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丹治 信子

丹治 信子

[ROCK ON PRO Product Specialist]ノンリニア編集とファイルベースワークフローを普及すべく、これまでAvidおよび、Autodeskでビデオセールスに従事。プリセールスからサポートまで、エディターに寄り添ったコミュニケーションがモットー。ROCK ON PROのメンバーとなってからは、新しい分野で互いに刺激を与え合いながら活躍している。

4K/HDR対応の カラーグレーディングルーム!! 〜株式会社イクシード〜

映像作品の企画制作からポストプロダクションまでワンストップのワークフローを持つ株式会社イクシードが、新たに4K/HDR対応のカラーグレーディングルームをオープンさせた。新設されたカラーグレーディングルームには、RAW、LOGなどの幅広いフォーマット、4K60Pに対応可能なBlackmagic Design社のDaVinci Resolveを採用、同社のCintel Scannerも導入され、16mm/35mmフィルムからのスキャンニング、ノイズ除去やカラーグレーディング作業など、1つの部屋で一貫した作業を行うことができるソリューションを導入した。これまでの映像編集〜MAに加え、需要が高まってきているグレーディングの導入をご紹介したい。

◎株式会社イクシード ホームページ

そのニーズに応えるイクイップメント

左の写真
がOM FactoryのカスタムPCとMaxxserveのSAS RAID。一番右は4K素材からHDへ変換するTeranex Standards conversionが見える。


4K/8K BS放送開始、オンデマンド配信など4K UHD等のハイレゾリューション、さらにはHDR需要が高まりつつあるが、同社もその流れに沿うようにHDR映像制作へ関わることが増えてきた。これをきっかけに、2018年にカラーグレーディングルーム設置を視野に機材の選定を開始。まずは、HD/1080を主眼に4K30Pまでを視野に入れ、RAWファイルをリアルタイムで再生するようなシステムを想定していた。そのような中でDaVinci Resolveが、PCスペックやビデオカードのスペックを上げることでソフトウェアのパフォーマンスを引き出せる、という点に着目。急速に需要が増している4K60Pを再生できるマシンにカスタマイズし、今回のオープンに至っている。

そのDaVinci ResolveがインストールされるPCは、Core i9 – 9980XE Extream Edition 3.0GHz 18core (Turbo Boost MAX 4.5GHz / 18-core 36-thread) 、ビデオカードはnVidia Quadro RTX 6000、さらに64GBのメモリを搭載したカスタムPC。このCore i9の最上位のプロセッサーの登場により、同クラスのサーバー向けXEONプロセッサーと比較しても低コストでパフォーマンスを引き出すことに成功、性能的にも申し分のないシステムとなった。

最上位クラスのワークステーションを用意しなければ難しい4K 60PのRAWをCore i9でこなすことができるというのは、システム構築上でエポックメイキングな出来事ではないだろうか。DaVinci Resolveコントロールパネルには、DaVinci Resolve Mini Panelを採用。3-Ballと専用設計ならではの使いやすくレイアウトされたスイッチ類によりカラーグレーディング作業用のシステムを構築している。映像の出力用には同社のDeckLink 4K Extream 12Gが採用されている。ストレージは巨大化つ広帯域を要求するRAWデータのハンドリングを安定して行うために、SAS(Serial Attached SCSI)ベースのRAID HDDとなった。Areca ARC-1883xをSAS RAIDコントローラーにMaxxserve NS-760S 8Bay HDD Caseを採用した16TBのシステムとなっており、エンタープライズ向けのサーバーで採用実績の高い、速度に定評のあるArecaのRAIDカードによって安定した高速性を確保している。


DaVinci ResolveのコントロールパネルとなるMini Panel。

そのほかの周辺機器を見てみると、波形モニターとしてSmartView、4K素材のHD解像度プレビュー用の変換器としてTeranex Standards Conversion、オーディオモニターコントローラーとしてPreSonus Monitor Station V2、さらにHDRやBT2020など、幅広い規格を正確に表示するためのモニターにはSony社のBVM-HX310を導入している。また、民生のTVはSONY Bravia 55inchと4K HDRに対応した再生環境が整っている。

