏み込んで対策しているのがこのスピーカーのこだわりだ。 一般的なデジタル信号処理の利点として、ノイズに強くなることや大量生産時のコストを下げられることなどが挙げられるが、その分必ずA/D変換、D/A変換を通ることになり、レイテンシーが生じたり、量子化誤差により原音と差異が生じたりする原因となりうる。また、DSPでは、当然のことだがアンプとスピーカー間の負荷条件の改善まで行うことは不可能だ。 一方、全ての処理をアナログ領域で行うことで、一台一台の製作に手間暇はかかるものの、原理上遅延のない正しい時間軸での連続波による処理が可能となり、また、サンプリングレートに制約されない高域〜超高域の再生を実現、アンプとスピーカーの関係まで含めた改善が可能となる。まさにこの外付けボックスこそが、フルアナログにこだわったME-50FSの心臓部であり、その驚異的な原音忠実サウンドを可能にしているのだ。 サイズからは想像できない強力な低音再生能力 ウーファーは10cmのユニット2つが担っているが、このサイズのユニットから再生されているとはにわかに信じがたい、クリアかつパワフルな低域が出力される。再生しながら、横からスピーカーを見てみると、ユニットが前後に大きくピストンモーションしていて、音量のダイナミクスに合わせて切れ味の鋭いレスポンスを見せていることからも、そのダンピングファクターの高さがうかがえる。 また、個性的な三角形のバスレフポートはエンクロージャと同じバーチ合板が用いられており、一般的な樹脂製筒形のバスレフポートと比べ、強度の向上が図られている。これによりポート自体が振動してしまう現象、"鳴き"が抑制され、そこに並行面を持たない構造も相まって、ポート自体から発せられるノイズ低減を実現している。 ※スペック情報は下記URL「資料・ダウンロード」欄に必要情報入力後ダウンロード可能です。 ◎PROFESSIONAL MONITOR SPEAKER ME-50FS https://www.toa-products.com/solution/ME50FS 現在Rock oN Company渋谷ではME-50FSの試聴を行うことが可能です。店頭での試聴をご希望の方は下記URLよりご予約をお願いいたします。 https://www.miroc.co.jp/news/antenna-shibuya/lets-ask-rock-on/ ※試聴期間終了日は未定です。必ずご予約時にご確認をいただきますようお願い申し上げます。 本製品に関する法人のお客様のデモ・ご購入についてのお問い合わせは下記コンタクトフォームよりお気軽にご相談ください。
NEWS
2023/07/31

SCFEDイベのスタジオ探報記 第3回 ミキサーズラボ / RockoN Webサイトにて公開中!

憧れのスタジオを訪問してスタジオの魅力、ハイエンド機材やビンテージ機材の魅力、そして“スタジオで生まれる特別なマジック”の正体について解き明かすインタビューシリーズ「SCFEDイベのスタジオ探報記」。早くも第3回となる今回は、1979年創立、西麻布に拠点を構える「ミキサーズラボ」にスタジオ探報です! >>>>『SCFEDイベのスタジオ探訪記 第3回:ミキサーズラボ』 記事本編はコチラ
NEWS
2023/07/28

Prism Soundから超弩級AD/DAコンバーター『Dream ADA-128』が発売!

Prism Soundの最高クラスの製品にのみ冠される「Dream」。この称号を受け継いだ、最新のAD/DAコンバーター Dream ADA-128 が満を持して2023年7月28日より発売が開始されました。 1987年よりオーディオR&Dコンサルティングエンジニアグループとして活動を開始し、1992年からオリジナル製品の開発を手掛け、ハイエンドレコーディング&マスタリング機器の分野において高い信頼を獲得しているPrism Sound。そんなPrism Soundが開発に5年の歳月をかけた、文字通りのドリーム・マシンです。 本製品は、音楽制作からポストプロダクション、ブロードキャストなど、さまざまなワークフローをPrism Soundがリサーチし、必要な機能を搭載しながらも、それぞれのユーザーにとって必要十分な規模のシステムを構築可能なモジュールタイプを採用。最高品質のサウンドを求めるすべてのユーザーを満足させる、同社の新たなフラッグシップ・モデルです。 合計20のオプションカード・スロット 4つのホストモジュールと16のI/Oモジュールを収容可能な合計20のスロットが背面に配置されており、AD/DA、AVID Pro Tools|HDXやDante、MADI、AES/EBUなど、入出力合わせてアナログだけでも最大128ch、ホストモジュールの構成によってさらに可能性が広がります。 画像はオプションカード換装の一例。右から赤のカードが8ch AD。緑のカードが8ch DA。無色のカードが8ch AES/EBU。Digilinkカードが2枚、ブランクパネルの隣が、標準で付属するCPUボードとなります。この仕様ですと、64ch Analog IN/OUT + 8ch AES/EBU IN/OUT + 128ch Digilink!!DigilinkではなくDanteの搭載も可能ですので、超高音質なStage Boxとしても活用可能。2UでAnalog 64ch In/OUTはやはり驚異的なスペックです! ストレスのないオペレーション コントロールはフロントのタッチパネルから行うことができるほか、LAN経由でPC / Macから行うことも可能。PCモニターなどの大きな画面でルーティングやセッティングができ、将来的にiPadでのコントロールにも対応予定となっているため、コントロールルームとブースの距離が離れている場合なども、ストレスのないオペレーションが行えるでしょう。 ADA-128-Chassis (ADA-128本体のみ) 販売価格:¥ 1,437,700 (本体価格:¥ 1,307,000) Rock oN Line eStoreで購入>> AD128 8Ch-AD オプションカード 販売価格:¥ 392,700 (本体価格:¥ 357,000) Rock oN Line eStoreで購入>> AD128 8Ch-DA オプションカード 販売価格:¥ 392,700 (本体価格:¥ 357,000) Rock oN Line eStoreで購入>> AD128-Dante オプションカード 販売価格:¥ 447,700 (本体価格:¥ 407,000) 2023年秋頃 出荷開始予定 Rock oN Line eStoreで購入>> AD128-PTHDX オプションカード ¥ 356,400 (本体価格:¥ 324,000) Rock oN Line eStoreで購入>> AD128-AES オプションカード ¥ 301,400 (本体価格:¥ 274,000) Rock oN Line eStoreで購入>> AD-128 + オプションカード標準搭載モデルはこちら>> Prism Soundらしい堅実なサウンドをベースに、さまざまなフォーマット、ホストを一台で集約管理できるDream ADA-128。特に大規模なシステムを構築するユーザーにとって、文字通り「夢のような」マシンとなるに違いないでしょう! 本製品の導入・デモなどのご相談はROCK ON PROまでお気軽にお問合せください。
NEWS
2023/07/28

【在庫あり〼】Nugen Audio 製品が価格改定

2023年7月28日追記:値上げ前価格の在庫がございます!数量限定、早い者勝ちですので、価格改定前に購入できなかった!という方はお早めにご検討ください! ラウドネス計測の業界標準ツールとして愛用されるNugen Audio製品の価格改定が実施されます。 概要:Nugen Audio全製品が価格改定 発効日:2023年7月28日受注分より 主要製品の価格改定情報 オプション/バンドル・ライセンスを含む、下記以外の製品についてはROCK ON PRO営業担当者、または、Rock oN Companyまで個別にお問合せください。 Paragon ¥86,900(税込) → ¥98,230(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> Halo Upmix with 3D Immersive extension ¥101,200(税込) → ¥114,400(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> Halo Downmix with 3D Immersive extension ¥58,300(税込) → ¥65,890(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> Loudness Toolkit 2 ¥129,800(税込) → ¥146,630(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> VisLM-H 2 ¥64,900(税込) → ¥73,370(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> LM-Correct 2 ¥58,300(税込) → ¥65,890(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> ISL 2 | True Peak Limiter ¥36,300(税込) → ¥41,030(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> MasterCheck Pro ¥29,700(税込) → ¥33,550(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> AMB Loudness Core Module ¥144,100(税込) → ¥162,800(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> Visualizer 2 ¥29,700(税込) → ¥33,550(税込) Rock oN Line eStoreで購入>> 放送/ポストプロダクションのみならず、複雑なアルゴリズム作成のノウハウを生かしたオーディオメーターやダウン/アップミックス・ツール、配信フォーマットごとのマスターファイルの検聴ツールなど、オーディオ制作におけるユーティリティを豊富に提供するメーカーとして長い実績を誇るNugen Audio。 導入をご検討中の方はお早めにお問合せください。
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2023/07/27

【データシート更新】Avidが新製品を発表!Pro Tools | MTRX IIとMTRX Thunderbolt3オプションカードが登場!!

