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Roger Nichols Master Class!伝説をレビュー!

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2007年6月5日にROCK ON PRO demo Studioにて開催されたRoger Nichols Master Classは 、多数のご参加を頂き、大好評のうちに終了いたしました!
スティーリー・ダンのAja、ドナルド・フェイゲンのThe Nightfly等、歴史的名盤を手がけ、現在ではRoger Nichols Digital名で大好評のプラグインを開発する氏は、大御所でありながらそのフランクな人柄で、参加された方々を大満足させていただきました。
rnd4.jpg世界中のエンジニアがリファレンスに挙げる歴史的な名盤を多数手がけて来たRoger Nichols氏。今回は、そのRoger Nichols氏によるMaster ClassをROCK ON PRO梓澤がリポート。その生い立ちは、やはり特別。高校時代にはフランク・ザッパと音楽を共に制作し、アセンブラ言語の勉強は、ロジャー・リンとクラスメート!?。そして、精緻かつ緻密な音作りの裏には、何と大学で原子核工学を専攻した学歴があるのです。前職は、原子力発電所・・、そこで得た電子回路やエレクトロニクスの知識は、サウンドエンジニアリングの様々な分析、原因究明、そして開発に大いに役立っているようです。そんな彼から、音楽性とその技術の融合について、こんなエピソードを聴くことが出来ました。「ミュー ジシャンは、音楽を作る経験、能力や知識があるし、エンジニアの僕には技術的知識がある訳だけど、ミュージシャンの音楽的要望に応えるために、新しいやり方を試してみるのに僕の知識が役立った場合がある。1978年にスティーリー・ダンの『Gaucho』の作業をしていた時、ドナルド・フェイゲンは『パーフェクトなリズムが欲しい』という要望を持っていた。だが、当時使っていたドラムマシンRhythm Aceはクリック以外の用途に使えるサウンドではなかった。そこで僕は、実際のドラムの音をコンピュータにとりこんでトリガーすれば、思い通りのタイミングでレコーディングできるというアイデアを思いついた。そこで開発したのが、オリジナルのマシンWendelだ。再生できるのはたった1音でも、サウンド的に最高のものをつくりたかったので、125kHz/12bitの仕様を実現した。MIDI以前の時代なので、まずクリック・トラックを作成して、それでトリガーしながら求めるグルーブ感の得られるタイミング探るなど苦労も多かったけど、Hey Nineteenのスネアから始まって、多くの曲で採用されたよ」いかにも経験と歴史を感じさせるエピソードですね。master5.jpg
イメージから顕微鏡で音を見るような精緻さを想像させますが、あくまでも自身の耳と感覚を信じて作業を行うという、当たり前の事を実践。彼自らの指定のMeyer HD-1モニターに対するこだわりも、自身の感覚を信じるからこその選択と言え、セミナー冒頭でもHD-1のクロスオーバー・ポイントの濁りの無さ、安定した定位感について熱く語っておられたのが印象的でした。
そんな氏からの、ダイナミクスの処理とリバーブに関してこんなアドバイスが登場。「ダイナミクス処理を行う際、どんなプラグインであろうと、3db以上のゲイン・リダクション処理を行わず、3db以上をコンプレス/リミッティングする場合は、2段掛けでダイナミクス処理を行うんだ。」また、通常のコンプ/リミッターを掛ける際はプラグインの種類にこだわらず使用しているようですが、ドラム、ホーン・セクション、バック・ボーカルなどは、バス経由でAUXフェーダーにまとめ、t.c.electronicのMaster Xでマルチバンド・ダイナミクス処理を行うのが通例のようでした。その他、氏が開発したプラグインが大活躍するのはもちろんですが、t.c M5000に独自のアルゴリズムを組んでマスタリング処理を行ったノウハウをもとに開発されたDetailerは、ミックス素材の中に入って各楽器を磨くような処理が可能で、素材の解析、音程情報に基づく音楽的な倍音処理など、Roger Nichols氏のノウハウがすべて内包されているといっても過言ではないでしょう。愛用者の方からは、まさに目からウロコの機能が満載で、なぜ今迄こんなプラグインがなかったのかという声をいただいているほどです。
そのリバーブ遍歴は、EMTの鉄板プレート・リバーブからはじまっています。「私は、多くのプラグインで感じる残響のテールの部分に残るコーラスの様なモジュレーションに不満をもっている。そのためにリバーブにはハードウェアを中心に使用してきた。T.C.electronic System 6000やM3000は、非常にいい感じだ!」
rnd3.jpg 現在では、そのSystem 6000のアルゴリズムを移植したVSS-3を中心、ほぼこれでしかリバーブ処理は行わないほど気に入られている模様。その使用法も皆さんが期待されているような特別な操作法と言うものは無く、プリセットを選択して「いい感じ」であればそのまま使ってしまいます。
