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丹治 信子
[ROCK ON PRO Product Specialist]ノンリニア編集とファイルベースワークフローを普及すべく、これまでAvidおよび、Autodeskでビデオセールスに従事。プリセールスからサポートまで、エディターに寄り添ったコミュニケーションがモットー。ROCK ON PROのメンバーとなってからは、新しい分野で互いに刺激を与え合いながら活躍している。
失敗しないオーディオ編集!映像編集でのノイズリダクション
MAワークで必須のオーディオプラグインたちを、映像編集でどうやって使いこなすかを解説する本シリーズ。第二弾はノイズリダクション・ツールとして、音声編集では欠かせない存在となったiZotope RX7を中心にお届けします!
前回の記事では、3つのオーディオプラグインの話をしました。
音のバランスをとったり、ノイズを消したりと、聞きやすい音にするためには、いずれもかかせないプラグインではありますが、ビデオの編集ソフトに付属しているわりに、簡単に適応できるプリセットがあるわけでもなく、日本語解説もない得体の知れないボタンばかりで、ぶっちゃけていうと、かなりむずい。。。
そこで!ビデオ編集者にも簡単に扱えるプラグインを弊社のRed先生に紹介してもらい、その使い方を教えてもらおうと思います。
丹治(以後”丹”):Red先生、お願いします!
まず、根本的な質問ですが、音を調整する上で大事なことはなんですか?
Red先生(以後”赤”):聞きやすい音質にすることと、適切なボリュームに整えることです。
それには、まず音声と一緒に収録された環境音などを減らすことが大事ですね。
丹:そういった環境音を減らすのが得意なプラグインといえば、iZotopeのRX7でしょうか?
オーディオのリペアツールとしては有名ですね。De-BreathやDe-Humなど、その名前の通り分かりやすいノイズを消去するには、確かに簡単だとは思います。
しかし、今回収録された音声ファイルには、電車音や目覚まし時計の音などがあって、どの帯域にアプローチすればいいのかもわからないような場合は、見えない敵を探すようなものです。
赤:RX7には、見えない敵が見える、万能のツールがあります。
Spectral De-noise というプラグインで、AI機能を使って、不快な環境音、すなわちノイズを分析して除去してくれます。では、実際にこのプラグインを使って、ノイズを除去してみます。
RX7はスタンドアロンソフトのRX7 Audio Editorを使うことで、「見えない敵が見える」ようになります。もちろんMedia Composerと連動させることができます。
詳しくは下記を参照ください。
How to use RX Connect in Avid Media Composer(iZotope 英語サポートページ)
Media Composerで取り込んだクリップのオーディオ部分をRX Audio Editorで可視化すると、こんなかたちで表示されます。
オレンジ色のより明るい部分は音量が大きいことを示します。そして、画面中央に特にくねくねとしたより明るいオレンジ色の縞々が見えると思いますが、これが人の声です。一方、その両脇のうっすらとオレンジ色がかっている部分は、環境音、いわゆるノイズですね。この、声が入っていないノイズ部分を選択して、Spectral De-noiseにノイズ成分を学習させます。
学習させたノイズのプロファイルを、今度は全体に反映させてRenderすると、人の声の部分が残り、背景はぐっと暗くなりましたね。暗ければ暗いほど無音状態に近づきます。
たった1回の作業でここまで簡単にノイズを消すことができました。
他にも、目覚まし時計の音はこのように見えます。
画面の上の方に、何本か横に伸びる線があるのがお分かりいただけますでしょうか?この横線が、目覚まし時計の音なんです。このように、まさに「見えない敵が見える」状態になります。
見えてしまえば、こちらのもんです。あとはカーソルでこの残念な線を囲んで、Spectral Repairを使用して徐々に消していきます。これは、先ほどのDe-noiseとは異なり、周囲の音を参照して修復するツールなんですが、簡単に言うと、消しゴムで消して、周りと馴染むようにぼかす・・・と言った感じでしょうか?
実際に目覚まし時計の音を頑張って消してみました。が、これは限界ありましたね。。。これ以上消そうとすると、声の音質が変わってしまいます・・・。このように、時には完全に消せない音もあります(笑)。少なくとも、目覚まし時計の音が入ってしまったら、撮り直したほうが、早いので、撮り直して欲しいですね。
丹:なるほど、目覚まし時計とセミは強敵ということですね。その他、Red先生オススメのノイズ除去もプラグインがあったら、教えて下さい。
赤:iZotopeのユーザーが圧倒的に多いですが、Waves のWNSやX-Noise、Z-NoiseなどがバンドルされたRestoration Bundleのユーザーも多いですよね。そもそもRXが発売されたのは2007年で、それ以前はRestoration Bundleの1択といっても過言ではなかったくらいです。
もちろん、このプラグインも使いやすく、「Suggest」のボタンを押すと最適なEQカーブを解析してくれます。
Wavesのプラグインは直感的に操作できたり、作業が少なくていいので、「とりあえず全体像を掴みたい」といった場合にはとても重宝します。
丹:映像のプラグインの場合、視覚的な変化は画面を見ればその効果がすぐに分かりますが、音の場合何か変化しているのかよく分からない。そこがオーディオプラグインを使いにくいものにしていたと思います。しかし、RX7のように視覚的に捉えることができるようになると、音の知識がなくても、ある程度自動でなんとかしてくれるということがわかりました。
いかがでしたでしょうか?RX7などを使用してオーディオを視覚的に把握することで、ノイズリダクションという「見えない敵」との闘いによる負担を減らし、映像の編集に集中できそうでしょうか!?
音声制作に関する些細なことから、製品購入、システム構築まで、オーディオに関する疑問・ご相談はROCK ON PROまでお気軽にお問い合わせください!
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*記事中に掲載されている情報は2020年08月05日時点のものです。