2023.7.5 追記 待望のMTRX II 初回分が入荷いたしました!発表後、早期にご予約いただいた皆さまへ順次発送予定のほか、Rock oN Company 渋谷店、梅田店へ展示機も公開予定です!導入をご検討中の方は是非店頭にて実機をご確認ください! AvidのフラッグシップI/OであるPro Tools | MTRXにさらなるブラッシュアップとパワーアップを施した後継機種「Pro Tools | MTRX II」が発表されました。 MTRX IIはMTRXをベースに開発され、オリジナルと同等のクオリティを維持しつつ、256ch @44.1/48kHzのDante I/OやSPQ機能が内蔵され、さらに多くの柔軟性や拡張性を備えています。これによりMTRX IIでは、より多くのI/O、ミキシング及びモニタリング・キャパシティーを実現します。 さらに、オプションカードに「Pro Tools | MTRX Thuderbolt 3 Module」が新登場。Pro Tools | MTRX II (256ch)、及び、Pro Tools | MTRX Studio (64ch)をネイティブDAWに接続することが可能になります。 「Pro Tools | MTRX II」および「Pro Tools | MTRX Thuderbolt 3 Module」の発売時期は未定ですが、予約受付は本日より開始しております。 製品画像 Pro Tools | MTRX II ↑Thuderbolt3オプション・モジュール換装時 ↑Thuderbolt3オプション・モジュールなし(標準仕様) Avid Pro Tools | MTRX II Base unit with DigiLink, Dante 256 and SPQ 型番:9900-74279-00 販売価格:¥1,089,000(本体価格:¥990,000) 発売予定日:未定 Rock oN Line eStoreで今すぐ予約>> MTRX II brochure *クリックで拡大 MTRX II brochure *クリックで拡大 MTRX II brochure *クリックで拡大 MTRX Studio brochure *クリックで拡大 MTRX Studio brochure *クリックで拡大 Pro Tools | MTRX Thunderbolt 3 Module Avid Pro Tools | MTRX Thunderbolt 3 Module 型番:9900-74167-00 販売価格:¥135,080(本体価格:¥122,800) 発売予定日:未定 Rock oN Line eStoreで今すぐ予約>> MTRX vs MTRX II 機能比較 Thunderbolt3モジュールに対応 MTRX IIと同時に発表されたThunderbolt3モジュールを追加して、HDXシステム環境でなくともAvidフラッグシップI/Oを使用することが可能になります。Pro Tools | MTRXファミリーが持つ柔軟で巨大なルーティング機能やモニタープロファイル機能、比類ないクオリティのサウンドを、ネイティブ環境で実現します。 Caution! Thunderbolt 3 Module は、MTRX Studio/MTRX II 用のオプションとして別売となります。MTRX IIの場合、こちらを追加することで、ネイティブ・ワークステーションを最大256チャンネルの低レーテンシー・モニター環境で接続時可能となります。 MTRX用オプションカードは引き続き使用可能 Dante、アナログ、MADIなど、以前のPro Tools | MTRX用オプションカードは新しいPro Tools | MTRX IIでも使用できます。オプションカード類の製品自体/型番に変更はありません。 256ch分のDante I/Oを内蔵 MTRXではオプションカードの追加が必要だったDante I/Oですが、MTRX IIでは標準で256ch(@44.1/48kHz)のDante I/Oが内蔵されています。 MTRX IIには128ch分のDante I/Oを追加する「Pro Tools | MTRX 128 Channel IP Audio Dante Card」を8枚まで追加できるため、合計で1280chまでのDante信号を扱えるようになります。 Caution! MTRX IIに搭載の256チャンネルDanteは、サンプルレート・コンバージョン(SRC)機能には対応していません。Dante使用時にSRCが必要な場合は、Dante 128オプション・カードを使用してください。 SPQ機能が内蔵に Pro Tools | MTRXに128のEQチャンネルと最大1,024のフィルターを追加して音響補正機能を提供するSPQ。前モデルのMTRXではオプションカードを追加する必要がありましたが、MTRX IIにはこの機能が標準搭載されるようになりました。 アナログカードの追加上限が撤廃 豊富なバリエーションの拡張カードをベースユニットに追加することで、ユーザーがそれぞれに必要な機能をカスタマイズできることが特徴のPro Tools | MTRXですが、アナログI/Oカードについてはin/out合計で6枚までという制限がありました。 後継機Pro Tools | MTRX IIではこの制限がなくなり、8つのオプションスロットすべてにアナログI/Oカードを換装することが可能になりました。 内部ミキサーが大幅にパワーアップ Pro Tools | MTRXのもうひとつの特徴が、その名の由来ともなっている巨大な内部ルーティングマトリクスとモニタープロファイルでした。MTRX IIではこの機能が大幅にパワーアップ。 1500x1500だった内部マトリクスは、なんと4096x4096まで増加。さらに、モニタープロファイルで使用できる内部サミングミキサーは256x32から512x64に。これにより、Dolby Atmosシネマ制作においても十分な数のチャンネルを扱うことができます。 AES/EBUはオプション対応のみに 逆に、MTRXでは内蔵だったAES/EBUデジタルI/Oに関しては、MTRX IIでは標準搭載ではなくなります。デジタルI/Oが必要な場合は、Pro Tools | MTRX 8 AES3 I/O Cardが必要になります。 MTRXファミリー機能比較表 *クリックで拡大 MTRXファミリー機能比較表 *クリックで拡大 フラッグシップI/Oをネイティブ環境に接続 CoreAudio対応DAWでMTRXファミリーを使用 新たに発表されたPro Tools | MTRX Thunderbolt 3 Moduleを本体に追加することで、Pro Tools | MTRX II (256ch)、及び、Pro Tools | MTRX Studio (64ch)をネイティブ環境で使用することが可能になります。これまでHDXシステムでしか得られなかったサウンド・クオリティや柔軟なルーティング機能を、CoreAudio対応のネイティブDAWで構築することができます。 Caution! 新しいPro Tools | MTRX Thunderbolt 3 Moduleに対応するのは、Pro Tools | MTRX II及びPro Tools | MTRX Studioです。以前のPro Tools | MTRXで使用することはできません。 Pro Tools Studioでマルチチャンネル制作が可能に 2022年4月のアップデートで5.1ch以上のマルチチャンネル・フォーマットに対応したPro Tools Studio(旧Pro Tools)。Pro Tools | MTRX Thunderbolt 3 Moduleを追加したPro Tools | MTRX II、または、Pro Tools | MTRX StudioをI/Oとして使用することで、ネイティブ環境でのマルチチャンネル・サラウンド制作がよりシンプルな機器構成で実現可能になります。 Thunderbolt3はDigiLinkとの併用が可能 Avidからの発表によれば、Thunderbolt3とDigiLinkは併用が可能です。ということは、DADmanを経由することで2台のマシン間で信号のやりとりが可能になるということになります。Dolby Atmos RendererをインストールしたマシンをThunderbolt3で接続すれば、Atmos Audio Bridgeを使用せずに(=HDXを使用しながら)Dolby Atmos ミキシングをおこなうことができるようになります。 MTRX II / MTRX Thunderbolt 3 Moduleは本日より予約受付開始! 「Pro Tools | MTRX II」および「Pro Tools | MTRX Thuderbolt 3 Module」の気になる発売時期は未定ですが、予約受付は本日より開始しております。Rock oN Line eStore、または、ROCK ON PROまでお気軽にお問合せください! Avid Pro Tools | MTRX II Base unit with DigiLink, Dante 256 and SPQ 型番:9900-74279-00 販売価格:¥1,089,000(本体価格:¥990,000) 発売予定日:未定 Rock oN Line eStoreで今すぐ予約>> Avid Pro Tools | MTRX Thunderbolt 3 Module 型番:9900-74167-00 販売価格:¥135,080(本体価格:¥122,800) 発売予定日:未定 Rock oN Line eStoreで今すぐ予約>> 急遽発表された大型プロダクト!従来機を念頭にシステム設計をされていた方などは困惑される部分も多いことと察します。そんな時はお気軽にROCK ON PROまでご相談ください。HDXシステムをはじめとして、その他スタジオ音響システムのご相談も承ります。 https://pro.miroc.co.jp/headline/pro-tools-mtrx-eol/#.ZDdaOuzP0-Q
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2023/07/27

