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モニタースピーカー導入計画!後編 知っているようで知らない、試聴の時はココを聴こう!

2013年5月16日 掲載(記事本文・構成 : tomita)


モニタースピーカー導入計画!前編 理想のニアフィールドの見つけ方はこれだ!」でモニタースピーカー選びの奥深さを知ったIH富田。さらにROCK ON PRO洋介からモニタースピーカー選びのノウハウを聞き出します。後編となる今回は、実際に試聴する際に大事にするポイントです。では続きを始めましょう。


試聴の際はここを聴くべし!

富:…前編は、スペックの見方の勉強になりました。じゃあ他にも注意すべきポイントってありますか?ここで差がでるぞ!みたいな。

洋:他に気にしてほしいのは「クロスオーバー・フリーケンシー」ですね。2Wayスピーカーの場合、ウーファーはここまで、ツイーターはここまで、というように急峻なフィルタがかかっていて、その境目をクロスオーバー・フリーケンシーと言います。

実際に試聴する時にその部分、ウーファーからツイーターへのつながりが良いかを気にしてほしい。ウーファーとツイーターっていう全く違うユニットで音を鳴らすので、音がつながらなかったりするんですよ。音の出方やスピード感、解像度に影響が出る。

そこが違和感なく聴けるかどうか。そこを見極めてほしい。特に最近人気のリボン系のスピーカーに関してはここをちゃんと聴いて判断してほしい。ヘタをするとここにギャップができちゃうんですよ。

富:リボンツイーターって特殊ですもんね

洋:コーン形状のウーファーとは構造が全く違うので音の出方、スピード感、全てが違うわけじゃないですか。非常に難しい事をしていると思うけど、EVE audioはDSPを搭載して、電気的にしっかりと調整をしていきているよね。

富:音がきれいにつながっているかしっかりと確認をしなければいけない。

洋:駆け上がりのフレーズなんかがあるといい。テレレレ…って音が上がっていくと音の感じが変わってしまっていたり、途中で1音だけ小さく聴こえるとか。

富:それはよっぽどひどい例ですね(笑)

富:同じく試聴つながりで次を。これは私の実体験なんですけど、自宅で使う時と同じ音量で試聴するっていうのも大切ですよね。

洋:それはすごく大事だと思います。僕はお客様には「どのくらい音量を出せますか?」ってうかがって、その音量で聴いた時にバランスが崩れないかをチェックしてもらってるよ。

バスレフタイプに顕著な例なんだけど、あれは低音を補強しているところが車で言うターボチャージャーみたいなものなので、ある程度のところまで音量を上げるとドーンと低音が出てくるんですよ。ドッカンターボ的ななり方をするやつがいる。なぜかというと、小さい音量だとウーファー自体がほとんど動かないのでダクトから出るはずの空気の動きが無いんですよ。そうするとバスレフから音が出てこない。だから小さな音量でもバランスが変わらないかっていうのは大切ですね。

富:だからこそあえて小さいスピーカーを買って…

洋:思い切り鳴らしてあげる。それも一つの選び方ですね。

富:なるほど。日本の住宅事情に合わせているのか、最近小口径のスピーカーってたくさんリリースされてますよね。これは適正な音量で鳴らすためか。

洋:NEUMANN KH120Musik RL906は小さな音量でもバランスが崩れにくい傾向があるよ。あとKS Digital

富:KS Digitalはそれがウリですもんね。

洋:Musikもそうなんですよ。無理の無い設計をしてるので。

富:それ分かる気がします。


理想のスピーカー設計って?

洋:あとは同軸。2Wayはウーファーとツイーターが離れてるけど、同軸は音の出てくる位置が物理的に一緒。低域と高域のクロスオーバー(音のつながり)があるにしても音の出てくる位置が変わらないわけですよ。高域の音の時に音の位置が上に上がっちゃったって経験ない?

富:椅子に座る姿勢によって聴こえる音が変わるんですけどそれですか?

洋:それも一つだね。同軸にするとある程度解消されるよ。

富:よっしゃ、やるぞ!ってミックスし始めたときはシャカシャカ高域が聴こえてて、疲れてだんだん姿勢が悪くなって椅子からズリ落ちてくるとだんだん音がモコモコ聴こえるようになって来ます。

洋:そうやって普通に座ってても姿勢次第で音像が動いているわけですよ。極端に言えば首の角度一つでも。例えばクロスオーバーが2kHzだったら、それ以上の帯域は上の位置から鳴ってるし、それ以下は下から鳴ってくる。

富:ってことはニアフィールドモニターの理想は同軸ってことですか?

