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ROCK ON PRO

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第二回サラウンドセミナーレポート

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非常にご好評いただき幕を閉じた第2回サラウンドセミナー。実際に触れることの少ないサラウンドミックスを体験していただきました。参加者の皆様にサラウンドデザインをしていただき、実際にミックスをして現実にサラウンドを作成するというかなり本格的なセミナー。必要なツールを紹介しながら”サラウンド制作”を体験いただきました。
<<サラウンド制作セミナー>>

今回のセミナーは、座学中心と違い制作現場を体験していただくことを考えた、参加型のセミナーとなりました。ROCK ON PROで用意した、マルチチャンネルの素材をまずは各トラックごとに確認していただき、サラウンドデザインを行っていただきました。実際にサラウンド制作を行っている方も、そうでない方も積極的にサラウンドデザイン案を出していただき、楽曲のパートごとに沢口さんに選んでいただいた参加者の方のサラウンドデザインを本人と洋介で実際にミックスして試聴しました。様々なアイディアをパッチワークのようにつなぎあわせた最終作品は非常に独創性にとんだサラウンドMIXが出来上がりました。
実際にサラウンド作品のミックス作業を体験いただき、その空間の広がり、可能性の広がりを十分に体験いただけたことがアンケートからも感じられました。サラウンドは、モニター環境さえ有れば手軽に始められる難しい物ではない/アイディア次第で素晴らしい空間表現が出来る、ということも体験していただけたと手応えを感じています。アンケートにお答えいただいた方の声を紹介ささせていただきます。

  • 音楽という素材は、ジャンルやカテゴリによって自由度が違う物だと感じた
  • サラウンドMIXに決まりは無い
  • 目の前で実際に作業しているところを見て、自由度が高い反面選択や位置決めの悩みも増えそうな気がしました。
  • 音楽ミックスは深みにはまりそうです
  • 2chに比べて、空間をより表現出来る
  • 音の置き方次第で全く変わるとこが素晴らしい

講師の沢口さんからも、気をつけなければいけないのはモニターのセッティングだけで、後は「自由」とコメントをいただいています。「本来自由である 音楽がステレオの2chに押し込められている、それを開放することができるのがサラウンドだ」と力強くお話しいただきました。実際にポップスの楽曲をサラウンドミックスすることによりその広がりと可能性を感じていただけたと確信しています。
<<音楽サラウンド デザイン(MIX)のチェックポイント>>
サラウンドのサウンドデザインの中でもクラシックの臨場感サラウンド デザインを除いたデザインアプローチ(POPS音楽など)で音楽を構成する(MIXする)場合のチェックポイントは、以下のようです。
1 安定した音場(STABLE SOUND)を作る。
音楽のサラウンド デザインでは、その曲全体を通してサラウンド音場が前後左右に揺れない(ギミック性を表現したパートは除く)ことがリスナーにとって安心感となります。このためMIXした全体の構成をきいて船酔い状態になっていないかをチェックすることをお勧めします。この目安として楽器毎のデザイン配置コンテを書いてみて、対称性やバランスの良いコンテが描かれていれば安定した音場が作りやすくなります。
2 そのための楽器の役割を考えてデザインする
2−1 曲の中で一定の定位にSTAYする楽器はなにか?
音楽を構成している楽器の役割を考え、基本となる楽器や土台を作る楽器、リズムをキープする楽器などの基本パートは、安定した音場(STAYした音場)配置としておきます。
2−2 曲のなかでギミック効果(音の移動)を出す楽器はなにか?

逆に音楽の中で移動効果をだすと効果的なパートについては、先に述べたデザインを応用してギミック性を表現出来ます。こうした場合に有効なパートとしては、イントロ リフフレーズの強調 サビ アウトロなどを目安にしてください。
3 音像移動の方法
音楽で有効な移動表現として以下のようなアプローチが有効です。

  • サークル型円周移動
  • フライオーバー 縦方向移動
  • 点移動と面移動の使い方

4 360度音場に素を作らない
これも、安定した音場を構築すると言う点から大切です。楽曲によってはあるパートで単音源楽器しかないといった構成もありますが、そうした場合でもその楽器が配置された部分以外の空間を素にするのではなく、リバーブやディレイ ピッチ変化成分などなんらかの関係性を持った音を配置して安定性を維持すると音場が安定します。
5 ハードセンターに入れすぎない。
ハードセンターチャンネルは、モノーラルMIXと同じ感覚になるので、リズム楽器からメインボーカルまでセンター配置音源を詰め込むとレベルオーバーを起こします。このためセンター成分の使い分けを適切に行ってバランスをとることで対応します。これは映画やドラマ スポーツ制作などでも行っている台詞やナレーションの使い分けと同様なアプローチで

  • ハードセンター
  • ファンタムセンター
  • 両者の組み合わせ

を考えて配置分散を行います。同じセンター成分といってもこの3者の再生音は異なるので音楽の構成や重要度に応じて工夫するとよいでしょう。
6 LFEは遅れを補正
音楽の場合は、映画などと異なりLFE成分を新たに作って付加するというよりは、ベースやキックドラム、ティンパニーなど低音楽器の成分を分岐してLFEへ送る場合が一般的です(相関関係がある音源と呼ぶ)。この場合LPFをデジタルフィルターでいれて高域をカットしますがデジタルフィルターの特性により遅延を生じます。このメインチャンネル音とLFE音2つの音源が最終的にMIXされると位相キャンセルを生じ低域が逆に落ちてしまう場合があります。チェック方法は、LFEへ送って作った音源とメインのトラッックにある音源波形を比較して遅れが生じていないかチェックし、LFE音源のタイミングを編集画面上で合わせます。
7 サラウンド スコープでチェック