株式会社コジマプロダクション様 / 新たな世界を創り出す、遥かなる航海のためのSpaceship

日本を代表するゲームクリエイター・小島 秀夫氏が2015年に立ち上げた株式会社コジマプロダクション。2016年には第1作目となるタイトル「DEATH STRANDING」を発表し、2019年に待望のPS4Ⓡ版が発売されるやいなや、日本をはじめ世界各地から称賛の声があがり、米国LAで行われたThe Game Awards 2019では8部門にノミネートされ、クリフ役を演じたマッツ・ミケルセンのベスト・パフォーマンス賞を含めると3部門で賞を獲得、世界的なビッグタイトルとしてのポジションを確立した。その後も数々の受賞歴や昨年末の「DEATH STRANDING 2(Working Title)」発表など、ここ最近も話題が絶えないが、実はその裏でオフィスフロアの移転が実施されていたという。フロア移転のプロジェクトがスタートしたのは2020年の1月ごろ、昨年12月に新フロアでの稼働が開始され、サウンド制作についての設備も一新された。今回はTechnical Sound Designerの中山 啓之氏、Recording Engineer永井 将矢氏に、移転計画の舞台裏や新スタジオのシステムについて詳細にお話を伺うことができたのでご紹介していこう。 📷エントランスゲートを通った先に待ち受けている真っ暗な部屋。足元に伸びる一筋の光に導かれるまま進んだ先には、無限に続く白の空間。中央にはコジマプロダクションのシンボルキャラクター「ルーデンス」が力強く佇んでいる。ちなみにこの名前は、オランダの歴史学者ホイジンガが提唱した「ホモ・ルーデンス」(遊ぶ人)に由来しているそうだ。こうした人間の遊び心を刺激するような演出がオフィス内随所に施されていた。 Spaceship Transformation 今回のスタジオ設計のプランニング開始は2021年3月ごろと2年ほど遡る。"Spaceship Transformation"という壮大なコンセプトとともに、事業規模の拡大に伴うフロア移転が社内で伝えられ「それに見合ったスタジオを作れないか?」と、社内で協議するところからスタートしたそうだ。ゲーム制作の「何百人ものスタッフが膨大な創造と作業と時間をかけながら、ひとつのゲーム作品を作り上げていく過程」を「広大な空間を進んでいく宇宙船の航行」として置き換えてみると、制作を行うオフィスフロアはまさに宇宙船の船内やコックピットであり、そこは先進的な技術やデザインで満たされた空間であるべきだろう。勝手ながらな推察ではあるが、こう捉えると"Spaceship Transformation"が意図するところも伝わってくるのではないだろうか。 こうしたコンセプトを念頭に置きながらも、現場スタッフの頭の中には、具体的な業務への思慮が常にある。予算や法律上の問題をはじめ、各所で定められたルールなどの制約がある中で、想定される業務をしっかりとこなせるスタジオを作るというのは、やはり一筋縄ではいかなかったそうだが、しっかりと万が一に備えた冗長性や、将来に向けた拡張性を持たせるような工夫がなされたそうだ。 Rock oN (以下、RoC):本日は宜しくお願いします。まず、お二人の普段の業務内容を伺えますでしょうか。 中山 啓之 氏 (以下、中山):音の制作(サウンドデザイン)を中心にやりつつ、チームのマネジメント業務も行なっています。私は設立後半年経った頃に入社したのですが、その頃からメディア・インテグレーションにはお世話になっています。 RoC:ありがとうございます!個性的なスタッフばかりですみません…(汗)。 永井 将矢 氏 (以下、永井):私はレコーディングエンジニアとして入社したのですが、ちょうど移転の話が始まったタイミングだったため、入社から最近にかけてはスタジオの運営、管理業務を行っています。今後は音声収録の作業がメインになっていく予定です。 RoC:お二人は元々どのようなきっかけでゲームという分野のサウンド制作に携わるようになったのでしょう。 中山:子供の頃からゲームに興味を持っていたのですが、パソコンやFM音源が出始めたころにいわゆる"チップチューン"にどっぷりハマりまして(笑)。そこから趣味がどんどん広がっていく中でゲームサウンドの世界に行き着きました。当時、PC88というパソコンにYM2203というFM音源チップが載っていて、それを使ってパソコンから音を出すところから始まり、音楽を作ったり、効果音を作ったりということを色々やっていました。 RoC:チップチューンというと、やはり同時発音数の制限などもあったり? 中山:FM音源が3つとSSG(矩形波)が3つくらいだったんですけど、そこからPCが進化していって鳴らせる音も増えていって。その後、MIDIが出てきたのでシーケンサを買って、シンセサイザーを買って、というコンピュータミュージックの王道を進んできたという感じです。 永井:私は、新卒時にゲーム業界も興味はあったんですが、映画好きだったこともあってポスプロの道へ進むことにしました。最初はいつまで続けられるか不安だったのですが、収録やミックスをやっているうちにその楽しさに気づき、結果的に7年半ほどやっていました。当時はほとんど吹き替えの仕事が中心だったのですが、仕事の幅を拡げたいなと考えていたところにちょうどいいタイミングでコジマプロダクションでのレコーディングエンジニアの募集があったんです。自分が好きなゲームを制作している会社ということもあって「これはぜひやりたい!」ということで応募しました。 RoC:"Spaceship Transformation"が今回のフロア移転全体のコンセプトとのことですが、そうした大きなテーマの下で、現場レベルでのこだわりやテーマは何だったのでしょうか? 中山:音声収録やMAといった様々な業務が想定される中で、例えば内装デザインなどがそうですが、「会社としての方向性に合わせつつも必要な業務に対応したスタジオを作りたい」というのがありました。とは言え、無尽蔵に場所があるわけでもないですし、予算との兼ね合いもあるので、その中でベストを尽くせるように、まずは必要な部屋数や規模の検討、「こういうことをやりたい」という提示からスタートしました。 RoC:最初の構想は、やはり業務内容などから逆算していって決められたのでしょうか? 中山:今回の場合ですとこのコントロールルームとそれに隣接したレコーディングブース、EDITブースいくつか…というプランから一番最初の「妄想」が始まりました(笑)。そのプランを本当に一枚のテキストページに落とし込んで、それから紆余曲折が始まった格好です。 永井:一応「妄想」通りにはできた感じです(笑)。 RoC:内装も全体的に統一感があり、かなりこだわられていますよね。 中山:基本コンセプトとして、弊社のコーポレートカラーである黒と白をベースにしたデザインを念頭に細部を決めていきました。我々はデザインについては素人ですが、いくらCG技術が発展したとしても、実際に目にするとイメージと異なる部分がどうしても出てくるとは思います。そうした部分は不安でもあり、ワクワクした部分でもありました。 📷カフェテリアの半分は近未来的なデザインのカウンター、もう半分はカフェのような落ち着いた雰囲気の空間演出となっている。サウンドセクションのロビーはソファとテーブルが融合し、照明と対になったデザインがなされている。ラウンジはまさに映画のワンシーンで使われていそうな意匠で、フロアの各所が一度目にしたら忘れられない印象的なデザインとなっていた。また、用途に応じて背景を黒・緑・青の3色に変更できるスタジオも用意されており、映像コンテンツの収録も行うことができる。 RoC:スタジオ稼働に至るまで山ほどタスクがあったかと思いますが、中でも苦労されたポイントはどこでしたか? 中山:共用のオフィスビルなので、当然全てを好き勝手にやるわけにはいかず、消防法やビル管理上のルール、配管や防音構造、荷重の制限など、これまで全く知識がなかったことについて考えながら進める必要があった点です。そうした部分は施工をご担当いただいたSONAさんやビルの管理会社さんなど、色々な方々から知見をいただいて、針の穴を通すような調整をやりつつ進めていきました。 永井:今回は建築上の都合でピットを掘ることができなかったので、施工会社の方々にとっては配管が一番頭を悩まされたのではないかと思います。 中山:やはりピットではないので一度配管を作ってしまうと、後から簡単に変更ができなくなってしまいます。そういうこともあり、配線計画はかなり綿密に行いました。予備の配線も何本か入れてもらっているので、今後の拡張性にも対応しています。それから、バックアップの面については力を入れています。収録中に万が一メインのMacがトラブルを起こしても、MTRX経由で常時接続されているサブ機にスイッチして継続できるように用意してありますし、さらにMTRXについても代わりのI/Oを用意してあるので、すぐに収録が再開できるようになっています。インハウスのスタジオですが、商用スタジオ並みのバックアップシステムを実現しています。 永井:商用スタジオだと複数部屋あったりするのでトラブルが発生したら別の部屋で対応をするということもできますが、そういった意味ではここは一部屋しかないので「何かあった時に絶対何とかしなきゃいけない!」となりますから、色々なシチュエーションを考えてすぐに対応できるようにしています。 理想的なスペースに組んだ7.1.4chのDolby Atmos 📷株式会社ソナのデザインによる音響に配慮された特徴的な柱がぐるりとコントロールルームを取り囲み、その中へ円周上にGenelec 8361Aが配置されている。スクリーンバックにはL,C,R(Genelec 8361A)とその間にサブウーファーGenelec 7370APを4台設置し音圧も十分に確保された。 RoC:機材選定はどのように進めていったのでしょうか? 中山:最初の計画を立てた時に、一番最初に挙げたのは「スクリーンを導入したい!」ということでした。弊社に来られる方は、海外からのお客様や映画関係の方など多種多様にいらっしゃいます。