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清水 修平

[ROCK ON PRO Sales Engineer]大手レコーディングスタジオでの現場経験から、ヴィンテージ機器の本物の音を知る男。寝ながらでもパンチイン・アウトを行うテクニック、その絶妙なクロスフェードでどんな波形も繋ぐその姿はさながら手術を行うドクターのよう。ソフトなキャラクターとは裏腹に、サウンドに対しての感性とPro Toolsのオペレートテクニックはメジャークラス。Sales Engineerとして『良い音』を目指す全ての方、現場の皆様の役に立つべく日々研鑽を積み重ねている。

Sound on 4π!このムーブメントをシェアしよう!

2021年、いよいよ本格化してきたDolby Atmos Music。音に包み込まれるという体感は今までになかった新たな感動体験を得ることができますよね。今回はそんなイマーシブオーディオへの憧れに想いを馳せているバウンス清水が、Dolby Atmosの匠である染谷和孝氏、古賀健一氏の両名にその魅力から制作の秘訣に至るまで、ざっくばらんに伺っちゃいます!Dolby Atmos環境を整えた古賀氏のXylomania Studioで語られたその内容とは!?


染谷 和孝 氏(株式会社ソナ)
1963年東京生まれ。東京工学院専門学校卒業後、(株)ビクター青山スタジオ、(株)IMAGICA、(株)イメージスタジオ109、ソニーPCL(株)を経て2007年(株)ダイマジック、2014年には(株)ビー・ブルーのDolby Atmos対応スタジオの設立に参加。2020 年に株式会社ソナ制作技術部に所属を移し、サウンドデザイナー/リレコーディングミキサーとして活動中。 2006年よりAES(オーディオ・エンジニアリング・ソサエティー)「Audio for Games部門」のバイスチェアーを務める。また、2010 年よりAES日本支部役員を担当。


古賀 健一 氏
レコーディング・エンジニア。青葉台スタジオに入社後、フリーランスとして独立。2014年にXylomania Studioを設立。これまでにチャットモンチー、ASIAN KUNG-FU GENERATION、Official髭男dism、MOSHIMO、ichikoro、D.W.ニコルズなどの作品に携わる。また、商業スタジオやミュージシャンのプライベート・スタジオの音響アドバイスも手掛ける。


バウンス清水(ROCK ON PRO)
大手レコーディングスタジオでの現場経験から、ヴィンテージ機器の本物の音を知る男。寝ながらでもパンチイン・アウトを行うテクニック、その絶妙なクロスフェードでどんな波形も繋ぐその姿はさながら手術を行うドクターのよう。ソフトなキャラクターとは裏腹に、サウンドに対しての感性とPro Toolsのオペレートテクニックはメジャークラス。Sales Engineerとして『良い音』を目指す全ての方、現場の皆様の役に立つべく日々研鑽を積み重ねている。


音はスクリーンの外も表現できる!

バウンス清水(以下、BS):本日は宜しくお願いします!最初に一番のテーマというか、、一番聞きたかったことをいきなり伺っちゃいます!硬くてスミマセンが、Dolby Atmosの魅力をお二人がどうお考えで、それをどう作品に反映させているのか、というのをお聞かせいただけますでしょうか。

古賀健一氏(以下、K):まず最初に魅力を感じたのはライブミックスですね。元々ライブをどう再現するかっていうのが課題としてあって、サラウンドでミックスしていても何か物足りないな、っていうのがずっとあったんです。会場では上下左右の音を聴いていて、それを僕らは音楽として気持ちいいと思っているから天井にスピーカーがあるというのは会場の再現としてとても効果的だと思います。Dolby Atmos Musicの音だけのミックスはまだやっていないのですが、無限の可能性があるのでアーティストと一緒に何か一つ作品を創ってみたいというのが正直なところですね。自由なキャンパスの中でどうアレンジ・ミックスするか、自分でもワクワクします。

染谷和孝氏(以下、S):僕の方は映像作品が中心なので、映像にまつわることが多くなってくるんですけど、一つ言えることは高さ方向が加わるということは表現力が大きく向上するということですので、音響演出上のポテンシャルが上がったということが大きいですね。古賀さんのお話でもありましたけど「ライブ会場にいる感覚」や「その場にいる感覚」みたいなものが明確に表現できるようになったというのが魅力ですかね。イマーシブは没入って意味じゃないですか、没入感が高くなる、そういった効果が見込めるようになったことですかね。

