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澤口 耕太
広範な知識で国内セールスから海外折衝、Web構築まで業務の垣根を軽々と超えるフットワークを発揮。ドラマーらしからぬ類まれなタイム感で毎朝のROCK ON PROを翻弄することもしばしば。実はもう40代。
【Mac対応状況を追記】Pro Tools 2025.6 リリース!自動文字起こし、Spilice統合などの新機能を追加!!
2026年最初のソフトウェアアップデートとなる、Pro Tools 2025.6がリリースされました。有効なサブスクリプションまたは現在アップグレード・プラン加入中の永続ライセンスをお持ちのすべてのPro Toolsユーザー、および、すべてのPro Tools Introユーザーがご利用いただけます。
セッション上の音声と歌詞の情報をすばやく分析/検索/編集可能となるAI搭載のSpeech-to-Text機能や、世界最大のロイヤリティフリー・サンプル・ライブラリであるSpiceから完璧なサウンドを簡単に見つけることができるSpice統合など、音楽とオーディオ・ポスト両面で多数のユーザーに役立ててもらえる新機能が導入されています。
このリリースでは、緊密に統合されたADRワークフローを実現するNon-Lethal Applications CueProや、より迅速で信頼性の高いリコンフォーミング・プロセスを実現するThe Cargo Cult Matchbox 2.0サポートなど、業界をリードするオーディオポストソリューションもサポートしています。
オーディオをラウンドトリップせずにボーカル制作を効率化するために、2025.6 では Dreamtonics Synthesizer V プラグインと Waves Sync Vx プラグインの ARA サポートに加えて、MIDI エディターとインプットモニタリングの機能強化、新しいアプリ内ダッシュボードなどを提供しています。
2025.6.18 追記
Pro ToolsでサポートされるAppleコンピュータとオペレーティング・システム(英語)の情報が更新されました。現時点では日本語ページは未更新です。
Pro Tools 2025.6で新たに以下のMacがサポートされました。
・2024 iMac “M4” 8-core CPU / 8-core GPU 24”
・2024 Mac Mini “M4” 10-core CPU / 10-core GPU
・2024 Mac Mini “M4 Pro” 12-core CPU / 16-core GPU
・2024 MacBook Pro ”M4 Max” 16-core CPU / 40-core GPU 16”
・2024 MacBook Pro “M4 Pro” 14-core CPU / 20-core GPU 16”
その他のモデル(Mac Studio, Macbook Air)については、検証が完了次第、上記WEBページに追記される予定です。
Speech-to-Text:ダイアログや音声のテイクを検索時間の節約が可能(Pro Tools Studio 及びUltimate のみ)
Speech-to-Textは、AIを使用して音声及び歌詞を含む各クリップのオーディオ・データを分析することで直接テキスト・データを表示し、オーディオのポストダイアログ編集と音楽制作のワークフローを加速することが可能です。
クリップが編集されると該当するテキスト・データも常に追従し、セッション全体の音声データは新しいトランスクリプトウィンドウを介して検索可能となる為、ナビゲーションや音声編集作業を高速化できるようになります。
Splice統合機能:何百万ものサウンドが指先一つの操作でPro Tools上で利用可能に(全Pro Tools バージョン)
世界最大のサンプル・ライブラリであるSpliceがPro Toolsに直接統合され、Pro Toolsを離れることなく、高品質のサウンドを発見・試聴・タイムラインへドロップ、などの作業ができるようになりました。アイデアのスケッチ、トラックの構築、最終仕上げのいずれであっても、Splice上にある世界最高のロイヤリティフリーのループ、ワンショット、FXのカタログをすぐに利用できます。
Pro Toolsで何百万ものスプライス・サンプルに直接アクセスできるだけでなく、サウンド検索を行う事も可能です。タイムラインから任意のオーディオクリップをドラッグするだけで、Splice AIはセッションのビート、キー、テンポに同期された互換性の高いサンプルを即座に見つけることができ、アプリを切り替えて確認したり、自身の推測に頼る必要がなくなります。
Pro Toolsのユーザーは、無料のSpliceアカウントを作成して2,500以上の無料サンプルを入手するか、月額12.99ドルでサブスクリプションする事により全Spliceライブラリにアクセスできます。
