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PreSonus のオーディオ・デバイスが実現する、コンパクトな Live Rec システム


LOVE PSYCHEDELICO の作品で知られるエンジニアの山田ノブマサ氏は、PreSonus のFireStudio と2 台のDigiMax FX、そしてPro Tools 9 を組み合わせ、24ch のレコーディング・システムをコンパクトに構築。ライブ録音に積極活用しています。確かに、3U サイズで24ch 入出力が使えるというのは非常に魅力的。そのシステムを構築するに至った経緯について、じっくりと話を伺ってきました。

日本には素晴らしいジャズ・メンが多いので、記録しておかない手はない

―― 山田さんは最近、ライブ・レコーディングを多く手がけているそうですが、以前からスタジオの仕事と並行してやられていたのですか?

山田 やっぱりスタジオの仕事がほとんどで、レコーディングやミックスを手がけたアーティストがビデオやDVDを作るというときに、頼まれて中継車に入って収録を手伝ったりした程度です。ライブ・レコーディングの仕事でよく憶えているのは、チューリップ。2000 年の秋に府中の森音楽劇場と東京国際フォーラムで行われたコンサートを収録したんですよ。チューリップ・クラスのアーティストだったら、タムコさんやSCI さんの中継車を呼んで収録するのが普通なんですけど、このときは自分の機材を持ち込んで収録してみたんです。当時はPro Tools が作業の中心になり始めた頃で、担当ディレクターと話して、おもしろそうだからPro Tools を持ち込んで録ってみようということになって。
今でこそPro Tools でのライブ・レコーディングは当たり前になっていますけど、当時はまだそんなことをやっている人はほとんどいない頃ですよね。Pro Tools はPro Tools|24 Mix で、数十ギガ・バイトのUltra Wide SCSI ハード・ディスクを5 台くらい繋いで収録したのを憶えています(笑)。まだコンピューターが速くなかったので、負荷を分散させるために1 台あたりのトラック数を8 くらいに制限して。収録チャンネル数は40ch 程度で、回線は頭分けで貰い、マイク・プリアンプは自分の手持ちのものとレンタルした機材で何とか揃え、かなり大規模なシステムでした。この録音はこのスタジオ(註:山田氏のamp’box Recording studio)でミックスして、ライブ・アルバム『LIVE ACT TULIP 2001 年 心の旅』としてリリースされています。

―― そんな山田さんがライブ・レコーディングに積極的に取り組むようになったきっかけは?

山田 僕はもともとドラマーで、学生時代はジャズにどっぷり浸かっていたんですよ。ただ、プロのエンジニアになってからは、手がける仕事はポップスやロックが中心だったので、ジャズからは少し離れていたんですよね。でも3 年くらい前からまたジャズに目覚め始めて、ライブ・ハウスでセッションとかに積極的に参加するようになったんですよ。東京や横浜には、セッションできるジャズのライブ・ハウスがたくさんありますからね。
そんなことをしているうちに、ジャズ・ミュージシャンの友だちが増えてきて、日本には素晴らしいジャズ・メンがたくさんいるということを改めて認識したんです。プロでバリバリやっている方はもちろん、アマチュアの方まで、本当に素晴らしいミュージシャンがたくさんいらっしゃるんですよ。そんなときにふと、こういったセッションのパフォーマンスを記録しておけないかと思ったんですよね。
(取材時に使用していたレコーダーを指差して)もちろん、こういうフィールド・レコーダーを使って録ってもいいんですけど、それだとそれなりのクオリティになってしまいますし、マルチ・マイクでしっかり記録したいなと。名盤と呼ばれるジャズのレコードって、その場のパフォーマンスをそのまま収録したものが多いじゃないですか。そういうレコードって、言ってみれば時間の芸術ですよね。決して未来から過去に戻らない、その瞬間のパフォーマンス。お客さんの反応も、ミュージシャン同士の掛け合いも、一度きりのパフォーマンスだからこそおもしろかったりするんですよ。そして東京や横浜をはじめ、日本のどこかで、毎晩毎晩素晴らしいセッションが行われているわけじゃないですか。僕はプロのレコーディング・エンジニアでもあるわけですし、これは記録しておかない手はないなと。それと僕ももういい歳なので、仕事としてではなく、ライフ・ワークとして音楽と関わっていきたいなと考えていた時でもあったんですよ。
もちろんこれからも、レコーディング・エンジニアとしてポップスや歌謡曲といった音楽とは関わっていくんですけど、それとは別に、ライフ・ワークとしてジャズやラテン、ブルース、等のいわゆるONE TIME PERFORMANCE(ワン・タイム・パフォーマンス)な音楽と関わっていきたいなと。そしてそっちでは、商業音楽ではなく、アートとしての音楽を作っていきたいなと思って。それがライブ・レコーディングを始めようと思ったきっかけですね。

