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Avid x Goh Hotoda Pro Tools|HDX Special Seminar- Report –

Avid x Goh Hotoda Pro Tools|HDX Special Seminar - Report -
Avid x Goh Hotoda Pro Tools|HDX Special Seminar

グラミー受賞エンジニア Goh Hotoda氏をお迎えし、業界標準プラットフォームであるProToolsの飛躍的な進化を遂げたHDXを実践的に体験するセミナーが開催されました。音響ハウス1Studioを利用し、Icon SystemにHDXとTDMシステム其々をセットアップした大規模システムを組み上げてセミナーが開催されました。AVIDの本気度が規模の大きさからも感じられます。
Avid x Goh Hotoda Pro Tools|HDX Special Seminar
Goh Hotoda氏は、マドンナ、ジャネット・ジャクソン、マーカス・ミラー、坂本龍一、宇多田ヒカルなどの一流アーティストの作品を手がけ、2度のグラミー賞受賞作品など世界的にも高い評価を受けてるトップ・エンジニア。実際にHDXを使用してみてのトップエンジニアの感想がどの様なものなのか期待が高まります。


1-1 HDXの技術的全貌とその誕生60min

Avid x Goh Hotoda Pro Tools|HDX Special Seminar

第一部では、AVID Product Specialist 小林氏から、HDXの誕生と機能、これからの発展項目をハンズオンプレゼンいただきました。
そのダイジェストにあたる、HDXの詳細は、是非こちらの記事で理解をいただけると幸いです。

メインイベント、いよいよGoh Hotoda氏の登場!!そのリアルな感動レポートです。

2-1.Goh氏最初のDigital Recordingとの出会いから思うHDXの存在

Avid x Goh Hotoda Pro Tools|HDX Special Seminar

Goh Hotoda氏の最初のDigital Recording体験は1980年初頭3Mの32track Digital Multitrack Recorder。Goh氏はこう始めた。その当時の衝撃は「信じられないほど素晴らしい、すごい音だ」といったイメージ。そのNYのスタジオで今までアナログでは録音されなかった地下を走る地下鉄の低域の唸りが、録音されたことでも驚きを感じた。その広い周波数特性、レスポンス、今までのアナログとは全く違うということが今でも鮮明に思い出される。しかし、その後デジタルの進化は利便性の向上に終始。SONY PCM-3348のデビュー時もその音質よりも編集機能やパンチインの精度などに目がゆき3Mを初めて使った時ほどの衝撃を受けることは無かった。 その当時から、「デジタル臭さ」これをいかに払拭するか?Digitalの時代に入ってからはこれが常にメインテーマとして作業の中にあった。実際にアナログのアウトボードをインサートしたり、アナログライクなヒスノイズや、歪を加えるプラグインを使用したりと色々な手段を使用して「デジタル臭さ」に向き合ってきた。逆に言えば、「アナログ臭さ」から脱却仕切れていないということも言えるのではないか。第一線で、長いキャリアを持つGoh氏ならではの深い言葉で始まった。

2-2HDXの進化の登場で、今までのMIXスタイルを変革する!

Avid x Goh Hotoda Pro Tools|HDX Special Seminar

ここで実際のMIXデモへ移行し、HDXとTDMを同時に使った素材を聴く中で、様々な疑問や問題や課題が浮き彫りになる。1曲目に聴かせていただいたのが、ギタリストの鳥山雄司さんとの作品。HDXからは、イントロのカッティングギターの奥行感、立体感、粒立ちが全く違うサウンドとして飛び出した。TDMのものはもちろん今まで耳馴染みのあるサウンド。素晴らしいMIXなのだが、同じバランス、同じプラグインで、HDXから再生されるサウンドは明らかに解像度が上がり、サウンドの立ち上がりがナチュラルかつスピード感がある。
 Goh氏も「HDXは分離が良い」という言葉で表現されたが、まさにそのとおりの感覚を筆者も得た。 Goh氏は、このサウンドを聞いた時にHDXのサウンドの余裕を体感し、TDMでの音どうしのマスキングを避けるための細かい周波数の隙間を埋めるような緻密なEQ処理から、新たなるEQスタイルの作業に移行するのではないかと判断された。このあたりの指摘は、まさに未来へのミキシングスタイルへのスタートだと思われた。

 

2-3内部処理の広大な領域は、本来のサウンドの力を豊かに表現する!

