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丹治 信子

[ROCK ON PRO Product Specialist]ノンリニア編集とファイルベースワークフローを普及すべく、これまでAvidおよび、Autodeskでビデオセールスに従事。プリセールスからサポートまで、エディターに寄り添ったコミュニケーションがモットー。ROCK ON PROのメンバーとなってからは、新しい分野で互いに刺激を与え合いながら活躍している。

Avid Media Composer ver.2024.10リリース情報

日本時間 2024年10月30日、Avid Media Composer バージョン2024.10がリリースされました。有効なサブスクリプション・ライセンスおよび年間プラン付永続ライセンス・ユーザーは、AvidLinkまたはMyAvidよりダウンロードして使用することが可能です。

認証されているオペレーティングシステムは:

  •  Windows 10 64-bit 22H2 以降 (Professional 、Enterprise)
  •  Windows 11 64-bit 22H2 以降 (Professional 、Enterprise)
  •  macOS v12.x ~ v12.7.x、13.0~13.6.x、14.0~14.7
  •       Mac OS Sequoia v15には対応していませんので、ご注意ください。

    このリリースでは、効率性、コラボレーションとパフォーマンスを向上させるために設計された多数の新機能が搭載されています。Avid Adaを搭載したAI駆動型文字起こし機能に重点を置いたこのアップデートは、文字起こしをしたプロジェクトと文字起こしをしていないプロジェクトの両方のワークフローを合理化ができます。

    主要な機能について詳しく見ていきましょう。

    Media Composer 2024.10の新機能

    新しいAvid Titler+

    2019.6以降のTitler+の一番の問題点はパフォーマンスでした。このリリースでGPUベースに変わることで、パフォーマンスの改善と操作性が向上しました。

    新しいAvid Titler+の操作に関しては、こちらのビデオをご覧ください。


    オーディオ波形表示の改善

    タイムラインの「波形オプション」で、シーケンスのオーディオ波形を新しい方法で表示することができます。

    波形オプションは、タイムラインのファストメニューをクリックし、「波形オプション」を選択して、サブメニューから次のいずれかを選択します。

    • ソース レベル: 波形は録音レベルを反映します。以前からある表示方法です。
    • 出力レベル:クリップ ゲイン、ボリューム、レンダリングされた AudioSuiteエフェクトなど、出力のボリュームに影響する変更を反映して表示します。これにより、クリップ全体の波形を確認し、ミキシングレベルの値を視覚的に捉えることができます。
    • フル ハイト: ピークポイントを見つけて、サイズをスケーリングします。サウンドを視覚的な感覚に合わせるための波形です。ダイアログの編集で同期をとるのが容易になります。

     

    タイムコードで配置

    ソースタイムコードを利用してビンからシーケンスにクリップを直接追加できます。この機能は、同期が取れている別クリップのビデオとオーディオを少ない操作で、シーケンスに追加することができます。AutoSequenceと組み合わせて使うと、さらに便利な機能です。

    またPTMX(Pro ToolsからエクスポートされたMedia Composerクリップ)をインポートし、ソースタイムコードで直接ビンからシーケンスに追加することもできます。

    この操作では、タイムラインにクリップを追加するときにトラックの選択が必要です。

    トラックが足りない場合は、必要に応じて新しいトラックが作成されます。この機能を使用するときに Option (macOS) または Alt (Windows) キーを押したままにすると、トラックの選択はなく、素材は常に新しいトラックに追加されます。

    ビンから「タイムコードで配置」機能を使用する場合、ソースのインマークとアウトマークは無視されますが、ソースモニターからスポットからタイムコードを使用する場合はソースのインとアウトマークが使用されます。通常、レコード側のマークが優先です。

    文字起こしツールの機能強化

    文字起こしツールがファストメニューに追加され、この機能にすばやくアクセスできるようになりました。

    さらに、タイムコードとスピーカーID情報を表示または非表示、フォントの設定オプションで、フォントの選択、サイズ変更をしたりすることで、文字起こしツールのレイアウトをカスタマイズできます。


    文字起こしツールのソース/レコードの切り替え

    文字起こしツールの下部にソース/レコード切り替えボタンが追加され、ソース側またはレコード側に読み込まれたクリップの文字の表示を切り替えることができるようになりました。

    また、シーケンスにあるクリップで、まだ文字起こしされていないクリップは、タイムコード、クリップ名、ステータスとともに [文字起こし] が表示され、それをクリックすると、フォアグラウンドでクリップを文字起こしできます。このメッセージは、ファストメニューか[文字起こし未完了部分を表示] を選択解除することで、非表示にもできます。残りのクリップをすべて文字起こしするには、ファストメニューの [残りのクリップを文字起こし] オプションを使用して、フォアグラウンドで処理させます。