そうしたみなさまにご視聴いただくことを想定すると、小さな液晶画面だと制作の意図が伝わらなかったり、音響の良さを伝えるのが難しかったり、ということがこれまでの経験上ありましたので、スクリーンの設置はぜひとも実現したいポイントでした。併せて、今後主流になっていくであろう4K60pの投影と、それに応じたサウンド設備をということも外せないところでした。その規格に対応させるために、映像配線はSDI-12Gを通してあります。 RoC:今回、コントロールサーフェスにAVID S4を選ばれた理由は何だったのでしょう? 中山:MAの作業の直後に音声収録を行い、その後の来客時にティザーをご覧頂いて、という事も弊社では多くありますので、素早くセッティングを切り替えられるデジタル卓を候補としました。加えて、Pro Toolsのオペレーションが中心ということもあるので、Avid S6、S4か、もしくはYamaha のNuageかという選択肢だったのですが、サイズなども色々検討した結果でAvid S4になりました。S4でもS6と遜色ない機能がありますので。 RoC:特注のアナログフェーダーが組み込まれているのは、まさにこだわりポイントですね! 永井:S6もそうですが、S4はレイアウトを自由に変えられるのが利点ですね。 RoC:MTMとAutomationモジュールが左右に入っているパターンは他ではあまり見ない配置ですが、実際S4を導入して良かったと思うところはありますか? 永井:キーボードの操作も多いので、この配置にしていると手前のスペースを広く取れるのでいいですね。あとは、モニターコントロール周りです。前職でも触れたことはあったのですが、今思えばそこまで使いこなせてなかったなと。DADmanでのソースやアウトプットの切り替えは結構やりやすいなと改めて思いました。最初に操作方法を教わった後は、自分で好きなようにカスタマイズしています。「やりたい」と思ったことが意外とすぐにできるというのは好感触でした。 📷Avid S4のオートメーションモジュール手前には特注の4chアナログフェーダーが収められている。これはスタジオラックに収められたAMS Neve 1073 DPXとMTRXのアナログ入力との間にパッチ盤を介して接続されており、頻繁に触れるであろうボリュームコントロールを手元でスムーズに行えるようにした実用を考慮したカスタムだ。また、マシンルームにはシステムの中枢となるAvid MTRXが設置され、MacProの他にも同ラックにはMac Studioをスタンバイし冗長性を確保している。 RoC:特に、カスタマイズが好きな方にはハマりますよね!スピーカーはGenelecの同軸スピーカー8361A / 8351Bを中心に、4台の7370APを加えた合計15台で構成されています。なぜこの構成になったのでしょう? 中山:スピーカー選定の段階で「Dolby Atmosに対応させよう」というのはありました。かつ、スクリーンバックから鳴らせるということ、あとは部屋のサイズに対して十分な音圧を出せるか、というところがポイントでした。そういった部分から考えていくと自ずと選択肢は絞り込まれていきました。当初は同じGenelecのS360Aで検討していたのですが、角度を変えて上に置いたり横に置いたりすることを考えると、リスニングポジションの関係もあって、最終的に同軸スピーカーの方がいいのではないかという方向に落ち着きました。 📷トップのスピーカーはGenelec 8351Bを4台設置、半球の頂点にあたる部分など各所に配線があらかじめ敷設され、将来の増設も想定されている。 永井:音質面でもすごく素直な音で、クリアで分離がよく音色ひとつひとつが聴き取りやすく感じました。今回、SONAさんに音響調整をお願いしていて私も立ち会ったのですが、デスク前方のプロジェクターが格納されている部分が床からの反射を防ぐ構造になっており、その影響もあってか低域が溜まらずクリアに聴こえるようになっています。 📷デスク前方の傾斜部分の下には、4K60p対応の超短焦点プロジェクターが収められているのだが、こちらは床からの反射音を軽減させる音響調整パネルとしての役割も担っている。 中山:何となく、これも宇宙船のようなデザインに見えますよね。 RoC:確かに、スタートレック感がありますね! 中山:来社されたお客様にも、そのような感想を頂いた事がありました。雰囲気・デザイン的にもそういった要素を色々含めています。 RoC:ウーファーはスクリーンバックに4台となっていますね。 中山:はい、LCRスピーカーのLとC、RとCの間に上下に2台ずつGenelec 7370APが設置されています。最初は2台だけの想定だったのですが、調整していくうちに音圧が足りないかも、ということで、最終的に2台追加することになりました。リスニングポイントからスピーカーまでも3.6mほどあって、天井高も2.7mと高く取れています。サラウンドスピーカーの上下や天井中央にも後からスピーカーを追加できるようにしていて、これからの拡張性も確保しています。 RoC:サラウンドやイマーシブの制作において理想的な半球状の配置になっていますよね。実際にスタジオが稼働しはじめて、周囲からの反応はいかがでしたか? 中山:「すごい」と言ってもらえる機会が多くて嬉しいですね。エンジニアの方からは「音の立ち上がりが速い」という声もあり、好評な意見をいただけていて願ったり叶ったりです(笑)。「妄想」していたスタジオがきちんと実現できたかなという印象です。 永井:いい評判をいただけて本当によかったです。こちらからコンセプトを伝えてなくても「宇宙船みたい」と言ってくれる方もいてデザイン面でも良かったなと。加えて、制作だけではなくプレゼンや海外とのコミュニケーションにも対応できるようにしたので、他部署のスタッフからも「居心地良く仕事ができる」といった声がありました。 RoC:スタジオが取り合いになったりはしないですか? 中山:まだそこまではいってないですが、いずれそうなってくるかもしれませんね(笑)。 📷コントロールルームに隣接したレコーディングブースは、実面積よりも広々とした開放感を感じさせ長時間の使用にも耐えうる快適な空間となっている。また、フロアのカーペット裏には、コンクリートやレンガ、大理石など、材質の異なる床材が仕込まれておりフォーリー収録も行うことができる。 📷Sound Editing Room はA / Bの2部屋が用意されており、いずれもGenelec 8331A + 7360Aで構成された7.1chのモニター環境が構築されている。入出力にはFocusrite Red 8 Line、モニターコントローラーには同R1が用意されており、ここでも拡張性を確保しつつもコンパクトな機材選定がなされている。また、スピーカースタンドとデスクが一体化された設計により、機材の持ち込みなどシチュエーションに応じた活用がフレキシブルに行えるようになっていることもポイントだ。 聴く人の心を動かすようなサウンドを 現在、ゲーム制作においては、映画と同じくサラウンドでの制作が主流となっており、そこからダウンミックスでステレオが作られるとのこと。ゲーミングPCのスペックの向上やバーチャルサラウンド対応ヘッドホンのラインナップが拡充し、手頃な価格でそのサウンドを楽しめる環境が整ってきており、着実にその裾野は広がっているのではないかということだ。これはイマーシブサラウンドについても同様で、一番最初の計画ではイマーシブ対応については検討されていなかったが、天井高が十分取れることが分かった段階で、今後の需要増にも備えてDolby Atmosへの対応を決めたそうだ。 現在、ゲーム制作においては、映画と同じくサラウンドでの制作が主流となっており、そこからダウンミックスでステレオが作られるとのこと。ゲーミングPCのスペックの向上やバーチャルサラウンド対応ヘッドホンのラインナップが拡充し、手頃な価格でそのサウンドを楽しめる環境が整ってきており、着実にその裾野は広がっているのではないかということだ。これはイマーシブサラウンドについても同様で、一番最初の計画ではイマーシブ対応については検討されていなかったが、天井高が十分取れることが分かった段階で、今後の需要増にも備えてDolby Atmosへの対応を決めたそうだ。 RoC:Dolby Atmosのようなイマーシブ対応をすることで、ゲームサウンドの分野でも従来からの変化を感じましたか? 中山:一般のユーザーの方々へどこまでイマーシブ環境が拡がるかということもありますが、ゲームサウンドは3D座標で処理されているものが多いので、イマーシブと相性も良く、今後チャレンジしていきたいです。 永井:ポスプロ時代にもイマーシブについては興味を持っていましたが、やはりゲームは親和性が高いように思います。プレイをしている自分がその場にいるような演出も面白いと思いますし、今後突き詰めていくべきところだと思います。 RoC:それこそチップチューンの時代は、同時発音数など技術的な制約が大きい中での難しさがあったと思いますが、今後は逆に技術的にできることがどんどん増えていく中での難しさも出てくるのでしょうか? 中山:次々と登場する高度な技術のひとつひとつに追いついていくのはなかなか大変ですが、しっかりとその進化に対応して聴く人の心を動かすようなサウンドを作っていきたいですね。 世界的な半導体不足の影響や、高層オフィスビルならではのクリアすべき課題など、大小様々な制約があった中で、現場の要件をクリアしつつコジマプロダクションとしてのコンセプトを見事に反映し完成された今回のスタジオ。Dolby Atmos制作に対応済であることはもちろん、将来的にスピーカーを増やすことになってもすぐに対応できる拡張性や、インハウスのスタジオながら商用スタジオ並みのバックアップシステムも備えており、現時点だけではない制作の将来像も念頭に置いた綿密なシステムアップが行われた。ついに動き出したこの"Spaceship"がどのような新たなる世界へと導いてくれるのか、遥かなる航海がいよいよ始まった。   *ProceedMagazine2023号より転載
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2023/07/24

SCFEDイベのスタジオ探報記 第2回 サウンドシティ / RockoN Webサイトにて公開中!

