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導入レポート/城西国際大学 メディア学部メディア情報学科

2013年12月11日 掲載(記事本文・構成 : ROCK ON PRO 前田洋介)


城西国際大学 メディア学部メディア情報学科

2013年の春にOPENした城西国際大学紀尾井町キャンパス3号館。その中にあるAVID System5の鎮座するダビングスタジオでプルチョウ次郎准教授からいろいろとお話を伺った。新しいことに貪欲に取り組む部分と、過去の知識、経験を受け継ぐ場としての大学。両者のバランスを非常に高い次元で結実したメディア学部の実際をご紹介していきたい。そのポリシーこそが今回の導入した機材のラインナップであり、必要な機材であったことがお分かりいただけると思う。


メディア学部の育てる人材

取材>System5の導入ということで取材させて頂きますが、それだけではなく、この学部、大学でいったいどんな授業を行っているのか、またどのような人材を育成しているのかをお伺いできればと思います。まずこちらの学部は正式な名称として何学部になるのでしょうか?マルチメディア学部?

プルチョウ次郎准教授(以下 プ)>メディア学部です。

取材>映像とか音響を扱うのは城西国際大学ではメディア学部になるんでしょうか?

プ>そうですね。正式にはメディア学部メディア情報学科になります。

取材>この学部はどのようなコンセプトで、どのような内容の授業を行われているのでしょうか?

プ>要約すると今迄の既存のメディアではなくWEBベースのメディアを教える学部を作りたいというのがベースになっています。元々東金キャンパスにはテレビ・ステーションが有るんですが、既存のブロードキャストの枠を取り払って「情報」「映像」「デザイン」「サウンド」全てが同じように重要だということになったんですよ。それを学部名にするにはどのような言葉がふさわしいのかということで総括する「メディア」という言葉を使っています。

今は、ここ紀尾井町キャンパスで「映像芸術コース」として8つの専攻と東金キャンパスの「クロスメディアコース」に5つの専攻を用意しています。このメディア学部内でのサウンドに関する講義は開設の2年後からスタートするのですが、学部の立ち上げから深く関わっていらっしゃる篠田正浩監督(先生)の音響監督を長年勤めていた瀬川哲生先生が加わったことから始まっています。同時に大野映彦先生も音楽担当として加わり、その1年後に自分が作曲とPro Toolsの講師として加わっています。

生徒一人1台のPCが用意され充実した実習が可能となっている

取材>ではこの大学でメディア学部メディア学科に入学された学生は音だけだったら音だけ、それとも他の分野もやるのでしょうか?

プ>そんなことは有りません。参考にしたのはアメリカやドイツで行われている教育。これは先生方の意見も一致しているんですが、『映像が音を教えるのは有り』ということ。フォーリーに始まるサウンドデザイン、サウンドエフェクトなんかも全てひっくるめて、録音技術から芸術性の部分までひっくるめて音をやりましょうということでやっています。ベーシックな部分ですがポリシーが有り、音響物理や芸術という物を理解しないで、きれいとか、汚いとかっていう判断しか出来ない人たちが教育をするべきではないし、それは教育ではないという判断をしています。なのでしっかりと基礎技術から教えるようにしています。

始めは基礎的な授業から、こちらの希望としては中、高ぐらいの時にDTM関係は知っておいて貰いたい。あと少し楽器の知識があったらいいと思うんですけれど、なかなかそういう訳にはいかない。うちは音大と違い初心者が入ってくるので、一番最初は音ではなく目で音を確認してますってところがあるんですよ、大人もそうなんですけど。だからどうやって音を聞くのかっていう段階から音響物理、あと電気工学の基礎を最初の1学期にやって、音楽理論を通年でやります。

始めは2つの授業から始まって、後期からはPro Toolsの認定カリキュラムが組み込まれています。それで101の試験が1年生の後期にあってその授業の中では、例えばの話なんですけどオーディオブックを作るんです。うちの学生達はシナリオライティングというのはほぼ必修なので、その中からラジオ番組制作とか、昔みたいなスネークマンショウみたいな事を録音して、そのBGMとか効果音を作る事によって全体な音、音だけで空間を作るみたいな。。。

取材>ラジオドラマみたいな?