    文字起こしツールでは、表示された文字をハイライトすることで、タイムラインでインマークとアウトマークを設定することができ、再生ヘッドの位置をよりわかりやすく視覚化します。文字起こしツールでは、キーボード ショートカットを使用してテキストから直接編集したり、シーケンス内の会話の中の単語を検索したりすることもできます。さらに、SubCapと文字起こしは、すでに文字起こし済みのマスタークリップを利用できます。


    SubCapを直接シーケンスへ

    Media Composer v2024.2で追加された文字起こしをエクスポートする機能では、一度起こされた文字をエクスポートし、その後インポートしてSubCapを作成していました。しかし、このバージョンでは、直接シーケンスにSubCapを作成することができます。

    タイムラインを右クリックして [文字起こし] > [SubCapの作成] を選択するだけで、字幕を即座に作成できます。

    トラック選択ダイアログがポップアップ表示され、ユーザーは SubCapで参照するトラックを選択できます。[マスタークリップの文字起こしをシーケンスに使用する] チェックボックスをオンにすると、処理能力を節約するために、文字起こし済みのクリップが使用されます。オフにすると、選択したトラックがフォアグラウンドで文字起こしを行います。

    カスタム設定でクリップを文字起こし

    ビン内のクリップを右クリックし、コンテキストメニューから [文字起こし] > [文字起こし] を選択することで、フォアグラウンドで特定のクリップから文字起こしできるようになりました。このメニューを選択すると、トラック選択ダイアログがポップアップ表示され、文字起こしする特定のオーディオトラックを選択できるほか、文字起こし用の言語を追加できます。

    プロジェクト作成時のトランスクリプト設定

    新しいプロジェクトを作成すると、「Language Hint (言語のヒント)」や「Include new bins in transcription (新しいビンを文字起こしに含める)」などの、文字起こし設定のオプションが表示されます。これにより、プロジェクト作成時にバックグラウンドで文字起こしされるクリップを設定できます。

    トランスクリプト設定が特定のワークステーションのサイト設定にすでに追加されている場合、これらのオプションはグレー表示されます。

    ビンコラムのステータスと設定

    新しいビンコラムには、クリップがすでに文字起こしされているかどうか、また選択された言語とオーディオトラックが表示されます。これにより、文字起こしツールでクリップを開かなくても、残りの文字起こし作業をすばやく確認できます。ビンコラムが空の場合は、文字起こしされていません。

    プロジェクト/ビンサイドバーのステータス

    プロジェクトとビンサイドバーのステータスコラムでは、ビンが文字起こしの対象に含まれているかどうか (「Transcription On」または「Transcription Off」) を確認できるほか、そのビンのステータス (「Transcripted (トランスクリプション済み)」または「No Clips To Transcribe (トランスクリプションするクリップがありません)」) と、まだ処理中のビンの完了率も表示されます。

    ビンが「Transcription On」」に設定されていても、文字起こしできるマスタークリップがない場合は、「No Clips To Transcribe」と表示されます。これにはシークエンス、サブクリップ、グループクリップ、オーディオトラックを持たないクリップが含まれます。

    Transcriptionのステータスでは、「Transcription On」に設定されているビン内のオーディオを含むマスタークリップのみが対象になります。

    ビンにオフラインのクリップが含まれている場合は、完了率に含まれます。

    ワークステーション間でのトランスクリプションの共有とアーカイブ

    Media Composer v2024.6以前では、文字起こしは各コンピューターワークステーションで個別に作成する必要がありましたが、現在は、ワークステーション間で文字起こしのデータを共有することができるようになり、他のワークステーションにエクスポートしたり、アーカイブ目的でエクスポートしたりできます。

    この機能には、Transcrips設定またはスクリプトメニューの [文字起こしを管理] ウィンドウからアクセスするか、ビン内のアイテムを右クリックして[文字起こし]サブメニューから [文字起こしを共有] を選択してアクセスします。ファイルの拡張子は、.avtです。

    シーケンスの文字起こしを共有すると、シーケンス内のマスタークリップのすべての文字起こしが共有されます。

    また、現在、スピーカーIDの情報は共有されません。

    リストツールでUnicode としてファイルを出力

    リストツールは、言語と文字のサポートを強化するために、デフォルトでファイルを Unicode データ (UTF-8) として出力します。UTF-8出力は、リストツールのプレビューペインで右クリックし、UTF-8 Encordongのオプションを選択することで有効または無効にできます。


    マーカーツールのパフォーマンス改善

    マーカーツールが更新され、インポート、削除、その他の操作が高速化され、インポート時間が50%以上短縮されました。さらに、10Kマーカーの制限が削除されました。

    NRCSウィンドウでのシーケンス テンプレートのサポート

    NRCS ツールの右上隅にある [シーケンスの作成] ボタンを使用すると、新しいシーケンスレイアウトでアクティブなシーケンステンプレートがサポートされます。


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    *記事中に掲載されている情報は2024年11月08日時点のものです。