Cintel Scanner 2とDaVinciで蘇る

フィルムで保存されていたアニメーション作品などの資産をデジタルデータにしたいという要望も多く、BlackMagic Design Cintel Scanner 2も同時に導入された。フィルムならではのダイナミックレンジを活かしCintel Scanner 2でHDRスキャン。DaVinci ResolveでCintel RAWファイルからアーカイブ用やワーク用ファイルへのフォーマット変換や、デジタルシネマパッケージ制作等、あらゆるファイルフォーマットに変換することができる。

もちろん、グレーディング、ノイズの除去などDaVinci Resolveの機能をフルに活用した作業も可能である。経年劣化により色ノリが悪くなったフィルム、こういった問題への対応も、以前より定番のワークフローであったCintelとDaVinciの組み合わせで修正が行える環境となっている。Cintel Scanner 2は最大4K(35mm時)でのスキャンが可能、ここからUHD / HDRへの変換が可能なシステムになっている。HDR時には2-Passでのスキャンが行われ、明・暗2つのスキャン画像から1つのRAWを作ることで、ダイナミックレンジの広いスキャニングを実現する機能も備わっている。DaVinciのCPUパワーを発揮してUHD/HDRのリアルタイムプレビューをしながらの作業が可能なため、効率の良い作業環境であるといえるだろう。これらのワークフローの最終段としてProResへの変換用途も多いとのことで、部屋にはiMacも導入され、QTファイルへの変換にも対応できるようにしている。


カラーリストの株式会社イクシード 田嶋 雅之 氏、中村 里子 氏。

また、「クリエイティブなカラーグレーディングは、正確なカラーマネジメントの上でしかできない」との信念から、カラーリスト2名もカラーグレーディングルームの開設に合わせて外部より招聘された。新しくイクシードの一員となられた田嶋氏、中村氏はこれまでにテレシネの経験もあり、Blackmagic Desiginブランドになる前から長年のDaVinciユーザー。さらにはCintelのFilm Scannerの実務も豊富であり、まさに今回の新システムにはうってつけのノウハウを持っている。これまで同様の使い慣れたインターフェースを駆使してより早く、より正確に鮮明な色のクリエイティブワークを提供できるわけだ。

10GbEで生み出すワンストップフロー

イクシードでは、撮影、オフライン編集、オンライン編集、コンポジット・VFX、MAまで、ポストプロダクションの全行程をワンストップで完結できるように、各部屋を10GbEのネットワークで接続してデータの流れをスムーズにしている。すべての工程を自社で完結できるとうことは、同社ならではの優位性である。HDから4K、HDRと最新のフォーマットになるにしたがってデータ量は肥大化していく。これに対応するためにもいち早い10GbEの採用は、今後のワークフローの加速につながるであろう。編集室はAdobe PremiereやAvid Media Composer、DaVinci Resolve、Autodesk Flameなど、マルチなソフトウェアが用意されており、作品内容によってソフトウェアを使い分けしたりと各工程の並行作業を行うことができる環境だ。

このように、4K HDRに関してもこれまで通りのワンストップ作業が行えるようになった。カラーグレーディングが必須の工程となるHDR制作が今後も増加していくことは想像に難くない。その中で4K60P HDR制作を実践できるグレーディングルームの需要は今後も高まっていくだろう。そして、Film Scanに関しても4Kでのスキャニングはこれからも必要とされる分野であり、もちろん新撮のフィルムに対してのワークフローも提供できる。新たな分野へのチャレンジを感じられたこの更新、そのクリエイティブの幅は着実に拡がっているといえるだろう。


写真右より株式会社イクシード 田嶋氏、中村氏、代表取締役の中野真佳氏、ROCK ON PRO清水、丹治、前田洋介。


*ProceedMagazine2019-2020号より転載

*記事中に掲載されている情報は2020年01月31日時点のものです。