PreSonus のI/O とPro Tools 9 を組み合わせ

―― ライブ・レコーディングに使用しているシステムについておしえていただけますか。

山田 コンピューターは現行のApple MacBook Pro 15 インチ・モデルなので、CPU はクアッド・コアのCore i7。DAW ソフトウェアはAvid Pro Tools 9 で、オーディオ・インターフェースはPreSonus の1U で26ch 入出力を搭載したFireStudio ですね。FireStudioにはADAT デジタル入出力が2 系統備わっているので、そこにPreSonus のADAT 入出力を搭載した8ch マイク・プリアンプのDigiMax FS を2 台接続して、アナログ24ch 入出力のオーディオ・インターフェースとして使用しています。あとはスタジオの仕事で使用しているマイクやマイク・プリアンプ、アウトボードを必要に応じて持ち込むという感じですね。

―― Pro Tools はバージョン9 でCore Audio / ASIO に対応し、Avid / M-Audio 製以外のオーディオ・インターフェースも使用できるようになったわけですが、PreSonus のものを選択した理由は?

山田 ある程度のチャンネル数が使えて、すべての入力にマイク・プリアンプが備わっていて、なおかつコンパクトなもの……という僕の条件を満たしていたのがPreSonus の製品だったんです。知り合いにおしえてもらって、まずは代理店さんからお借りして試してみたんですが、動作はもちろん、音質もまったく問題無くて。何より24ch 分のオーディオ・インターフェースとマイク・プリアンプが、3U ラックに収まってしまうというのが最高ですよね。僕が使っているPreSonus の製品はすべて奥行きが僅か180mm、重量もトータルで10kg 以下なので、ライブ・ハウスへの搬入も1 人でラクに行うことができます。

―― ライブ・レコーディング用のオーディオ・インターフェースとして使う場合、入力は24ch程度は必要ですか?

山田 ほとんどの場合は16ch でも問題ないとは思うんですけど、やっぱり24ch あると安心ですよね。現場でいろいろやりたくなったときに対応できますから。

―― PreSonus のFireStudio やDigiMax FS にはPreSonus の伝統的な“XMAX” というディスクリート設計のクラスA マイク・プリアンプが搭載されているのですが、そのサウンドはいかがですか?

山田 まず驚いたのが、音の芯をしっかり捕らえてくれること。この価格帯でここまで音の芯を捕らえてくれるというのは凄いですね。それとこれは設計がしっかりしているんでしょうけど、ヘッドルームが大きいところも“XMAX” の特徴だと思います。
プロの現場で使えるかどうかという点で、ヘッドルームの大きさというのはとても重要なんですよ。このくらい大きく確保されていれば、ライブ・レコーディングにも問題なく使用できる。それに、フロントに整然と入力端子が装備されラインにも対応している。ゲインノブのレイアウトがトライアングルになっていたりと、現場をわかって製品作っているなと思います。
もちろん、どんなに素晴らしいマイク・プリアンプでも万能というわけではないので、実際にはGML やCameleon Labs ものとかと使い分けていますけどね。しかしそういったマイク・プリアンプと比べても、クオリティ的には何ら遜色がないと思います。レコーディング・スタジオで、商業作品を作れるレベルのマイク・プリアンプというか。それが24ch ぶん揃っているのは嬉しいですね。

―― 音色のキャラクターは、どのような感じなのでしょうか?

山田 音の密度がガッツリ詰まったようなサウンドですね。中域がしっかりしているというか。どちらかと言えば、ジャズのような繊細な音楽よりもロックやポップスに合っているサウンドだと思います。

―― FireStudio とDigiMax FS では、搭載しているマイク・プリアンプのクオリティに差は感じられないのでしょうか?

山田 基本的に同一のXMAX マイク・プリアンプを搭載しているということで、使った感じも全く気にならないです。実際には3 台の機器が繋がっているわけですけど、感覚的には全24 チャンネルのキャラが統一された1 台のオーディオ・インターフェースという感じですね。

―― レーテンシーの差は?

山田 それは僕も気になったんですが、問題ないですね。実際に計測すれば、もしかしたら数サンプルの差はあるのかもしれないですけど、ステレオで跨いだりしない限り大丈夫だと思います。正確を期すなら、ワード・クロックを並列に分配するのがいいかもしれないですね。僕はFireStudioをマスターにして、2 台のDigiMax FS を数珠繋ぎにしているんですが、まったく問題ありませんし、全機種にワード・クロックのターミネーターが付いているのもポイントですね。

MacBook Pro 内蔵のHDD でも問題なく収録できる

―― このライブ・レコーディング・システムは、もうけっこう使われているのですか?

