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ROCK ON PRO
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P.R.E 第6回 番外編〜プラグインによるサチュレーションで曲に立体感を出す!! Sound Toys Decapitator〜
幾千数多のアナログ機材をRecommendするこのコーナーも第6回目を迎えました!! 今回は少し趣向を変えて、アナログの倍音感を再現するサチュレータープラグインをご紹介です。 ミキシングの中でも重要な要素となる倍音の調整、そして音の前後感のコントロール。Pro Tools HDユーザーの方であればHEATの出番ということにもなりますが、私シンコーン清水が現場で見「聴」きしていたプラグインSoundToys / Decapitatorを取り上げて実例をご紹介します!!
Sound Toys “Decapitator”
私の経験上ではありますが、サチュレーターとなるとかなりの確率でエンジニアの方に使用されているのがDecapitatorではないでしょうか。使い勝手の良さ、サウンドなどセレクトされる理由は様々ではありますが、何といっても魅力的なのは5つの中から選択できるキャラクターの幅の広さ。画面下部に「A」「E」「N」「T」「P」のボタンが配置されていますが、それぞれ下記のモデリングを行っているようです。
A:Ampex / 350 tape drive preamp.
E:EMI / TG Channel.
N:Neve / 1057 input channel.
T:Thermionic Culture / Culture Vulture (triode setting)
P:Thermionic Culture / Culture Vulture (pentode setting)
どれも魅力あるラインナップなのですが、単なるモデリングだけではなくここからDecapitator独自の各パラメーターで追い込んでいけるのプラグインの良きポイントです。定番的な使い方としてはPUNISHはなし、DRIVEも4以上はなしとし、あくまで歪みにならないよう倍音付加にとどめてLOW CUT / TONE / HIGH CUTを適宜コントロール、曲全体を聴きながらMixのDRY/WETで音を配置していくというシンプルなもの。また、OUTPUTはAutoで使用すると音量の変化なくエフェクト量を変化できるのでとても便利なポイントです。
Decapitator使用例
次はDecapitatorを使い、各トラックを調整する際のパラメータ例をご紹介していきます。使用用途としては音の存在感、前後感のコントロールを行う格好ですので、掛け方はとても薄く掛ける形になります。
①ヴォーカルの存在感を出したいケース
1, STYLEはお好みで選択してください。(Pは用途的に歪みすぎるかもしれません。)
2, DRIVEは1程度、OUTPUTのAUTOを外し、Bypass状態と聴き比べて差がないよう調整していきます。
3, TONEを少しBRIGHTにすることによって明るさを出します。必要によってLOW CUT,HIGH CUTを使用。
4,曲全体を聴きながらMIXのつまみをコントロールします。ソロで聴いていてもあまり違いがなくても、曲全体では明らか聴こえ方が変わってくるのを実感いただけるのではないでしょうか。
②芯のあるBassを作るケース
1, STYLEは”P”を選びます。歪ませた音を薄く混ぜる使い方となるため、歪みの強い”P” を選択します。
2, OUTPUTはAUTOでDRIVEは6まで上げてしまい、ブリブリ歪んだサウンドに。
3, TONEで少し明るくしていますが、HIGH CUTで不要部分をカットしています。
4, 曲全体を聴きながらMIXのつまみをコントロール、薄めのDRY/WETでサウンドに芯が生まれるのを感じられるのではないでしょうか。
どちらも僅かに歪みを足すという使い方になりますが、僅かな積み重ねで得られる存在感は確実な差としてミックスに現れてきました。ハイエンドなヴィンテージ機器を現代のサウンドにフィードバックしていくサチュレーションプラグイン。キャラクターあるサウンドを創り出すエッセンスとしてワークフローに組み入れてみてはいかがでしょうか!!
text by 清水 修平 ROCK ON PRO Sales Engineer
大手レコーディングスタジオの現場経験から、ヴィンテージ機器の本物の音を知る男。寝ながらでもパンチイン・パンチアウトを行うテクニック、その絶妙なクロスフェードでどんな波形も繋ぐその姿は波形を手術するドクターのよう。ソフトなキャラクターとは裏腹に、サウンドに対しての感性とPro Toolsのオペレートテクニックはメジャークラス。Sales Enginnerとして現場の皆様の役に立つべく、日々研鑽を積み重ねている様はまさに修験者の様相。『良い音』を目指す全ての方の為、現場の経験と知識を提案に結び付けている
*記事中に掲載されている情報は2015年07月30日時点のものです。