洋:点音源(はい)。

富:同軸スピーカーって設計が難しいって聞きますね。

洋:理想のスピーカーの設計は何だと思う?

富:??

洋:理想を言えば、スピーカーは箱じゃない方がいいんですよ。平面バッフルって言われるんですけど、一面の板の真ん中にスピーカーが付いてるような状態。

どうしてかって言うと、スピーカーって前に出る音と、後ろから出る逆相の音が出ているわけじゃないですか。その逆相の音って必要ないでしょ。壁からスピーカーがポコっと出ているような設計だとどこからも逆相の音は回ってこない。正相の音しか来ない。これが理想です。

富:それじゃあ密閉型も同じじゃないですか?

洋:密閉型は平面バッフルをグルっと囲った作りなんだけど、キャビネット内部で空気の動きがあるじゃないですか。だから影響があるんです。

富:じゃあ、もしかしたら私たちが大きなキャビネットの中に入ってしまった方がいいかもしれませんね。なんとかサファリパークみたいに。

洋:それもいいかもね(笑)スピーカーユニットの後ろから出る音は邪魔でしかない。密閉型はそれを閉じ込めているけど空気バネの影響がある、バスレフは邪魔ものの逆相の音を有効利用している。そして理想は点音源なので、できればユニットは1つが理想なんですよ。

富:フルレンジ!

洋:そう。でもフルレンジだと物理的な制約で低域か高域のどちらかしか出ないということになるので、同軸2Way(以上)を選ぶことになる。スピーカーユニットは意外と再生レンジが狭い。

スピーカーの口径によって再生できる周波数帯域っていうのは物理的に決まるじゃないですか。小さければ下が出ない、大きければ上がでない。カタログスペックを読んでて分かってほしいんだけど、10インチもないスピーカーで100Hz以下が出る訳がない。それ以下は全部バスレフの効果で出てる。

富:そうですよね。

洋:そのくらいの口径のユニットを平面バッフルに付けたらほとんど低音は出ない。

富:たしかに、小指の爪くらいの板が1秒間で100回震えたところで100Hzの低域は再生できないですよね。

洋:バスレフの低域は偽物なんだ、ということを意識して聴いてほしい。

富:だからどこのメーカーも、自然な低音感を出すために努力しているわけですね。

洋:勿論、全てが悪いという訳ではなく、しっかりと設計されたものでないとダメだという事。

あとはコーンの動くストローク。ストロークが小さいとこれまた低域が出ない。

富:空気が動かないですもんね。なるほどー。


どうしてパワード?

富:あと、パワーアンプとかは?

洋:昔はスピーカーの能率っていうのが話に上がったんだけれど、今はほとんどパワードになっちゃったから載らなくなったなあ。1Wをかけた時にどのくらい動いてくれるか(音圧が出るか、正式には出力音圧レベル、単位はdB/W)っていうところ。音のチューニングがされればされるほど動きにくくなるわけですよ。意図しない動きをしてほしくないから。

富:暴れん坊じゃなくなる

洋:おとなしくて作為的な音になっていくんですよ。逆に、PA系のスピーカーはものすごく良く動いてレスポンスを良くする設計になってる。これは効率良く大きな音を出したいという別の必要性もあるからね。dBの計算の出来る人ならばピンと来ると思うけど能率が3dB/W変わるとアンプの出力は2倍必要になるんだよ。

富:いまパワードが主流なのは利便性のため?

洋:パワードにするとパワーアンプも込みで電気的にチューニングができるんですよ。スピーカーユニットのギャップやクロスオーバーのつながりの悪さを電気的に補正ができるじゃないですか。あとはスピーカーが飛ぶっていうのも防げる。

富:最近はDSPやEQ積んでるのもありますもんね。

洋:アンプの出力特性を調整するだけではなく、一歩踏み込んでデジタル領域でいろいろと処理をする、音場補正をするものが、Genelec 8240Dynaudio Airシリーズなんかにあるよね。それから、アナログフィルターには真似の出来ない急峻なカーブを設定出来るフィルターや位相、タイムアライメントの補正等が出来るのもDSPの強みだね。EVE Audioは全ラインナップにDSPを搭載して、キャラクターをしっかりと揃えてきている。

