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NUENDO 5 遂にその全貌が!?

NUENDO5_top
(こちらの記事は、ProceedMagazine 2010Summerより掲載しています。掲載当時の情報となります。)


§ついにベールを脱いだNUENDO5

CUBASE5から遅れること約1年半、ついにNUENDO5がベールを脱いだ。とかく今まではCUBASEとの差異がユーザーには認知されにくかったことも事実だったが、今回のバージョンアップでかなりの違いが明らかになってきた。ポストプロダクション向けという色が強いNUENDOだが、実はそんなことも無い。NUENDO EXPANSION KITをインストールすれば、ミュージックプロダクションもCUBASE5とほぼ同機能を持つことになる。すなわち、ポスプロという枠を超えて、音を扱うプロダクションワークであればどんな現場でもフィットするということだ。
筆者のように、ミュージックプロダクションワークとMA業務など、混在して仕事をしなければならない環境下ではNUENDOは非常に重宝する。そしてついには64bitOSにもフル対応し、メモリを消費する重たいVSTiなどを複数扱うことも可能になったのだ。今までは安定性や負荷の問題でDSPベースのシステムが重宝されていたが、今後はネイティブ環境下で動作する進化したNUENDO5が業界で注目されることは言うまでもない。PCの進化も加えて、ついにはDSPベースのシステムと何ら遜色の無い制作環境が提供されているのも事実だ。そんな進化を遂げたNUENDO5の全貌を紹介しよう。


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§洗練されたプロジェクトウインドウ

NUENDOに慣れ親しんでいる人が口々に言うのが、ユーザビリティがよく考えられたインターフェースということ。一目で作業状況が判断できるプロジェクトウインドウは一度慣れると他のDAWには移れなくなる。今回のバージョンアップでも細部に渡ってそのユーザビリティーは向上している。小さいことではあるが、ポスプロスタジオなどはプロジェクターの投影などの問題で部屋は薄暗い状況が多い。NUENDO5はそんな制作環境も考えて薄暗い状況下でも作業効率が上がるように明るすぎない画面トーンを微妙に調整して表示している。もちろんカスタマイズも可能ではあるが、NUENDO5を初めて見ると前バージョン4に比べると少し落ち着いたトーンになっている。憎い心配りだ。
さて、今までユーザーからの改善要望も多かったイベント情報ラインもかなり見やすく、大きくなった。これによってイベントの編集・管理は飛躍的に効率化され、スムーズな作業が可能となる。もちろん表示させたい情報は編集が可能なのでユーザーにとって使い易いようにカスタマイズできる。そして、CUBASE5でも話題だった、VariAudioがNUENDO5にも搭載された。プラグインをインサートするまでもなく、ピッチ調整が簡単に行える。編集したいイベントを選択しボタンひとつですぐに編集に取りかかれる。もちろん流行りのケロケロボイスもすぐに作成することができる。
STEINBERG社製のDAWならではのスタックレコーディングもさらに進化し、レーン表示されたイベントはプロジェクトウインドウ上でエディットが出来る。煩雑になりがちなテイク管理も視覚的に行えるので作業ミスも減る。
さらに、オーディオファイル内の編集も充実している。オーディオの位置、長さを自在に変えることが出来るのだ。このフリーワープという機能は映像とのタイミングの調整やアフレコでのリップシンクを取るときなどには重宝する。ちなみにちょっとしたタイミングを合わせるためにオーディオを伸び縮みさせてもプロセッシングは非常に自然だ。オーディオファイルを切り貼りして編集しなくて良いことは、作業効率を大幅に引き上げるはずだ。


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§進化したメディアベイ

飛躍的に進化したメディアベイは今回のバージョンアップの目玉の一つだ。MA作業等で効果音を探す際に苦労をされる方も多いと思う。検索対象のドライブやフォルダーを設定すれば、欲しいファイルにすばやくアクセスできるのがこのメディアベイの魅力。今回のバージョンからファイルのプレビューも波形表示されるようになったので、一つのファイルにいくつかの音素材が混在しているときなどに見逃しがちだった、後半の音素材も視覚的に確認、試聴が出来ることは非常にありがたい。プレビュー画面では欲しい部分だけを選択してドラッグアンドドロップでタイムラインに並べることが出来る。また、メディアベイの表示カスタマイズも簡単に行える。今までこの機能を使っていない方がいれば是非一度試して頂きたい。


