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赤尾 真由美

[ROCK ON PRO Product Specialist]JAPRS Pro Tools資格認定委員としても活躍するPro Toolsのスペシャリストでもある。クラシック系音楽大学出身というバックグラウンドを持ち、確かな聴感とDAW / デジタル・ドメインの豊富な知識を活かし、ミュージックマーケットからブロードキャストまで幅広い層へ提案を行っている。

【レビュー】AVID MTRX Studio 〜 スタジオの中枢を担う1UスーパーI/O〜

発表されてから約5ヶ月。待望のAvid MTRX Studioが出荷開始となりました。1Uという小さな筐体でありながら、Danteをはじめとする多彩なインターフェイスを搭載しつつ、ルーター機能、EuCon対応、さらにモニターコントロール機能を搭載など、実にパワフルな機能を持ち合わせており、まさにオールインワンのスーパーI/O!
皆様だけでなく、我々も待ちに待った待望の新製品ということで、早速、機能を徹底解説していきたいと思います。

まずは外観をチェック! 〜多彩な機能が1Uサイズに集約〜
サイズは1U。奥行きは21cm弱と、思ったよりも小ぶりなサイズ。そして重量が驚きの約2.5kg。箱に入った状態を持った時、「まさかの詰め忘れ?」と思うくらいの軽さでした。

フロントにはPREとINPUTのボタンでMic LevelとInputの切り替えボタン。そして、その横にはInst In2系統が用意されています。ADはLine Level 16chに加えて、フロントのInstもしくはリアのMicで切り替え可能な2chが用意されました。なお、こちらの2chに関してはGainレベルのリンクも可能です。

中央には16ch分のレベルメーターが搭載されており、IN/OUTの切り替えはもちろんのこと、Mic/Inst・アナログ(Line)・ADAT・Danteの各入力フォーマットごとの表示切替も可能です。(Danteは16ch x 4ページの切替)また、モニター出力は独立して用意されているので、表示切替の必要はありません。

本体右側にはモニターやCueで使用可能な領域が用意されており、モニターレベル調整やMuteはもちろん、ソースセレクトやスピーカーセレクト、TBレベル調整と言った項目まで自由にアサインができます。

専用コントロールアプリ DADMan 〜5.4.1以降のバージョンに対応〜

MTRX Studioを認識できるDADmanは5.4.1以降のバージョン。対応Mac OSはYosemite(10.10)、 El Capitain(10.11)、Sierra(10.12)、High Sierra(10.13)、Mojave(10.14)、Catarina(10.15)。このバージョンはMTRX Studioを使用するシステムはもちろんのこと、初めてCatarinaに対応したバージョンとしても注目です。

ADセクション ~フロント2入力はリンク可能~
MTRX Studioでは、18ch分の表示となります。リアのMic Inには17,18とナンバリングされていますが、DADman上ではMic/Instの2chが先に表示。そして、MTRXにはなかった機能のGainレベルリンクはこの画面上で行います。「L」のボタンをクリックすると、2本のモノラルフェーダーが1本のステレオフェーダーへ変化します。この時、レベルに関してはリンク状態にした瞬間にCh1のレベルに揃います。(ちなみに、S6やS4上ではGainリンクにしても、Faderは2本のまま。1本でステレオフェーダーに変更はされないものの、1/2chのフェーダーはリンクして動きます。)なお、TB回線もこちらの2chを含むAD全18chのうちから設定することも可能。
ちなみにLine 16chに関しては、MTRXよりもヘッドルームが若干狭いようです。おそらくMTRXとMTRX Studioでは使用しているパーツが異なるんでしょうね。

DADman ADセクション Gainリンク時には1つのステレオチャンネルとして使用できる。 ※クリックで拡大
DADman ADセクション Gain非リンク時にはそれぞれが独立したチャンネルとして使用できる。 ※クリックで拡大

DAセクション ~6dbの固定Gainアップが可能~
DAセクションでは、Monitor 2ch、Line 16chに加え、Headphone2系統も表示されます。
MTRX StudioではLine 16chにおいて、6dB Gainの機能が用意されており、レベルを稼ぐことができます。

