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『AT5040に見る未来のマイクロフォン史を築く技術的革新』~AT5040誕生から、オーディオテクニカ成瀬事業所視察まで~ Part-2

audio-technica成瀬事業所、歴史ある同社の銘機たちがここから生まれている。

audio-technica成瀬事業所、歴史ある同社の銘機たちがここから生まれている。

成瀬事業所視察編

●Step1:ここがaudio-technicaテクノロジーの心臓部だ!
振動板ユニット製造ラインで『ダブルウェーブダイアフラム』と御対面!!

今回振動板ユニットの製造ラインに特別に案内いただく事が出来た。ヘッドフォンの振動板成型器や40シリーズなどに代表されるウェーブダイアフラムのウェーブを成形する機械など、工場内では同社のノウハウの心臓部と言える独自技術が展開されている。
ウェーブダイアフラムの張力調整。プラスチックフィルムに独自のウェーブを刻んだ素材が完成したところで一つ一つ切り取って張力をかけながら貼り込んでいくのだが、360度をいかに均一に締めるかかがノウハウの部分。複数の周波数をあたえ、それを測定器で確認しながら、手作業で1枚ずつ接着を行っていく。

数々のダイヤフラムを開発、サイズ・加工はもとよりそのノウハウは多岐に渡る

数々のダイヤフラムを開発、サイズ・加工はもとよりそのノウハウは多岐に渡る

次に振動板に使用されるプラスチックフィルムは温度湿度の影響により徐々に張力が変わってしまう。そのため、事前に温度湿度をかけて張力を安定させる行程を行う。気温変動や湿気に強くするために恒温槽に一晩置かせて馴染ませる行程を何回も繰り返し、組成変化が最小限になるように素材を仕上げていく。これは振動板の組成における癖を無くすことが目的で、環境に影響されにくい仕上がりになるという。
エイジングを終えた後は振動板をさらに選別調整していく。静電スピーカーの要領で、電圧をかけて振動させ、マイクで音を拾い、特性が狂っていないか振動板の音を取って周波数を測定。検査後は中身を組み上げダイヤフラムユニットとして組立を行う。更に組み上がったユニットの全数測定を行い、次のラインへと進んで行く。
組み上がったユニットは簡易無響箱で全数測定される。ダイヤフラム単体で測定をかけて、さらに本体に組み込んだ後先述したように無響室でも測定される。振動板からみるとかなりの回数の測定を行っていることが実感出来るだろう。
さらに成瀬事業所のメリットは何か問題があると開発者が製造現場に立ち会う事が出来る点だ。開発へのフィードバックが極めて早い事は大きな特徴だ。開発・設計・製造が集約し連動しているという効率性。これこそがaudio-technicaの技術のコアであり信頼の源であると感じた。
また、執筆時点で¥29,800という価格で販売されているAT4040が全数検査の後に出荷されているという事にも驚きを覚える。しかも無響箱での簡易測定ではなく、無響室を使った本格的な検査だ。検査項目は、モデルごとに変えているということだが周波数特性、指向性の測定は全てのモデルに対して行なっているということなので、信頼をおいて間違い無いであろう。

●step2精度ある大規模無響室で1本1本仕上げられるハイエンドマイクロフォン!

フラットな測定環境を実現している第一無響室、40シリーズ以上のマイクは別室の第二無響室と併用で1台づつ測定されて出荷となる。

フラットな測定環境を実現している第一無響室、40シリーズ以上のマイクは別室の第二無響室と併用で1台づつ測定されて出荷となる。

測定用ターンテーブルにマイクをセット、f特、ポーラパターンなど数々のハードルをチェックする。

測定用ターンテーブルにマイクをセット、f特、ポーラパターンなど数々のハードルをチェックする。

ユニットを組み上げた後は無響室で測定を行う。最新のAT5040はもちろん、驚く事に40シリーズ以上のモデルが実際にここで1台ずつ全数測定されている。
天井部から吊るされたBrüel&Kjær社の測定用マイクロフォンにより20~20kHzまでのフラットな測定環境が保証されている。最新のAT5040はもちろん、40シリーズ以上のモデルが実際にここで1台ずつ測定されている。室内に用意されたモニタースピーカーも20〜20kHzまでフラットに出力が可能で、リボンツイーターとのバランスには多くの調整を加えているとのこと。そしてモニター目前に配置された測定用ターンテーブルと組み合わせてマイクロフォンの周波数特性、ポーラパターン、合否判定を外部PC上に記録して行く。ターンテーブルの先端にマイクロフォンを取り付けるときの治工具も用意されており、バウンダリーマイクを取り付けるホルダー等も豊富に用意されている。
50シリーズからは実際にここで測定されたチャートも付属している点も見逃せない。測定チャートからは無響室の性能も読み取れてしまうため、測定環境への自信の表れと言えるだろう。
第一無響室の外に出るとテスト用のマイクロフォンが多数用意。メンテナンス等様々なケースにおいて詳細なテストが可能となっている。
やや小型の第二無響室でも、測定用機器は第一とほぼ同じ機材が用意されている。40シリーズ等の市場流通量と作業行程に大きなギャップを感じた方は私だけではないはずだが、そのクオリティが1本1本手作業で最終調整されていることを是非実感して使ってみてほしい。