憧れのスタジオを訪問してスタジオの魅力、ハイエンド機材やビンテージ機材の魅力、そして“スタジオで生まれる特別なマジック”の正体について解き明かすインタビューシリーズ「SCFEDイベのスタジオ探報記」。第2回は、東京・麻布台の地から47年に渡って日本の音楽業界を支えてきた音楽スタジオ、 「サウンドシティ」をスタジオ探報です! >>>>『SCFEDイベのスタジオ探訪記 第2回:サウンドシティ』 記事本編はコチラ
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2023/07/21

Dolby Atmos Conversion Tool v2.1.2 リリース情報

Dolby Atmos マスターファイルの編集やサンプルレート変換を行うためのソフトウェア、Dolby Atmos Conversion Toolのv2.1.2がリリースされました。 ◎Dolby Atmos Conversion Tool v2.1.2 https://customer.dolby.com/content-creation-and-delivery/dolby-atmos-conversion-tool-v210 Dolby Atmos Conversion Toolとは? Dolby Atmos Conversion Tool(ドルビーアトモスコンバージョンツール)は、Dolby Atmosコンテンツをシネマやホームシアター用に変換するために使用することができます。 「.atmos」「BWAV」などへのファイル形式の変換や、マスターファイルの編集・結合、フレームレート変換などの処理が可能です。 2023.7.21 追記 今回リリースされたv2.1.2で以下の修正が行われました。 [Composition]ウィンドウで、スタートタイムまたはFFOAが1秒に満たない(= フレーム値が00でない)マスターをトリミングした後、変換結果のスタートタイムまたはFFOAがトリミング後の設定と一致しないことがある問題が修正されました。 https://customer.dolby.com/content-creation-and-delivery/dolby-atmos-conversion-tool-v212/dolby-atmos-conversion-tool-v212-release-notes/new-in-version-212 ◎Dolby Atmos Conversion Tool v2.1 新機能 ・96kHz ADM BWFマスターファイルの編集、結合、変換 ・"Maintain pitch and length"スイッチにより、ピッチを変えずにフレームレート変換 ・サンプルベースのトリミングとパディング、マスターに書き込まれる5.1および5.1.xダウンミックスの設定を指定する "Command-line only"オプション ・SMPTE ST 377-41:2021 に規定される新 IAB IMF グループメタデータの追加 ・macOS Ventura、Windows 11に対応 ・Appleシリコンをサポート ・UIデザインシステム更新/新アプリケーションアイコン追加 ・DCPのIABフォーマットラベルを"Cinema MXF"へ変更 New features include: ・Ability to edit, join, and convert 96 kHz ADM BWF master files ・Frame rate conversion without changing pitch via the Maintain pitch and length switch ・Command-line only options for sample-based trimming and padding, and specifying 5.1 and 5.1.x downmix settings written to the master ・New IAB IMF group metadata, as specified in SMPTE ST 377-41:2021 ・Support for macOS Ventura and Windows 11 ・Apple silicon support ・UI design system update / New application icon ・Changed DCP IAB format labels to Cinema MXF https://customer.dolby.com/content-creation-and-delivery/dolby-atmos-conversion-tool-v210 システム要件 Dolby Atmos Conversion Tool v2.1.2は、これらのオペレーティングシステムでのみ使用することが許可されています: ・Linux (※Dolby Atmos Conversion Tool command-line applicationのみ): - RedHat 7.3 - Ubuntu 16.04 LTS, 18.04 LTS, and 20.04 LTS ・Mac: - macOS 10.13 〜 13.2.1 (Appleシリコンを含む) ・Windows: - Windows 10 (64 bit) - Windows 11 (64-bit) ◎入手方法 Dolby Atmos Conversionは、Dolby Customer Webサイトへサインアップ&サインイン後、ダウンロード可能です。 https://customer.dolby.com/content-creation-and-delivery/dolby-atmos-conversion-tool-v210 Dolby Atmos制作環境の構築、スタジオ施工に関するお問い合わせはぜひROCK ON PROまで!下記コンタクトフォームよりお気軽にお問い合わせください。 https://pro.miroc.co.jp/headline/dolby-atmos-renderer-v5/#.ZEcva-zP0-Q https://pro.miroc.co.jp/headline/acsu2023-nestream/#.ZEcveezP0-Q https://pro.miroc.co.jp/headline/dolby-atmos-info-2022/#.ZEcvg-zP0-Q
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2023/07/21

Dolby Atmos Renderer v5.1 リリース情報 〜 Production SuiteとMastering Suiteの機能が統合 〜

Dolby Atmos Renderer v5.1 がリリース 新機能が追加 今年3月、Dolby Atmos Production Suite および Mastering Suiteの機能を1つのアプリケーションとして統合し、v5.0として刷新されたDolby Atmos Renderer。新たにv5.1がリリースされ、ヘッドトラッキングデバイスのサポートなど新機能が追加されました。 公式サイト: https://customer.dolby.com//content-creation-and-delivery/dolby-atmos-renderer-v510 v5.1の新機能 ・ ヘッド・トラッキング・デバイスのサポート ・ Dolby Atmos Binaural Settingsプラグイン(v1.3)で2つのユーザープリセット ・ バイノーラルレンダリングモードの設定が、レンダラーを再起動しても保持 ・ オブジェクトビューを最大化または最小化するための新しいビューメニューとキーボードショートカット ・ オブジェクトビューで移動するオブジェクトの解像度を向上 ・ パーソン・ビューの頭部アイコンの定義を改善 ・ ASIOデバイスのコントロールパネルアプリケーションへのアクセスが容易に(Windowsのみ) ・ Option + C(Mac)およびAlt + C(Windows)のキーボードショートカットで、すべてのクリップインジケータをクリア ・ 左右の矢印キーによるグラフィック・イコライザー・バンド間の移動 ・ summary.txtファイルとtimeline.csvファイルのラウドネス測定値の小数点以下桁数を1桁に変更 ヘッドトラッキングデバイスのサポートについて 気になるヘッドトラッキングのサポートについてですが、OSC(OpenSound Control)の出力に対応したヘッドトラッキングデバイスを使用することで実現できるとのことです。後日、対応機種が判明したら追記いたします! レンダラーでバイノーラルコンテンツを再生する際、ヘッドトラッキングデバイスを使って頭の動きをトラッキングすることができます。バイノーラル出力は、ヘッドトラッキングデバイスの位置に応じてレンダリングされます。これにより、仮想ルーム内においてthree degrees of freedom (※)でインタラクティブな操作ができるようになります。オブジェクトビュー内でパーソン・ビューが選択されると、ヘッドトラッキングデバイスの方向が視覚的に表現されます。 ヘッドフォン出力とバイノーラルレンダリングモードを有効にした状態で、レンダラーの環境設定でヘッドトラッキングを有効にし、ドルビーOSCヘッドトラッカードライバ(レンダラーに付属)またはヘッドトラッキングデバイスメーカーが提供するヘッドトラッキングドライバを使用できます。 ※3DoF(three degrees of freedom) = X軸・Y軸・Z軸の動きの検出。頭の回転や傾きまでを感知可能。 https://customer.dolby.com/content-creation-and-delivery/dolby-atmos-renderer-v510/dolby-atmos-renderer-v51-release-notes/new-in-dolby-atmos-renderer-v51 ビュー・メニューとキーボードショートカット オブジェクト・ビュー(仮想3D空間)を最大化または最小化し、オブジェクト・ビューの表示と表示オプションを変更するためのビュー・メニューおよびキーボード・ショートカットが新たに追加されました。 システム要件 動作テスト済みOS Dolby Atmos Rendererは、macOS 10.14.6~13.4、Windows 10 Pro*、Windows 11 Pro*で使用できます。 *1台のコンピュータでDAWからDolby Atmos Rendererにオーディオをルーティングするために必要なDolby Audio Bridgeは、macOSでのみ使用可能です。 Windowsをお使いのお客様は、Dolby Atmos RendererをDAWとは別のコンピューターで実行し、DAWとの間でオーディオをルーティングするハードウェアソリューションを使用する必要があります。 サポートされるセットアップについては、公式サイトにサインアップ後閲覧可能なドキュメントを参照してください。 動作テスト済みコンピュータ ・ MacBook Pro 18,21; M1 Max 32 GB ・ MacBook Pro 14,6; M2 Max 32 GB ・ MacBook Pro 16,1; Intel Core i9 2.4 GHz, 32 GB RAM ・ MacBook Pro 15,1; Intel Core i7 2.6 GHz, 16 GB RAM ・ Mac Pro 7,1; 8-Core Intel Xeon, 3.5 GHz, 32 GB RAM ・ Mac Pro 6,1; 6-Core Intel Xeon E5, 3.5 GHz, 32 GB RAM ・ Mac mini 14,12; Apple M2 Pro, 16 GB RAM ・ Mac mini 9,1; Apple M1, 16 GB RAM ・ Mac mini 8,1; Intel Core i7 3.2 GHz, 16 GB RAM ・ Mac Studio 13,1; M1 Max, 32 GB RAM 動作テスト済みDAW レンダラーは、Dolby Atmosレンダラーと通信可能なDAW(またはその他のオーディオ録音/編集ソフトウェア)をサポートしています。 ・ Avid Pro Tools Ultimate 2021.12~2023.6 ・ DaVinci Resolve Studio 18 ・ Steinberg Nuendo 12 Dolby Atmos Rendererは、Dolby Atmos Music Pannerプラグインを追加することで、macOS上の他のDAWでも使用できます。 詳細はMusic Pannerのドキュメントを参照してください。 公式サイト: https://customer.dolby.com//content-creation-and-delivery/dolby-atmos-renderer-v510 入手方法 Dolby Atmos Renderer V5.0をお持ちの方、またはすでにアップグレードされている方は、Dolbyカスタマー・サポートまたはAvidアカウントの"製品"(My Products)から最新バージョンをダウンロード可能です。新規で購入の方はAVID Storeよりダウンロード購入可能です。 ◎Production Suiteからのアップグレードはこちら ◎Mastering Suiteからのアップグレードはこちら ◎新規のご購入はこちら ◎エデュケーション版はこちら Dolby Atmos制作環境の構築、スタジオ施工に関するお問い合わせはぜひROCK ON PROまで!下記コンタクトフォームよりお気軽にお問い合わせください。
Music
2023/07/20

