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ROCK ON PRO

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ユーザーの視点から見たNUAGEの有効性と進化

NUENDO誕生と現在に至るまでの経緯

Steinberg 社の沿革

NUAGEを紹介する上で欠かせない存在であるのがSteinberg NUENDOであることは間違いないだろう。まずはNUENDOの生い立ちを振り返ってみたいと思う。Steinbergは1984年にドイツ、ハンブルグで設立され、1989年にCUBASE 1.0(当初はatari対応のソフトウェア、翌1990年にMac版)をリリースしたところから世界的に認知され始める。そして早くも1991年にはCUBASE Audioをリリースし、いち早くNative環境下でのAudioの取り扱いを可能としているのも特筆すべきポイントであろう。その後、バージョンアップを重ね現代のデフォルトともいえるASIO、VSTというオーディオとプラグインのフォーマットを発表。その根底に流れるポリシーとしてソフトウェア・メーカーとして、根幹の部分の開発にこだわり、3rd partyのハードウェア、アプリケーションとの連携により成長をしていくという部分が有る。

ポリシー/ミッション

そして、2000年に映像と音声の扱いに優れたポストプロダクション向けのソリューションとしてNUENDOが誕生。Musicマーケットで培った技術を元に映像同期などを強化し、タイムラインをBar-BeatベースではなくTimecodeベースをメインとした製品としてリリース。その当時ポストプロダクションで利用されているPro Tools,Fairlight,PyramixがDSPをベースとした大規模なシステムだったこともあり、CPUベースであるがゆえのモバイル性の高さ、元々の動作の軽快さ、編集のしやすさなどが評価を受け徐々に市場に浸透していった。

NUENDOの誕生と成長

2005年にYAMAHAの100%子会社になり、両社の連携は年々深まっていくが、Steinberg独自の創造性は今日も保たれているNUENDOはCUBASEとSteinbergの両輪としてお互い新機能を取り込みながらの進化を続けている。NUENDOとしては、専用設計のシンクロナイザー”Syncstation”のリリースなど、業務での運用に欠かせないプロダクトを揃えている。前述の通り3rd Partyとの連携に関してもソフトウェアのかなり深い部分まで開放されているので、深い連携のとれたハードウェアが多いのも魅力の一部ではないだろうか。

専用シンクロナイザである ”Syncstation”

YAMAHAとの融合と未来

YAMAHAはDM1000/2000以降プロダクション向けのプロダクトの新作がなくSR市場に注力している感もあったが、やはりO2Rに始まるプロダクション・コンソールの流れは社内に存在しており、Steinberg買収とともにCUBASE/NUENDOをミキシングエンジンとした新たなるプロダクトのプロジェクトはスタートしていたとのこと。Steinbergの持つフレキシブルなハードウェアとの連携を更に専用設計とし、連携を強化しまさに一体感を持ったプロダクトの開発に成功したと言ってもいいであろう。NUENDOにとっても専用のハードウェア・コントローラーは現場のセンターに収まる上で切望されていたソリューションであり、今後のNUENDOの発展の鍵をにぎる重要なプロダクトであると言える。

ユーザー目線で徹底Review by 江夏 正晃 氏
一体になったNUAGEは、いかに現場でいかすのか

Mouse/key以外で何をコントロールしたいのか

高精度のフェーダー、キャップは新設計となる

パソコンの中で動くDAWにとって重要なのは、如何に作業性を高めるかが重要なファクターだ。マウス、キーボードだけで作業する方もいるだろうが、フィジカルなコントローラーを介して作業をされた方ならば、その必然性は誰にでも分かってもらえると思う。NUENDO はネイティブ環境で動作するDAWとして誕生し、オーディオインターフェースもコントローラーも自由に選べ、そのワークフローは十人十色で、ProToolsのようなターンキーシステムとしてのトータルソリューション色はさほど強くなかった。ただ、業界ではMAからダビングステージ、音楽制作のシーンまで、いろいろなところで使われるようになり、その認知度が高まり、SteinbergがYAMAHAの傘下に入ることで、NUAGE のようなターンキーシステムのマーケットインが望まれていたことは確かだった。そして完全にNUENDOに最適化されたNUAGE システムはまさにネイティブDAWシステムのリーディングプロダクトになったわけだ。
専用プロトコルで動作するNUAGEのコントローラーの操作性はいままでのサードパーティー社製コントローラーとは一線を画す。FLIP機能を使って、SENDやPANなどももちろん快適にフェーダーでコントロール出来る。ノブも各種プラグインのパラメーター等を自動的にアサインし、直感的なコントロールが、NUENDOの使用感を飛躍的に向上させている。
専用コントローラーならではの機能もたくさん搭載しており、NUENDO で作業をされていた方なら、1日でそのアーキテクチャーは理解出来るだろう。そして、キーボード、マウスの呪縛から開放されるのだ。SteinbergのDAWの特徴でもある、各チャンネルのDAWのチャンネルストリップとでも言うべき、「チャンネル設定ウインドウ」の専用「e」(edit)ボタンが、コントローラー上にも用意されていることに象徴されるよう、随所でこのNUAGEがNUENDO 専用であることを感じさせてくれる。NUENDOの画面レイアウトが、わかりやすくNUAGE上に展開しているわけだ。