Avid x Goh Hotoda Pro Tools|HDX Special Seminar

32bit浮動小数点処理による正確で広大なダイナミックレンジを証明する実験がスタート。
実験用に一つのトラックを複製し、一方のトラックは手を付けず、もう一方の複製されたトラックにトリムプラグインをインサート。トリムプラグインにより30dBゲインを上げたものをフェーダーで-30dB下げる。もちろんプラグインはクリップレベルを表示する。ただし実際には、クリップしていない。試しに位相を反転させ、オリジナルと同時に再生することで、完全に音が消失。30dbのゲインアップでも、サウンドは全くクリップしていないことが実証された。今まででは考えられなかった懐の深さがこの実験から証明された。TDMでのアプローチでは、ジェワジョワと残留ノイズが残り完全に消失することが不可能であった。
HDX内部の処理では32bit Floating Processにより一切の歪、デジタルデータのクリップを生まない、しかも可逆性を保っている。これほどのパワーを持ったPro Toolsを使用しての作業、今までのミキシングスタイルからより自然で自由なダイナミックなプロセスへ変化することが予見された。

2-4 AAX Power

Goh氏いわく、AAXのPowerは従来のものに比べて低域の再現性の向上に顕著に表れていると述べられます。これはハイサンプリングよりも効果が大きく、HDXのAAXプラグインのパワーは、TDMでは様々なパワーバランスを推し測る能力が必要とされたが、今回のHDXのPowerにより、余力が生まれ、そのストレスからの開放へとつながった。
実際のセッションでの確認では、同一セッションをHDXとTDM其々のシステムで開きそのDSPの使用効率を比較。DSPのリソースを最大限使い切ったAccelカード2枚仕様のTDMのシステムに対しHDXではなんと、1枚目のカードに余裕を持って収まることは、理屈を越えた驚きだ。

さらに、本質的なサウンドプロセス空間を語る・・・

Avid x Goh Hotoda Pro Tools|HDX Special Seminar

しかし、HDXの本当の魅力はこのパワーではなく内部の処理が全て32bit floating processとなったことだ。従来のTDMではDSP上の処理(プラグインやミキサーエンジン)は48bit fix。しかしそのDSPを結ぶTDM busは24bitしかなかった。このため、DSPの処理を1段行う毎に48bit>24bitのデータ変換が行われ、当然ながらDither処理が加わり「デジタル臭さ」にもつながっていたのではないか?TDMの時代、プラグインを外すことによりサウンドがクリアになった経験を持っている方は多いのではないか?シンプルで余裕があるプロセスが生み出す魅力について語っていただいた。
音楽的にも計り知れないメリットがあることが、徐々に伝わってきた。HD systemが登場し192kHzのハイサンプリングが可能になった時の衝撃度よりもHDXの衝撃度のほうが明らかに大きいのではないかとのコメントが印象的であった。

2-5 武井ゆりなさんのボーカルの楽曲でのMIX検証

Avid x Goh Hotoda Pro Tools|HDX Special Seminar

ここまでのお話を踏まえ、もう1曲聞かせていただいた。2曲目は17才、ピアノ弾き語りをベースとする武井ゆりなさんの作品。同様にTDMとHDXでMIXの比較再生。サウンド全体が、隅々までバランスよくつまり、クリップすることなく自然で繊細さすら感じる瞬間がHDXにはある。POPSということもありTDMのほうがPower感が込もって聞こえるとも評価されたが、TDMでミックスをすることを前提に録音プロセスを構成したことに起因するのではないかとのコメント。まさに、HDXらしい制作スタイルが新しい未来を創る可能性を示している。

2-6 ダイナミックレンジそれが、生かされる時

Avid x Goh Hotoda Pro Tools|HDX Special Seminar

Goh氏から、サウンドのプロセスに関する一つのイメージが示された。HDXでサウンドメイクをしていて感じるのが1980年後半 NEVE Capricornを初めて触った時の感覚にちかい。圧倒的なサウンド品質の高さは、EQ、フェーダーを操作した際に、素材が歪まず、どこまでも大きくなっていく感覚がもたらされる。もちろん最終DACは24bitなのでヘッドルームを超えればClipする。だけれどもそれ以外の要素を感じさせない余裕、懐の深さを感じる。 PCMデジタルの世界では、音声を近似値という形でキャプチャーする。と言うことは、サウンドをクオンタイズしているようなもの。ダイナミックレンジが広ければ広いに越したことはない。クオンタイズする量が減ればその分、サウンドは失われないということ。
この様なHDXの魅力を最大限に引き出すためにはHD I/Oが重要なポイントとなる。一昨年登場したHD I/Oは素晴らしく、近年成長が著しいサードパーティー製のI/Oと遜色のないクオリティーへ到達した。ロードマップとしても、HDXの登場をもってこのHD I/Oの本来の性能が引き出されるはずだ。是非ともHDXを使う際にはHD I/Oと組み合わせて欲しい。実際、現在HDとI/Oがバンドル購入されることが推奨されている。

