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AVID CREATIVE SUMMIT in OSAKA 開催レポート!

2015年12月14日 掲載(記事本文・構成 : ROCK ON PRO)


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2015年12月4日、三和映材社レコーディング・スタジオにて行われたAVID Creative Summit in Osaka。東京では2014年、2015年と開催を続けご好評いただいているイベントがついに大阪で開催されました!! AVIDのソリューションを中心にその最新情報、システムアップのノウハウ、トップエンジニアによるレクチャーなど盛りだくさんの内容でお届けをさせていただきました。定員を超える多数の方にご参加いただいた、熱気に満ちたセミナーの模様をレポートします。


◎コントロールルームで行われたトップエンジニアの技とノウハウを得られる体験

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第1部
HDXで紡ぐ、河村隆一「Magic Hour」サウンド・プロダクション・ストーリー
~エンジニア・杉山 勇司氏のPro Tools|HDXとHEATオプションを駆使したミキシング・テクニック〜

しっかりとサウンドの違いを体感してもらいたい。講師に迎えた杉山氏の強い思いからコントロールルームでの開催となった第1部。しっかりと音を確認し、その違いを共有することの出来た貴重な機会となりました。今回は杉山氏はミックスを行った河村隆一さんの最新作「Magic Hour」からそのテクニック、ノウハウをご紹介いただく内容。冒頭は河村さんからのVideo Letterでスタート「今回すごい技を使ってもらってます、クリエーターのみんなには、あのマイクはこんな音かぁ、みたいな目線で楽しんでください」というコメントをいただきました。このビデオレターは、杉山氏への河村さんの信頼が感じられるメッセージです。ぜひご覧ください。

そして題材として取り上げていただいたのは、アルバムのM1 Wisteria-ふじ-の2ミックスファイル32bit/88.2KHz。これを聞きながら制作の経緯をご紹介いただきました。今回のアルバムのテーマとして挙げられていたのは『よいプレーヤー』が『よい演奏』をしたのを『よい音』のまま仕上げる、ということ。そのテーマを受けて杉山氏はレコーディングから関わらせて欲しいと提案、ボーカル以外の録音を手がけられることになり、レコーディングは河村さんのスタジオ、ミックスは杉山氏のスタジオでという形で作業が行われました。

ACSU_osaka-10まずは、レコーディングの解説から。最初の題材はドラム、特にスネアのサウンドにフォーカス。録音されたままのドライの音源から、アナログアウトボード、プラグインで処理後の聴き比べ、セッションで使われている「HEAT」の役割解説と非常に実践的な内容。『よい音』で録音できた音に対して『生音を、より生音として聴かせるため』、絵でいうところの影をつけたり輪郭線を強調したりという意味合いでプロセッシングを行なっているそうです。リバーブはAMS16とそのOEMであるKlark Teknic DN780を使い、自然な奥行きに。コンプはプラグインでBF 660とBF LA2を、中には、多段でかかっているトラックもセッションの中には見えました。アナログのプロセスは「良い匂いがつく」ので設定は0で通すだけというテクニックも各トラックで多用されているとのこと。また、Pro Tools 11になってからのAAXプラグインは、多段使いでの音質劣化が抑えられているので『生音を、より生音として聴かせるため』という目的のために薄く多段で使用するという手法を取ったのではないかと想像が膨らみます。いち早くHDX環境を導入された杉山氏のノウハウが感じられる部分ではないでしょうか。

次は、アコースティックギターのサウンド、モジュレーション、リバーブをオーディオ化したデータが入っていて、その混ぜ具合などを確認するというトップエンジニアの技が見える貴重な体験。続いてはピアノのサウンドについての解説に。河村氏のスタジオには、小さいながらもYAMAHAのグランドピアノが設置されていて、それに対して1日かけてマイクポジションを探ったということ。アナログとプラグインで処理をされ弱音部分が自然に持ち上がり、声に寄り添うサウンドに仕上がっていたのが印象的。

ACSU_osaka-5そしてストリングスセクション。カルテットでの収録を重ねているということです。単純に重ねるだけでは人数感が出ないためショートディレイを使用しているとのこと。ボーカルについてだけは河村氏が自身で録音を行い杉山氏がミックスを行なっているそうですが、シビランスに-3dBのオートメションをかけそこから微調整を行なっていくフローを紹介いただきました。これも杉山氏の独自のノウハウと言えるでしょう。

ざっと振り返っただけでもこのボリューム。いかに充実した内容であったかを感じていただけるのではないでしょうか。参加された方は音がなるたびに集中して、その差異をじっくりと確認されていたのが印象的。トップエンジニアの音に対する姿勢、そしてアプローチを十分に感じることのできたセッションとなりました。


◎PT12.3、S6 Ver.2.1などAVIDが拡げるソリューションの今を紹介

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第2部
Pro Tools最新情報から”S6″ver.2まで、パワーがワークフローを加速するAVID TOTAL SOLUTION
〜Daniel Lovell氏による、現場目線での最新機能 をハンズオンで徹底解説。新しいパワーを開放せよ!