コントローラーに求める素質

コンソール業界のリーディングカンパニーであるYAMAHAが開発しただけあり、その質感は目を見張るものがある。パネルレイアウトから、トップパネルの配色に至るまで、デジタルコンソール、SRコンソールの世界で培ってきたノウハウが凝縮されている。ちなみにフェーダーは同社のSRデジタルコンソール、CLシリーズに採用されているフェーダーと同じフェーダートップが使われている。有機的で先進的なデザインはコンサバティブな質感の中に新しさを感じさせる。そして、何より、タッチセンスの感度から、フェーダーワークをする際の動作感に至るまで、操作にストレスを感じさせないフェーダー感になっている。ムービングフェーダーの動作もスムーズでありながら、FLIPさせた時などの動作も機敏で、動作音も静かだ。

そしてNUAGEの特徴とも言えるチャンネルナビゲーションと呼ばれる機能はフェーダー上部に配置されたスライダーバーを指でスライドさせると、チャンネルを瞬時にスクロールさせることが出来る。

多チャンネルミックスになった時には目的のチャンネルに素早くアクセスすることが可能だ。そして、このスライダーバーには加速度センサーが内蔵されており、素早く動作することで、スクロールも加速するのだ。そして加速したスクロールを、スライダーを押さえることで止めることもできる。スマートフォンで画面をスクロールさせる動作に似ているといえば理解しやすいかもしれない。まさに、進化系コントロールサーフェースであることを感じさせてくれる一面だ。

特にこだわったというアルミ削り出しの Jog Wheel

RGBのLEDが内蔵されたインジケーターはチャンネルにアサインしたカラーと同じ色を発光する。チャンネルの視認性も非常に高い。間違って違うフェーダーを操作することも避けられそうだ。NUENDO ユーザーなら触ってみたい、使ってみたいと思う工夫が随所でなされている。
そして特筆すべきはJOGホイール。このJOGホイールはNUAGEの一番の売りと言っても過言では無いくらいよく出来ている。操作時のホイールの抵抗感、重量感と、DAW上での動作が他のコントローラーでは味わえなかったくらいスムーズな操作感を生んでいる。JOGやSHUTTLEはもちろんのこと、ZOOM IN/OUT、FADE IN/OUTまで様々なことが出来るようになっている。余談だが、このホイールなぜか内側に凹んでいる。デザイン上の意匠的なものと思っていたのだが、FADE IN/OUTなど、ボタンを押しながら操作する時にこの内側に凹んだところに指かけて操作することで、片手で今までにはないホイール操作が行えるのだ。

音場を邪魔しないソリューション

NUAGEの特徴でもあるのだが、正面に配置された液晶ディスプレーは一般の製品のものを使う。デモ機ではHP社製の24インチのモニターが配置されていたが、どこの製品のディスプレーのものでも24インチ程度のモニターであれば、フィットするように設計されている。すなわち、専用ではないので、トラブル時に対応も簡単な上、導入コストも抑えられる。そして驚いたのが、このディスプレー上に表示される画面はサイズを自由に変更が出来る。

最初は何の意味が?と思ったのだが、実はスタジオで機材をレイアウトする際にそのメリットが発揮されるのだ。
筆者もコンソールを導入した時に、コンソールに併せてモニタースピーカーを配置しなければならない状況になり、モニタースピーカーが思っていた位置に配置できないといった局面に遭遇したことがあった。コンソールデスクのために、スピーカーが思っていた位置よりも高くなってしまい、レイアウトに四苦八苦したことがある。

