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JPPA DOLBY ATMOS勉強会レポート


JPPA(日本ポストプロダクション協会)オーディオ部会のDOLBY ATMOS勉強会が開催されました。30名の募集のセミナーに40名以上が参加と、業界全体のDOLBY ATMOSへの注目度の高さを感じさせるセッションでした。2日間にわたり、開催された今回のセミナーですが、初日は、DOLBY社での座学と実際に上映されている劇場での視聴。2日目は、国内唯一のDOLBY ATMOS対応のダビングステージである東映様へお伺いして実際の作業環境などを見学するという非常に濃い内容。残念ながら、初日しか参加ができませんでしたがその模様をレポートしたいと思います。
先ずは、座学。ここでは、DOBY ATMOSがどのようなものなのか?どのような設備により制作されるのかを学びました。その内容は、別の記事(//pro.miroc.co.jp/2013/07/02/3d-suround-dolby-atmos/)をご覧いただくとして、実際に構内での導入の際にガイドラインとして利用されている資料から、劇場、ダビングステージでのスピーカーのセッティングとモニタリング環境の構築方法を中心に解説がありました。
その制作概要を簡単にご説明すると、ATMOSには128chのオーディオトラックが用意されており、そのうち10chがミックスのベースとなるBedと呼ばれる従来の7.1chサラウンドトラックにTOPレイヤーの2chが加えられたもの。このBedのミックスは、今まで通りのサラウンドミックスで作るということになる。しかし、現時点ではDAW側にATMOS BED対応の9.1ch Pannerが無いため7.1chのサラウンドバスと2chのバスを組合せての制作になっているということだ。いち早くDAW側の対応がまたれる部分である。
ATMOSの特徴であるオブジェクトは残りの118chを対象としている。現時点では、Pro Tools ようにAAX pluginとして用意されているATMOS Pannerにオブジェクトの位置情報を書き込んでいくことになる。そして、そのモニタリングはATMOS PannerからRMUと呼ばれるレンダリングユニットに送られ、劇場、ダビングのスピーカーの台数に合わせて定位がレンダリングされ任意の出力から再生されることになる。ATMOS Panner自体は、Pro Toolsのセッション内にインサートされるが、そのトラックのオーディオデータ、出力には一切の影響を及ぼさない。あくまでも位置情報をオートメーションデータとして記録し、RMUを動作させるものである。
この説明は、先日弊社主催で行われたAVID Creative Summit 2014内で東映の畠山氏にご解説いただいている動画を公開しているので是非ともご参考いただきたい。(//pro.miroc.co.jp/2014/05/28/avid-creative-summit-201405/
最後に国内でのDOLBY ATMOSの導入状況の紹介があった。本セミナー時点での国内上映館は6スクリーン。
・TOHOシネマズ ららぽーと船橋(開業2013年11月22日)
・イオンシネマ幕張新都心(開業2013年12月20日)
・TOHOシネマズくずはモール(開業2014年3月12日)
・イオンシネマ和歌山(開業2014年3月16日)
・TOHOシネマズ日本橋(開業2014年3月20日)
・シネマサンシャイン平和島(開業2014年4月25日)
また今後の決定しているスクリーンは以下の2スクリーン
・イオンシネマ名古屋茶屋(開業予定2014年6月27日)
・シネマサンシャイン下関(開業予定2014年7月)
ATMOS上映館を地図上でサーチできる映画館検索ページはこちら>>>
(http://www.dolby.com/jp/ja/consumer/content/movie/theater/find-a-cinema.html?ct=Dolby-Atmos)

世界的には5月22日時点で475スクリーンが稼働しており、北米ではすでに164スクリーンが 稼働中。ATMOS対応のスタジオも世界的に見ると69となっている。
そして、国内でもATMOSでの制作が決定した作品がついに決定!!2015年春公開予定の「THE NEXT GENERATION パトレイバー」がATMOSで制作されることになったということです。今から、公開が楽しみですね!!!
座学のあとは、実際の上映館での視聴。作品は話題の「アナと雪の女王」を鑑賞しました。全編がディズニーらしくミュージカル仕立てで物語が進行しますが、ATMOSシステムの特徴でもあるフルレンジ再生を行うサラウンドスピーカーは音圧レベルとしても従来の感覚を覆します。サイドまで回りこませた音楽のミックスは会場を包み込むようなライブ感を演出していたのが印象的。始まったばかりのATMOSミックスですので、実験的な部分も含まれていたかもしれません、しかし激しく頭上を音が飛び交うようなこともなく、セリフ、歌はセンターに定位して画面に集中させることを意識したと思われる非常に落ち着いたミックス。もちろん吹雪のシーンなど頭上からのサウンドが効果的に使用されていました。筆者は、ATMOSでの2つ目の作品でしたが、新しい、音での表現、再現ということを改めて強く感じます。今後の動向も(特に映画館以外での活用にも期待が膨らみますね)、これから公開の作品も全てが楽しみな最新サウンドシステム。皆様も是非映画館へ足を運んで体験下さい!

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*記事中に掲載されている情報は2014年06月06日時点のものです。