360VME / 立体音響スタジオの音場をヘッドホンで持ち歩く

ソニーが提供するイマーシブの世界がさらに広がろうとしている。360 Reality Audioでの作品リリースはもちろんのことだが、今度は制作側において大きなインパクトがあるサービスとなる「360 Virtual Mixing Environment(360VME)」が発表された。これは、立体音響スタジオの音場を、独自の測定技術によりヘッドホンで正確に再現する技術。つまり、立体音響制作に最適な環境をヘッドホンと360VMEソフトウェアでどこへでも持ち運ぶことが可能となるわけだ。ここではその詳細を見ていこう。 2023.7.13 追記 ・7/13(水)より一般受付開始、8月よりMIL Studioでの測定サービスを開始いたします。 詳細は下記URLよりご確認ください。 https://www.minet.jp/contents/info/360-vme-measurement/ 📷右に並ぶのが世界で3拠点となる360VMEサービスを提供するスタジオ。上よりアメリカ本土以外では唯一となるMedia Integrationの運営する東京のMIL Studio、本誌でもレポートを掲載しているLAのGOLD-DIGGERS、そしてニューヨークのThe Hit Factory。すべてのスタジオが360 Reality AudioとDolby Atmosの両方に対応したスタジオである。これらのスタジオはソニーが360VMEサービスの測定にふさわしい音響を備えたスタジオとして認定した世界でも有数のファシリティーである。こちらで個人ごとに測定を行って得られたプロファイルをもとに、その音場をヘッドホンで再現させるのが360 Vitual Mixing Environmentだ。 ●360 Virtual Mixing Environment ソニーHP ●ソニー / MDR-MV1 / 価格 ¥59,400(税込) 「これはヘッドホンじゃない、スタジオだ。」イマーシブ世代に向けたソニーのStudio Refarence Headphone、MDR-MV1。このキャッチコピーに込められた「スタジオだ」という言葉には360VMEサービスも含まれているのだろうと考えさせられる。スタジオの音響空間を360VMEにより、ヘッドホンに閉じ込めて持ち帰る、そのために高い空間再現能力を与えられたヘッドホンである。360VME無しでも充分に素晴らしい特性を持った製品だが、360VMEと組み合わせることでさらなる真価を発揮するモデルと言えるだろう。 ●MDR-MV1 ソニーHP 世界初のプライベートHRTF測定サービス ついに待望のサービス開始がアナウンスされたSONY 360 VMEサービス。VMEとは「Virtual Mixing Environment」(仮想ミキシング環境)のこと。世界初となるプライベートHRTFを含むプロファイルデータを商用的に測定するサービスだ。SONY R&Dで開発され、ハリウッドのSONY Picturesで試験運用が行われていたテクノロジーで、映画の仕上げを行うダビングステージという特殊なミキシング環境を、ヘッドホンで仮想的に再現してプリミックスの助けとしようということで運用が行われていた。 広い空間でのミキシングを行うダビングステージ。そのファシリティーの運用には当たり前のことだが限界がある。ファシリティーの運用の限界を超えるための仮想化技術として、この空間音響の再現技術が活用され始めたのは2019年のこと。テスト運用を開始してすぐにコロナ禍となったが、SONY Picturesにとってはこの技術が大きな助けとなった。まさに求められる技術が、求められるタイミングで現れたわけだ。 サービス利用の流れ 国内での利用を想定して、東京・MIL Studioでの測定を例にサービス利用の流れを紹介するが、執筆時点(2023年5月下旬)では暫定となる部分もあるため実際のサービス開始時に変更の可能性があることはご容赦いただきたい。まず、利用を希望される方はWebほかで用意されたページより360VMEサービスを申し込む。この段階では測定を行うヘッドホンの個数、必要なスピーカープロファイル数をヒアリングし、いくつのプロファイルを測定する必要があるのか確認、測定費用の見積と測定日の日程調整を行う。実際のMIL Studioでの測定ではヘッドホンの測定も行いその個体差までもを含めたプロファイルを作成するため、使用されるヘッドホンの持ち込みは必須となる。 MIL Studioではそれぞれのプロファイルに合わせて測定を行った後に、そのプロファイルが正しく想定されているかを実際の音源などを使って確認、納得いくプロファイルが測定できているかを確認していただき、360VMEアプリとともにプロファイルデータをお渡しすることとなる。これらを自身の環境へインストールし、利用開始というのが大まかな流れだ。 360VMEのバックボーンとなる技術 ソニーは以前よりバーチャルサラウンドの技術に対して積極的に取り組んできた。民生の製品ではあるが、バーチャル・サラウンド・ヘッドホンなどを実際に発売している、これは5.1chサラウンドをヘッドホンで再生するという技術を盛り込んだ製品であった。このようなサラウンド仮想化の技術は、長きにわたりソニー社内で研究されてきた技術があり、その系譜として今回の360VMEサービスも存在している。そして、今回の360VMEサービスはこれまでにリリースしてきたコンシューマ向けレベルの技術ではなく、プロの現場での使用を想定したハイエンド製品としてリリースされた。このようなバーチャルサラウンド技術の精度向上には、実測に基づくプライベートHRTFの測定が必須となる。実際の使用者のHRTFを含んだデータを測定することで精度は驚くほど向上する。一般化されたHRTFとのその差異は圧倒的である。 ●HRTF(Head-Related Transfer Function:頭部伝達関数)とは!? 人が音の方向を認知することが可能なのは、周波数特性の変化、左右の耳への到達時間差などを脳が判断しているからである。耳の形状や体からの反射、表皮に沿った回析など様々な要因により変化する周波数特性、左右の耳へ到達する時間差、反射によるディレイなどを表すインパルス応答特性、このようなパラメータを数値化したものがHRTF(Head-Related Transfer Function:頭部伝達関数)となる。これは個人ごとによって異なるパラメーターで、個人のHRTFを測定したものをプライベートHRTF、それを適用したバイノーラル処理を個人最適化と呼んでいる。 360VMEの技術はプライベートHRTFを測定した部屋を環境ごと測定する。それをヘッドホンのバイノーラル再生として、測定した部屋の音響環境、スピーカーの特性などをそのまま仮想環境として再現する。スピーカーの特性など、測定した部屋の音響環境ごとプロファイル化するため、厳密な意味でのプライベートHRTFではないが、その要素を含んだバイノーラル再現技術ではあると言えるだろう。 正式な意味でのプライベートHRTFは個人の頭部伝達係数であるために、予め特性を確認したスピーカーとマイクによって無響室での測定を行うこととなる。余計な響きのない空間で、単一の方角からの音源から発された音波がどのように変化して鼓膜に届くのかを測定するということになる。360VMEでは測定を行う部屋のスピーカーの個性、部屋の反射などを含めた音響特性、これらが測定したプロファイルに加わることとなる。これまでにも各社より有名スタジオのコントロールルームの音響環境を再現するようなプラグインが登場しているが、これらはプライベートHRTFにあたるデータを持たないため、どうしてもその効果の個人差は大きくなってしまう。360VMEでは、一人ひとり個人のデータを測定するためにプライベートHRTFにあたるデータを持つプロファイルデータの作成が可能となっている。 プライベートHRTFを測定しDAWと連携 それでは、実際の360VMEの測定サービスは、何が行われて何がユーザーへ提供されるのだろうか?まずは測定からご紹介していこう。測定にあたっては、まずは測定者の耳へマイクを装着することとなる。