DADman DAセクション ※クリックで拡大


Monitor Controlセクション ~スピーカー・プロセッシング機能を標準搭載~
MTRXでモニターコントロールをしている方にはおなじみの機能ですね。もちろんMTRX Studioでもモニターコントロール可能ですが、なんとSPQの機能が標準搭載となります。
MTRXのSPQカードと比較して、処理できるチャンネル数(16ch)とEQポイント(256Point)だけが異なる点ですが、MTRX StudioのAnalog Outは16chなので、筐体に見合ったパワーを搭載していると言えるでしょう。(ちなみにMTRX SPQでは、SPQ Ch:128ch、SPQ EQ:1024となっています。)

DADman Monitorセクション ※クリックで拡大



MTRX Studio本体に搭載されているヘッドホン2系統もこちらのMonitor Profileから設定を行います。別系統にすることで、Master Monitorとは異なるソースをアサインしたり、TBをアサインすることもできるので、使い勝手が良さそうです。
ヘッドホンに出力しているモニターをEuCon A~Eにアサインすることで、S6 MTMのモニターページからもソース切り替え等コントロール可能になる他、MTRX Studio本体のモニターセクションでもコントロール可能になります。両者は相互コントロールが可能なので、MTRX Studio本体をボーカルやナレーターの手元に置く選択肢もでてきますね。(ちなみにファンはそんなにうるさくなかったです。)

MTRX Studioの各ボタンへのアサインはMonitor Profileの「MTRX Studio」とズバリ表示されたタブから行います。設定可能な項目は、1レイヤーにつき、エンコーダー横のA,B,Cの3つのボタンとエンコーダー、エンコーダープレス、リアのExternalの6項目。上記のレイヤー構成がMain Monitor 4ページ、Cue 4ページのレイヤーごとに設定可能です。Cueに関しては、EuCon A~EがCue 1~4に対応しているので、アサインできるボタン数が少ないと思われるかもしれませんが、よく使うものを精査してボタンへアサインすることで、シンプルな使い勝手になるでしょう。

Main MonitorとHeadphone(Cue)の切り替えはロータリーエンコーダー右横のボタンで切り替える他、一番上のセレクトボタンでレイヤー切り替えができる仕組みです。

Connectionセクション 〜512×512のマトリクスでルーティングが一目瞭然〜
512×512のクロスポイントを持つマトリクス機能が内蔵されています。MTRX同様、MTRX Studioでもマトリクス機能を使うことで、Pro Toolsのインターフェイスだけでなく、スタジオシステムの核となる要素を併せ持っています。特に、Danteが標準装備なのは非常に大きなポイントで、Mac 版のDolby RMUと接続する、と言った用途や、ライブ収録システムのI/OとしてSRシステムのDante接続するのもいいでしょう。

Configurationセクション 〜Loop Syncが使えるように〜

設定はほぼMTRXと一緒なので、MTRX Studioならではの点をご紹介します。
Sync Souseの選択肢にあるLoop Sync。そう、HD I/OやSync HDに搭載されている、あのLoop Sync がMTRX Studioには搭載されているのです。今までMTRXとSYNC HDといった組み合わせの際はLoop Syncが使えず、それぞれにWord ClockやVideo Refを分配しておりましたが、その悩みが解消されています。すばらしいです。

そして、DigiLinkのページ。MTRXでは、古いPro Toolsでも対応できるように、HD MADIのイミュレートモードが用意されていましたが、MTRX Studioでは用意されていません。

Pro Toolsとの接続
今回、Digi Linkポートの設定をPri/Priにし、HDXへ64ch接続してみました。I/O設定からはしっかりと「MTRX Studio」と表示されていました。
※Pro Tools 2020.3で起動させております。

※対応Pro Toolsバージョン
Pro Tools | Ultimate 2019.12 以降、及び DADman 5.4.1 以降を稼働する Pro Tools | HDX 、または HD Native システム
https://www.avid.com/products/pro-tools-mtrx-studio/learn-and-support#Resources


と、ざっくりした部分も多々ありましたが、いかがでしたでしょうか?MTRX Studioの魅力は伝わりましたでしょうか。小さいながらもパワフルな機能がぎっしり詰まったMTRX Studioが気になる方、ご質問のある方は下記”contact”バナーより、お気軽にお問い合わせください!

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*記事中に掲載されている情報は2020年06月10日時点のものです。