プ>基本的にはそういう事ですね。その実体験の中からこれが必要、あれが必要ということで、2年生からはもっと本格的な事を行なっていく訳ですね。カリキュラムでPro Toolsですと2年生からは201が始まって、要するにHDシステムを使って行く訳です。音楽では作曲の方も始まって、2年生の前期はバンドとかモダンな作曲方法で、後期からは映画音楽の作曲というように2つに分かれます。

この作曲のカリキュラムは効果音や、フォーリーをやりたいという学生にとっても絶対に必要な要素と考えています。なので、必修としています。もう一つ大切なPro Toolsの認定試験カリュキュラムですが2年次に必修として201,210,210M/Pを行っています。

取材>MとP両方やられるんですか?

プ>両方やりますね。現在は301M,P迄やっているんですが、310M,Pの実施も視野に入れています。

取材>国内では、300番台に関しては、唯一こちらの学校でしか実施されていないんですよね。


歴史考察からスタートするサウンドデザイン

プ>そうです。そして3年生からICONとSystem5で実習を行います。

実際はほとんどここにある機材での授業です。日活で撮影されたもの、アニメの学生達が作り上げてくる映像に対してのサウンドデザインですね。あとBGMとフォーリー、ADRですね。アフレコに関しては練習材料としてアメリカの映画とかアニメを全編吹き替えで作り直させるとか。最近はフランダースの犬の監督さんだった黒田先生がいるんです。彼が昔携わった作品をアフレコ練習用って著作権のマークが入っている素材を準備してもらって『アライグマ・ラスカル』とか『母を訪ねて3000里』とか全部声優を入れて、音を直して、学生達のアドリブも許して音楽とかも全部考え直して制作しています。

足音の段階からマルコってどういう人なのかって考えさせて学生達に研究させるんですね。これは音の中で大事な事なんですが、マルコはイタリア出身でお母さんに逃げられた、理由が分からない、カトリックの宗教的な理由でお母さんはブエノスアイレスに行くって話なんです。要するにイタリアが当時どういう生活をしていたかを勉強し、どういう靴を履いていて、貴族ではない人たちはどういう歩き方をして、どういう仕草をしていたのかってところまで研究させます。

取材>どういう服着てたとか、どういう衣ズレがあるのかとか、、、音の見当をつけさせる訳ですね。

プ>そうですね。当時の馬車の音っていったら今の馬車の音とはまるっきり違います。そもそも地面はコンクリートじゃない。ほかにも当時のアルゼンチンは道とかも出来ていなかった、という想像からどういう状況だったのかということを研究してもらって、音響監督をやらせます。これを3年、4年で実習し、それで卒業ということになります。

取材>前に、なかなか学生たちがフェーダを握って作業をしないとおっしゃっていましたが、どうしてだとお考えですか?

プ>でも理由は分かるんですよね。高度なシステムを勉強しなくても物はマウスで作れるじゃないですか。ただそうなんであればPro Toolsを使う意味がまるっきり無くなってしまうんですね。Pro Toolsはマウスでやるんじゃなくて、ハンズオンで出来るからいいソフトなんですね。

取材>さっきのあのアニメに全部音付けたりとか、そういう時は映像の方の学科の生徒さんも一緒にやったりするんですか?

プ>そうですね。ここは考え方の違いというか、文化の違う所なんですが、アニメ監督と映像監督っていうのは同じでもいいんですね。舞台監督も全部まとめて監督ということを勉強すべきと思うんですね。ただやっぱり先生によっては私は舞台しかやらないからとか、そういう事じゃなくて基本的に監督が演技の指導をしているのが間違いなんですね。要するにACTORはACTORを鍛えて指導すべき、監督は監督を鍛えて統括するという考えが、ちょっとそこの文化に狂いがあるのかなって、外国では100人ぐらいの映像とか舞台の高等教育というのが行なわれてきている訳ですから、アニメの学生達が本来来るべきなんですよ、でもこないんです。だから「音の中だけで処理しましょう」ってなってくる訳なんです。どうやったらこの絵から声が出るのかというのは、ちょっとうちの学生には厳しいです。勘でやってるしかないんですよ。どうしてこのキャラクターがこういう顔なのかっていうところ迄は入ってこないんで、だけど映像とかアニメからのヘルプというか指導が必要ですね。


技術は芸術を作る為に存在する

取材>なるほど。こういった音響系ってかサウンド系の学校とか専門学校とかいっぱいあると思うんですが、この城西国際大学の特色っていうか、他にはないセールスポイントってどのようになるんでしょうか?