一般的に2Wayであればクロスオーバー回路っていうのが入ってるけど、バイアンプっていうユニットごとにパワーアンプを入れて、さらにチューニングを追い込んだものも多いよね。カタログだと出力が20W+40W都下書いてあるのはバイアンプ。

でもパワードスピーカーって、ピュアオーディオ的な発想で言えばすごくナンセンスな話でしょ。ピュアオーディオはアンプラックとかのできるだけ振動を伝えないところにアンプを置くはずなのに。

富:パワードスピーカーはバリバリ振動している本体内にアンプが入ってますね。じゃあサウンドは振動には左右されにくいものなんですね。

洋:気にしだしたら、切りがないけど…。大丈夫だと思っていいんじゃないかな。

洋:あと、パワードのメリットはコストだね。専用設計でチューニングが追い込める。普通アンプ1台で最低でも2~3万円はするのに同じくらいの価格でパワードスピーカーってあるわけでしょ。安くて良い音っていうのが作りやすい。


パワーアンプによる違い

富:最近よく見る「クラスDアンプ」って?「A」「B」「AB」Cが無くて「D」。

洋:A級とB級の違いは分かる?

富:A級は効率悪いけど音が良くて、B級はその逆?

洋:一概にB級が音が悪いと決めつけるのは乱暴だね。「シングルアンプ」という方式を使っているものがクラスA。

アンプ一つだけでドカンと増幅する非常にシンプルなものです。最大効率は理論値で50%しかない。使ってる電気の半分は常に捨てつづけているという非常に贅沢な設計、捨てた電気は全て熱となるので、発熱も大きい。

そしてシンプルだからこそ、素子やパーツの性能がモロに出ます。だからここは良い物を使って、お金をかければかけるだけ良いものができるんです。

富:それは正直な動作ですね(笑)

洋:そして「プッシュ/プル」と呼ばれる方式を使っている製品の大半がクラスBです。(中にはプッシュプルでClass Aを実現する回路もあります)

音の波の+側と-側を分けて、片方づつ増幅する。そうすると、音が+側の時は-側は待機する。最大効率は78.5%、そうすると電気消費量が最小限に抑えられる。

富:おお、なんと!

洋:ただこれは回路設計をミスするとセンターがずれる。一度スライスしたものを後でくっつけるので、ここの精度が低いとそれぞれの増幅率が変わってしまってダメになる。だからある意味歪みやすい。とも言われる。

ABはそのあいのこ。(実際は、Class Aでは行かないところまでバイアスを深くかけたプッシュプルの回路設計。電気効率と低歪を両立しPA用のパワーアンプ等での採用例が多い)で、Cっていうのも実はあるんだけれども、オーディオ用としては現実的じゃない。

洋:D級は「PWM(Pulse Width Modulation)変調」という方式です。デジタルアンプとよく言われたりするけど、僕らの良く知っているPCM変換とは、全くの別物。

富:PWMを使ってどうやっていろんな音を出すのかな?

洋:入力された音に対してTRI(三角波)を掛け合わせるんですよ。PWMっていうやつ。昔のヤマハのシンセのモジュレーションであったでしょ?

富:ありました、ありました!

洋:それと同じPWM変調という技術を使っている。どんなものかというと、音の波に対して10MHzとかの高周波のTRI(三角波)を掛け合わせる。音波とTRIを比較して音波が大きければ『+』、小さければ『ー』を出力する回路。これが、PWM変調。出力された波形は矩形波に変換される。この矩形波は音の強弱が濃淡で表現されているようなもの。それをスイッチング回路で増幅してあげる。このスイッチング回路で増幅すると、ものすごく効率がいい。増幅した矩形波は積分回路(L.P.F:コイルとコンデンサーの回路)を通すだけで元のアナログ波(音波)が生成できる。

富:なんか、DSDのイメージに近いですね!

洋:確かにそうだね、DSDはPWM変調の親戚といえるPDM変調(Pulse Depth Moduration)を使っているからね。D級の中には、このPDM変調を利用したものもあるんだよ。

トランジスタのスイッチング、要は+ -(オン/オフ)の反応速度がものすごく速くなったから実現したんです。これがヌメーっと遅いとぐだぐだの歪みだらけの音になる。

富:んー…、とにかく効率が良いわけですね。

洋:ここはすごくわかりやすくて、トランジスタってオンかオフかっていうときは非常に消費電力が少ないんですよ。Maxかゼロかってことだから。でもクラスD以外のアンプってこれの中間層を使いうのでロスが生まれやすい。

富:しかしすごい仕組みで音を出してるんだなあ。仕組みが分かってくるとパーツの制度が大切だってよく分かります!