●step3:マイクロフォンのクオリティを更に高める独自の測定システム

GTM-CELL

GTM-CELL

1:電波干渉に極めて強いマイクロフォン設計で使用環境も自由自在!
step2で紹介した無響室以外にも、単体で各種測定を行うことの出来る専用機器が社内に多数用意されている。まずこちらは電磁波妨害試験を行う測定器GTM-CELL。マイクロフォンを測定器内に入れて、最も影響のある800MHz〜2.xGHzまでの周波数において影響を測定していく。同社のマイクロフォンラインナップは電波干渉に極めて強いと言われている。
2:振動雑音に左右されにくい信頼性の高い筐体設計!!

加振機

加振機

次にこちらは振動雑音を測るためのシェイカー、『加振機』と言われる測定システム。縦方向に振動し、上部にマイクを取り付けることで測定する。正面の周波数特性に対し振動特性はどうかという案配で測定を繰り返して行く。開発段階で振動の雑音を測るため特定の基準値を超える設計を行う事が可能だ。これにより、振動雑音など環境に左右されにくいマイクロフォンとして完成されている。

電磁遮断されたワイヤレス用の測定ルーム

電磁遮断されたワイヤレス用の測定ルーム

3:その他にもまだまだあるぞ!成瀬事業所独自のマイクロフォン測定システム!
そしてこちらはワイヤレスマイクの測定ルーム。これは外部への電磁遮蔽、中から電波を出す方なので部屋は周辺環境へ配慮し電磁波を出さないための部屋となっている。中では無響室と同様にPCベースの測定システムが組み込まれている。

●ハイエンドマイクロフォンは全体のベースを支えるコアテクノロジー(開発沖田氏インタビュー)

RockoN(以下R):audio-technicaとしてはどの時期辺りからレコーディングマーケットを意識したんですか?

沖田氏(以下沖):スタジオコンデンサーはAT4033が最初です。生産は1991年でしたね。AT4033は小口径ユニットですが、そこから大口径のステップを踏んできました。最初は市場の大きい北米マーケット中心でしたね。

R:レコーディングマーケットに進出する上でのキーマンはいたのでしょうか?

沖:はい、Audio-TechnicaU.S.Inc.の初代社長の助言で、マイクを作ったと聞いています。北米からの要望で作った部分もあり、当初はそちらの市場を見ていました。AT4033がアメリカでヒットして、そこから徐々に日本に伝わってきた印象です。
世界的なスポーツの大会(4年に1度あるやつです)でもうちのマイクが使用されているんですよ。

R:それは失礼ながら知らなかったです、基本的にガンマイクを供給されているのですか?

沖:いえ、全ての種目に対応出来る様、ガンマイクからピンマイク、バウンダリーなど実に様々ですね。陸上競技ではバウンダリーマイクでピッチの音を拾ったりもするんですよ。例を挙げると、走り幅跳びでは、助走路に数メートル間隔でバウンダリーを仕込み足音を拾う。

R:そうなんですね、国産マイクロフォンであの4年に1度のスポーツ大会の臨場感が演出されていると思うと日本人として誇らしいですね。では次にお伺いしたいのですが、製品を開発するときにコストとクオリティのバランスはどう取っていますか?

沖:クオリティはもちろんのこと、コストという意味でも全てにおいて手は抜かないです。それは出来る事をやりきっていますね。やはり開発者にとって、そこはいつも頭を悩ませる課題でもありますね。

R:製品にもそれが表れていると思います。audio-technicaさんのビジネスの中で業務用マイクロフォンはどういう位置付けになるのでしょうか?

沖:マイクロフォンはオーディオテクニカの技術のベースとなる部分を支えています。エレメントはオリジナルですし、マイクロフォンはコアな技術を持っているものと自負しています。
佐藤氏(以下佐):営業の側面から、業務用製品は専門部署で担当をしていますが、マイクロフォンは売り上げの核になっています。

R:基本的にはビジネスとしてコンシューマーモデルの収益性にシフトする事は無いということでしょうか。

沖:そうとは言い切れませんが、基本的にはハイエンドモデルの技術から落として行くような方向性です。

R:こういうハイエンドのマイクって営業戦略的な位置づけは弱かったりしませんか?

