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5.1サラウンド寺子屋塾レポート

tera.jpg サラウンドの世界を拡大する事を主題に様々な活動を行いその普及に努める<5.1サラウンド寺子屋塾>。今月の定例勉強会は、テーマを「SACDプラネットアースのサラウンド制作と最近のアプローチ」と題し、講師にレーベル主催である入交氏と制作に携わったtc electronic Japanの京田氏を迎え、東京秋葉原のDiMAGICスタジオで開催されました。今回は、その詳細をレポートいたします。
tera1.jpg SACDフォーマットで昨年秋にリリースされた〜吹奏楽史の流れの中でも重要な位置を占めであろう〜と評される「プラネット・アース」は、オランダ人ヨハン デ=メイの作曲により2006年3月にオランダにてオーケストラ版が初演されました。今回のSACD収録ソースは2007/6/8大阪ザ・シンフォニーホールにて、

  • 演奏:大阪市音楽団
  • 指揮:ヨハン デ=メイ、当間 修一

という布陣での演奏が収録されました。
「プラネット・アース」は、およそ50分の楽曲で、構成は3楽章となります。
勉強会では、プラネット・アースの導入部分のシンセによるSEのサラウンド処理を行ったtc electronic Japanの京田氏の説明と、実際の収録を行われた入交氏によるSACD作成に向けての収録方針、集音マイクの設置方法、TD詳細(タイムアライメント、オーバーダブ等)の説明と各トラックの比較試聴で進行されました。
tera3.jpg プラネット・アースの導入部であるSE部分のサラウンド・エフェクト処理は主にSteinberg Nuendoを使用(全体のTD作業自体はDigidesignのPro Tools)。tera5.jpg
原音のイメージを崩さず、平面から立体へのイメージ作成を主眼に作業を進行させたとのこと。解説はNuendoのサラウンドパンナー部、インサートエフェクト部を中心に行われ、周波数帯域と実際に感じられる質感の違い(周波数帯域が低く音の差が遅ければ遅い程安定感があり、その対極に進むとサチリ感が増す)の組合わせをどのように反映したかの説明が行われました。(ちなみにこの周波数帯域と感じられる質感の違いは、現在研究中とのこと。まだ詳細なデータが無いため、今後の課題と言われていました。)
tera4.jpg 今回の収録では、メインマイクにDPA4006 3本をDECCA TREE方式(イギリスDECCA Recordsのエンジニアが考案した集音方式。)で使用。
サラウンド集音ではフロント後ろ3m地点にDPA4011を2本、同じくフロント後ろ10m地点にDPA4006を2本使用。更に計21本のスポットマイクも使用。
特に音色、定位をはっきりさせるためのスポットマイクでは、メインマイクとのディレイを換算するため、全てのスポットマイクで音の立ち上がりの早い拍子木(ちなみに歌舞伎用とのこと)を録音、DAWの波形上でピーク位置を特定し、楽器の種類に応じてディレイタイムを調整(=タイムアライメント)したとのこと。もちろん距離と角度で計算すればディレイ換算は可能なのですが、正確性と利便性で拍子木が採用されたとのこと。
確かにマイクの本数が多くなるとこの方法が圧倒的に早いのではないでしょうか。また各マイク・セクションの有無での組合わせ試聴やディレイ効果の使用方法によるサウンドの違いの各種試聴が行われました。定位感の変化やサウンドの全体像の変化など、細かなディテールを確認することができました。
tera2.jpg また説明の最終部分ではライブ演奏に関する編集の是非に関する項目を提示されていました。どのジャンルの音楽でもオーバーダブ及びその他編集に関しては、その是非に関して様々な論議を生む事が多いのですが、芸術作品なのかドキュメンタリーなのかの判断(歴史的演奏か否かを含む)を行い、場合によっては編集も厭わないことが必要である(TPOに応じて処理)、とコメントされていました。
実際には楽曲を聞きながらの勉強会でしたので、もし興味をもたれた方がいらしたら是非「プラネットアース」を聞いてみて下さい。総計300点以上の編集ポイントがあるとのことでしたが、どのようにライブ・サウンドがSACD上で表現されているかを聞かれるのも一興でしょう。
SACD「プラネットアース」に関して詳しくはこちら>>
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*記事中に掲載されている情報は2008年05月21日時点のものです。