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AVID Pro Tools 11 その基本の ”き”:Proceed Magazine 2013 Summer

2013年6月21日 掲載(記事本文・構成 : mieditor)


AVID Pro Tools 11 その基本の き

〜Next Genaration新たなる64 Bit WorkflowとQualityに向けて〜

 先日ラスベガスにて開催のNAB2013での発表の通り、ついにPro Tools11のリリースが発表された。毎度のことながらの機能、サウンドのブラッシュアップが図られているが、今回の更新はこれまでの数年でAvidが推し進めてきた、ソリューションとしてのPro Toolsを総仕上げする内容となっている、キーポイントは「64bit」。
コンピューティングの世界では常識とも言える正常進化であるが、現場でのワークフローを見据えた周辺デバイス・ソフトウェアも含めた更新が必要となるPro Toolsソリューションでは、Avidの描く未来像のもと入念な準備が行われてきた。その未来像がついに結実、Pro Toolsソリューションは64bitの広大なフィールドで新たな一歩を踏み出そうとしている。

ProTools 11がもたらすワークフローの変革

 そのPro Tools11だが、まずはブラッシュアップされた注目の機能をまとめていきたい。今回のアップデートでは前述の通り64bit化という「骨格」が生まれ変わったことがトピックスであるが、そのPC能力の拡張を活かしたことはもちろん、ワークフローを変革させる内容や映像ソリューションとの連携を見越した対応など見どころの多い内容となった。

1)AAE / Avid Audio Engine

 まずご紹介するのがAAE(Avid Audio Engine)だ。これまでDAE(Digidesign Audio Engine)と表記されてきたお馴染みの名称が変更となるが、よりCPUのパワーを効率的に運用できるよう構築されている。見慣れたSetting Usageの画面を見れば一目瞭然だが、マルチコアに対応した8つのCPU消費メーターが用意され、それぞれの使用状況が逐次表示されることとなった。また、その効率的な運用を見て取れるのがダイナミック・プラグイン・プロセッシングを活かしたケース。タイムライン上に処理すべきクリップが多ければ当然CPUの使用量は増えるが、逆にクリップの少ない箇所ではその分のCPUを解放しリソースを最大限に活用できる仕様になっている。最高の安定性を求め、この機能をオフにすることも可能である。

AAE_dynamic_process

 プレイバックエンジン内で設定されるH/W Bufferの設定だが、今まではすべてのメモリに対してのバッファーを一括して管理していたが、Pro Tools 11からは、Input BufferとPlug-in Bufferのメモリの確保が変更となり、さらなる安定稼働を獲得している。具体的にはプラグインを多用したセッションで録音を行う際に生じる「バッファーアンダーラン」のエラーから開放される。

play back

 ほかにも録音と同時にオートメーションが書き込めるよう仕様変更がなされており、レコーディング後に即時の音源配信が求められるケースへの対応や、そもそものレコーディングプロセスを効率化できる。この更新もメモリ空間の領域の確保最適化により実現した機能だ。今回のオーディオエンジン刷新は現場ワークフローに貢献するブラッシュアップが数多く織り込まれている革新的なものとなる。

2)オフラインバウンス

 さらにワークフロー上での大きなトピックスとなるがオフラインバウンスへの対応だ。レコーダーをルーツとするPro Toolsではスタジオワークを考慮したアウトボードとの連携、DSPカードでの処理を念頭に置いてきた結果、リアルタイムバウンスを貫いてきた。当然、現在でもその図式は存在するものだが作業時間上の足かせとなっていることは否めない。これが今回のアップデートでは実時間の最大150倍でプロセスが完了する。物理的に外部との連携の際はリアルタイム処理が必要だが、AAXプラグインの登場によりDSP、Nativeでアーキテクチャー/アルゴリズムの統一が図られサウンドの同一性が担保された。つまりDSPプラグインもサウンドクオリティを保ったままNative処理でまかなえるということが、Avidがオフラインバウンスの採用に踏み出した大きな要因である。AAX DSPのみのプラグイン(HEAT除く)、ハードウェアインサート以外の処理であればすべてオフライン・バウンスが可能となる。これは、完全にサンプルアキュレートに処理され、書き出されたMIX FileとPhaseして再生することで、100%完全なファイルが生成されていることが確認できる。

 加えてHDシステムでのバウンスについては更なる機能追加としてバウンスソースの複数選択が可能となった。これにより複数ステムの同時書き出しなど更に作業効率が向上、その効能は計り知れない。細かな点ではあるがMP3のバウンスも同時に行えることもポイントだ。もともと想定していたスタジオワークを現時点でよく再考した内容と言えるだろう。時間を効率化できるオフラインバウンスのメリットは従来ユーザーの全員が享受できるだけではなく二次的、三次的にはクライアントも含めたビジネス上の効果をも期待できる。

