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第三回目はちょっとマニアックな歪みのお話し〜
文:技術担当 千葉
というわけで第三回です。前回はFFTと歪みの関係についてみてみました。今回は更につっこんで実際の音が入力された場合の特性を示す、スペックシートでIntermodulation Distortionと書かれている項目をみていきましょう。
生贄は今回も引き続きMobile I/O ULN-2です
日本語では混変調歪、と呼ばれる事が多いと思いますが、名前だけでは意味がわからないと思います。これは言葉で説明するよりも測定結果を見て貰った方が理解が早いと思いますので早速測定しちゃいましょう。
Intermodulation DistortionはMic Inputの項目にありますので接続は前回までと同様で図のようになります。
測定条件はスペックシートでは1k component(19kHz/20kHz@8dBu)と書かれています。これは19kHzと20kHzのサイン波をULN-2に入力して、
それぞれのサイン波の出力レベルが+8dBuになるようなセッティング、という意味ですのでdScopeのGeneratorセッティングは左のようになります。FunctionのところがTwin-toneとなっていますが、これが独立した2つのサイン波を出力するモードで19kHzと20kHzのサイン波を-0.6dBuで出力するセッティングになっています。出力レベルが-0.6dBuという半端な値になっているのはULN-2の出力レベルを+8dBuにするためです。
で、測定結果です。
レベルはそれぞれ+8.089dBu, +8.057dBuとなっていて相変わらずULN-2のチャンネル間誤差の低さが証明されて、スペックシートの条件であった@8dBuの条件も満たしています。周波数に関しては今回は意味がないのでFFTを見てみましょう。
今回の測定条件ではULN-2から出力されるレベルは19kHzと20kHzのサイン波が+8dBuになります。しかし、FFTをみると19kHzと20kHzの周波数に関しては問題ないのですが、ULN-2に入力した覚えのない18kHzと21kHzの周波数レベルも上がっている事に気付くと思います。
これがIntermodulation Distortion即ち混変調歪です。前回、前々回で取り上げた高調波歪は基本波より上の周波数でしか出ませんでしたが混変調歪は基本波より下の周波数にも出るのが特徴です。混変調歪は簡単に書くとnx±my(n,mは高調波の次数)の形で表され2つの基本波のあらゆる高調波の組み合わせで出現しますが、その殆どはノイズフロアに埋もれるレベルですが、その中のいくつかは先程のFFTの様に比較的高いレベルで出現します。今回の例で言うとn19kHz±m20kHzで表される歪みのうち2×19kHz-1×20kHz=18kHzと2×20kHz-1×19kHz=21kHzで表される歪みが目に見えて大きい歪みという事になります。
もう一度FFTを確認すると18kHz及び20kHzの歪みのレベルはともに-95dBu位である事が確認できます。
ここでスペックシートの値を見るとIntermodulation Distortionは-96dBuと表記されていますので、ほぼスペック通りの値が出ている事が確認できました。
ところでこの混変調歪は一般的にはあまりスペック上に公開されない値ですが、機材の音質に関してとても重要なパラメータです。混変調歪の少ない機材に対しての印象は”透明感がある”や”空気感の表現が良い”といったものになります。高調波歪みと違って混変調歪みは音が入力された場合、どの機材でも多かれ少なかれ必ず発生するものです。ある機材Aに対してBの方が透明感のある音が出ると感じた時は混変調歪みが少ないと思って間違いありません。
今回はちょっとマニアックな話でしたが、機材の音質に多大に関わる項目ですので話として知っておくのも悪くないと思います。
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記事本文・構成 : ROCK ON PRO 岡田
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