Non-Lethal Applications Cue Pro 統合によるADRワークフローのシームレス化(Pro Tools Studio 及びUltimate のみ)
Non-Lethal Applications Cue Proは、ProToolsを使用してADR、外国語ダビング、フォーリーワークフローを緊密に統合し、追加のセットアップや個別のプロジェクト管理を必要とせずにインテリジェントなADRワークフローを提供します。
CueProは、Pro Tools(2025.6以降)のビデオ出力に直接オーバーレイし、ADRキューを作成および編集する際に必要な視覚的なフィードバックを即座に提供します。
Cue ProConnectプラグインは、すべてのCue ProプロジェクトデータをPro Toolsセッション内で直接シームレスに統合して保存するため、他のエンジニアや部門への引き継ぎが簡単です。
The Cargo Cult Matchbox 2.0統合により、より高速なリコンフォーム作業が可能に(Pro Tools Studio 及びUltimate のみ)
Cargo Cult Matchbox 2.0は、Pro ToolsとMedia Composer、およびその他のNLEとの間のリコンフォーム・プロセスをより速く、より信頼性の高い方法で提供します。
新しい Smart-Conform オートメーションは、クリップごとにリコンフォームを実行するため、Matchbox はクリップを慎重に移動し、オートメーションは「コンフォームの破片」の小さなスクラップをすべてクリーンアップできます。これにより、リコンフォームのたびに編集者が面倒なクリーンアップ作業を行う手間が省けます。
Matchbox 2.0はまた、元の映像ファイルと新しい映像ファイルを並べて比較し変更点を見つけ出す事ができますので、参照された元のカットと新しいカットの間を簡単にジャンプし、さらには新しいカットと完全に同期する形で、移動すべきオーディオ・イベント全体を自動でコピー/ペーストして行くことができます。
Pro Tools ARA エコシステムがさらに強化:Dreamtonics Synthesizer V 及びWaves Sync Vxに対応(全Pro Tools バージョン)
Dreamtonics Synthesizer Vは、実際のシンガーから録音・ライセンスを受けたボーカルのコレクションからメロディーをスケッチし、歌詞を作成、選択することでボーカルトラックを生成・スカルプトし、AI技術を活用したカスタム表現を合成することができます。ARAサポートにより、Synthesizer VはPro Toolsのタイムラインと直接リンクできるため、ボーカルパートの確認が容易に行え、より滑らかな編集および再生プロセスが可能になります。
Waves Sync Vxを使用すると、すべてのボーカルトラックを数秒で整理し、複数のボーカルトラックのタイミングとピッチをリードパフォーマンスに自動的にロックして、同期するバックボーカルを手動で編集したり、アフレコしたダイアログを揃えたりする時間を節約できます。ARAのサポートにより、Sync Vxを使用して、オーディオのラウンドトリップを使わずにPro Toolsで全体のボーカルアレンジを管理できるようになりました。
より高速な音楽制作の為のMIDI エディター強化(全Pro Tools バージョン)
Pro Tools 2025.6では、MIDIエディターにMIDI操作とノートラベルが追加され、MIDIワークフローがより簡単で直感的になりました。
MIDI操作ウインドウには、以前はオペレーション・ウィンドウからのみアクセスできましたが、これらのツールをMIDIエディターに統合すると、アクセシビリティが向上し、より素早く簡単に編集作業に移行可能となります。
MIDIノートラベルは、ドラムをプログラミングしたり、従来とは異なる楽器を使用したりするときに、サウンドがどのようにレイアウトされているかを追跡するのに役立ちます。
MIDIエディターでピアノロールの名前を簡単に変更して、各ノートにどのサウンドが割り当てられているかを素早く確認できます。
Splice統合やARAの拡充など、3rdパーティと連携したエコシステムの充実度が大幅にアップした今回のアップデート。さまざまな機能でAIを活用した機能が本格的に実装されている点も見逃せない。音楽制作、ポストプロダクションの両面でワークフローの効率化に大きく貢献できるバージョンになっているのではないだろうか。
Pro Toolsシステムのアップデート、新規スタジオ構築のご相談をはじめ、オーディオ制作に関わるご相談はお気軽にROCK ON PROまでお問い合わせください!
*記事中に掲載されている情報は2025年06月18日時点のものです。