BS:リアリティを求めて、ってことなんですかね。

S:そのリアルって言葉が難しいんですけど、本当の音場と視聴者の皆さんが感じるリアルっていうのはまた違うんですよ。これはまた別のお話になってきますが、そうですね、簡潔に言えばリアルに感じてもらえる仮想空間を作りやすくなった、というのが一番いい表現かもしれませんね。

BS:さきほど古賀さんのお話に出たDolby Atmos Musicって、言い換えれば音をひとつずつ空間に配置して作品を作るという新たな手法が始まったとも言えると思うんですが、染谷さんもそういった自由度の高い作品って経験されてきたんでしょうか。

S:そうですね、映像作品ですと映像ありきですからね。たとえば、今回の古賀さんとコラボしたライブ作品とかですと、その空間をどのように表現していくべきか?といった「アイデア」を提案できて、しかもそのコントロールを任していただけるようになったというのが大きいですかね。

BS:まず空間を決めるんですか、こういう場所で、どれぐらいの大きさなのかとか。。

S:映像表現は通常スクリーンの中だけですが、音はスクリーンの外も表現できるんですよね。たとえば、登場人物がスクリーンに入って来る前から音を付加することで映像には映りませんが、何かを予感させることができる。そこに高さ方向が加わるので、とても表現力が高くなりますよね。ただ自由度が上がる分しっかり整理していないと時間ばかりかかってしまいます(笑)。

BS:そうですよね!極端なことを言えばスクリーン以外の部分でストーリーが作れてしまうということですもんね!

S:そうなんですよ。オフスクリーンの音響表現も可能ですから、どういうふうに整理整頓して観ている皆さんの没入感を削ぐことなくストーリーを展開するかっていうのはサウンドデザイナーの腕の見せ所じゃないですか。

BS:なるほどー、それは腕と頭脳が要りますよね。。ヤバい!ボク、整理整頓は超苦手っす!

ムーブメントをシェアしよう!

BS:Dolby Atmosは自由度が高いが故の難しさもありそうですよね。現代っ子風に聞いちゃいますが、ズバリAtmos制作のコツとかってありますか?

S:やはり基本になるのは5.1chだと思います。なので、5.1chの基本的な手法をしっかりマスターしておくとAtmosは作りやすいと思いますね。

K:そうですね。5.1chでこうやりたいのにできなかった、ということをDolby Atmosではやれますからね。

BS:なるほど!サラウンドの経験があると近道なんですね!近道大好きです!

S:多分もう古賀さんの頭の中にはAtmosのフォーマットが入っていて、具体的なプランが聴こえていると思うんですよ。頭のなかに7.1.4とか9.1.4があると早いと思いますね。

BS:まず体験するということが大事ということですね!

K:そうですね、この世界を知らないのはもったいなくって、制作者側にも知ってもらいたいですよね、なんせマスキングがないですから!

BS:マスキングがないというのは大きいですよね!ボクもそれは新鮮だと思います。やはり、アーティスト側がいかにAtmosに触れるかが大事な気がするんですが、そういう機会を増やすことが必要ですよね。

K:このスタジオに来たらいいですよ。気軽に聴ける為に作りましたからいくらでも聴かせますよ!(笑)。

S:そうですね。僕らもいろいろなところで提案をさせていただいていますが、やはりシェアをすることが大切なんじゃないかなと思いますね。ムーブメントって独り占めするんじゃなくてみんなで共有しないと続いていかないと思うんです。だからこういうAtmosやイマーシブの説明も多くの方々とノウハウの技術共有するべきだとすごく思うんですよね。世界の人たちは普通に共有していますしね。

K:Atmosってエンジニア同士のコラボができるんですよね。StereoエンジニアとAtmosエンジニアのコラボレーションっていう感じとか。例えば演劇のAtmosだと、PAエンジニアとMAエンジニアのコラボっていうのもできるし、今回のヒゲダンさんも染谷さんと僕とMAエンジニアとのコラボだし。生配信ライブで、Stereo配信とAtmos配信チームのコラボもしました。

S:みんなで創るっていうのが大事ですよね。

BS:音楽制作でいうコラージュみたいな感じですね!ひとつのアーティストに対してさまざまな人が関わって、いろいろな人のカラーが出るようにするみたいな。エンジニアリングの部分もそうなっていくべきという感じですかね?