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§最大32トラックのマーカートラック

マーカートラックが複数扱えることは、色んな要素に応じてマーカートラックを作成することが可能となる。すなわち、ダイアログのマーカートラック、音楽のマーカートラック、SEのマーカートラックなど、用途に合わせてマーカートラックを作れる事は作業効率を上げ、またプロジェクトウインドウの整理にもつながる。新機能としてビデオエディターから吐き出されるCMX3600 EDLの読み込みも可能になり、映像編集時のマーカーとリンクすることが出来るようになった。
マーカートラックを複数選択した場合には時系列にロケーターを移動できるので、音楽とSEを編集したいときにはこの2つのマーカートラックをアクティブにしておけばよい。後々に煩雑になるため、安易にマーカーを打つことをためらっていた方には非常に整理しやすい機能だ。


§プロツールスとの互換
プロツールスから受け取ったマルチモノファイルはプロジェクトウインドウ上で簡単にインターリーブファイルに変換が可能だ。もちろん編集・フェード情報は維持されるので、ファイルをプロツールスとやり取りする際には非常に便利な機能だ。また、プロツールスへファイルを受け渡す際にインターリーブファイルをマルチモノファイルに変換することも同じく簡単に行える。以前のバージョンではOMFファイルのやり取りにトラブルがあったがNUENDO5ではかなりの問題点を解消したとのこと。今後は両者のやり取りもよりスムーズになることが予想される。スタジオ間を渡って作業される方にとっては、快適なデータのやり取りが可能になるだろう。


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§新しい機能、クリップパッケージ

ジングルやサウンドロゴなどを作る際、いくつかの音素材を重ねて作ることは一般的だが、繰り返して使う際、作業上少し煩雑であったことは否めない。また、プロジェクトファイルをまたがる場合には2MIX等に吐き出したりするなど、工夫が必要だった。ところが、今回新しく追加されたこのクリップパッケージは一部分のオーディオファイルのかたまりをひとつのクリップパッケージファイルとして保存することが出来るようになったのだ。一度保存すると、オーディオファイルを含んだファイルとして生成されるので、ドラッグアンドドロップでどんなプロジェクトにもすべてのオーディオファイルとフェーダー情報などをインポートすることが出来る。しかもこのクリップパッケージファイルはメディアベイでも管理できるので、繰り返し使われるサウンドロゴやSEなどは是非アーカイブしておきたい。過去に作成したクリップパッケージを読み込んでフェーダーバランスを変えたり、一部の音素材を変えたりすれば、同じクリップパッケージを用いてもバリエーションを持たせた音作りも可能になる。


§ミックスウウインドウの進化

今回のバージョンアップで追加された機能でユニークなのがWAVE Meterである。WAVE Meterはミキサー上に波形を表示することが出来る機能で、オートメーションを書き込みたいときにミキサー上で波形を見ながら書き込むことが出来る。今まではプロジェクトウインドウとミキサーウインドウはデュアルモニターにしないと両方を大きく表示させることが出来なかったため、波形を見ながらのオートメーションの書き込みは意外と難しかった。ノートパソコンなどでオートメーションワークをしなければならないときはこのWAVE Meterは非常に便利である。
そしてNUENDO5からはDirect Routing機能が追加された。これによって各チャンネルから複数のルーティング先が選べるようになった。さらにバランスを変えることなくアップ・ダウンミックスが行えるようになり、ルーティングの変更、選択もミキサーウインドウ上からクリックひとつで出来る。サラウンドのミックス後にダウンミックスを作る際などに重宝しそうだ。
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§オートメーション機能が充実

オートメーションを修正したときに、修正前と修正後との比較が簡単に行えるようになった。Automation Panelのパスシステムで視覚的にオートメーションをリコールしたり比較・確認したりすることが出来るのだ。例えば、修正したい箇所を納得がいくまで何度も書き直して、その中から気に入ったパスを選ぶこともできるので、かなり追い込んだオートメーション作業が可能となった。
またNUENDO5 からはオーディオファイルを書き出す際にバッチエクスポートが出来るようになった。各チャンネルをパラ出しする際などは非常に便利だ。すなわち、出来上がった楽曲などを他のDAWなどに持っていく際に、自動的に各チャンネルのオーディオファイルが生成される。また、サイクルマーカーを使用するとマーカー間のみのオーディオファイルのエクスポートも可能だ。面倒だった複数チャンネルのオーディオも、設定さえ行えば、後は自動的にエクスポートしてくれる。