ところが、このNUAGE、コンソールの高さを抑えたいということであれば、コンソール上に配置する、液晶ディスプレーを下げて、画面の下部分を持ち上げて表示させることで、コンソールの高さを低くすることが出来るのだ。すなわち、NUENDO はサラウンドミックスなども得意とするDAWなので、センタースピーカーの配置など、コンソールの高さを考えながら、音場を犠牲にすることなく、モニタースピーカーのレイアウトが出来るようになるのだ。
細かいことではあるが、実はこのような仕様は非常に重要で、スタジオの音場を邪魔することなく機材のレイアウト設計することができる。

自己の機能に固執することなくシステムの一部としての機能をしっかりと考えられた設計は、どんなスタジオに設置されてもスムーズな導入がされることであろう。

もちろん、フェーダー構成もフェーダーユニットを3連、48chまで拡張でき、必要に応じてワークスペース、(ブランクデスク的なもの)も確保できるオプションも用意されており、中小スタジオからダビングステージまで、幅広い導入先を考えた仕様になっている。

充実のControl Room機能との連動

NUENDOは大型アナログコンソールのモニタリングセクションで行えるほとんどのことが、ソフトウェア内部で構成することが出来る。この機能をNUENDOでは「CONTROL ROOM」機能と呼んでいる。NUAGE I/Oを始め、最近のオーディオインターフェースは入出力系統も多く準備されているので、複雑なモニタリング・コミュニケーションシステムもソフトウェア内部で構築することができるのだ。ただ、その場合に問題になるのが、画面上のフェーダーやボタン、ノブなどをマウスやキーボードだけで操作出来るかどうかと言うことだ。市販のMIDIコントローラーをつかって、カスタマイズも可能だが、NUAGEだと必要なノブもボタンもあらかじめコンソール上に準備されている。すなわち、NUENDO のCONTROL ROOM機能を存分に使うことが出来るのだ。モニター切り替え、トークバックなど、DAW内部で完結できるメリットは大きい。
余談ではあるが、これら、CONTROL ROOMの機能はハードウェアでシステムを構築しようとするとかなりのコストがかかってしまう。それとは逆に、NUAGE I/Oは豊富な入出力系統を持っているので、高品位なモニタリング・コミュニケーションシステムが簡単に構築できる。そして最大のメリットはCONTROL ROOM機能で、プロジェクトやレコーディング状況に応じて簡単にカスタマイズができることだ。もしハードウェアでこれらシステムを構築した場合、簡単にカスタマイズすることは難しい。

ハードウェア感覚でNUENDO内の「CONTROL ROOM」機能を使えることは、かなり快適なワークフローになることは間違いない。「CONTROL ROOM」機能は簡単に使用・不使用をソフトウェア上で切り替えられるので、プロジェクトファイルを他のNUENDO で展開する際にも問題はない。蛇足だが、モニターボリュームの上部にデシベル表示の有機ELディスプレイが準備されており、NUENDOの画面を見ることなく、モニターレベルを的確に調整出来ることはありがたい。また、機能を共有するロータリーエンコーダーには周囲にLED表示がされており、モニタースピーカーを切り替えた際にレベル差に戸惑うこともない。細かいことだが、NUAGEはユーザーの使いやすさもしっかりと考えられたインターフェースになっている。

ユーザーとして、次に求める機能

もはや、NUENDO ユーザーであれば、NUAGEのシステムは申し分ない機能、使い勝手になっている。ただ、現時点で筆者が個人的に付加してほしい機能がVSTインストゥルメンツのNUAGE上でのエディットだ。SteinbergはVST規格を創った会社でもある。VSTプラグイン(エフェクト系)はコントロールできるものの、音源などのパラメーターもNUAGEのコントローラー上でコミットしたいこともあるはずだ。もちろん、このNUAGEシステムはポスプロ、ダビングステージで使用されることを前提としているので、音楽系で使われることの多いVSTインストゥルメンツのエディットは現時点でのNUAGEでは出来ない仕様になっている。ただ、これらの機能は将来的に展開出来るようにしたいとのこと。NUAGE上のフェーダー、ロータリーエンコーダーなどでプラグインシンセサイザーなどのパラメーターが、縦横無尽にコントロールできるようになれば、NUAGEが音楽の世界でも使用される可能性が益々、広がってくるであろう。NUENDOは同社の音楽制作用DAW、CUBASEとの親和性が高いこともあり、NUAGEのシステムが音楽制作のシーンで使われることも十分考えられる。

また、最近のサウンドを取り巻くビジネスモデルを考えると、中小スタジオやプライベートスタジオといったところで制作された音楽をその場で映像に合わせるといった業務も増えてきている。まさにNUAGEはそんなDAWシーンにフィットしていくシステムだとも思っている。

