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ROCK ON PRO Technorogy ~エンタープライズサーバーのトレンドを考える~

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昨今のファイルベース化の流れの中、その作業効率の向上のためのキーデバイスとして数多くの現場で導入の進むサーバー。データサイズの大きな映像ファイルの取り回しはもちろんであるが、機器のスペックアップとともにオーディオ用途でも十分に利用できる製品が増えてきている。ノンリニアの様に大容量のファイルを少数ストリームするのではなく、小さな容量のオーディオファイルを大量にストリームすることとなるMA作業。サーバーにとってのスペックで重視されるのはカタログにアピールされる実効帯域(容量比の速度)ではなく、実はランダムアクセス時の耐性だったりするところが大きい。
普段それほど大きなセッションは動かしていないという方も、20~30track程度のAudio Fileを取り扱っているのではないだろうか?それがたとえば6台あれば120~180trackということになるのだ。しかし、Pro ToolsではDisk Cashe機能によりRAMへのデータ移動を行うことが可能となっている。その為、Read=Playに関してはサーバーへの負荷はほぼ無く、柔軟な選択が可能なようになってきている。
ここでは最新のエンタープライズ向けのサーバーをそれぞれのキーテクノロジーとともに改めて振り返り、改めてポストプロダクション作業で要求されるサーバーの要件とはどのようなものか?最新のトレンドとともに考えてみたい。

速度と容量をバランスするSSDキャッシュ

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近年、メインとなってきている技術は「SSDキャッシュ」「スケールアウト」「SAN」といったところではないだろうか。「SAN」は非常に古い技術だが、低価格で導入が行えるようになってきたために再び見直しが進んでいる。まずは「SSDキャッシュ」についてだが、この技術を全面に押し出しているのがGB labs社とFacilis社。SSDの高速性とHDDの大容量を両立させることで、バランスの良い製品が誕生している。高速性だけを求めるのであれば、全てSSDとしてしまえばよいのだが、それでは容量の制約が大きい。すでに1台10TBという製品もあるHDDに対しての容量比較で全く太刀打ちが出来ない。
そこで、HDDに対してSSDをキャッシュのように動作させることでバランスを取るということが提案されている。GB labs社は1年前よりHyper Spaceというキャッシュヘッドのような製品をリリースし、HDDを搭載したサーバーとクライアントシステムの間に接続することで高速性を獲得するというソリューションを登場させていた。今年のIBC 2016ではそのSSDを筐体内に組み込んだ”NITRO”と言う新しい技術を登場させ、低コストなFastNASという新シリーズをローンチさせている。
このFastNASは8Diriveと16Driveの2つのモデルが有り、8Driveの最廉価モデル(16TB)は130万円からと戦略的な価格でリリースされる。SPACEシリーズの定評あるCore OSのliteバージョンを搭載し、XDCAM(50Mbit)であれば、最大74streamという圧倒的な速度を持つ。この最大値は、SSDキャッシュが完璧に動作した際の速度なので、マージンを多めに保つ必要はあるが、半分の35stream程度の実運用値だとしても十分に高速である。副社長のベン氏に話を聞くことが出来たのだが、汎用のNASから低コストなNASの市場を獲得したいと野心的なコメント。エンタープライズ用途であれば、その現場での利用の想定をしっかりとしているモデルの方が安心なのは間違いない。
Facilis社も同じようにTerraBlockシリーズにSSDキャッシュを搭載したモデルを昨年よりリリースしている。このモデルは、従来のHDDモデルの上位機種となりGB labs社の低コストモデルのブーストという意味ではなく、これまでのモデルに速度向上のためのオプションを搭載すると言ったニュアンスだ。1台10TBのHDDも存在する今、速度と、容量のバランスを取るためにこのようなHybridなシステムがこれからも登場することが予想される。
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NASでも実現されるスケールアウト

これまでも大規模なシステムに搭載されてきた「スケールアウト」システム。これは完全にソフトウェアベースの概念であり、その言葉の通り、どこまでも拡張することの出来る柔軟性に飛んだシステム。ざっくりとイメージを上げるとすれば、物理的にハードウェアとしてのHDDを対象に分散処理をするものがRAID、ソフトウェア的に一つ一つのファイルを分散処理するのが「スケールアウト」施術の概念であるオブジェクト指向である。
「SAN」の専売特許であったこの技術も「NAS」でも実現するものが登場し、それに伴い低コスト化も進んできている。その代表がEditShare EFS。各筐体(ノード)同士がRAIDシステムのように連動することでほぼ無限と言っても良い拡張性をもったシステム。ノードを追加することで元々のデータは一切消えず、速度と、容量がリニアに上昇する。ある程度の初期コストはかかるが将来性の高いシステムがこの「スケールアウト」。これまでの代表的な製品はEMS Isilonだが、EditShare EFSは半分程度のコストでスケールアウトシステムの導入を可能としている。
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低コスト化が進むSAN

大規模サーバーシステムの象徴とも言える「SAN」のシステム。コストは掛かるが圧倒的な速度はやはりNASでは実現できない領域に未だにあると言える。そのSANのシステムも年々低コスト化が進み、従来は別に必要であったメタヘッド部分がストレージと同一筐体に収まり、一気に市民権を得ている。昨年のInterBEE 2015でHitachiから登場したHyper FS(SANのファイルシステムの一つ)を搭載したモデルは500万円台からとなり、業界を驚かしたのは記憶に新しい。
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このように、これまではハイエンドであった、スケールアウトのモデルや、SANが身近な者となり、ポストプロダクションで一般的であったNASは容量単価と速度の向上でそれに対抗しようというのが、分かりやすく浮かび上がってきている。音声の現場では、未だにDASがそのストレージの主体ではあるが、GB labs Fast NASのような低コストなモデルが登場する事でその導入が進むことに期待をしたい。
やはり、今後のファイルベース・ワークフローの構築に際し、サーバーはその主役であり、欠かせない存在だからだ。ROCK ON PROではこれらの製品とPro Toolsの接続実験など、皆様のご要望に応じて行っている。是非ともその実力を一緒に確認していきたい。

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*記事中に掲載されている情報は2017年02月02日時点のものです。