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Author
澤口 耕太
広範な知識で国内セールスから海外折衝、Web構築まで業務の垣根を軽々と超えるフットワークを発揮。ドラマーらしからぬ類まれなタイム感で毎朝のROCK ON PROを翻弄することもしばしば。実はもう40代。
現役サウンドデザイナーによる実践レビュー!vol.3 ~Le Sound AudioTextureでクリエイティブなループを制作
既存のライブラリから音源を選び、尺を合わせて加工して、足りない音は収録…という従来のワークフローとはまったくことなるアプローチでサウンドデザインの世界を拡げるLe Soundプラグインは、効果音をシンセサイズするという、プロシージャルオーディオのコンセプトにもとづいたアプローチで自由自在なサウンドメイクを可能にします。
このLe Sound製品を、TV番組、CM、アニメーション、イベントなど幅広い分野で大活躍中のサウンドデザイナーである安江史男 氏(Tacit Knowledge Sound LLC)、荒川きよし氏(株式会社 Async)のおふた方に実際に使用していただき、実践的な使い方を教えてもおう!というこの企画。
全6回予定の第3弾はTacit Knowledge Sound LLC 安江氏によるAudioTextureの実践レビュー。
手持ちの素材から違和感なくループを作成したり、まるでシンセのような新しいサウンドを生み出したり…クリエイティブと遊び心が満載の実践レビュー第3弾をお楽しみください!
安江 史男 氏 プロフィール
愛知県春日井市生。カリフォルニア州立ノースリッジ大学で音楽ビジネスを学ぶ。外国人コーディネーターを経て、音響効果の世界へ。
TVCM、Web、イベント等、多種多様な効果音が必要な作品に従事。選曲も扱う。DJとしての活動も顕著。
公式サイト:https://www.yasuefumio.com
レーベル: www.bigpierecords.com
vol.1 ~Le Sound AudioElecで電撃サウンドを自在にデザイン
vol.2 ~Le Sound AudioWindでロケ映像を美しく仕上げる
第3回はAudio Textureについてご紹介します。
こちらは音を精製するものというよりは、基本的には、音源を元に、鳴らす箇所をランダマイズさせることで、無限ループを作ることができるプラグインです。
ピッチ可変も可能で、こちらもランダマイズできるので、揺らぎを作りながら無限に鳴らし続けることができます。
プラグイン画面です。右上のLoadから音源ファイルを指定してAudio Texture内に取り込みます。
取り込むと自動的にマーカーを生成してくれます。このマーカーはランダマイズさせる際の音源のトリガーポイントになります。左下のUnit Sizeのノブは再生される音源の長さを調整できます。マーカーから次のマーカーまでが再生される音源の長さになるので、Unit Sizeを動かすとマーカーの数が変わります。このマーカーは任意で動かしたり、ダブルクリックで追加することが可能です。
次にループして欲しい音源のエリアの中心を、波形画面下の横に長いバーのポインターを動かして指定し、真ん中の方にあるX Rangeのノブで幅の調整をします。
また、Rateで音源のピッチの上げ下げができます。さらにR Rangeでピッチのランダマイズができるようになり、値を上げていくとランダマイズされるピッチの幅が高低音域に広がって行きます。
まずは無限ループの映像です。
こちらでは水の音をループ感を軽減するために3つ重ねています。
冒頭で大元の音源をPreviewボタンを用いて流しています。Startボタンを押したところから、パラメータに沿ったランダマイズが始まります。
左と真ん中は同じ音源を読み込んでいますが、ピッチとX Rangeの使い方、またマーカーの位置を変えることで同じ音が鳴らないようにしています。これに右の音をベース音として載せることでさらに同じ音と感じさせないようにしてみたつもりです。大元の音源は短い音源ではありますが、長い音源に変化できることがなんとなくわかっていただけるかと思います。
次はシンセ系の音で、ちょっと違ったこともやってみました。
こちらは前回のAudio ElecからTelemetryの音だけを書き出したものを音源としています。X Rangeは最大、そしてUnit Sizeをかなり小さくし、マーカー位置を極端に増やすことでランダマイズされる箇所を増やし、複雑な音にしてみています。
また、後半ではX RangeとR Rangeを最小、Unit Sizeも小さめにし、Rateを上げ下げすることで、駆け上がり下がり音も作ってみています。
シンセでない音でも同じようなことをしてみました。
シェルシェイカーの音を元にしています。収録音関係をシンセサイズすることで手動では鳴らせない音に可変できるのが良いところかと思います。
第3回はAudioTextureをご紹介しました。
音源によって試せることが多様に変わるので、是非色々試行錯誤してみてください!
AudioTextureの魅力は、手持ちの音源の長さを映像の尺に合わせて自在にコントロールできること。さらに、安江氏にご紹介いただいたようにシンセサイザーならではの加工もできる点がさらに便利なところです。
ノイズが入った部分をカットしているうちに尺が足りなくなってしまった音源を伸ばす、短い時間でも音源にダイナミクスを持たせるためにランダマイズする、自然音や生音を素材に新しいサウンドを創造する…使い方もまさに無限大のAudioTextureの魅力にぜひ触れてみてください!
今回登場したプラグイン以外のLe Sound全ランナップも、ぜひこちらからチェック!きっとイメージに合うサウンドがあるはずです。
今回登場したプロダクトはこちら
AudioTexture
販売価格:¥19,800(本体価格¥18,000)
AudioTextureはとても大きな創造の可能性を秘めています。AudioTextureのサウンドを重ねて、たったひとつのシンプルな素材から重層的なサウンドを生成したり、素材を複数使用してサウンド・シーンを制作してください。
現役サウンドデザイナーによる実践レビュー!vol.1 ~Le Sound AudioElecで電撃サウンドを自在にデザイン
*記事中に掲載されている情報は2021年07月29日時点のものです。