続いて、第二部ではAVIDの最新情報満載のセッションが続きます。講師はAVID Product Specialist、 Daniel Lovell氏。国内のデモンストレーション、そして今でも現場でのMA作業を続けるサウンドデザイナーとして活躍するDaniel氏、国内のユーザーボイスを本国へと届けるという役目も持ったAVIDのキーパーソンとなる一人です。

まずはPro Tools 12からスタート。年初のMANN 2015で発表され2月からリリースが始まったこのバージョン。サブスクリプションがスタートしたのが大きなTOPICですが、しっかりと内容もブラッシュアップが続いています。これまでHDユーザーのみの特権であった、RAM Cache、Input Monitoring、Advanced Metering、Copy to Send、VCA MasterなどがNative版でも使えるように。他にも多くの更新が行われているのですが、詳細はこちらの記事を御覧ください。

ACSU_osaka-13そして時間を割いて実際の動作をご確認いただいたのが、Ver.12.3で追加されたコミット・トラック。ハリウッドからの強いオファーを受けて搭載されたこの機能。一見すると他社DAWのフリーズトラックのように見えるかもしれませんが、Pro Toolsのコミット・トラックはステム書出しの為の素晴らしい機能を持っています。選択したトラックで流れる音声を新規トラックへオーディオファイルとして書き出すことの出来るこの機能、ポストのみならず音楽ユーザーにとっても有効な新機能として仕上がっています。現場では更に一歩踏み込んで、タイムラインに並んだバリエーションの一括書出方法のノウハウなども紹介されました。もう一つの目玉機能がバッチフェードの多機能化。これまで初期設定で決めていたパラメーターで動作を指定したバッチフェードが、都度、フェードイン、クロスフェード、フェードアウトそれぞれに詳細な設定が可能となっています。そして、設定したパラメーターはプリセットとして保存が可能。設定のエクスポートなどプラグインのような使い勝手を獲得しています。それ以外にもクリップ移動時の透過表示、PitchⅡプラグインの復活と、ユーザーからの要望を受けた様々な機能をハンズオンでご紹介していただきました。

ACSU_osaka-14次のコーナーでは、AVIDプロオーディオ・ジャパンセールスマネージャーの常盤野氏による、新しくなったPro ToolsのVerUP方法、Upgrade PlanとSupport Planの解説。分かりやすくまとめられた資料で、複雑な印象も持たれがちなその全貌をご理解いただけたものと思います。ROCK ON PROでもWebサイトに購入ガイドとしてフローチャートをまとめていますので併せてご確認ください。

購入ガイドはこちら>>

ここで、なんとInterBEE 2015の会場で大きな話題となったSTAR WARS Episode7のトレーラー(予告編)が再生されました。この予告編は、Pro ToolsとAVID S6だけで作られたもの。ハリウッドでもS6の導入が始まっているということを実感する出来事です。マルチトラックでそのサウンドメイクがよく分かるセッション。どのようなサウンドデザインが行われていたのかが、ここ大阪でも高い注目を集めた瞬間。InterBEEに合わせて来日されたサウンド・デザイナーWill Failes氏の単独インタビューもROCK ON PRO Webサイトで公開していますので注目です。

Will Failes氏の単独インタビューはこちら>>

ACSU_osaka-2続いてはS6の最新バージョンであるVer.2.1と、そこで実現している数々の新機能を紹介していただきました。発売から2年、すでに世界中で800台のセールスを記録しているこのコンソール。時代のニーズに合わせ、Pro Toolsとの深いインテグレーションを実現しています。マウスとキーボードでは実現できない多くのファンクションを持ち、複数のDAWのコントロールに関してもEuConによりSystem 5で高い評価を得ていたHybrid Systemを受け継いでいます。これまでのICONを越えることを目指し、新しいミキシングワークフローを提案するAVID S6のその魅力がこのハンズオンからも感じられました。VCMのSlave Faderをワンボタンで表示するVCM Spill、好きなところへフェーダーを配置するLayout Mode、特定のフェーダーへのカスタムアサインを実現するSpill Fader機能など、多岐に渡るブラッシュアップが行われ、瞬時に目的のフェーダーへのアクセス、そして直感的にナビゲートを実現していることがDaniel氏のハンズオンで披露されました。もちろんコンソールの利用用途によってはDSP Mixing Engineが必要なケースもありますが、大抵のPro Toolsが使われる制作シーンでS6はファーストチョイスとなるプロダクトであるということが感じられるセッションとなりました。