2-7 収録から生かされるサウンド、HDXにより誕生する次世代の手法

Avid x Goh Hotoda Pro Tools|HDX Special Seminar

ここで、録音の時点からHDXを使用したセッションによるデモが登場。アーティストはmoumoonという男女DUO ユニット。一聴したサウンドは、まさにナチュラルなニュアンスを聴かせる・・・
制作プロセスに置いて、まず高域の処理が変わった。過去において、内部処理の歪みやDither等による乱れで埋もれてしまうことが無きように、特定の周波数だけにキャラクターのあるプラグインを使用することが多かった。HDXプラットフォームを利用するにあたって、ワイドなポイントを持つMAAG EQ4を活用した。このプラグインは(VPRに実機もある)AIRと呼ばれる40kHzにポイントを持つことが特徴で、Airは従来のTDM環境では効果を感じることは少なかったのだが、HDXではMAAGならではの最高の結果が得られたとのことは驚きだった。
続き、低音に関してもこのEQはSUBと呼ばれる10Hzのポイントがありこのポイントも素晴らしい効果が得られた。TDMの感覚からは想像しにくい点だが、完成したサウンドを聞くと底に流れる空気感、歪のない低域成分そういったものに、効果をもたらしたということが想像できた。

Avid x Goh Hotoda Pro Tools|HDX Special Seminar

Goh氏からのアイディアとして、余裕のあるダイナミクスは、マスターにあらかじめFilterやCompを掛けておき全体のサウンドキャラクターを決定づけることも今まで以上に簡単に行える。アナログレコード時代のエンファシスのような感覚で、作業を行うのも面白い。本当に大きくサウンドが変わったため、従来の方法に固執せず、新しい手法を今こそ模索すべきだ。プラグインが対応していない今だからこそ、加工するのではなくそこに残っているサウンドを今一度最確認する良い時期なのではないか。
コンサバな、制作プロセスに一石を投じるお話だと感じた。

2-8 HDXテクノロジーは、まさに制作者の意のままに本来のサウンドが存在できる品質

Avid x Goh Hotoda Pro Tools|HDX Special Seminar

Goh氏のレーベルからリリース予定のスペインのベーシストMATIAS EISENさんの作品を聴かせていただいた。やはりここでもHDXのサウンドの存在感が際立つ。その理由の一つとしてお話いただいたのが、標準のEQ3-7Bandだ。ピーキーにEQした時に感じられる位相感が違う。かつて、ほとんど感じなかったがHDXではアナログEQと同じよう位相がずれるフィーリングを感じる。Liner Phase処理でないEQであり、当然の結果だが、アナログEQのサウンドの特徴と言える位相感を感じられるようになったということは、まさにプロセスのリアリティを感じながら作業が出来るということだ。これこそ、本来サウンドが持っていたものに近づけている証拠ではないかと。
まさにこれから、サウンドマーケットにHDXで作られた作品が増えてゆくはず。そうなればサウンドの世代交代が自然と生まれ、次の世代のサウンドとしてHDXが受け入れられるはず。この未来を予言するコメントでセミナーは締め切られた。

Avid x Goh Hotoda Pro Tools|HDX Special Seminar

これまで、ROCK ON PROでもHDXの制作現場への優位性を紐解いてきたが、今回ほどリアルに感じた経験は初めてである。続々登場予定の新たなるAAX Pluginsも含め、次世代とも言える制作環境を私たちが手にし始めていると認識する。それが奇を衒ったものではなく制作者の音楽を有りのままに答えてくれる物である点が、感動的ですらある。この本来のプロセスから、更に多様な表現手法を掴む作品への期待も高まる。

現在では、まだ貴重なHDXの素材を公開していただいたGoh Hotodaさんに心から感謝したい。

ROCK ON PROでは、HDXのサウンドや機能を体験いただくお貸し出しプロモーションをおもなって下ります。是非お気軽にお問合せください。

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*記事中に掲載されている情報は2012年03月30日時点のものです。