プ>考え方として技術というのは芸術を作る為に存在する事であって、私的にはテクニシャンを育てるというのはあまりそんな考え方ではない訳です。技術ってのは実際芸術なんで、だから実際工学的な勉強するのかっていったら、物を作る時に技術の事考えなくてすぐ作れるっていうような事だと思うんです。こういった事考えている人はいっぱいいると思います。ただやっぱり技術の方に没頭してしまうっていうのかソフトの使い方、System5の使い方ってイコール技術じゃないんですね。もっと深い工学的な話になるべきなんですけども、やっぱり新しい音に対する考え方っていう方向があるのかなっていうところなんですよね。だからやっぱり伝統的な音響教育っていうのを捨てている訳ではないんですけど、現実的な話なんですが今では仕事がフリーランスの仕事であって、作曲からMAって大体家でやっているケースってのが多いんですよね。大きなスタジオに行かなくてもいい環境になってきて、今なんてバックでエアコンが流れてても外で「焼き芋~」って音が入ってきても、そこまでいい仕事はできないですけど消せるじゃないですか。再生環境ってのがノートパソコンであったとしても、勿論音が良くないですよ。ただそういった事の為に教育するって私はどちらかっていうと反対なんですよね。やっぱりあまりにも音、音、音っていう事ではなくて何の為の音ってやっぱり映像の為の音であったり、アニメの為の音であったり、ちょっと目標なんですけどゲームの為の音であったり、音楽の為の音であったり全部まとめてやるっていうのが城西国際大学の売りじゃないかな。

メディア学科で2つの校舎が有りますが、紀尾井町はどちらかというとパフォーマンスベースで、東金の方がコンセプトベースであるという事があります。本来大学教育っていったら自分が技術を勉強しながら哲学、心理学とか人間を知る、人間を知る事によって自分を知るっていうフィロソフィー哲学じゃないといけないと思っています。

取材>今後のお話を伺いたいのですが、今後のファイルベースになるコンテンツ制作の現場に共有ストレージとしてISISとか入ってきた時に映像とかメディアアセットマネージメントする仕事って結構出てくると思います。それのスペシャリストってのはあんまり今居ないなって思っているんですけど、そういった教育はどうですか?

プ>やっぱり大学じゃないんですよね。私の意見になるんですけど。やっぱり芸術関係、コンテンツ関係のシステムエンジニアが一番強いかなって思うんですよ。新しいブリード(血筋)だと思うんです。今のこの世の中では。

取材>納得ですね。そういうエデュケーションの科があっても良いのになって思っていて、そういう人材が欲しいって皆さん思ってますよ。だけどそれ専門のスペシャリストでITも詳しくてって、誰もいないからみんなサウンドエンジニアが一緒にやっていたり非常に効率が悪い状態になっている。だからファイルベースの事を詳しく知って、マネージメントも出来るっていう人材が必要だと。

プ>確固たるマネージメントとしてアセット管理の手法というのがないんじゃないんですか。あっちいったり、こっちいったりしている状態だから、完全に手探りですよね。

取材>アーカイブがすでに始まっているので早くしないといけないと感じますよね。既に一部の作品はテープで撮っていないし、アーカイブもどんどん容量が増えてもう検索出来なくなってきているし、それに音と映像でこんなにリレーションして作業が進行しているのにハードディスクを持って歩いてるというのもナンセンスですよね。

プ>これは私も全く同感ですね。この分野が新しい人材育成になんとか繋げないといけない。これはプログラミングとかの知識も必要で、映像でも音でも、コンテンツマネージメントの中のことなんだという事なんですよ。アセットのまとめ方、そうですね新しい職業であっても良いかなって思います。


非常に高い目標・目的、そしてポリシーを持ち学科の運営をされていることがお分かりいただけたかと思う。現場で必要な人材を育成する為に現場に有るべき機材を導入し実践を行う。当たり前だがなかなか実現が難しいことを、現場の一線で活躍する技術者を客員教授に迎えて実現する、その高いクオリティーを感じていただければ幸いである。


城西国際大学 メディア学部メディア情報学科
准教授 プルチョウ次郎 氏

城西国際大学

東京紀尾井町キャンパス

〒102-0094
東京都千代田区紀尾井町3-26
電話:03-6238-1300

http://www.jiu.ac.jp


記事本文・構成 : ROCK ON PRO 前田洋介

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