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ROCK ON PRO
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Pro Tools | S6 ソフトウェアVer 1.2発表!スペシャルプレゼンテーション
2014年7月初頭、待望のAvid® Pro Tools® | S6ソフトウェアVer1.2が発表されました。今回のアップデートはまさに、ユーザーが思い描いていたPro Tools | S6の機能がフィードバックされたバージョン。昨年、IBC 2013にて衝撃の発表が行われましたが、今回のアップデートもなかなか衝撃的な内容です。今回、Avid本社よりDirector WW Pro Audio Solutions Specialists, Sales ChannelであるRich Nevens氏が来日され、Avid Japan 本社にてお話を伺う事が出来ました。
・注目のS6バージョンアップをRich氏のスペシャルプレゼンで知る!!
>>DAWの垣根を超えたトラックレイアウト!!
>>ICON時代から進化!! 待ち望まれていたVCA Spillが遂に搭載!!
>>トラックのトリム・フェード・ナッジが何とConsole上でEdit可能!!
S6は発表されてから、まだ1年を経過していませんが、ワールドワイドで既に300台が出荷されております。重要な時期に来ているS6だからこその進化。そして今回の進化の背景にはAvid Everywhereの存在もあるからではないでしょうか?Avid EverywhereのなかでPro Tools | S6はAudio Suiteに分類されます。同じくAudio Suiteに分類されるPro Toolsと深い連携が取ることを前提としたポジションに位置しています。Avid Everywhere、特にPro Tools Cloudにとって重要なポジションに位置づけられているということですね。Pro Toolsは、今年のNAB 2014においてテクノロジープレビューとして発表された「クラウド・コラボレーション」実現に向けて準備が進められていますが、このPro Tools | S6もそういった進化するコンテンツ・クリエイティブ環境の中を意識した進化がなされています。
既に出荷されている300台のうち、半数以上は北米向けとの事。ユーザー層は映画・ポスプロ・ミュージック問わず様々なジャンルのユーザーに人気があり、既に放送局や映画会社にも導入済みだそうです。この情報を聞くと、やはりポストプロダクション向けのイメージが強いと思われがちですが、実際にはBillboardのNo.1を取るような著名なミュージシャンの方も購入していたりと、マーケットとしては半々だそうです。日本でもポスプロのみならず、実際にミュージシャンからの問い合わせも多数頂いておりますので、うなずけます。
気になるPro Tools Cloudのリリース時期ですが、現在AvidではPro Tools Cloud開発にかなりのリソースを投入しているそう。開発チームは沢山いるので、そう遠くなさそうですね。メーカーポリシーで、リリース日は公表出来ないそうですが、発表が待ち遠しいですね。
Avid Everywhereについてはこちら
クリエイター、プレイヤー、エンジニアやプロデューサーなど、Avid Everywhereはどの分野の方々にもベネフィットが提供されるとし、それを踏まえて「Avid Everywhereはみんなの物だ」と明言されました。Pro Tools Cloudを使う事で、リアルタイムでコラボレーションを可能にし、マーケットプレイスではプラグインを購入する事はもちろん、出来上がったコンテンツを販売したり、コンテンツクリエイターが自分の持っている才能やスキルを、マーケットプレイスで提供出来る様になります。今までは決して手が届かなかったエンジニアやプレイヤーをマーケットプレイスを経由してコラボレーションが可能になります。
現在ビルボードのチャートを賑わせているのは大半が「featuring ~」の様に、コラボレーションされた作品が多いです。音楽が作られるという環境においては、音楽そのもののコラボレーション自体は浸透しており、これが今後の音楽の形となるでしょうとRich氏もおっしゃっておりました。
現状、一つの作品を作るにあたり、一つの施設で完結する事はあまりありません。これは日本でもよくあるケースの一つですね。収録とミックス作業が同じスタジオではなかったり、時には国境を超えて、アーティストやエンジニア同士が作品を制作するワークフローが発生する事もあるでしょう。Avid Everywhereを通じてPro Toolsとの深く統合されていることによりPro Tools Cloudで作品を作り出す事が出来る「コア」の部分を提供する事が出来るのが、Pro Tools | S6です。
今までとは違った様々な人とのコラボレーションで、新しいアレンジが出来上がる事間違いなし。まさに、Avid Everywhereはみんなの物ですね!
