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MicReview Vol.1/Neumann U87Ai
これから、マイクロフォンのレビューを連載形式で1本ずつ紹介していきます。記念すべき第1回目はやはり定番中の定番,ワールドスタンダードのこの1本、U-87Aiを紹介したいと思います。
お見積もり、ご相談は、下記お問い合わせフォーム、または お電話(03-3477-1776)/FAX(03-3744-1255)メールにてもお待ちしております。
営業担当:岡田、梓澤、伊藤、前田までお気軽にどうぞ。
録音スタジオでは、無いところを探す方が難しい・・・それほどの定番マイクです。何はともあれ87を、といったマイクになります。もちろん、歴史の長いマイクですので初代のU-87,に始まりU-87i,U-87Aiと進化を続けているマイクです。最近では40周年のアニバーサリーモデル、U87 Anniversary Setも発売されたりと、息の長い人気を誇っています。
歴史
世界を代表するNEUMANNの歴史は第2次世界大戦の前にまでさかのぼります。最初に有名になった物は、戦時中に軍用として開発されたマイク、CMV-3で、ヒトラーも演説で使用し今も写真等で確認することが出来ます。特徴的な中域を持つ真空管のマイクでした 。現在BLUEのBottleがこのマイクのスタイルをまねて(見た目だけですが)デザインされています。その後、現在でもビンテージの頂点に君臨するU-47が作られ、次世代のモデルとしてコンパクトで指向性の切り替え機能を持たせたM-49がデビューします。M-49は派生モデルを多く生み出しKM-56,SM69など真空管にAC701を使用したマイクが数多く作られました。そしてマイクの本体の音響特性をも考え抜かれグリルの音の透過特性、マイクボディーの音の解析などをふまえてデザインされたのがU-67でした。そして、真空管からトランジスタへ時代が変わりついにU-87が誕生します。U-67で培った技術をその当時最先端のトランジスタ技術に置き換え誕生しました。
1967年デヴュー当時のU87は、バッテリーを内蔵することが可能な7Pinコネクター仕様となっており、実際にはXLRコネクタと同様、3Pinをホット/コールド/グラウンドで使用、残り4Pinの内2PinをバッテリーON/OFFのジャンパーとして使用するという物でした。
さらに、この7PinコネクターをXLRタイプとし、バッテリーのON/OFFスイッチをXLR端子接合部に取り付け、取り回しを容易にしたタイプがU87iです。
細かい違いはありますが、U87/U87iのタイプに使用されているカプセルは、いずれもK87になっており、ショートからカプセルを守るため、表裏2枚の間に絶縁フィルムが必要になっていました。
そんな中、録音機材の進化が進むと、NEUMANNではU87シリーズのカプセル感度を上げる必要に迫られてきました。
前述した通り、K87カプセルでは感度を上げるために電圧を上げることが困難な仕様になっていましたが、DC/DCコンバーター技術の発達により、+60V/-60Vのそれぞれの電圧を作ることが可能となり、K870カプセルという一体化されたカプセルを採用したU87Aiが1986年に登場しました。
K870は、K87と同等の材質と形状を持ち、従来の音質を犠牲にすることなく、10dBの感度アップとS/Nの向上を実現しています。
時代にあわせた進化を続けたU87シリーズは、現在もU87Aiが世界中のスタジオで使用されており、40周年を迎えた昨年には、ゴージャスな特別仕様U87Ai 40th Annversary Setも登場しています。
サウンドの特徴
Neumannらしい、ふくよかな中域と暖かみの有る低域を持ち、現代のデジタルレコーディングにあわせたハイファイな伸びの良い高域を併せ持っています。兎に角、どんなソースに対しても優等生であり、他のメーカーのマイクではどれだけ追い込んでもたどり着けない深みのあるサウンドを 持っています。
U87の変遷でもご説明しましたが、歴史のあるマイクだけに時期による好みや、伝説もあるようですが、U87/87iのカプセルを洗浄したところ、「音が軽くなった」「ハイ上がりになった」などの報告もあり、オールドといわれる音質の伝説は、カプセルの汚れなどによるハイ落ちで、実は本来の音質ではなかったということも考えられます。
現在まで、連綿と受け継がれているNeumannサウンドは、U87Aiでもしっかり受け継がれており、中でも専用ケース/専用サスペンションも付属したAnniversary Setは、近々噂されるNeumann製品の値上げがあった場合、さらなる価値をもつようになるでしょう!
Neumannらしさ
個人的な意見を書かせていただくとすれば、Neumannのマイクは「あばたもえくぼ」と形容しています。 他のメーカーには決してまねの出来ない、音楽的なサウンドを録音することが可能です。スペックでも、周波数特性でも無く、音楽として気持ちのいい音を録音することが出来ます。高解像度のマイクではちょっとしたミスまでありありとリアルに描き出すことがありますが、なぜかNeumannのマイクを使用するとそのミスが意図的なもの、音楽の一部分として聞こえることがあります。これが、エンジニアがNeumannを好んで使用する一番の要因だと思っています。
まとめ
やはり、マイクを使って録音するのであれば、1本は持っていてほしいマイクです。持っていてよかった、と思う瞬間が必ずある。これが定番となった最大の要因だと思います。また、セッテイングもラフでいいのもこのマイクの美点です。マイクをたてたら、後は音楽に集中出来る環境を作れるのもU-87ならではのポイントです。
次回のレビューにご期待下さい。
Neumann U-87Ai ¥315,000
Neumann EA87 Suspension ¥39,900
Neumann U-87Ai 40th Anniversary Model ¥388,000