K:今までもひとつのアーティスト作品に対してさまざまなエンジニアが関わることはあっても、エンジニアはその場に二人はいなくて、でき上がったものを集めるような関わり方だと思うんですよね。そうではなくてひとつの作品に向かって、同じ空間に技術者が複数いて作業するっていうのはとても楽しいことですよ!

S:ツールもコンパクトになって、パーソナルでいろいろなことができるようになっています。ヘッドフォンではバイノーラルのモニターになりますが、ベーシックなことはできるようになっているので、とてもいいチャンスだと思います。

BS:そうですよね!ProTools とDolby Atmos Production Suiteがあれば制作は始められますもんね!

S:家でベーシックを創って、古賀さんのスタジオに創った素材を持って来てAtmosミックスを仕上げるとか可能性は広がりますね。準備ができるってすごいことですよ!

立体音響ってものに触れてほしい!

BS:お二人の話を聞いているとAtmosやるぞー!って気持ちがさらに高まってきました!!うぉーーー!!ちなみにお二人はDolby Atmosやるぞ!となったきっかけみたいなのはあるんですか。

S:AESとかではDolby Atmosというか、ハイト方向のサラウンドっていうのは、2000年明けたぐらいからデモンストレーションをやっていたんですよね。表現力がとんでもなくて、次ってこうなるんだなって思ってたんですけど、フォーマットとしてDolby Atmosが出てきて、それがだんだん浸透してきて、ツール自体も手が届くようになってきたので、新しいことにチャレンジしたい人たちはやはりその方向に進みますよね。なので、必然的に導かれて行ったというのが本当のところだと思います。

K:僕は清水さんのおかげですよ。

BS:えっ!ボクですかっ!?

K:そうですよ。清水さんがいきなりAtmosっていうワードを出してきたとき、僕はまだ5.1chやVR Mixを一所懸命やっていて、Atmosって別の次元の話だと思ってたんですよ。でも清水さんが電話で「古賀さんAtmosやったらいいじゃないですか。Atmosで作って5.1chにダウンミックスすればいいんですよ、僕もパソコンでやってますよAtmos。」とか言っててですね。「はい?!?!」ってなりました(笑)。 そこから興味を持ったんですよね!

BS:めちゃめちゃ偉そうですね、ボク(笑)!でもそう言っていただいて嬉しいですよ〜!

K:で、その言葉がひっかかったまま、ハリウッドに勉強しに行く機会がちょうどあったんですよ。そのとき、ソニー・ピクチャーズのスタジオがちょうどAtmosに改修している最中とかで「やっぱりそういう時代になるよな」って思って。日本でもInterBeeでの展開とかNetflixの話とか聞いて、これはやっぱりやるしかないなって。ちょうど会社を作ろうとしていたタイミングでスタジオも作り直す予定だったので、もうAtmos対応にしちゃおうってなって始めた感じですね。

BS:いろいろタイミングが重なった感じなんですね。すごいっす。

K:当時は5.1.2chでいいかぐらいの軽い気持ちでしたが、最終的には9.1.4chになりました(笑)。

Xylomania Studio

インタビューは古賀氏のスタジオとなるXylomania Studioで行われた。こちらはPMC twotwo6、twotwo5にて9.1.4chの環境を整えており、システムの中枢にはPro Tools | MTRXが据えられてDolby Atmosのモニタリングを司っている。また、もう一つのラックにはBlu-rayのAtmos作品視聴用にDENONのAVC-A110が鎮座。FerroFishのPulse 16 MXにてADしMADIでMTRXへ送られている格好だ。Dolby Atmos RendererはMac miniにて構成されたHT-RMUシステムとなっており、ProToolsとの接続はMADIで行われている。


BS:そういえばRockoNのリファレンススタジオもAtmos対応にしたんですよ。先ほども言ってましたが、まずDolby Atmosを体験してほしいですよね!