ちなみに筆者がNUENDO を使うのは音楽制作もMAも映画のダビングもシームレスに行えるからだ。すなわち、NUAGEはそんなNUENDO の持つ可能性を高めてくれる、ターンキーシステム(統合システム)で、現代のDAWニーズに合ったソリューションになるはずだ。まだNUAGEシステムはスタートを切ったばかり。拡張やオプションを含め、今後の進化にも期待したい。

さらにDeepにテクニカルReview by RockoN
NUAGE+NUENDOの誕生、開発

Steinbergの開発ポリシー

Steinberg自体は、ソフトウェアメーカのあるべき姿としてDAWの根幹となる、Audio Engineに関してのこだわりが強いメーカ。逆に言えば、ユーザーに完全解放されているショートカットアサイン、多岐にわたる初期設定などフィジカルなインターフェースに関しては自由な設計がなされている。基本的にハードウェアのプロダクトを自社でリリースしないのもこの部分の考えに起因しているといえるだろう。ソフトウェアの基本的な部分は提供するので、あとはユーザーの好み、作業に応じてシステムを組み立てるのが基本的な思想。

2005年のYAMAHAの買収からはハードウェアメーカとのタッグにより、製品のリリースが行われているが基本的なスタンスを崩したことはなく、一社に偏らずにOPENな環境を提供し続けている。このYAMAHAとSteinbergの協業による変化がなかったわけではなく、YAMAHAの持つ良い部分を多分に吸収していると、筆者は感じている。その一部としては日本のユーザーの声がダイレクトに届くようになった点、バージョンアップ等の更新が常に安定したバージョンで行われるようになった点、など。実際国内にはメジャー名DAWのメーカはなく、海外製品に頼っているのが実情。そういったことを考えると、準国産とも言えるSteinbergの存在は大きいことがわかる。
そのような背景の中、NUAGEの開発にあたっては、Steinbergの持つリソースのMixingコア以外の全てと言っていい部分を連携、非常に深い連携が行われているのが特徴だ。

YAMAHAの求めるソリューション

YAMAHAとしてのプロダクション向けラインナップの再整備、マーケットへ対してのアプローチということに関しては、「1からやり直す」という気持ちで取り組んでいるとのコメントを得ている。確かにDM2000の発売が2002年。バージョンアップ、VCMへの更新などは行われていたが、全く新しい製品としてのプロダクション向けコンソールというものはリリースされてこなかった。そう捉えると実に12年ぶりにプロダクション・マーケットへ向けた大きな挑戦である。

YAMAHA DM2000

この再出発に向けて開発されたのが、NUAGEである。DSP Engineを使用してのミキサーではなく、プロダクションの中心として利用されているDAWをエンジンに利用しようという発想で設計されたNUAGE。コントローラではあるが、YAMAHAの培ってきたコンソールの思想が多分に盛り込まれた設計となっている。YAMAHAのコンソールの設計技術、フィジカルコントローラ、ヒューマン・インターフェースに対する実績、経験とDAWのトップメーカーであるSteinbergの持つAudio Engine、その2つが融合することにより初めて実現したソリューションである。今までもAVIDがICONシリーズで実現しようとした”Integrated Console”という思想に近いのですが、DAWのGUIを統合してのトータル・ソリューションとして更に一歩踏み込んだ製品となっている。

なぜYAMAHAブランドとして今登場したのか!?

Fader Unit1台につき、2画面の edit が表示される

NUAGEはSteinbergブランドでも良かったのではないかという声も聞くが、YAMAHAブランドとしたのは、上記2つの理由を考えれば自然なのではないだろうか?あくまでもソフトウェアメーカーと言う立場にこだわるSteinbergと、プロダクションマーケットへの再出発を考えるYAMAHA。それぞれの思惑と考え、Win-Winの関係を保つ為の協力体制を築き開発をすすめる上でもYAMAHAブランドである必要があったということは想像に難しくない。
YAMAHAがSteinbergの独自性を認め、一事業部としなかったのもこういった理由があると考えると理解できる。YAMAHAにとってDAWメーカとしてSteinbergが独立し、独自性を保っているということがNUAGEの登場にとっても大切なことだったということを感じていただけただろうか?これが、YAMAHA製のDAWをエンジンにということであれば、もっとクローズな製品になっていただろう。資本関係を持った両者の優れたところをお互いに取り込むことで、他に真似のできない深い連携を実現できたといえるのではないだろうか。