洋:スイッチしている素子の精度。そしてできるだけ高い高周波、つまり鋸歯状波のギザギザが細かいほど正確にスキャンできるから、再現性の高いアンプになるんですけど、そうなると今度はスイッチングのスピードが要求される。

富:ここまでの話を聞いちゃうとクラスAアンプってシンプルだなあって思います。

洋:あれは贅沢な仕様ですよ。


スピーカーは電気信号を空気振動に変化するコンバーター

洋:こうやって振り返ってみると、それぞれに短所と長所があるのがよくわかるね。スピーカーって電気信号を空気振動に変化するコンバーター(変換機)なんだよ。その動作原理を知る事でスピーカー選びの参考になればと思います。もちろん最後は自分の耳とで聞いて感性で判断することが一番大事ですよ。是非、色々なスピーカを試して、自分に一番会ったモデルを選んでください。

富:洋介さんかっこよくキメましたね(笑)それが分かるとこれから、スピーカーの選び方や使い方が変わってくる気がします。今日も勉強になりました。どうもありがとうございます!


★ROCK ON PRO洋介とIH富田が耳で選んだイチオシののニアフィールドモニタースピーカー!

Pelonis Sound Model 42は、全米のトップスタジオデザイナーChris Pelonis氏が幾度と重ねて来た音響現場の構築で培った経験を元に、正確でフラットであることはもちろん「高いバランス性能を持ったモニタースピーカーを作りたい」という理想を形にした製品です。

Model 42は、特徴的なひし形エンクロージャーにTannoy製デュアル同軸ドライバを装備したスピーカーユニット×2本と、1UサイズのDSP内蔵パワーアンプがセットとなっています。

Pelonis Sound
Model 42 ¥99,750
Model 42 LF ¥89,250(サブウーファーシステム)


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KSdigitalはシステムのパルス応答を数学的に均一化する独自のFIRフィルター実装システム「FIRTEC」、ベース・レベルのインパルスを補正しクリアで反響の無いベース・トーンを得ることができる「DMCテクノロジー」等、電子音響や音響伝搬、デジタル信号処理領域における特許権を有する数多くの革新的な技術を持っています。

そのKS digitalからのC5-Coax およびC8-Coax は、ロー/ミッドとツイーターを同軸にレイアウトした2ウェイ・アクティブ・ニア・フィールド・モニターです。

C シリーズは専用に開発された同軸ドライバーを採用。水平方向にも垂直方向にも軸のずれが無いため、リスニング・ポイントは最適なパルス、周波数、位相特性を実現しています。さらにバス/ミッドレンジの最適化されたデザインにより、ツイーターの優れたウェーブ・ガイドが形成され、これらによりリスニング・ポジションへ均一かつダイレクトなサウンドを演出します。

リスナーとの距離が1 メートル以内で使用する、ニア・フィールド・モニターとして設計されているため、拡散音場を小さくすることができます。このため全体の音量を抑えられ、部屋による干渉が少なるため、鮮明かつ正確な音をモニタリングすることができます。

KS digital
C5-Coax(Pair) ¥160,000
C8-Coax(Pair) ¥207,800


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1960年にドイツで産声を上げたmusikelectronic geithain(以下MEG)。そのリファレンスパワードスピーカー「RLシリーズ」の中で最小サイズの『RL906』。低域に130mmコーン、高域に25mmドームを使用した、低域80W、高域40Wバイアンプ2ウェイシステム構造のパワード・スタジオ・モニターです。

小規模スタジオでの使用にマッチするのは当然のことながら、ドイツ連邦共和国公共放送連盟に統一標準モニターとして採用されていることあり、放送局内やブロードキャスト中継車内での使用も念頭に置かれ設計されています。

MEG RLシリーズに共通する同軸設計のスピーカー構造は、モニタースピーカーの理想である「点音源」に極めて近い状態のリスニングを可能にします。

musikelectronic geithain
RL906 ¥440,000


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記事本文・構成 : tomita

※ 記事中に掲載されている価格・割引率・購入特典・ポイントや仕様等の情報は 2013年05月16日 記事更新時点のものです。

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*本記事の内容は、特に断りのない場合掲載時点での情報を元に書かれています。


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