できるだけ鼓膜に近い位置で測定を行うために通称「バネマイク」と呼ばれる特殊な形状のマイクを耳孔に装着する。 マイクを装着し視聴位置に座り、始めにピンクノイズでの音圧の確認が行われる。スピーカーの信号がマイクにどれくらいのボリュームで入力されているのかを確認するということになる。次は測定を行うスピーカーからスイープ音を出力し周波数特性と位相を測定する。更に続けて、リファレンスとするヘッドホンをつけて、ヘッドホンで再生したピンクノイズとスイープを測定する。これにより、ヘッドホンの特性も含めた特性の合わせ込みを行い精度の高い空間再現を行うわけである。 📷こちらに写っているのが、360VME測定用に設計された通称「バネマイク」。このバネのような部分を耳に入れることにより、耳道を塞がずに耳の奥、鼓膜に近い位置での測定を実現している。測定においては、鼓膜にできるだけ近い位置でのデータを取るということが重要なポイント。鼓膜にどのような音が届いているのか?耳の形、耳たぶの形、頭の形など、個人差のある様々な要因により音が変化する様をこのマイクで測定することとなる。360VMEの測定ではスピーカーから出力された音源での測定だけではなく、このマイクを付けたままでヘッドホンの測定も行い精度をさらに高めている。ヘッドホンには個体差があるため、測定に使うヘッドホンは実際に普段から使っているものをお持ちいただくことになる。 測定の作業はここまでとなり、スピーカーからの再生音とヘッドフォンからの再生音、それぞれのデータからプロファイルデータを生成する。ここで生成されたプロファイルデータは、測定サービスを行ったユーザーに提供される360VMEアプリケーションに読み込ませることで、そのデータが利用可能となる。DAWなどの制作ツールと360VMEの接続は、PC内部に用意される仮想オーディオバス360 VME Audio Driverにより接続される。具体的には、DAWのオーディオ出力を360 VME Audio Driverに設定し、360VMEアプリケーションのインプットも360 VME Audio Driverに設定、アウトプットは実際に出力を行いたいオーディオインターフェースを選択するということになる。 このような仕組みにより、DAWから出力されるイマーシブフォーマットのマルチチャンネル出力が、360VMEアプリケーションから測定結果により生成されたプロファイルデータを適用したバイノーラルとして出力される。プライベートHRTFと測定を行ったスタジオのスピーカーや空間、音響特性を含んだ精度の高いバイノーラル環境での作業が可能となるということだ。 このような仕組みのため、測定時のスピーカーセット=制作DAWのアウトプットとする必要がある。そのため、Dolby Atmosの制作向けのスピーカーセットと360 Reality Audio向けのスピーカーセットはそれぞれ別のプロファイルとして測定が必要だ。また、複数のヘッドホンを使い分けたいのであれば、それも別プロファイルとして測定を行う必要がある。ちなみに360VMEの発表と同時にリリースの発表が行われたSONY MDR-MV1ヘッドホンは、360VMEのアプリケーション開発にあたりリファレンスとして使われており、その特性は360VMEアプリケーションのチューニングにも使われているということだ。360VMEサービスの測定を行う際にどのヘッドフォンで測定をしようか迷うようなことがあるのであれば、MDR-MV1を選択するのが一番間違いのない結果が得られることだろう。ただ、他のヘッドホンでも十分な効果を得ることができるので、普段から慣れたヘッドホンがあるのであればそれを使うことは全く問題ない。 ●360 Virtual Mixing Environmentアプリ ※上記画像はベータ版 測定をしたプロファイルデータを読み込ませて実際の処理を行うのがこちらの360 Virtual Mixing Environmentアプリ。画像はベータ版となるため、実際のリリースタイミングでは少し見た目が変わるかもしれないが、プロファイルを読み込ませるだけではなく、各チャンネルのMute / Solo、メーターでの監視などが行えるようになっている。シグナルフロー図からもわかるように、360VME Audio Driverと呼ばれる仮想の内部オーディオバスがこのアプリケーションとともにインストールされ、DAWなどからのマルチスピーカーアウトを360VMEアプリへ接続することとなる。あくまでも仮想的にスピーカー出力をバイノーラル化する技術となるため、スピーカーアウト、レンダリングアウトを360VMEアプリへつなぐということがポイントとなる。具体的には360 WalkMix Creator™️のアウトプット、Dolby Atmos Rendererのアウトプットを接続することとなる。もちろん5.1chやステレオをつなぐことも可能だ。その場合には、その本数分のスピーカーが360VMEの技術によりヘッドホンで再現されることとなる。 📷東京・MIL Studioで測定可能となる代表的なフォーマット。これら以外についても対応可能かどうかは申し込み時にご確認いただきたい。(※Auro 3Dフォーマットの測定には2023年7月現在対応しておりません)また、当初のリリースでは16chが最大のチャンネル数として設定されている。技術的にはさらに多くのチャンネル数を処理することも可能とのことだが、DAW併用時の処理負荷とのバランスが取られている。確かに16chあれば360 WalkMix Creator™️の推奨環境である13chも対応でき、Dolby Atmosであれば9.1.6chまで賄えることになる。43.2chというMIL Studioでの測定となると、さらにチャンネル数を求めてしまいたくなるところだが、一般的なスタジオ環境との互換を考えれば必要十分な内容だと言えるだろう。 日米3拠点で測定サービスを提供 この360VMEサービスにおけるスタジオでの測定は、サービス開始当初は世界で3ヶ所のスタジオでの測定となる。日本では弊社の運営する43.2chのディスクリート再生を実現した完全4π環境を持つMIL Studio。他の2ヶ所のスタジオはアメリカにあり、ロサンゼルスのGOLD-DIGGERSとニューヨークのThe Hit Factoryとなり、新進気鋭のスタジオと老舗スタジオがそれぞれ選ばれた格好だ。音響環境や360VMEという通常のスタジオ運営とは異なるサービスへの賛同を行った3拠点で、この360VMEサービスはまず開始となる。本記事の執筆段階でサービス開始は2023年6月末〜7月上旬、価格はそのプロファイル測定数にもよるが、おおよそ7万円程度からでのスタートを予定しているということだ、本誌が発行されるころにはこれらの情報も正式なものが発表されていることだろう。(※) ※2023.7.13 追記 ・7/13(水)より一般受付開始、8月中旬よりMIL Studioでの測定開始 ・1プロファイル測定:68,000円(税別)+追加の測定 1プロファイルにつき 20,000円(税別) 〜 ・測定可能フォーマット、価格につきましてはこちらのページからご確認ください。https://www.minet.jp/contents/info/360-vme-measurement/ 360VMEサービスがスタートすることで、イマーシブ制作の環境に劇的な変化が訪れるのではないだろうか?ヘッドホンミックスの精度が上がることで、制作環境における制約が減り、作品を作るためのスタートラインがぐっと下がることを期待したい。もちろんスピーカーがある環境をすぐに揃えられるということであればそれが最高のスタートラインではあるが、スピーカーを揃えることに比べたら圧倒的に安価、かつ手軽にMIL Studioの音場、イマーシブのスピーカー環境をヘッドホンに入れて持ち帰ることができる。この画期的なサービスによる制作環境の変化に期待したいところである。   *ProceedMagazine2023号より転載
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2023/07/13