NUAGEのイノベーション#1

”edit key”を押した際に NUAGE に表示される詳細画面

”edit key”を押した際に
NUAGE に表示される詳細画面

なんといってもDAW側が出力をする高解像度のVisual Feedbackが最大の特徴であり、他社の追従を許さないポイントである。NUAGEのフレーム幅に合致した24inchの1920×1200のディスプレイ(推奨)にフィジカルコントローラでの操作が反映され、高解像度のDisplayにVisual Feedbackされる。これはまさにコントローラーとして革命的な出来事ではないだろうか。今までもSystemにBuilt-inされたターンキーシステムでは実現できていたソリューションが、汎用のPCと汎用のDAWとの組み合わせで実現したというのは、いかに深いパートナーシップを持ち開発に取り組んできたかが伺えるポイントではないだろうか?
特筆すべきは、NUENDOのミックス作業で多用するEdit Key(Channel Strip表示)を押した際の挙動。そもそも、このEdit keyがフィジカルに用意されていることもNUAGEの魅力だとは思うが、1画面に2つのEdit windowを表示する機能は隣り合ったチャンネルのステータス、パラメータの比較など様々なシーンで有効であろう。

NUAGEのイノベーション#2

トラックナンバーとトラックネームのサイズは調整が可能

NUAGE I/O と接続用の Ethernet Switch

システム全体を見渡した際にNUAGE I/Oの存在が大きい。もちろん、NUAGEを利用するにあたりこのI/Oの利用は必須ではない。しかし、実際のシステム構築の際にメリットの大きいI/Oである。まずは、最大チャンネル数として128ch in/outのシステムが構築可能、しかも複数のI/O BoxをまたいでのDirect Monitor機能が利用可能と、現場で有効な機能を実現。SyncstationとのVST System Linkの構築でSample精度での同期も実現します。この機能自体はNUAGE I/Oに内蔵されているDSP Engineにより実現される、このDSP Engineはベースマネージメント機能も合わせて提供するためNUENDOのControl Room機能と合わせて充実したMonitor機能を実現する。

NUAGEのイノベーション#3

YAMAHAの持つ高度なハードウェア制御技術による触り心地の良さも、NUAGEの大きな魅力。機械としての質感、フィジカルタッチをした時の反応など、さすがと思わせる点が多くあります。極めつけは、こだわりのJog Wheelではないでしょうか?アルミ削り出しのこだわりのパーツは、指のかかり具合など実際に触りながらその形状を追い込んだ日本人らしい繊細なその造作はぜひとも実物を触って確かめていただきたいポイント。YAMAHAのNUAGE専用Control I/OをNUEDNOと高度に連動させ、制御系を作りこんでいるのも魅力。汎用のMackie ControlなどMIDIをその起源としている一方向の通信と違い、双方向の100base-Tによる高速通信により高精度かつレスポンスの良い動作を実現している。

AES NYでの展示。Sound Construction & Supply 製のカスタムデスク背面

JL Cooper 製のサラウンドパンナー


ラウドネス測定もBuild-in

NUAGEの進化#1

アプリケーションベースのコントローラーであるために、アップデートによる機能追加を実現しているのも魅力。実際にNUENDO 6.06のリリースと同時にNUAGE 1.1がリリースされ、複数の機能の追加と、動作のブラッシュアップが行われている。NUAGE発表時に多く要望が寄せられたというMonitor Control周りの機能追加に関してはYAMAHA DMEシリーズとの連携により回答を出し、Mic Preの統合という要望にはAD8HRとの連動を実現している。このように、スピーディーにユーザーの要望に対し回答を出してきているのも好感が持てる。

NUAGEの進化#2

具体的な更新として他には、V1.1ではフェーダー上部のトラックネーム表示部分で、トラックナンバーとネームの拡大縮小を実現。諸々のレスポンス、制御系の更新が行われたとのこと。今後もユーザーからのフィードバックに対し、ハード、ソフト両面から柔軟に対応し、まだまだ成長を遂げる可能性を持ったソリューションであることに期待したい。

NUAGEの描くYAMAHAとSteinbergの未来像

前号のNUAGE特集にもご参加いただいた北山氏がこの夏より、ドイツ駐在となりYAMAHAのNUAGEチームの意見をリアルタイムにダイレクトにSteinbergへ投げかけることのできる体制が確立。今後の進化のスピードアップ、要望の伝達精度の向上が期待される。まさにユーザーと共に育っていくソリューションとして今後大きく羽ばたくことであろう。再度お伝えしたいのですが、現状唯一の「日本製のプロダクションシステム」だということは、要望の反映を中心に計り知れないメリットなのではないだろうか。

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*記事中に掲載されている情報は2014年01月28日時点のものです。