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導入レポート/株式会社タムコ様

2012年8月17日 掲載(記事本文・構成 : mieditor)


Proceed Magazine 2012 Summer

高密度オーディオ、24bit/96kHz 録音へのニーズ

 近年様々な機材の進化とともに、ニーズの高まりを見せる24bit/96kHz でのLive Recording は、多チャンネルかつ複雑なマトリックスを扱う現場にとっては、慎重に対処しなければならない問題だ。導入までの経緯としては、通常48KHz で録音を行なっているMacPro の内蔵HDD 3台に対して高い負荷での実験を行った。「R-3」中継車のメインミキサー「StageTec Aurus」のミキサーモデルを96KHz 仕様に変更しマイクスプリットした回線をStageBox と直引きで中継車まで引き込み録音を行った。24bit/96Khz においてメーカー推奨の48Track を大幅に超える90Track という負荷のかかる状況下、いくつかの課題が残ったがシステムとしての動作は確保され、収録を完了することが出来た。

 特筆すべきはそのサウンドで、お客様からも『これはイイ!、次のレコーディングも96kHz で録音をしたい!』とオファーを受けるほどの高評価。これだけの、オファーがあるのであれば冗長性と安定性を確保したこの録音環境を取り入れるべきではないか。そんなタムコ様の進取の心意気が今回中継車へのサーバーソリューション導入のきっかけとなった。

長期・長時間ランニングテストによる冗長性と安定性の検証

 タムコ様内部でも、ミッションクリティカルなサーバーへのご興味は高まっていらっしゃった様だ。しかし、Pro Tools システムでの録音を完遂することの出来るシステムが無かったことから、実際の導入までは至っていなかった。ライブ録音という特殊性を踏まえ、今回ROCK ON PRO と共に数ヶ月に及ぶ実地検証、ランニングテストを行なった。前述の通り、中継ライブ録音に置いては、絶対に、複雑なマトリックスで排出されるサウンドを多チャンネルで「途切れること無く、失うこと無く」記録することが求められる。まさに、高負荷な環境での冗長性と安定性の確保が求めれる。

 具体的には、ホール・アリーナ規模のコンサートでは90 本前後のマイク回線を扱い、リアルタイムにそれぞれランダムアクセスを行いながら1つのデータ欠損をする事も無く書き込みを行う必要がある。1回でもバッファアンダーランを起こせば、Pro Tools は強制的にエラーを返しレコーディングを止めてしまう。従来のPro Tools にとって非常に高いハードルだ。 そこでランニングテストでは、1ヶ月に渡り耐性チェックのテストとバグの洗い出しをPro Tools 9 @ 24bit/96kHz の限界である最大値211 分までの追い込みを繰り返し行った。メーカー認証サーバーにとっても高いハードルであったが、クリティカルな現場でその能力を実証するいい機会にもなった。

認定されたネットワークサーバー2機種

 ランニングテストの結果、遂に2台のサーバーが採用された。「SNS 社/EVO」と「Ardis 社/DDP24SSD」。SNS 社EVO はPro Tools 用のファイルサーバーとしての導入実績もあるHDD RAID モデル、また一方のArdis 社のDDP24SSD は非常に高速なSSD 採用のモデル。それぞれに特長を持つ2台を導入することによりお互いのウィークポイントを補完。もちろん2 台体制での運用で、冗長性を更に確保することも目的だ。常に並列での作業を行いバックアップ体制を整えている。

ネットワークサーバー導入による更なるメリット

 ネットワーク化された高速なストレージの導入で、波形のレンダリング時間の短縮が実務としては非常に大きいとコメントをいただいた。録音を停止後、波形のレンダリングに、45 分程度かかっていた作業が15 分程度で完了する。撤収への時間短縮に効果を発揮している。更には、録音をしながら、バックグラウンドでお客様用のコピーを取るといった作業も可能となり、複数の出演者が登場するステージでは、効率化に一役買っている。

 今回、現場への投入はすでに2011 年の年末から始められ順調に稼働中である。高品位な記録が可能になったことから、24bit/96kHz 音声が収められるBlu-Ray のパッケージ等にも品質を保って納められる機会が出てきた。ライブ映像の高品位だけでなく、今回の音声によっても空気感までをもダイナミックに再現し、異次元の迫力が話題になっているそうだ。FOH コンソールは48kHz のスペックとなるが、この段階で録音の違いがはっきり聴き取れるとなると次世代のSR コンソールでは96kHz 対応が当然のように登場し、スタジオのみならずSR の現場でも高解像度の収録が標準になるかもしれない。Pro Tools もVer10 へ進化しよりエンタープライズに向けた発展を遂げている。映像も4K 等の標準化がすすんでおり、トータルで見た将来の現場を占う大きな転換点とも言える今回の導入事例となった。ネットワークドライブの特性を生かしたクラウド転送なども将来的にあり得る。今後のタムコ様のレコーディングイノベーションから目が離せない。

取材協力:
株式会社タムコ 伊藤功史/ 椿井光一/ 石井輝雄


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記事本文・構成 : mieditor

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