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Rupert Neve氏設計の新旧マイクプリを比較検証

portico_5012.jpg
いまや伝説の人物として、プロ・オーディオの世界では知らない人のいない、Rupert Neve氏が新たに立ち上げたアウトボード・メーカー、その名もRupert Neve Design。
neve1.jpgそのコンパクトで魅惑的なスタイルを誇る、最新のPorticoシリーズと、30年以上前から現代にいたる迄、色あせることのない輝きを放ち、衰えることのない人気を誇るオリジナルNeve 1272とは、どう違いがあるのか、またその違いにはどんな要素があるのか。
今回は、オリジナル1272のモジュールを搭載した、Brent Averill 1272と、Poritico 5012の比較を、試聴とスペクトラム・アナライザーでの計測により検証しました。まずは、Portico 5012の外観から見てみましょう。
+48Vファンタム/20〜250Hzでのスィープが可能なハイパス・フィルター/フェイズ/ミュート・スイッチの他、マイクゲインとLED式のレベル・メーターが各チャンネルに備えられています。
アウトプット・ゲインは備えられていませんが、独自のSilkと呼ばれるスイッチがあり、この回路を経由することにより、往年の名機(1272?)の太さとプレゼンスが得られるとなっています。全体的に洗練されたデザインとなっていながら、IN/OUTには伝統的なトランス回路が使用されており、150kHzを超える周波数特性を実現しています。
1272.jpg一方、Brent Averill 1272は、+48Vファンタム以外は5dbステップのインプットゲインとスイープ式のアウトプットゲインのみと言うシンプルさ。フロントには、楽器入力に対応するDI入力を備えており、必要にして十分な、まさにプロ機と言えるたたずまいをしています。
特に私個人の感想として、アウトボードの外観は音質を表している場合が多いと言うものがありますが、今回、比較試聴してみて、その感をいっそう強く感じることができました。
Brent 1272は、まさに多くの人を引きつけてやまない、あのサウンドが再現されており、ヴォーカル録りの際はおいしい部分を膨らませてくれ、ドラム収録をすれば、引き締まった低域と一歩前に踏み出したような、マッシヴサウンドを実現します。シンプルな外観そのままに、派手さを抑えながらも、力強く音楽的な表現をしてくれる印象です。
Portico 5012は対照的に、非常にクリアで素直なイメージで、入力した音源を音楽的な要素を少々加えながらも、そのまま増幅してくれます。言葉をかえれば、派手な外観そのままに現代的な音質となっており、ハイビット/ハイサンプルの進む製作環境を意識しているように感じられました。惜しまれながら生産完了となったAMEK 9000シリーズをさらに洗練した感じと言えば、多少はご想像がつくでしょうか?
Signal_Generater.jpgそのサウンドの違いは、一目瞭然と言える物でしたが、実際にスペクトラム・アナライザーで特性をチェックしてみました。右図は、Pro Tools Software標準搭載のSignal Generaterですが、今回の検証では192 I/Oからアナログアウトで出力した各周波数帯のホワイト・ノイズを、Portico、Brent Averillそれぞれに入力し、そのアナログアウトをアナライザーへ、ライン入力した物を計測しました。
作成したグラフは、見やすくするために基準値を変更していますが、それぞれからの出力レベルが同じになるように調整をし、ジェネレーターのレベルは、-18dbで揃えてあります。
neve3.jpgその結果、1kHzホワイトノイズを入力した際の特性カーブを示した物が図1になります。(上がBrent Averill 1272、下がPortico 5012)
この図からもお分かりのように、Porticoが1kHz付近で急峻な特性を示しているのに対して、1272では、驚くほど多くの倍音成分が発生しているのが見て取れるかと思います。その倍音成分は1kHz付近にとどまらず、あらゆる帯域で発生しており、この傾向は他の周波数を入力した場合も同じでした。
これほどはっきりと数値で表されるとは、我々も驚きましたが、この倍音成分の分布が、音質に与えている影響が大きい物であることは容易に想像できます。
neve4.jpg日常的に1272を使用している方は既にお気づきかもしれませんが、この特性がミックス時に与える影響は非常に大きく、録りはNEVEで存在感のある、太いサウンドで、ミックスはフラットな特性でクリーンなサウンドのSSLでと、使い分ける方が多いのも事実です。(多くのトラックをミックスする場合は、特性が重なって膨らんでしまう所の処理が大変です)
他方、PorticoはNeveサウンドの味を残しながら、非常に素直でハイファイな特性を持っており、ある意味、プロフェッショナルの現場で使いやすいプリアンプであると言えるかもしれません。
伝説的な設計者である、Repert Neve氏が手がけた新旧のマイクプリアンプは、根底に流れるもので共通項を見いだせることは可能ですが、驚くほどの違いを見せた、興味深い結果となりました。
しかし、今だにオールドNeveがもてはやされ、1272クローンのような製品がぞくぞくと発表される中、周波数特性にすぐれ、使いやすく、1272とは違ったキャラクターをあえて持たせたと思われる、Porticoシリーズは、もしかしたらNeve氏が追い求める、理想のマイクプリアンプに最も近い存在なのかも知れません。
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*記事中に掲載されている情報は2007年03月26日時点のものです。