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§強化されたサラウンドパンナー

Surround Panner V5と銘打った新しいパンナーは今までのパンナーの常識を覆す仕様となっている。例えば、カメラパンに合わせて音像を回転させることもできるのだ。今までのパンナーだと、素材ごとを各チャンネルのパンナーで回転させることが必要だったが、サラウンドのミックスバスで出来上がった音像を回転させることも出来る。カメラワークで映像が回ったときなどに、効果的に使える今までありそうでなかった機能だ。
そして「イコールパワーテクノロジー」によって音量差を感じることなく信号をスピーカ上で移動させることが出来るようになった。特に今まで認知しにくかった前後のパンニングがスムーズに感じるようになったといえばご理解頂けるだろう。ステレオ素材のサラウンドパンニングはローテーション機能と組み合わせることで今までにないサラウンドミックスが可能になる。音像を回転させながら前後させることも簡単に出来るのだ。どんな映像のシチュエーションにも対応できる新しいSurround Panner V5はアイディア次第で今までとは違ったミックスが出来るはずだ。


§強化されたビデオエンジン

ファイルベース時代の、映像圧縮の定番となりつつある、H.264、すなわちAVCHDコーデックにも対応になった。さすがにデコードにCPU負荷がかかるため、相応のマシンが必要とされるが、いよいよHD時代に即したMAがプロジェクトウインドウ上で可能になる。そしてNUENDO5からOPEN GLにも対応した。高画質な映像を損なうことなく再生させながら作業を進められる。そしてWINDOWS上でもIEEE1394(FIREWIRE)経由で映像を出力することが出来るようになった。
もちろん先般発売になったSYNC STATIONもネイティブでサポートしているので、デッキやHDDプレーヤーなどを介した同期作業も問題なく行える。ちなみに他のDAWシステムで外部機器と同期させた場合LOOP機能が使えないことが多いが、NUENDO5 では外部マシンを同期させたときもLOOP機能を使うことが出来る。巻き戻しに多少の物理的時間はかかるものの外部機器を同期させた場合にLOOP機能が使えることはうれしい。


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§VSTプラグインもさらに充実

CUBASE5で話題のコンボリュージョンリバーブREVerenceも、もちろん追加された。ホールなどのIRはもちろんのこと、NUENDO5 ではガレージ、キッチン、ロッカーといったポスプロで活躍しそうなIRデータが追加された。これによってアフレコや効果音などを後から追加する場合、映像シーンにあった残響効果が得られるのだ。もちろんサラウンドにも対応しているのでREVerenceひとつでリバーブワークは完結できる。また、ユニークなプラグインPitch Driverも追加された。これはピッチをリアルタイムに変化させられるので、特殊な効果を狙うことが出来る。ピッチをオートメーションさせるといった今までには無かったサウンドを生み出せる機能だ。
NUENDOユーザーであれば、何かと重宝していたSMPTE Generator、Test Tone Generatorも新たにVST3にバージョンアップされ、ユーザインタフェースも一新し、使いやすくなった。サラウンドの音場調整の時などはTest Tone Generatorを活用してほしいい。

§新たに追加されたバックアップ機能

今までもプロジェクトファイルのバックアップ機能はあったが、NUENDO5からは予備のハードディスクにプロジェクトごとファイルをバックアップすることが出来るようになった。いままでのように同じフォルダー内にバックアップファイルを生成するのではなく、予備ハードディスクにバックアップを取るので、万が一ハードディスクが壊れるような事態に遭遇してもデータを失うことはない。このとき、現在のプロジェクトをアクティブにしたままの状態で予備ハードディスクに、オーディオファイルや映像ファイルをはじめ、すべてのパラメータをバックアップできるので、NUENDO5では必ず使いたい新機能だ。
新しくなったNUENDO5のすべてをここでは紹介しきれないが、音を制作する上で、どんな場面においてもフィットするアーキテクチャーは他に比肩するものは無いと言えるほどの充実ぶりだ。音楽制作ソフトでトップシェアを誇るCUBASE5の機能を完全に包含し、ポスプロで要求される複雑なワークフローにも適応するNUENDO5は“やりたいこと“を必ず実現してくれるはずだ。蛇足ではあるが、サンプリングレートが384KHz(!)まで対応していることを考えても、NUENDO5がいかに優れているか想像していただけるであろう。ネイティブ環境で作業を考えておられるプロフェッショナルの方なら迷わずNUENDO5を選んで欲しい。

*記事中に掲載されている情報は2010年11月30日時点のものです。