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Author
澤口 耕太
広範な知識で国内セールスから海外折衝、Web構築まで業務の垣根を軽々と超えるフットワークを発揮。ドラマーらしからぬ類まれなタイム感で毎朝のROCK ON PROを翻弄することもしばしば。実はもう40代。
現役サウンドデザイナーによる実践レビュー!vol.4 ~Le Sound AudioTextureで短い素材も手軽に活用
既存のライブラリから音源を選び、尺を合わせて加工して、足りない音は収録…という従来のワークフローとはまったくことなるアプローチでサウンドデザインの世界を拡げるLe Soundプラグインは、効果音をシンセサイズするという、プロシージャルオーディオのコンセプトにもとづいたアプローチで自由自在なサウンドメイクを可能にします。
このLe Sound製品を、TV番組、CM、アニメーション、イベントなど幅広い分野で大活躍中のサウンドデザイナーである安江史男 氏(Tacit Knowledge Sound LLC)、荒川きよし氏(株式会社 Async)のおふた方に実際に使用していただき、実践的な使い方を教えてもおう!というこの企画。
全6回予定の第4弾は株式会社 Async 荒川 きよし 氏によるAudioTextureの実践レビュー。今回のテーマは素材から手軽にループを作成できるAudioTexture。前回同様、実際の番組制作にご活用いただいたということで、スペシャルムービーを使用した比較動画をご用意いただきました!
第1弾 安江氏によるAudioElec編はこちら>>
第2弾 荒川氏によるAudioWind編はこちら>>
第3弾 安江氏によるAudioTexture編はこちら>>
荒川 きよし 氏 プロフィール
1996年、NHK入局。
1998年より音響効果業務を担当。ドキュメンタリー、子供番組、コントやドラマなどジャンルレスに対応。
2018年に独立し株式会社Asyncを設立。現在はアニメーション、バラエティ、ドラマ、CM、web、映画などで、選曲と効果音をトータルでデザインしている。
今回はLE SOUNDの「AudioTexture」を使用したレビューをしていきます。
効果音を準備していると、「この素材使いたいけどちょっと短いんだよなぁ…」ということはよくありますよね。でもその音が古い音だったりするとその素材しか存在しなかったりするわけです。
その場合はその音をDAW上でエディットして尺を稼いだりするわけですが、短めの素材だと一定のリズムのループ感が出てしまうので、それをなくすためにループするポイントをランダムにずらして貼り付けて…ということが必要になってきます。
AudioTextureを使用すると、その作業を自動的に行ってくれるのですが、それだけではなく、さらにピッチコントロールのパラメータもあるのがミソです。
「短い素材をループ感なく伸ばしながら、映像を見ながらピッチのオートメーションをいじる」というオペレーションがごく短時間でできてしまいます。
実際やってみます。
こちら、バイクのアイドリングの4秒ほどの短い素材です。
普段はこのぐらい短い素材しかないとなると映像と合わせて使うのはちょっと厳しいかなと思ってしまいますね。なので今回はあえて短い素材にしてみました。
このファイルをAudioTextureに読み込ませます。
右上のLOADをクリックで自分のwavファイルをインポートすることができます。ウインドウにファイルをドラッグでも大丈夫です。ファイルパスの途中に日本語などの2byte文字のフォルダがあるとどうも読み込めない場合があるので、英数文字のフォルダの中に置いておきましょう。
STARTを押すと音のファイルを分析して、エンジン音がループ再生されます。X Rangeでループの範囲の設定、その上のスライダーでループの位置を決め、UnitSizeでループする細切れのセグメントのサイズや、Xfadeでそのクロスフェード具合を決めていきます。
さらに、Rateのつまみでピッチをいじることができます。
実はこのコンビネーションがかなり便利で、一定のピッチではなく映像に合わせて変化する必要がある音の場合はこの機能がめちゃめちゃ助かるのです。
この元の4秒ほどの短いアイドリングのエンジン音のファイルで、バイクの発進の映像に合わせてエディットしてみました。環境音とシフトチェンジの音は別で入れました。
まずエンジン音なしのものです。
これはこれで静かなバイクで面白いですね…
次にAudioTextureでエンジン音を入れたものです。
さすがに元がアイドリング音の4秒だけのファイルなのでピッチ変化だけでは不自然だったので、EQのオートメーションやアンビエンスのリバーブもつけています。
このような感じ。
一番上のオートメーションがAudioTextureのRateのつまみのオートメーションです。
今回は極端に短いアイドリングの素材だけであえてどうなるかやってみたので、さすがに本物のエンジン音とは違ってしまうのですが、回転数の高い部分の素材などもあればさらに自然につなぐこともできそうです。
他にも、例えばSF的な効果音などに使ってみるのも面白そうです。
たった4秒のシンプルな素材から、シーンに合わせたループを作成できるAudioTexure。自動で手軽な使い方もできる一方、荒川氏にご紹介いただいたように「いかにも」なループ感をなくすための細かな設定も備わっており、さまざまなシーンで作業時間を短縮することができます。
今回登場したプラグイン以外のLe Sound全ランナップも、ぜひこちらからチェック!きっとイメージに合うサウンドがあるはずです。
今回登場したプロダクトはこちら
AudioTexture
販売価格:¥44,000(本体価格:¥ 40,000)
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AudioTextureは読み込んだサウンドファイルから、無限のループサウンドを自動で生成することができるプラグインです。
独自のアルゴリズムにより、読み込んだファイルを自然に聞こえる単位に自動で分解。指定した範囲をランダムに再生することで、非常に時間のかかる作業だった背景効果音やループ素材の制作を劇的にシンプルにすることができます!もちろん、分解するユニット単位の大きさやループ範囲などのパラメーターはコントロールが可能。求めるサウンドテクスチャーを素早く実現します!
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現役サウンドデザイナーによる実践レビュー!vol.1 ~Le Sound AudioElecで電撃サウンドを自在にデザイン
*記事中に掲載されている情報は2021年08月27日時点のものです。現役サウンドデザイナーによる実践レビュー!vol.3 ~Le Sound AudioTextureでクリエイティブなループを制作