K:これから10年で伸びるジャンルだと思うんですよ、立体音響は。別にDolby Atmosじゃなくていいんですよ、AuroでもDTSでもいいんです。まず、立体音響ってものに触れてほしいですね。

S:僕もそう思いますね。フォーマットはいろいろありますけど、体験したことがあれば、違うフォーマットでも流用できるんですよ。チャンネルベース、オブジェクトベースの差はあるにせよ、発想としては同じことだと思います。

K:そういえば、チャンネルベース、オブジェクトベースって最初よくわからないですよね(笑)。いまでこそすんなり入って来ますけど。

BS:いままでなかった概念ですもんね。

S:オブジェクトベースっていうのは「位置情報と音質・音量をミックス」するんですよ、それをやっておくと大きい会場になってもその位置情報と音量・音質はキープされ、いろんな部屋のサイズに合わせてレンダリングしてくれることがオブジェクトベースの素晴らしさですからね。

K:アーティストといつも課題になる”再現度”が上がるっていうのが、Atmosの良さですよね。

S:そうですね。またAtmosは基本になるBedsトラックとオブジェクトトラックで構成されていますから2つの定位表現ができるというのが、とてもいいところですよね。

BS:Beds、オブジェクトの使い分けって決まっていたりするんですか?

K:例えばVocalでいうとちょっと上に音を定位したいとかってあるじゃないですか。僕は上に定位させたオブジェクトを用意しておいて、ちょっと上げたい時にそこにセンドする、っていう手法を使ってます。サビだけそこに送ったりして、印象を変えたりしますね。

BS:基本はBedsでやっているってことですか?

K:まだ試行錯誤中ですが、オブジェクトのセンターとハードセンターって聴こえ方が違って聴こえることがあって使い分けてます。オブジェクトの時はSizeを積極的に調整したりしますね。

BS:オブジェクトはそんなに多くない?ってわけですか。

K:ヒゲダンさんの時は最終的にはオブジェクトは70~80ぐらいですかね。

BS:多いですね(笑)!

K:まぁ、ある程度はBedsで頑張って、オブジェクトを効率的に使うって感じですね。想像力が無限に働くのでやってみたいことはいっぱいあるし、やれることもいっぱいある。自分自身の想像力次第ですね、ほんと。

もうこの際、、、手の内教えてください!

BS:Dolby Atmosってマスタリングってどうすればいいですか?っていうのが疑問であるんですけど。

S:そこはテーマですよね。映像作品においての話をしますとですね、マスタリングということではないんですが、実はマルチチャンネルの音響制作を確実に成功させる方法があるんですよ(笑)。

BS:確実に!?

S:ワークフローから考えると制作プロセスは4つに分割されます。それは①レコーディング、②エディティング、③プリミキシング、④ファイナルミキシングの4つです。①レコーディング、②エディティングは皆さんも頻繁に行っていると思いますのでワークフロー的な世界との差はそんなにないと思うんですが、次のプリミキシング。日本だとどうしてもこの部分を割愛しちゃうんですよね。

K:音楽においてはないですもんね。ほしいですけど。

S:日本でプリミキシングというと、各パートの音源を合わせることになっちゃうんですが、本来はそういうことじゃなくて、素材の段階から各音源をどのように立体化していくかっていうことを処理していきます。たとえばBGと呼ばれる環境音。これを立体化させるためにどういう風なサウンドデザインを行うべきか?は、ある程度のセオリーとマイルストーンが決まっているんですよ。それをハリウッドの人たちは合理的に組み上げていくノウハウを持っていて、それをなぞっていくんですよ。だから、ああいう濃厚で斬新なサウンドができてくる。たとえばLFEの使い方も全然違うじゃないですか。成功に導くためのセオリーとマイルストーンに沿って作っていく、そこに高さが加わっただけなので、彼らはAtmosだからって違和感なくすんなり入っていけるんですよね。昔からの合理的な手法を大切にして進化させているんです。王道は崩してないんですよ。

プリミックスの順番としてお勧めしているのは最初にダイアログ、その次にフォーリーに進めます。この時に環境合わせたReverbも付加します。具体的にはシーンに合った部屋の響きなどを付加するわけです。なぜ、ダイアログの後にフォーリーなのかっていうと、ダイアログの動きにフォーリーも合わせたいからです。その次にバックグラウンドノイズにいって、全体を聴いてみてだんだん雰囲気ができてくるわけですよ。全ての効果音源を組み上げてプリミックスを終わらせるという感じですね。

BS:オンの音から作っていくイメージですかね。オンの音からオフの音へというような。

S:そうですね。また、爆発音みたいなパルシブな音の時は、必ずダイアログを聴きながらプリミックスを進めます。大切なストーリーテリングであるダイアログを妨げないように定位に配慮します。マルチチャンネルの音響制作を成功に導くには、まず①「周波数分布を考えてサウンドデザインを行うこと」、②「定位配分分布を考えること」、最後は③「バランス」ですよ。 Mono のバランス勝負です。

BS:なるほどぉ〜!