ミュージシャン達の要望に応える形で、様々な創意工夫を行ってきた氏ですが、ミックスに関してはオーソドックスとも言える信念をお持ちで「完璧なミックスを行う為に、ドラム、ベース、ギター等のそれぞれのトラックを、1つづつ完璧に仕上げてからミックスさせる人もいるようだけれども、全体像が見えていないとかえって時間が掛かってしまう事になるんだ。例えば、ドラムをキックやスネアとかバラバラに完璧にいくら仕上げてもドラムセットにならない。1つのトラックを調整したら、その都度ミックス全体を再生して、他との整合性を見ながら磨きをかけていくのが良いやり方ではないかな。」文中にも出てきた「いい感じ」という言葉を良く使われていた氏は、感性と理性のバランス感覚が非常に高い次元で融合している様に見えました。
過去に氏が出がけてきた珠玉の名作のマルチ・データを聴きながら(!!)様々な話題やティップスを披露していただいたが、次に、氏の開発したプラグインに関して触れてみたいと思います。
DETAILERは、氏が開発したマスタリング専用機をソフトウェア化したもので、3バンドのマルチバンド・マスタリング・スイート。ミックスの内部に潜り込んでトラックを磨くように倍音をコントロールし、さらにラウドなミックスの作成を行う事も可能で 「レコーディング素材に倍音が含まれていないと効果は出ないよ。豊富に倍音を含んだ生楽器や声の素材に威力を発揮するね。シンセで出したオルガンやピアノなど については、トラックが増えて音が重なってくると効果が出にくく、音が前に出て来なくなるね。倍音が少ないので、それぞれの楽器の輝きが出ないからだね。」master6.jpg
先にも紹介したように、オーソドックスとも言える理論もお持ちの氏は、やはりレコーディングされたトラックの完成度を重視しているようで、「最初に録音された素材で問題があるものは、いくら作業を重ねても良くはならないものだよ。」とのコメントにも表れている通り、プラグインの開発にも反映されているようです。
その他、その名の通りユニークな動作も可能なUniquel-zerについては、「Uniquel-zerは、最大±24dBのブースト/カットが可能だけど、コンソールだったらせいぜい+/-1dB程度しか使わないね。しかし、例えば強力なハムやノイズを取り除きたいとしよう。その場合は、極端なカットを行う場合があ る。EQを2個重ね、-48dBのノッチして使うことも出来る。そういうツールを提供することも必要なんだ。逆にブーストだけど、素材の問題ある帯域を大 きくブーストして、その問題箇所を見つける拡大鏡としても使うことができる。それは使い方次第ということだね。Uniquel-izerは、シェルビング の種類によってアルゴリズムも違っていて、パライコで20dBもブーストすると不自然なサウンドになるけど、ノイズを取りたい場合はノッチを選べば、ノッ チに最適化したアルゴリズムで処理するので、サウンドを乱さないんだ。」
さらにマスター・リミッターであるFINISについては、FINISのクレスト・ファクター・メーターは、ピーク・レベルとRMSレベルの差を表示するので、リダクションを確認でき、ダイナミックレンジの変動を見ることができ る。またFINISのリミッティングはとてもインテリジェントで、一般的なリミッターは0dBを超えないセッティングにすると、入力が0dBを超えた時点 で、超えた信号をリミットするんだけど、FINISは32bitの内部処理のもと、0dBを超えた信号のビットデータの時間的振る舞いを理解した上で、リ ミットを行うんだ。アナログハードウェアを真似て作ったプラグイン製品 も沢山あるけど、僕の発想は違って、何かを真似て作るんじゃなくて、「こういうことは出来るかな?」といった発想に基づいて、トライしているよ。」
rnd2.jpg様々な現場で、賞賛される仕事をこなしてきた氏だからこそ重みのある言葉を聞くことができたが、「個人的にはトラック毎にコンプレッションする方法が自分の好みでな いとしても、音楽の内容が良ければ、僕はそのCDを買うしね。例えばbabyfaceのビッグヒット“When can I see you?”には、1曲を色んな方法でレコーディングした、テイストの違うバージョンがいくつか入っているんだけど、どのバージョンにしてもヒットする可能 性を秘めている。それは曲がいいからであって、方法に依存していないということなんだ。」というコメントからも、一流の人間が持つ柔軟な考え方もお持ちなのが伝わってきます。
セミナーの進行では、アメリカン・ジョークを連発するほどフランクな氏。ご参加いただいた方の様々な分野におよぶ熱心な質問にも丁寧にお答えいただき、柔らかでかつダイレクト、情報密度の高いすばらしい時間を持つことができました。ご協力いただいた皆様に、こころより感謝いたします。
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*記事中に掲載されている情報は2007年06月15日時点のものです。