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ROCK ON PRO
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TASCAM HS-P82が屋久島の大自然に挑む!土方 裕雄 氏による実用レポート。
タイムコード入出力やビデオリファレンス入力、さらに24ビット/96kHzの8チャンネル同時録音可能という、高性能ながら実売価格¥577,500価格改定で実売¥200,000(税抜)!!という低価格を実現した、ポータブルマルチトラックフィールドレコーダー TASCAM HS-P82 。
その実力と現場での使い心地は果たしていかなるものか?液晶タッチパネルによる操作によってもたらされる恩恵は?ROCK ON PROでは、「THE 世界遺産」でのサラウンドレコーディングでもおなじみの、フィールドレコーディングエンジニア 土方 裕雄 氏の屋久島ロケにHS-P82をハンズオンしていただき、リポートをしていただきました。
お見積もり、ご相談は、下記お問い合わせフォーム、または お電話(03-3477-1776)/FAX(03-3744-1255)メールにてもお待ちしております。営業担当:岡田、梓澤、洋介までお気軽にどうぞ。
ROCK ON PROから
屋久島にフィールドレコーディング??ピンとこない方にご説明を。世界遺産シリーズの中でも自然遺産(屋久島等の貴重な自然が対象)の番組においてフィールドでレコーディングされた現地の音はとても重要な意味を持ちます。
こういった番組では、めったに行く事のできない大自然を、お茶の間にいる視聴者にあたかも現地にいる様な疑似体験をさせる必要があります。もちろん美しい映像も大事なのですが、サウンドの持つ臨場感はじつはそれ以上に大切なのです。
学術的にも、” 人間は視覚よりも聴覚の方が臨場感にとって重要である “との研究結果もあるほどです。特にサラウンドで収録された現地の音(風の音や、木々の音、波音、滝の音など)は目を閉じれば風景が浮かぶほどのリアリティーを持ちます。そういった場面に重要なのが機動性の高いマルチトラックレコーダーとなります。このTASCAM HS-P82はそういった現場に向けてリリースされた最新機種で、8ch マイクプリ、ダウンミックスモニター機能など、サラウンドでのフィールドレコーディングに必要な機能を網羅しています。この機種をフィールドレコーディングの第一人者とも言える土方氏はどのように評価されたのでしょうか?それでは、土方 裕雄 氏に実際にお使いいただいた感想をどうぞ。
– ROCK ON PRO 洋介 –
■ 始めに
ROCK ON PROから、新発売のポータブルマルチトラックフィールドレコーダーTASCAM HS-P82をフィールドで試して欲しいとの依頼があり、タイミング良く屋久島で収録する仕事を戴いたこともあったので、持って行くことにしました。
HS-P82の外観は質実剛健といったイメージで、無駄がなく、必要なものを適切なレイアウトで備えています。外部マイク入力は8トラック分のXLRキャノン端子を備えているので、5.1チャンネル・サラウンドの収録には余裕を持って臨むことができます。今回はサラウンド用マイクロホンとして、三研マイクロホンのCUW-180とCS-1を組み合わせたサラウンド・セットを使いました。
■ タッチパネルによる高い操作性とモニタリング
HS-P82の特筆すべきポイントは、タッチパネルの使いやすさです。タッチセンスのレスポンスが素晴らしく、クイックな操作が可能です。メニューの項目は、この手のフィールドレコーダーに触れたことのある人にはとても分かり易く、必要なすべての機能が備わっています。私は取扱説明書を読まなくても入って行くことができました。
とても気に入った機能として、再生時に各トラックの音量を瞬時にコントロールできる点が挙げられます。現時点では、サラウンド対応のヘッドホンなどが少ないことから、フィールドでサラウンドモニターをすることがなかなか難しいのですが、収録音を2トラックへダウンミックスすることで、全体的な雰囲気の確認ができます。L,R 0dB、C –3dB、Ls,Rs –3dBのダウンミックス係数をフェーダーで操作する際に、HS-P82ではタッチパネルの一画面で素早く調整が可能です。このように簡単にダウンミックスの環境を作ってモニターができると、どのポイントにマイクロホンを置けばサラウンドのバランスが良い状態で集音できるのかという判定がし易くなります。他社のフィールドレコーダーでもミックスの環境を作ることができない訳ではないのですが、HS-P82は一つの画面でスピーディーに設定ができることが他社製品にくらべて優位な点です。
■ CFカードメディアと堅牢なボディによる高い可搬性
TASCAMでは、フィールド用の専用ケース(バッグ)も用意しているらしいのですが、今回はカメラバッグを自分で用意して、それに入れて使いました。3.5kgという重量は、今では決して軽いとは言えませんが、本機の機能、性能を考えると重たいとは言えないと思います。それに、¥577,800という価格は並みいるマルチトラック・フィールド・レコーダー群の中でも格安の部類に入ります。記録メディアがコンパクトフラッシュなので、HDDを搭載している機種に比べてフィールドでのラフな使用にもそれほど気を遣うことなく持ち運びができました。
屋久島での収録時には、HS-P82を入れたカメラバッグを肩から提げて、右手にはサラウンド・マイクという出で立ちでした。屋久島の深い森の中を歩き回るのに何も不自由はなく、渓流の音を録りに川原へ降りていくこともできました。海岸の波音を収録する際に全チャンネルのローカット・フィルタを入れる操作も面倒なことはありませんでした。タッチパネルによるビジュアル的な視認性、操作性の良さは、今後、他社が開発するニューモデルにも影響を与えることでしょう。
(※ 音質面にフォーカスしても、他の高級レコーダーと比べてもなんら劣ることなく安心して聴くことができました。音質に関する検証は、今後改めてリポートしたいと思います。)
■ 終わりに
今回は短い期間での使用リポートになりましたが、機会があれば更にじっくりと時間をかけて、いろいろなシチュエーションで試してみたいと思います。軽量コンパクトで、多機能なTASCAM HS-P82は、フィールド録音に限らず、音楽やイベントのライブ録音、スタジオ収録など、幅広い分野での用途に限りない可能性を持った製品ではないでしょうか。
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