Rich Nevens氏 スペシャル・プレゼンテーション
Pro Tools | S6 新機能
今回新たに追加された機能は14項目。さらに人間工学に基づいてミックス作業効率が向上しております。例えば、ダイナミクスのゲインリダクション表示の追加やVCA Spillモードなど、視認性を中心に大幅な改良が加えられました。Avid Director WW Pro Audio Solutions Specialists, Sales ChannelのRich Nevens氏によるプレゼンテーションとともにご覧頂きましょう。
・レイアウト機能
それでは、今回アップデートされた新機能をいくつかフォーカスしてご紹介いたします。
System5に搭載されていた機能で、それぞれのDAWのセッションには影響させずに任意のトラックをPro Tools | S6上の任意の場所へレイアウト出来るモードです。
先ず念頭に入れておいていただきたいのは、Pro Tools | S6 M40では最大8台のコンピューターが接続可能という事。(M10では2台まで。)ホストアプリケーションがEuConに対応している必要があります。これらのアプリケーションが同じ盤面上で同時にトラックを展開出来ます。コンピューターやアプリケーションの垣根はもはや無いも同然ですね。
Pro Tools | S6で既に搭載されていたトラックマトリクス表示と合わせて使用することで、作業効率は確実にあがる事でしょう。トラックマトリクス表示でもトラックカラーが反映されるので、レイアウトを作成する時もすぐに目的のトラックが見つけられ、アサインが可能です。
こちらの動画ではマスターモジュールのナビゲーションスイッチ機能も詳しく解説をしているので参考にしてください。
Pro Toolsのトラックの隣にMediaComposer | Softwareのトラックが展開されていたのをご覧頂けたでしょうか?レイアウトの設定は最大96個まで保存可能です。
もちろん、従来のトラックナビゲーションモードへもボタン一つで戻る事が可能。
ICONユーザーの方であれば気がついたかもしれませんが、レイアウト機能では、トラックをレイアウトするとき、ブランクを挟む事が出来ます。ICONにもカスタムフェーダーという、似たような機能がありましたが、カスタムフェーダーでトラックとトラックの間にブランクを挟みたい時はMIDIトラックなど、ダミーのトラックを作成してインサートするなどの工夫が必要でした。レイアウト機能ではそれは必要ありません。
・VCA Spill
以前のICONではVCAトラックでコントロールされていたグループの各フェーダーはロータリーエンコーダーへ反映しておりました。今回のPro Tools | S6ではその機能に改良が加えられた状態で搭載されました。
VCAトラックのMenuボタンを長押しすると、そのトラックを中心に右側か左側にグループのトラックを展開する事が出来ます。トラックごと真横に展開されますので、バランス調整はロータリーエンコーダーではなくフェーダーで行えますし、もちろんインサーションやセンドなども瞬時にコントロールが可能です。
ご覧頂いた様に、レイアウト機能で呼び出していたVCAトラック群から任意のトラックをアテンションすると、アテンショントラックを基準として右か左に展開可能となりますので、VCA Spill機能だけで使用するよりもレイアウト機能やアテンションなど他の機能と合わせ技で、実用的な使用法は無限に広がります。
ムービー内で作業していた事をICONでやろうとすると、メインモジュールの右側にカスタムフェーダーを展開して、メインモジュールの左側ではVCAトラックにアサインされていたグループを表示して・・・。と、ひと際大きなメインモジュールの両側で作業をしなければならなかった機能が、VCA Spillモードを使えば、1アクションであっという間に展開できます。
・Expand モード
ICONに搭載していた機能がPro Tools | S6にも追加されました。リバーブなどのパラメーターの多いプラグインは、ノブ8個(5 Knobの場合は4個)でコントロールするには余りにも効率がよくないですね。Expandモードではノブモジュールでコントロール可能なパラメーターをノブモジュール全体へ展開する事が可能になります。この次にご紹介するConsole Editモードの紹介映像では、エディット用のパラメーターがノブモジュールに展開されております。プラグイン以外も展開できるのは、Pro Tools | S6ならではの機能ですね。
・Console Edit モード機能
コンソール上からトラックの編集作業が出来てしまうという、コンソールメーカーとDAWメーカーが一緒だからこそ出来る機能が搭載されました。これは、今までのコンソールとは一線を画すPro Tools | S6ならではの機能ではないでしょうか。
既に九州放送機器展のShow Reportにてあがっておりました機能ですので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?Pre Releaseの際、ディスプレイモジュールに波形が表示されていたときも驚きましたが、まさかそれがこのような機能を搭載する布石となっていたとは思いもしませんでした。
実際の映像を見ていただくと、おわかりいただけると思いますが、クリップゲイン・トリム・フェードイン/アウト・ナッジがコンソール上でコントロール出来てしまいます。また、映像の冒頭でも説明しておりましたが、波形表示の倍率がコントロール出来る様になりました。セッティング画面で無段階に設定可能なのはもちろんですが、コンソール上のZoom In、Zoom Outボタンで、すぐに調節する事が可能です。
この他にも
・ディスプレイモジュールの表示パターン追加
・ゲインリダクションのメーター表示及びダイナミクスグラフのバウンシングボール表示対応
・ソフトキーエディターの対応
・XMON EUCONアプリケーションのアップデート
などなど、期待出来る機能がたくさんアップデートされております。
Pro Tools | S6の未来
5月に開催された弊社イベント・Avid Creative Summitでも説明がありましたが、EuConコンソールは成長し続ける製品です。それを証拠に、発売から10年が経過したSystem5でも、NAB 2014にて新機能が追加された新バージョンを発表しています。一番重要な事は、ユーザーからのフィードバックに対して150%の回答をする事。Ver 1.1でもプラグインの切り替えやソフトキーの再編成など9つの機能が追加されましたが、それでも、今回追加されたVCA Spillやトラックのレイアウトなどが足りないとのフィードバックが多かったそうです。
もちろん、ユーザーが重要視する一番のポイントは機器の安定動作ですが、System5に搭載されていたトラックのレイアウト機能や、ICONに搭載されていたバンキング機能など、それぞれに様々な特徴がある製品をリリースしてきたAvidだからこそ、Pro Tools | S6ではそれらの特徴的な機能を集約させることで、セッションの作業効率を上げるために必要な機能の搭載を可能にしました。
発売して1年も満たないコンソールですが、さらに新機能が追加されているということは、それだけユーザーからのフィードバックも多いということではないでしょうか。そして、それだけの期待を背負っているということでもあります。最新版をお試しいただいているユーザーからは「Pro Tools | S6を触ると、他のコンソールは触れないね」と、賞賛の声もあがっております。もちろん今回のバージョンアップが完成形というわけではありません。これからも成長を続けるコンソールとして、より効率的な機能が搭載される事でしょう。