オフラインバウンス

3)メータリングの強化

 メータリングの強化は見た目にも新鮮なポイントとなる。まず前提として従来よりもメーター表示が約30%ほどスケールアップされている、単純なことではあるがより繊細なフェーダーコントロールへ寄与すると考えると、64bit化による精細な情報処理が行われる結果を画面上へ体現した仕様点と言えるだろう。さらにこのメーターは17種類もの表示形式を選択できる。PEAK、VU、RMSに加えてBob Katzの提唱するK-12、K-14、K-20も用意され各トラックとマスターで別々のメーター表示が可能。色分けのしきい値を設定できたり、Fs系の表示であればリファレンスの設定が出来るなど、どのような作業環境にも柔軟に対応。メインメーターにはsystem5と同様にゲインリダクション表示も可能になっている。もう一つが、インサート、センドタブへもメータ表示が追加され、シグナルパスのどこでクリップしているかが視認性良く、確認できるように更新。

 もちろん各メーターの詳細設定のほか、トランスポートでのアウトプットメーター表示などユーザビリティの向上は多岐に渡る。

メータリングの強化

4)AVE / Avid Video Engine

 今回のアップデートにおいてPro Toolsの可能性を飛躍させるのがAVE(Avid Video Engine)の更新かもしれない。サポートされるコーデックはNativeでDNxHD、AVC-Intra、XAVC HD、Pro Res、XDCAM HD、DVCPROと最新のコーデックも網羅、AMA経由でのサポートではP2、Quick Time、MPEGなど誌面で紹介しきれない量となり、現存する全コーデックに対応を果たしたとも言える状況に。実際のワークフローを考えるとわざわざPro Tools向けにレンダリングしていた作業は不要となるため、前述のオフラインバウンスと併せて効率的な制作に大きく貢献する内容だ。もう一点AVEのトピックスとして挙げられるのは3rdパーティーを含めた外部ビデオI/Oのサポート拡大である。数多くのニュースを提供してくれるBlackMagicDesignの全製品のほか、待望されていたAJA Kona Family、io Express、ioXTなど実績あるI/O、そしてAvid Nitris、Mojo DXなど、Pro Toolsが映像におけるノンリニア化を更に加速させるキープロダクトとなり得る内容、さらにSatellite LinkがPro Tools11HDに標準搭載となり最大12台までのシステム連携をサポート。コンパクトなMAシステムから編集を含めた大規模なシステムまでシームレスに包括する能力が備えられている。

 もちろん、フルバージョンのMedia Composerとの連携により実現するVideo Satelliteのシステムは従来通り、上位バージョンとして存在。キャラのオーバーレイ、タイムラインへのキャプチャ、AMAで展開したファイルのトランスコード、MXF FileのエクスポートなどPro Tools単体では実現しない多彩な機能を提供する。この連携もAAF経由でのMXFファイルの互換性が強化、Media Composer側のPro ToolsのAudio Engineの取り込みによるステレオトラック、プラグインなど、数多くの機能強化を受け、ほぼそのままにファイルを開くことが可能になっている。

AAX / Avid Audio eXtension

5)AAX / Avid Audio eXtension

 昨年のHDX登場と時を同じくし、この1年で大きく対応の幅を拡げたAAXもPro Tools11を読み解く上で欠かせないファクターとなる。周知のようにAAXは次世代のプラグインフォーマットとして64bit化されたアプリケーションとなる。AAXにはAAX DSPとAAX Nativeの2種類があるが、これまでのTDM、RTAS間の図式とは異なる。TDM、RTASにおいては根本のアーキテクチャが別個のものになるためサウンドにおいても差異が生じていたが、AAXではアプリケーションプログラムは同一、処理をDSPで担うかCPUで行うかがその差となる。従って、DSP、CPU、AudioSuiteでサウンドの同一性が保たれ、HDX、HDnative、Pro Tools11といったシステム環境が異なってもクオリティは損なわれない。満を持してこの64bitアプリがいよいよ本領を発揮できるステージがPro Tools11となる。気になるところは3rdパーティーの対応状況であるが、AAXのSDKはすでにパートナーとなる各社に渡っておりその数は表明されているだけでも42社、今をもってなお拡大中となる。注目されるWavesの動向はAAX Native版がPro Tools11のデビューに合わせてリリースと表明。この号が刊行される頃にはWaves社の新機軸DiGiGridと含めて更なるニュースが展開されていることだろう。

AAXパートナー

上記のリスト+WAVES,Antaresが対応を表明。Effect Plug-inはほぼ全社がAAXプラットフォームに向けての準備を進めている。AAX対応バージョンを入手することで、今までと同様の環境が整うこととなる。周辺環境含め、Pro Tools 11の登場への準備が進んでいる。



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