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デジタルレコーダー全盛の時代に突入し、アナログ時代と同様にVUでのレベル監視で良いのか?という議論が常に行われてきました。まずは、今までの基準についておさらいしてみましょう。
+4dBm=0VUというのも、アナログ時代であれば0.775V=0dBmであり、さらにインピーダンスが600Ωの際に1mW@1kHzが消費されるものであり、といったように電力量との相関関係がありました。また、人間の感覚に近づけるために指針が規定値に到達するまでの時間は入力から300ms後に設定されています。デジタル録音時代となり、ここに、問題が生じてきま
す。まずは、機器ごとの入出力レベル。0dBuの信号がデジタルスケール上でいくつとして表示されるのか?リファレンスレベルと呼ばれる部分となりますが、-16dBfs=0dBu(JAPRS)だったり、-18dBfs=0dBu(NHK)、-20dBfs=0dBu(民放連)と、国内だけでも3種類の基準があります。インプットトリムや、アウトプットトリムにより変更できる機器もありますが、これがしっかりと調整出来ていないとトラブルの元になったり、アナログ領域も、デジタル領域も同じdB(デシベル)スケールを使用するために混乱を招いています。また、トリムが固定の機器もあり、他のデジタル機器と接続した際に入力レバルが変わってしまうといった問題もあります。
そのような中、来年からデジタル放送に完全移行します。これにより、放送電波もデジタルでの伝送となります。もちろん音声もデジタルで電波に乗ることになります。(ちなみに音声データは、MPEG-2 AACとなります。)こうなると、最終段階までがデジタル領域での話になります。デジタル領域のスケールはdBfsが一般的です。こうなると、音声のボリュームを表すための単位が電力ベースではなくなります。何になるかというと、サンプルベースとなります。16bitの解像度であればAD Converterで65536階調に分割されてデータ化された音声のフルスケール(=0dBfs)に対して、-20dBfsを基準にといった話になります。これは、データ上の絶対値でありアナログ時代の出力電力を測定してのレベルとは根本的に考え方が変わります。
ここで、議論が始まります。新しい、基準を作るのであれば、折角の機会なので番組間の音量差を出来る限り少なく出来る方法にしようと考えた訳です。そこで、問題となるのが、『音量』、『音圧』ですが、これは、あくまでも人間の感覚量です。これを数値化しようと長いこと研究が続けられてきていますが、完全に一般化することが出来ていません。人間の聴覚には優れた補正機能が備わっているのがその原因です。例えば、都会の雑踏の中で聞く雷の音と、静かな山奥で聞く雷の音。空気振動としての『音圧』として同じだったとしても、感覚として感じる『音量』はまったく違うものだと思います。こういった『音量』というパラメーターですが、研究成果として等ラウドネス曲線が存在します。これも、研究者によって、微妙に差異のある曲線となっているのですが、ISO 226として国際規格標準化されたカーブがあります。ITU 1770により規格されたラウドネス計測法は、ISO 226を元に、考えられています。
今までのVUも感覚量に近づけるために考えられた物でしたが、等ラウドネス曲線にある周波数による聴感上の音量差は考慮されていませんでした。デジタル時代の基準として提案されているのが、ITU1770で企画されたラウドネス計測法です。これは、聴感上に更に近づけるためpre filterによりイコライジングされたデータを計測する方法で、各チャンネルの音声信号の積分和を求めています。
全く聞きなれない言葉だと思いますが、ラウドネス測定をする際には、時間軸が必要となります。瞬間のサンプル値ももちろん別途、サンプルピーク値の規定として設定されていますが、感覚量を求めるためには、単位時間あたりの積分和を求める必要があります。(厳密には間違いなのですが、平均値的なものとなります)これは、人間の感覚は、持続する音と、瞬間的な音に対する『音量』の捉え方が違うためです。これは、コンプレッサーを想像していただけると分かりやすいと思います。音のピークを削っても『音量』感にはそんなに影響がありません、しかし、GAINのパラメーターで全体の音量を変化させると『音量』感は明らかに変化します。これは、瞬間音よりも、持続音のほうが、人間の感覚に対しての影響が大きいことを意味します。
前置きが長くなりましたが、どれくらいの時間の積分和を求めるか?これが長時間ならばロングターム、数秒内の値であればショートタームとなります。現在話題になっているラウドネスでのレベル管理は、基本的にロングターム(これは、その番組の音の大きさとも言い換えられます)の規制となります。もちろん、シュートタームでのラウドネス値の積分和がロングタームとなりますので、ショートターム、ロングタームの両方の監視が重要となります。そして、ロングタームラウドネス値のもととなるシュートタームラウドネスのログ情報が、グラフィカルに把握できることが、ITU-R 1770準拠のメーターとしての使用感に大きな影響を与えます。
実際のラウドネスメーターは、どのような商品があるのでしょうか?次のページでご紹介いたします>>>
現場のエンジニアにとってのラウドネスとは??サラウンドCM研究会村越氏の特別レポートはこちら>>>
記事本文・構成 : ROCK ON PRO 前田洋介
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