K:レコーディングだとマイキングの意識は変わりましたね。高さ情報を録りにいくマイキングが増えました。後でなんとかしようというAtmosと、最初から高さ情報を録ってあるAtmosでは明らかにリアリティが違うんですよね。正直、Reverbで作れるものではないと思っています。より完成を見据えて録るようになりますよね。「あとでなんとかしよう。精神」を打破するやり方ですよね。

BS:ミック沢口さんも同じようなことをおっしゃってましたよ。レコーディングは覚悟だと。

K:やった!目指せ、匠(笑)!ただ、マイクの本数増えるんでアシスタントに嫌われます(笑)。レコーディングは「完成をイメージする」というのが重要ですね。

BS:でも、どうしてもReverbかけるじゃないですか、音を作るために。Reverbの置き位置ってどうされているんですか?

K:7.1.2chのReverbはだいたい法則化できましたね。でも、大事なのはやっぱりL / Rの空間はちゃんと作んなきゃダメです、奥行きを表現しておくのはリバーブに限らず大切です。

BS:いままでのStereoをしっかり作った上で、ということですね!その先はどうやって進めていくんですか。

K:Stereoミックスがよければ、Upミックスしただけでもうすでに気持ちいいんです。最初はそれでもいいかもしれないなって思います。Upミックスして気持ちいいStereoミックスを作るみたいな(笑)。で、Reverbの話ですが、天井は7.1.2chのReverbまでしかないので、僕はQuad Reverbをオブジェクトで上に置きます。それと7.1.2chのReverbを足すと、上に6chのReverbができるのでそういうやり方をしてます。Reverbについても想像力が大事ですね。でもやっぱりマイク立てる方がいいですね。

BS:Atmos Musicとなると実際に録音したマイクの音っていうのはないわけじゃないですか。そうするとReverbを駆使してという感じですかね。

K:でも何かしらレコーディングはするじゃないですか、きっと。ドラム録ったり、ストリングス録ったり、ギターアンプ鳴らしたり。そういう時にオフマイクを立てておいて、後ろの配置してあげたり。Ambeoみたいな一次アンビソニックスマイクを立てておけば、あとでいろいろ変換できますしね。

BS:なるほど!マスタリングについてはどうですか。

K:音楽のマスタリングだとマスタリングで2ミックスにさらに音作りをしてブラッシュアップみたいなことをすると思うんですが、Atmosだとそれができないんですよね。それで考えたのがステムミックスをする感覚でマスタリング用のADMファイルを作ることにしたんです。ミックスが終わったらADMファイルにして、で、ミックスの時にステムミックスをする感覚でグループ分けしたBedsチャンネルを作ったりして。それをマスタリングエンジニアに来てもらってさらに客観的にレベルの調整やEQを再度するっていう。

BS:そのステムミックスを作って行くのって、染谷さんがおっしゃっていたプリミックスに該当する部分のように思うんですが。

K:そうですね。それの音楽版という感じですよね!

BS:やはりまとめ上げる前の下準備が大事ということですね。とても参考になりました!最後になりますが、、Dolby Atmos MusicやSony 360 RAが始まりましたが期待感はどうですか。

K:いやぁ、ほんと広まるといいですね!とても期待してますよ。やはりまず体感してほしいですよね、みなさんRock oNに聴きに行ってください(笑)。

S:そうですね!試聴会とかセミナーとか開催するのが良いのではないでしょうか?

BS:やりたいですね!その際はお二人のお力もお借しください!本日はありがとうございました!


どのお話もDolby Atmos Musicをかじり始めているバウンス清水にとっては刺激的なものばかり。もう、すぐにでも試してみたい!という気持ちの高まりが抑えきれません!うぉーーー!!そして、お話の後に思い至ったのは、やはりDolby Atmosがリスナーに与える感動はStereoの何倍もあるぞ、ということ。このムーブメントが一人でも多くのリスナーに届いてシェアされる、それがコンテンツの持つ感動という力をさらに倍増させるのかもしれませんよね!みなさんもぜひご一緒に!


右:染谷 和孝 氏(株式会社ソナ)、左:古賀 健一 氏、中央:バウンス清水(ROCK ON PRO)

 

*ProceedMagazine2021号より転載

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*記事中に掲載されている情報は2021年09月14日時点のものです。