佐:そんなこと全くないですよ。だからこそ今回のAT5040のようなフラッグシップモデルの開発につながっているんだと思います。

R:それはいいですよね。外資系で会社が売買されてブランドの中身が無くなって行くメーカーもありますので、こういう芯がある組織の方に出会うと力強いです。

沖:マイクの場合大ヒットはないので地味ではありますけどね。(笑)

R:今回のAT5040は何年かたった後に歴史を築くプロダクトになるのではないかと我々は考えています。4面長方形ダイアフラムの構造と技術にはユニークな個性とクオリティを感じます。

沖:ありがとうございます。今回フランクフルトMusikMesseでmipaのStudioMicrophone部門の賞もいただくことが出来ました。話は逸れますが、海外の展示会は刺激も多く若手スタッフほど行ってほしいですね。現場の空気、ユーザーのレスポンスといったダイレクトな雰囲気を感じて来てほしいてす。

R:メーカーとアーティストのサポート関係が海外は凄く良く出来ていますよね。先日の弊社インタビューではAT5040の開発経緯や革新的なテクノロジーの根幹をお話いただきましたが、ユーザーのフィードバックはその後どうですか?

沖:そうですね、まだ少しですがポジティブな反応が非常に多いです。先日、雑誌の特集記事で取り上げてもらった際に、某有名女性ボーカルの録音をしていただきました。その時のエンジニアさんからは、女性Vocalにも最適だとの声もいただきました。ただマイクロフォンの場合、発売後3年くらいは認知にかかるので、まだまだこれからだと考えています。

R:今回は製品のインパクトがあったので皆知っている事は知っているでしょうね。今回の技術を応用したプロダクトは皆期待していると思いますが。

沖:そうですね、50シリーズとしてのラインナップ展開は考えています。きっとご期待に添えるプロダクトになると思います。

R:50シリーズの展開という部分に、先ほど伺ったコア技術へのこだわりを感じますね。ちなみに四角いダイアフラムが50シリーズということになるのでしょうか?

沖:いえ、良いものであれば、四角にこだわる必要は無いと考えていますが、そうなる可能性は高いですね。
レコーディングで求められるマイクは、主にサウンドのキャラクターが重視されるためにまだまだ定番プロダクトの影響力が強い。しかしレコーディング自体のビットレンジも上がり、求められてくるものも変わっている中、マイクに求められる質も変化してしかるべきだろう。最終的にはユーザーの好き嫌いによるものだとしても、今回AT5040が築きあげたハードウェアの根本的な革新が、数年後過去をリプレイスするだけの存在として市場に迎えられるような気がしてならない。それを実現するだけのクオリティがここ成瀬事業所から世界へと今発信されている。新世代マイクロフォン導入の選択肢として、まずはそのサウンドに耳を傾けてみてほしい。


町田事業所フォノギャラリー

EDISON VOICEWRITER

EDISON VOICEWRITER
蝋管録音機、左のハンドル部分がマイクにあたる部分。電気的な増幅なしに音声振動を直接刻む

成瀬事業所とも近接した町田事業所内に1977年に創設されたフォノギャラリーを訪れた。こちらは同社の社業ともゆかりの深い蓄音機を200台収蔵し、そのうちの貴重な100台をなんと動態展示している。つまり、実際のサウンドを楽しむ事も可能。当たり前の事だが蓄音機はゼンマイ仕掛けとなっており電力も必要とせずに再生できる、そんなノスタルジックな体験は往年の空間へタイムスリップしてしまう感覚で同社の歴史と伝統を感じる瞬間でもある。なお、こちらは一般にも公開されている、是非貴重な体験を共有して頂きたい。

見るものを圧倒する蓄音機のコレクション

見るものを圧倒する蓄音機のコレクション。 すべてが動態保存というのに衝撃を覚える。

1900 年前後のアンティークで飾られたフォノギャラリーの外観。 ステンドグラス、ランプシェードなどの調度品も見事。

1900 年前後のアンティークで飾られたフォノギャラリーの外観。 ステンドグラス、ランプシェードなどの調度品も見事。

実際の蝋管はこのような形

実際の蝋管はこのような形。物理的な溝として記録され るため保存条件さえ良ければ十分に使用に耐える

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Part-1

『AT5040に見る未来のマイクロフォン史を築く技術的革新』~AT5040誕生から、オーディオテクニカ成瀬事業所視察まで~ Part-2

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*記事中に掲載されている情報は2013年08月21日時点のものです。