サラウンドMIXができるDAWやコンソールではステレオスコープと同様にサラウンドスコープでモニターできます。このスコープ波形を見て「糸巻き型あるいはやや円周に近い波形」がでていれば項目1で述べた安定した音場ができている目安になります。
さらにROCK ON PROからは、
<<サラウンドミックスに必要なプラグインのご紹介。>>
WAVES 360 Surround Bundle

product_1605サラウンドに必要なツールが全て揃うWAVES 360  surround Bundleと、サラウンド空間を作り上げる為の必須ツールとしてリバーブをご紹介しました。WAVESはダウンミックス、アップミックス、リバーブ、トータルダイナミクス、サラウンドマネージャーと必要なツールが一通り入っています。まずはこれを手に入れればサラウンドミックスは快適な物となります。
ダイナミクスでは5.1chのLFE部分は独立してコンプレッションしたいと考えることと思いますが、元々サラウンド用に作られた物は、しっかりと考えられ、リンクの有無等が簡単に行えるようになっているので、思いの通りのファイナルミックスが仕上げられます。
マルチチャンネルーモノで使用した際には行えなかった効果が手に入ります。ステレオ仕様のリバーブであれば、どうしてもターゲットとなる2chにしか残響は残りません。フロントで考えれば、LRにアウトをアサインした場合にはセンターチャンネルからは残響がならないということになります。また、少しは他のチャンネルにこぼしたい時にも、対応が難しくなります。細かい調整や、音の配置を効果的にする為にもサラウンド対応のリバーブは必須と言えます。
サラウンド対応リバーブ

VSS4_webリバーブもステレオリバーブでは再現出来ないサラウンド空間を再現する為に重要なツールとなります。5.1chあるサラウンド空間を2つのステレオリバーブではやはり再現し切れません。Altiverb/Revibe/TLSpace等のコンボリューションリバーブでは5.1chで収録されたIRデータを持っています。それにより、リアルな空間表現が可能となります。また、ハードウェア、t.c.electronic system 6000に搭載されるVSS4 HDではサラウンド空間のどの位置に音源が定位しているのかを指示して、サラウンド空間の創造が可能となります。まさにVSS(Virtual Space Sumilator)と言ったところでしょう。音源の定位までもを定義して響きを創造したいのであれば必須のツールとなります。
<<「実践」サラウンドデザイン>>

それでは、実際に今回のセミナーでプランを採用されたサラウンドデザインをご紹介します。ミックスにあたり、楽曲のパートを4つにわけ、4名の方のプランを採用しました。
それぞれ、ビジョンを持った素晴らしいアイディアばかりでしたので、講師の沢口さんも選ぶのには難しかったことと思います。
前半の部/サラウンドデザイン
2_12_22_32_4
後半の部/サラウンドデザイン
1_11-21_31_4
皆さん、サラウンドミックスを実際にされている方はかなり具体的なイメージを持って音を配置してきていました。逆に経験の無い方は純粋に空間をイメージして音を配置されていました。動きのある物や,前後でのパッセージの掛合い、コード楽器での空間の埋め方、ソロ楽器の定位等、様々なアイディアを 実際に試すことができました。
ミックスの中で、問題となったのがファンタムセンターとハードセンターのダイバージェンスでした。ステレオでは存在しないハードセンター。この取扱 がサラウンドミックスの大きな魅力であり、難しさでもあります。今までのステレオミックスの感覚で音源をセンターに定位させると、どうしてもセンターチャンネルの音量が飽和してしまいます。これをファンタムセンターとの併用
によりうまくバランスを取ることが重要です。そして、どの音源をどのように配置するのかはその作品によって変わってくると思います。ナレーションがかぶってくる様な映像作品に対しての音楽であるならば、ほぼ間違いなくナレーションはハードセンターで鳴ります。これを見越してハードセンターを作らないとMAの段階でバランスが崩れてしまいます。逆に効果音はL,Rchから鳴ることが多いので、逆のアプローチが必要です。音楽のみの作品であれば、自由にイメージのままに最大限ダイバージェンス効果を活用することができます。
<<サラウンドミックスを終えて>>
DSC_0008_web今回は、「音楽」ということで、放送で問題となっている様々な問題には言及しませんでした。実際には効果音や、ナレーションとの兼ね合いで様々な問 題が生じます。また、再生機器側の問題としてダウンミックスのステレオで再生されたときにオーバーレベルしない、位相干渉が起らない、センター成分が小さくならない等、様々な部分で注意が必要となります。今回のセミナーでも「音楽」サラウンドは自由でうらやましいと、放送現場の方から感想をいただきました。音楽サラウンドのソースとして主流のDVD-Audio/SACD両者共、ステレオも同時収録することができるようになっています。音のみのサラウンド作品は、実は映像作品におけるサラウンドよりも大きな可能性を持っているのです。これを参加者の皆様に『実感』していただければ大きな成功と言えるの ではないでしょうか。
最後に沢口/洋介コンビでMIXした参考MIXを紹介しました。
3_13_23_3
遂に次回は最終回!!盛りだくさんの内容でサラウンドの世界を更に『体験』していただく予定です。お楽しみに!!
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*記事中に掲載されている情報は2010年01月22日時点のものです。