Rock oN 渋谷店・梅田店 夏の大相談会実施中 〜お見積りから最大2万円OFF!来て見て試して即解決〜

現在、Rock oN Company渋谷店・梅田店では夏の大相談会を開催中です。「こんなシステムを導入したいけど、この組み合わせで本当に動くの?」といった相談や、お一人おひとりのご予算に応じて、最適な製品の組み合わせをご提案させていただきます。百戦錬磨の個性豊かなRockoN プランナーへぜひご相談ください! Rock oN 渋谷店・梅田店 夏の大相談会 〜お見積りから最大2万円OFF!来て見て試して即解決〜 この夏、目的に合わせた機材導入を専門知識と豊富な経験を持ったRock oN渋谷店・梅田店のプランナーに相談してみませんか?パーソナルなプロダクトから、昨今急増する配信やイマーシヴサウンドに対応したスタジオプランニングまで迅速に対応します。Rock oNではPC周りのマシン選定からハードウェア、ソフトウェアまで、全てまとめてプランニングいたします! ◎ご成約金額に応じてクーポンを進呈! ご成約で最大¥20,000をリアルタイムお値引き! 今すぐプランニング専用フォームからご依頼ください。 期限:2023年7月31日(月)まで! 詳細はこちらから:https://www.miroc.co.jp/rock-on/rockon-planner-2023summer/ プランニングを申し込む 個性豊かなRockoN プランナーがお待ちしております! [caption id="attachment_57869" align="alignnone" ]マエストロ佐々木[/caption] [caption id="attachment_57875" align="alignnone" ]PD安田[/caption] [caption id="attachment_57874" align="alignnone" ] COOPER天野[/caption] [caption id="attachment_57873" align="alignnone" ]BOUNCE清水[/caption] [caption id="attachment_57872" align="alignnone" ] ファジー日下部[/caption] [caption id="attachment_57871" align="alignnone" ]イタリー多田[/caption] [caption id="attachment_57870" align="alignnone" ]タムタム田村[/caption] プランニングを申し込む
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2023/07/13

SOUND PARTICLES「サマー・ブラック・フライデー」プロモ開催!

コンピュータ・グラフィックスのパワーとテクノロジーを音響の世界に持ち込み、多くの製品が7.1.2chやambisonicsなどのイマーシブ環境に対応しているSOUND PARTICLE社が7月14日より「サマー・ブラック・フライデー」セールを開催! 本年4月発売の最新プロダクトである3Dシンセサイザー・プラグイン SkyDust 3DとSkyDust Stereoを含む全品が50% OFF。これまでのプラグインでは実現が困難だった複雑な処理や予想を超える自由自在な定位など、SOUND PARTICLES製品のもたらす革新的なサウンドを手に入れる絶好のチャンスです! SOUND PARTICLES社 サマー・ブラック・フライデー 概要:SOUND PARTICLES全製品が50% OFF 期間:2023年7月14日(金)〜7月24日(月) 詳細なラインナップと価格は下記WEBページで! Rock oN Line eStore>> SOUND PARTICLES国内代理店フォーミュラ・オーディオWEBサイト>> https://pro.miroc.co.jp/headline/skydust-3d-sound-particles/ https://pro.miroc.co.jp/headline/sound-particles-density/ https://pro.miroc.co.jp/headline/sound-particles-apple-silicon-support/
NEWS
2023/07/13

SCFEDイベのスタジオ探報記 第1回 音響ハウス / RockoN Webサイトにて公開中!

憧れのスタジオを訪問してスタジオの魅力、ハイエンド機材やビンテージ機材の魅力、そして“スタジオで生まれる特別なマジック”の正体について解き明かすインタビューシリーズ「SCFEDイベのスタジオ探報記」がスタート、記念すべき第1回では、50年にわたり数多のアーティストから愛され続け、近年ではCITY-POPの総本山としても新たに注目を集めているレコーディングスタジオ「音響ハウス」をスタジオ探報です! >>>>『SCFEDイベのスタジオ探訪記 第1回:音響ハウス』 記事本編はコチラ
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2023/07/13

【在庫あり〼】初代MTRX最終在庫僅少です!

柔軟な拡張オプションで多彩なフォーマットの信号を扱うPro ToolsシステムのI/Oとして、Pro Tools | S6 / S4を中心としたコンソール・システムのモニターセクションとして、また、巨大なルーティング・マトリクスを活用したオーディオ信号のハブとして、まさにスタジオ機能にとってのコア・デバイスであったPro Tools | MTRX。 後継機Pro Tools | MTRX IIの発表とともに生産完了となったこの初代MTRXの最終在庫を、特価で提供いたします! 今すぐI/Fが必要、MTRX IIではtoo much、という方はこの機会をお見逃しなく!! Avid Pro Tools | MTRX Base unit with MADI and Pro|Mon ★最終在庫! 最終在庫特価:¥661,320 (本体価格:¥601,200) Rock oN eStoreで購入>> ↓初代MTRXとMTRX IIの違いはこちらの記事をご覧ください! https://pro.miroc.co.jp/headline/avid-pro-tools-mtrx-ii-thunderbolt3-module/ ↓MTRX IIの店頭展示も開始しております。 https://pro.miroc.co.jp/headline/mtrx-ii-exhibit/
NEWS
2023/07/13

360 Virtual Mixing Environment 一般申込開始のお知らせ

本日より、360 Virtual Mixing Environment(360VME)の利用に必要なプロファイル測定の申し込み受付が開始されました。 2024.5.10追記>> 360VME出張測定が開始&サービス料金が改定となります! 詳しくはコチラをご確認ください 360 Virtual Mixing Environment(360VME) 測定サービス 360 Virtual Mixing Environment(Sony 360VME)を利用するには、測定スタジオにてあなた自身のプロファイルを専用マイクを使って作成する必要があります。サービスご購入者様に測定スタジオMILにて360VMEに使用できるプロファイルを測定させていただきます。 ◎お申し込み開始日:2023年7月13日(水) ◎プロファイル測定可能スケジュール:2023年8月以降の月曜午後 ※申し込みフォーム提出後、測定希望日時調整のご連絡をさせていただきます。 測定お申し込みフロー、申し込みフォームはメディア・インテグレーションのサイトをご覧ください↓ 360VME お申し込み詳細へ 立体音響スタジオの音場をヘッドホンで高精度に再現する「SONY 360 Vitual Mixing Environment」とは 360 Virtual Mixing Environment(360VME)は、複数のスピーカーで構成された立体音響スタジオの音場を、独自の測定技術によりヘッドホンで正確に再現する技術です。たった一度スタジオで測定すると、立体音響制作に最適な環境をヘッドホンと360VMEソフトウェアでどこへでも持ち運ぶことが可能になります。あなたの立体音響のワークフローやクオリティが全く別次元のものになります。 サービス詳細ページはこちら↓ https://www.minet.jp/brand/sony-360-vme/sony-360-vitual-mixing-environment/ >>驚きのSONY 360 VME体験レポート! https://pro.miroc.co.jp/headline/sony_360-vme_report/ >>SONY 360VMEを体験!驚きで笑いが止まらない、超現実的な音場をレポート! https://www.miroc.co.jp/rock-on/sony-360vme/ MIL Studioについて MIL=Media Integration Lab。最大62.2chのスピーカーにて4π再生環境を擁し、あらゆる立体音響フォーマットに理想的な再生環境を提供するスタジオです。「進化し続けるラボ」として今後誕生するであろう様々なフォーマットでの再生を視野に下方向のスピーカーまで備えた完全4π音響空間とフレキシブルに対応可能な音響システムを構築。今、そして未来に続く立体音響の再生が可能です。 詳細はこちら↓ https://www.minet.jp/contents/info/mil-studio/ >>完全4π音響空間で描く新たな世界の始まり。〜フォーマットを越えていく、MIL STUDIO〜 https://pro.miroc.co.jp/works/milstudio-system-proceed2022/#.ZC0EnOzP1jM >>【MIL STUDIO技術解説】MIL誕生に寄せて〜鑑賞から体験へ 選択から多様の未来へ〜 https://pro.miroc.co.jp/works/mil-studio-tech-proceed2022/#.ZC0E3uzP1jN 360VME お申し込み詳細へ いよいよ測定サービスがスタートする360VME。お申し込みの流れや測定が可能なフォーマットについては、上記「360VME お申し込み詳細へ」よりご確認ください。法人のお客様でお見積りが必要な方は、下記コンタクトフォームよりお気軽にお問合せくださいませ。