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ROCK ON PRO
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導入レポート/株式会社クロースタジオ様
「カラス」を冠するチャーミングな社名のクロースタジオ様は、撮影から編集、MA、オーサリング、エンコードまで、映像コンテンツに対しトータルでサービスを提供する。また、自社内に駐車場を完備しているので、車でアクセスできる都内スタジオとしての利便性も大きな魅力。今回、ROCKONPROでは、4つあるMAルームの1つ、第4MA室においてProToolsとD-Commandをメインに据えたシステム導入し、リニューアルのお手伝いをさせて頂きました。技術部チーフミキサー横倉巌氏と半澤修氏に、今回のリニューアルにまつわる話を伺いました。
Pro Tools + D-Command へ移行した理由
今回リニューアルされた第4MA室は同社ビルの7階に位置し、隣室の第3MA室と同じく、社内MAルームの中で広いコントロールルームを誇るスタジオであり、大型案件がよくブッキングされる。コマーシャル案件に加え、テレビ番組、企業PV、ライブなどの音楽案件もブッキングされるため、あらゆる仕事に対応できるシステム作りが必要とされる。FairlightMFX3PlusとAMSNEVECapricornの組み合わせで稼働していた第4MA室だが、社内他スタジオとの互換性考慮のため、最大24トラックに収めての作業をせざるを得ず、多チャンネル化の傾向が増えてきた現在においてチャンネル数が足りなくなった、というのが今回のリニューアルの大きな理由である。また、音楽系の案件では、持ち込まれるTD音源はほとんどがProTools素材になる訳だが、Fairlight社DAWと音声卓Capricornの組み合わせでは、Fairlightに流し込むことが出来るのが1回につき8チャンネルのため、全チャンネルを流し込む場合、数回に分けて回さなければならず、長尺素材の場合、効率性において大きく犠牲を払っていた。また、OMF変換を経て流し込む際に、Fairlight側ではサブフレーム単位になる一方、ProToolsではサンプル単位のため、帳尻を合わせ整合性をとる計算過程で変なクリップが生じてしまうという問題もあったとのこと。このようないくつかの理由があり、ProToolsをメインのDAWに据えた方が作業効率をアップさせる解決策になる、ということに自然と落ち着いた。
事前の懸念事項を全てクリアしたスムーズな移行
「今回の移行に関し、苦労された点はありますか?」という問いに対し、「MediaComposerの操作方習得はスムーズに移行でき問題なかった。」という横倉氏。また、半澤氏は、それまで慣れ親しんでいたDAWと音声卓を別にしたシステムから、一体化したProToolsへ移行することで、編集をかけながら音作りをする場合、使える機能が制約されてしまい音作りの作業が同時に行えなくなるのでは、という懸念事項があったということだが、全くそういうことはなく制約は生じなかったとのこと。
プラグインで広がった音作りの可能性、D-Command で向上した操作性
従来は音声卓に備わるEQ処理などに加え、必要であればアウトボードを使い処理を行っていたが、ProToolsでの優位点は、やはりトータルリコールの便利さ。そこで「プラグイン中心への移行に懸念事項はなかったですか?」と伺ってみたところ、「ハードウェアのつまみを触る感覚とプラグイン上で操作する感覚的な差は慣れることで解決できた。」という横倉氏。また半澤氏は「使ってみたかったプラグインが使えるようになり、仕事の幅が広がった。」とのこと。特に効率がアップしたのはノイズ除去作業。従来はFairlightから音声卓を介してProToolsに送り、ノイズ除去処理後に再びFairlightに戻すということをやらざるを得なかったが、ProTools上でファイルに対して処理をかければ、短時間で終わるので相当楽になったとのこと。ProToolsへの移行によって、プラス面がダントツに多かったそうだ。また、D-Commandの使い勝手については、音声卓に近い操作感でProToolsの操作を行えるようになり、マウス・キーボードによる操作性から大幅に効率が上がったので、D-Commandを導入してよかったとのこと。
Video Satellite 導入により
クライアントを説得できる画質で MA 作業が可能に
従来、ハードディスクで圧縮がかかっていたため、コマーシャルなど画質にシビアな案件では、クライアントに「編集室で見た画と違う。」と指摘されることもあったが、「ここはMA室なので違うものなんです。」と説明して納得して頂いていたとのこと。しかし移行後は、非圧縮やh.264のデータを扱うことが出来るようになり、MA室でもクライアントのチェックに耐えうるクオリティで作業可能になっているとのこと。
Avid のトータルソリューションにより
大幅改善したワークフロー
今回のリニューアルで「作業のワークフローに変化はありましたか?」と尋ねたところ、改善例をお伺いできた。MA と編集が同時進行する 場合が多くあるとのことで、今までは VTR に起こして素材をやり取りしていたということだが、ISIS 導入によりファイルでの受け渡しが可能に なり、手間が減り大幅な時間節約に繋がったとのこと。また、最近多くなったのが WEB やイベントなどの iPad 用映像案件。この場合、ファイ ルベースの納品になるが、今回導入したシステムで、ファイルベースでのワークフローが形作られたことにより、今後の納品形態の変化に十分 にフォローアップできる社内基盤が出来たという。Video Satellite System と ISIS の AVID トータルソリューションにより、大幅な作業効率アップを実感されている。
*記事中に掲載されている情報は2013年06月27日時点のものです。