山田 ちょこちょこテストしていて、本格的に使用したのは9 月初旬の“ けもの”というジャズ・バンドのライブが最初ですね。そのときは、ボーカル、ピアノ、アコースティック・ギター、ベース、ドラムという編成で、ピアノに2 本、ドラムに5 本、アンビエンス用に2 本のマイクを立てたので、計12ch のレコーディングでした。ベースはラインで録りましたね。セッション・フォーマットは、24bit の48kHz です。

―― その際、使用したマイクについておしえてください。

山田 ピアノにはAKG のC-414 を2 本使って、ドラムはトップにM-Audio のSputnikを2 本、キックにはSennheiser のMD 421、スネアとハイハットにはShure SM57 を立てました。アコースティック・ギターに立てたのもSM57 ですね。ドラムのトップに立てたSputnik はお気に入りのマイクで、よく使っています。
ボーカルは自分が持ち込んだマイクがあまり合わなくて、結局PA さんが立てたAUDIX を使わせてもらいました。アンビエンス・マイクはAKG のC-451B を2 本、客席に立てました。今回のマイク・プリアンプに関しては、ドラムにはすべてCameleon Labs の7622 を使いました。ベースにも使用したので計6ch ぶんですね。
ピアノとギター、そしてボーカルにはGML の8304。アンビエンス・マイクにはFireStudio内蔵のXMAX マイク・プリアンプを使用しました。このときはAPI の550 も持ち込んで、ドラムのトップとピアノ、ボーカル、ベースに使いましたね。繋ぎ方としては普通のレコーディングのときと同じで、7602 の出力を550 に入力して、FireStudio とDigiMax FS に送っている感じです。

―― EQ はどのような使い方ですか?

山田 やっぱり生ピアノは、曲の中に何カ所かピークができるので、そこを切らないといけないんですよ。あとは部屋鳴りと被りが気になる中低域をカットして。550 の場合は3 バンドなので、もう1 バンドあればあと1 カ所カットで切るんですけどね。基本的にはハイを持ち上げて、音が硬い部分……3kHz くらいだったと思うんですけど、そのポイントをカットし、ローは若干持ち上げたて。そんな感じで音を整えていきました。

―― レコーディング時のモニターについておしえてください。

山田 FireStudio のヘッドフォン端子で、Pro Tools で作った仮のミックスをモニターしながらレコーディングしました。だから若干レーテンシーがあるんですけど、僕は演奏するわけではないので問題ないですね。それとFireStudio は、ヘッドフォン出力とは別にミックス・アウトが出せるんですよ。だからそこにKORG MR-2 を繋いで、ミュージシャン用の仮ミックスを落としました。これはバックアップ的にも便利ですね。

―― 実際に現場で使用して、PreSonus のオーディオ・インターフェースとProTools 9 のコンビネーションはいかがですか?

山田 動作はまったく問題ないですし、繰り返しになりますがそのコンパクトさがいいですよね。すべてのチャンネルにXMAX マイク・プリアンプが搭載された24ch のオーディオ・インターフェースが、わずか3U のラックに収まっているわけですから。10 年前のチューリップのライブ・レコーディングのときに使用したPro Tools|24 Mix システムと比べると、そのコンパクトさには本当に驚きますよ。Power Mac 9600 と888|24 I/O を数台、そして大きなハード・ディスクを大量に持ち込んでいたのが、今ではMacBook Pro と3U のラックで済んでしまうんですからね。テクノロジーの進歩って凄いですよね(笑)。

青羊のプロジェクトである「けもの」の公式サイト:kemono.pupu.jp

―― ストレージは、MacBook Pro 内蔵のものを使用しているのでしょうか?

山田 そうです。5400rpm のものなんですが、問題なくレコーディングできていますね。しかし近い将来、安全性という意味で7200rpm のものに換装しようかなと思っています。それと9 月の終わりに近藤夏子というアーティストが渋谷のCLUB QUATTRO で行ったライブを24ch レコーディングしたんですけど、そのときは音量が大きかったからか、ディスクエラーで一瞬止まってしまったんですよ。おそらく、大音量による振動で、MacBook Proの緊急モーションセンサーが働いてしまったんですよね。だからその後、ライブ・レコーディングのときは緊急モーションセンサーをオフにするようにしました。環境設定とかではオフにできないのでターミナルで設定していきます。

―― 今後も積極的にライブ・レコーディングを行っていかれるのでしょうか?

山田 そうですね。こういうコンパクトなライブ・レコーディングのシステムが手元にあると、これから作品の制作方法も変わってくると思うんですよ。今までは最初にCD を作ることを決めて、そこから初めて予算を用意して、レコーディングを行ってきたわけじゃないですか。それがこういうシステムを持っていれば、「何も決まっていないけど、とりあえず録っておこう」ということが可能になる。とりあえず録っておいて、もし良いパフォーマンスだったら作品として出せばいいわけですから。
レコーディングの経験がある人は分かると思うんですけど、「これから録りますよ」というあらたまった感じだと、気負って良い演奏ができない場合もあるんですよ。逆にその緊張感が良いパフォーマンスを生み出す場合もあるんですけどね。だから今後は、音楽文化の継承の為にも低予算で、どんどんレコーディングしていきたいと思っています。
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*記事中に掲載されている情報は2011年12月02日時点のものです。