◎ファイルベースワークフローのキーポイントとなるMXFを紐解く

第3部
MXFが切り拓くこれからのプロダクションワークフロー
〜AVIDのTotal Solutionで実現する効率的MXFをターゲットとしたファイルベースワークフロー

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昨今、今後のワークフローの主流としてキーワードとなっている「ファイルベース」。このワークフローで利用されるMXF Fileの解説から、AVIDソリューションを活用したMXFの取扱に関してのケーススタディー、そして将来考えられる課題をROCK ON PRO ProductSpecialist 前田洋介(本レポート筆者)よりお話させていただきました。

まずは、ファイルベースの定義から。そもそも音声で利用されているDAWはファイルベースのシステムであり、昨今耳にするファイルベースとは、ファイルベース・ワークフローを指します。撮影から、納品までの全てがファイルでのワークフローということが最終目標地点、言い換えればVTR Tapeを一切介在しないワークフローです。その中で活用が進むのがMXF File。MXFとはMaterial eXchange Formatの略で、すでに初期の策定から10年以上が経過したフォーマットとなります。セミナーではFile Package=FP、Material Package=MP、Operation Package=OPといった構造の解説、そしてOPのバリエーションの説明を行ないました。現在主流となりつつあるXDCAM MAFはOP1aに属しますが、そのコーデックの紹介など現在のワークフローに沿ったMXFの解説にフォーカスした格好です。

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そして、Pro ToolsでのMXF Fileの活用のケーススタディー。Pro ToolsではMXFのVideo部分しか読み込まないため扱いにもノウハウが必要となりますが、その実例を幾つかご紹介させていただいきました。さらに一歩踏み込んで、バックグラウンドでの変換を行うtelestream Vantage、Episode、そして、編集がAVID Media ComposerならばInterplayという選択肢もワークフローにあることを解説し、実際の運用を見据えたセットアップを紹介、ファイルベース導入について具体的なイメージを持ち帰っていただけたのではないでしょうか。

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最後に、現状ファイルベースのワークフローが直面している課題についてを確認。速度と、確実性、安定性、全てにおいてVTR Tapeを上回ることができるワークフローの構築は運用面も含めた十分な検討が必要です。速度も、変換作業を多く含むワークフローでは効率向上に辿りつけないため、必要最低限の変換工程を高速に且つ確実にこなしていくことがポイントとなります。言葉で書くと簡単ではありますが、変換を実際に行うのはPCベースのソリューション。そうなると、安全性、安定性というところも十分に考慮に入れなければなりません。二重化を行うなどの処置も必要なファクターとなってきます。様々な要素を総合的に考え、撮影から、編集、MA、完パケと一連の流れをどのようなフローで、ファイルで行うのかということが重要なポイントです。

ACSU_osaka-17このワークフローに正解というものはなく、現場ごとに最適な回答は違って来て当たり前と言えます。そういった様々なソリューションのコネクティングに柔軟に対応できるシステムアップがもう一つのポイントではないでしょうか。そして、映像と音声のパラレルフロー。何処まで並行作業が出来るか?という点も効率向上の大きなポイント。早い段階で、それぞれの作業結果が反映されるシステムの構築が全体の時間短縮に繋がります。また、早い段階でお互いのラフスケッチがキャッチボールできることは、間違いなく作品のクオリティーをブラッシュアップします。例えば、仮であったとしても音楽がある状態で編集をします、それにより編集にもリズムが生じます。効果音を仮に当てておけば、更にイメージも拡がり作品のクオリティーアップにも繋がります、早い段階からのパラレルフロー。すでに行なっているというご意見もありましたが、更に進めて行くための映像編集と音声の制作ファシリティーの融合が重要なポイントとなります。より良い作品を生み出すための時間を捻出するためのソリューションとして、ファイルベースが活用されれば、という思いを最後にお話をさせていただきました。今後も皆様と意見交換を活発に行わせていただき、作品のクオリティアップにの役立てられればという思いを新たにしました。

全てのセッションの終了後には、ささやかなながらも懇親会を開催させていただきました。長時間に及んだセミナーの熱気もそのままに、スタジオ内では盛んな意見交換が各所で見られたほか、実機展示のあるS6はハンズオンのデモも行われていたのが印象的。末筆にはなりますが、お忙しい中会場へ足を運んでいただいた皆様にこの場を借りて御礼を申し上げます。ありがとうございました!!

記事本文・構成 : ROCK ON PRO

※ 記事中に掲載されている価格・割引率・購入特典・ポイントや仕様等の情報は 2015年12月14日 記事更新時点のものです。

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*本記事の内容は、特に断りのない場合掲載時点での情報を元に書かれています。


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